「戦略を描いて終わり」のコンサルティングでは、社会は変わらない──ドリームインキュベータ(DI)が掲げるのは、企業や既存の市場の枠を超え、新たな事業や産業自体の創造を武器に、企業の成長支援を行う「ビジネスプロデュース」という挑戦だ。
入社1~2年目の若手であっても、机上の空論ではなく現場の「生の情報」を起点に、官民の壁を超えて奔走する。そこにあるのは、既存のコンサルタント像を覆す「ビジネス領域の総合格闘家」としての泥臭い日常だ。
なぜ彼らはあえて「型のない」困難な道を選ぶのか。3名のビジネスプロデューサーが語る、DIでしか得られない成長の本質に迫る。
〈Profile〉
写真左/雲石 晃太郎(うんせき こうたろう)シニアマネジャー
総合電機メーカーにてSIとして3年半勤務後、2017年にDIへ参画。前職で感じた「新規事業創出」の課題を解決すべく、構想から実装まで手掛けるビジネスプロデューサーを志す。現在はプロジェクトの意思決定をリードするシニアマネジャーとして、若手の育成や既存の「型」に囚われない戦略提案、産業プロデュース案件を数多く牽引している。
写真右/平林 千織(ひらばやし ちおり)
総合系コンサルティングファームのM&A部門に約3年勤務後、2024年2月より現職。少人数で密にコミュニケーションをとりながら、プロジェクトを推進できる環境を志向しDIを選択。戦略の前段階の構想に留まらず、社内外のプレイヤーを説得して仲間を作り、実装フェーズまで伴走する姿勢が強み。
写真中/山中 碧唯(やまなか あおい)
東京大学大学院 建築学専攻を修了後 、2024年に新卒入社。社会を変える大きな事業に関与したいと考え、俯瞰的な視点を持つコンサル業界を志望。入社2カ月目からEV領域の新規事業探索などに従事し、現場での「生の情報」を起点に、意思決定に影響を与える役割を担っている。
※役職・肩書、インタビュー内容は、本インタビュー時点のものです。
<目次>
●多彩なキャリアを経て選んだ、「型のない」挑戦
●大切なことは、成果にコミットする覚悟と人間力
●意思決定に直結する役割が、成長を加速させる
●多種多様な挑戦を経て、総合格闘家のようなビジネスプロデューサーへ
多彩なキャリアを経て選んだ、「型のない」挑戦
──皆さんのバックグラウンドと、DIを選んだ理由を教えてください。また中途入社のお二人は、前職でどのような限界を感じていたのでしょうか。
雲石:私は新卒で総合電機メーカーにSIとして入社し、3年半ほど勤務しました。当時、事業環境が変化する中で利益を生み出す必要がありましたが、ビジネスモデル上、コストダウンの余地がほとんどないという現実に直面したんです。トップラインを上げるための「新規事業創出」が急務でしたが、社内でそれを実現できる人が少なく、自分自身もやり方が分からない。さらに、同世代と会話すると、この悩みを多くのメーカー出身者が抱えていると感じ、「新規事業をどう創るか」という問いへの答えを求めて転職活動を始めました。
コンサルティングファームも複数見ましたが、その中でDIは異質でした。他社では用意された特定の課題について答えるような面接が多かったのに対し、DIは行くたびに別の角度から、時には会話の中から新しいテーマを提示され、面接官とのインタラクションの中で新しいものを創り出すような感覚があったんです。この「型のない」文化こそが、新規事業を創る本質だと感じたこと、加えて「この市場はこうした方がいい」「この方が面白くなるのでは?」と、新しいことを追い求めている社員の考え方に魅力を感じ、入社を決めました。

平林:私は総合系コンサルティングファームのM&A部門に3年ほど在籍していました。組織が急拡大し、コロナ禍によるリモートワークも重なって、自分の働き方を見つめ直したことが転職のきっかけです。より少人数で密にコミュニケーションを取りながら、互いの動きが分かる環境で仕事がしたいと考えました。
また、多くのコンサルティングファームが「クライアントが事業をどのように進めるべきか」という戦略策定にとどまりがちですが、DIは「戦略策定」だけにとどまらず「どんな仲間を連れてくる必要があるか」といった仲間作りや、時には法改正にまで関与するルール作りも担い、事業の実行フェーズまで踏み込んでいく。この戦略と実行を一体で推進するスタンスに惹かれて、DIで勝負しようと決めました。
──新卒で入社された山中さんは、どのような軸でDIを選んだのですか。
山中:大学・大学院では建築を専攻していました。そこで学んだのは「形」の面白さよりも、「その建築を通じて社会の在り方がどう変わるか」という提案の重要性でした。特定の業界にとらわれることなく、多様な領域を俯瞰して、社会に波及効果を生む仕事がしたいと考え、コンサル業界を志望しました。
ただ、就職活動の終盤まで「実案件として社会に新たな価値を生み出すコンサルはないのではないか」という疑念を拭えませんでした。そんな時に「ビジネスプロデュース」という概念を掲げるDIを知りました。面接では複数のビジネスプロデューサーから具体的なプロジェクトの面白さを聞き、社会を変えるような事業に取り組めると確信しました。
──「コンサルタント」ではなく「ビジネスプロデューサー」という言葉に、皆さんが共通して惹かれたのが印象的です。
雲石:私たちは単なるアドバイザーではありません。クライアントをリードし、「このビジネスを一緒にやりましょう」とプロデュースする、まさしくプロデューサーです。入社して新規事業に携わる中で感じるのは、やはり新規事業の創造には「決められた正解」がないということです。クライアント、プロジェクトのテーマに応じて問いを立て、構想を描き、実装までコミットする。プロジェクトに入るたびに新しい知識・世界に出会う。この「型のなさ」や新しいことへの出会いを面白いと思えるかどうかが、最初の分かれ道かもしれません。
大切なことは、成果にコミットする覚悟と人間力
──DIが掲げる「ビジネスプロデュース」とは、従来の戦略コンサルティングと何が違うのでしょうか。
雲石:一般的な戦略コンサルティングは、特定の企業の課題を主語にして「どう解決するか」から入ることが多いです。しかし、DIのビジネスプロデュースはさらにその一歩手前、「こういう世界ができたらクライアントにとって最もいい事業ができるのでは」と、時には社会課題を起点にして、既存のバリューチェーンにとらわれない新たな事業や産業構想を描くことから始まります。これを私たちは「産業の傘」と呼ぶこともあります。大きな構想の傘の下に、メーカー、卸、インフラなど複数の企業に参画してもらう、新しいビジネスモデルや仕組みを創り出すのです。

──複数のステークホルダーを巻き込む際、DIはどのような立ち位置を取るのですか。
平林:私たちは第三者的立場ではなく、クライアントの隣に並んで同じ目線を共有する「伴走スタイル」を徹底しています。象徴的なのが、DI自身のビジネスモデルです。単に時間単価でコンサルティングフィーをいただくだけでなく、文脈に応じて「成果報酬」や「共同事業化(ジョイントベンチャーの設立)」を検討することもあります。戦略を描いて終わりではなく、その事業が成功して成果が出るまで運命を共にするという覚悟の表れでもありますね。
平林:たしかに、論点整理や市場調査、資料作成の効率化といった部分は、AIが担う領域になっていくでしょう。しかし、利害関係が複雑に絡み合う社内外のプレイヤーを説得し、巻き込んでいくドライブ力やストーリーテリングは、AIには代替できません。
例えば新しい産業を創る際には、既存の業界慣行を壊し、誰もが納得できる「三方よし」の設計を行う必要があります。なぜ今やるべきなのかを説き、対面でクライアントを説得し、さらにクライアントが自社内を動かすためのストーリーを共に創る。こうした「仲間作り」や「社内外ドライブ」こそが、AI時代のビジネスプロデューサーに求められる真の価値だと考えています。
雲石:クライアントを「これは絶対にやりたい」と惹きつけられるまで、私たちは仮説を磨き続けます。そのためには、伴走する私たち自身がそのプロジェクトを面白いと感じる必要があります。DIには、役員から若手までが「こっちの方が面白いんじゃないか」と真剣に議論し合う文化が根付いています。この姿勢こそが、DIが提供できる代替不可能な価値ではないでしょうか。
──「産業の傘」を描き、その実現のために必要な人間関係まで調整する。まさに脳と足腰の両方を駆使する仕事ですね。
山中:私も新卒1年目の時、戦略の前段の構想を描く一方で、現場で誰を味方につけるべきかを必死に考えていました。DIでは、1年目から三方よしの設計図を描く機会があります。単にロジックが通っているかだけでなく、関わる人全員に「利」があり、実際に動き出せる構想になっているか。そういった視点を持つことがビジネスプロデューサーとしての第一歩だと感じています。
平林:私が関わった大手メーカーの海外における脱炭素事業化案件は、DIらしさが凝縮されたプロジェクトでした。途上国のある地域で、放置すると大量のCO2が排出されてしまう土地を、クライアントの技術で抑制しつつ、土地開発を進め事業化するという構想です。ステークホルダーは多岐にわたり、日本政府、相手国政府、官庁、現地有識者まで多層的なやりとりが必要でした。
山中:私が携わった別のプロジェクトでも、有識者と議論したり事業の現実性を検証したりするための現地調査に同行しました。若手の役割は、単なる作業のサポートではありません。最近は定型作業をAIに委譲して、自身はよりリアリティのある情報の獲得に注力しています。
意思決定に直結する役割が、成長を加速させる
──山中さんは、新卒入社2カ月目で「EV新規事業探索」のプロジェクトに携われたと伺いました。どういった役割を担われたのですか。
山中:はい。クライアントの技術をEV部品のどこに転用できるかを探るプロジェクトでしたが、当初は、EVの産業構造すら知らない状態でした。与えられた役割は調査ですが、上司からは「机上では取られない情報が本当に価値のある情報だ」と指導をもらい、自らの足で情報を取りにいく大切さを学びました。具体的には、地方の展示場で実物のパーツに触り、モーターショーでは技術者の方にお時間をいただき、「当技術はどのような過程で生まれ、今後を見据えた際の改善余地はどこにあるのか」とディスカッションをさせていただきました。さらに関西の権威ある教授の元へも自らアポイントを取り、業界の将来構造について意見交換をさせていただきました。
──2カ月目で業界の有識者と議論をする。プレッシャーも大きいのではないでしょうか。
山中:凄まじいプレッシャーを感じましたが、そもそもDIは少数精鋭の組織ですので、入社1年目の若手であろうと、チームの一員としてプロジェクトの行方を左右するような議論にも積極的に参加することが求められます。役員も参加する週に一度のプロジェクト会議では、私が集めてきた現場の「生の情報」が意思決定の材料として使われます。自分が情報を収集してこなければ、プロジェクト全体が止まってしまう。こうした自分の行動でプロジェクトを左右しうる環境が、当事者意識をもたらし、結果として私自身の成長も加速させると感じています。

雲石:どんなに優れた戦略も、現場のリアリティが欠けていればクライアントを納得させられません。労力をかけて現場で得た貴重な「技術者の本音」や「表層的な課題に内包されている本質」が、戦略の前提を左右します。DIでは、情報の解像度が最も高いメンバーが、議論においては重要な役割を担います。
平林:1年目、2年目の若手でも、特定論点の結論を出し切る責任を与えます。プロジェクト全体のメッセージは上位者が担いますが、その土台となる論点ごとの答えは若手の独壇場です。「自分がこの情報の主である」という感覚が、プロフェッショナルとしての自覚を育むのだと思います。
多種多様な挑戦を経て、総合格闘家のようなビジネスプロデューサーへ
──DIでの経験は、個人のキャリアにどのような価値をもたらすと考えていますか。
平林:「商社的な現場の足腰」と「戦略コンサルの思考力」の両者です。DIではセクターカット(業種区切り)をしていませんので、今は脱炭素、次はEV、その次は介護予防……というように目まぐるしく担当領域が変わります。この「あえて専門を固定しない」環境も、ビジネスプロデューサーとしての強みを育む理由かもしれません。
雲石:複数の産業を横断して見ているうちに、構造的なアナロジー(類推)ができるようになります。例えば「この産業構造の転換は、以前別の業界で起きたあの現象と同じではないか」といった視点です。この異業種の知見を掛け合わせて新しい打ち手を提案するプロセスこそが、DIの特徴の源泉かもしれません。既存の業界慣行を超え、意外な組み合わせで社会に新しい価値を提示する。この感覚を面白いと思える人には、最高の環境でしょう。
──どのような素養を持つ学生が、DIのビジネスプロデューサーに向いているのでしょうか。
雲石:向いている素養の一例としては「知りたがり」であること。大量のインプットを楽しめる方はフィットするはずです。そして、情報を構造化して「これ、こうなったら面白いんじゃないか」と妄想できる力。R&Dや研究職の中で、領域の壁を超えて新しい発見をすることを創発と呼んでいますが、それと似た感覚だと思っています。こうしたある意味「いたずら好き」な方には、非常に向いていると思います。
平林:そして何より「やり切る姿勢」です。半端な覚悟では、目の前のクライアントはついてきません。最後まで自分がプロジェクトをドライブするというコミットメントを示せるかどうかが、ビジネスプロデューサーとしての条件です。
──最後に、社会を動かす大きな仕事に挑戦したいと考えている学生へメッセージをお願いします。
山中:DIは、若手に対して積極的に「打席」を与える会社です。自分から情報を取りにいき、議論に参加する姿勢があれば、1年目から自分の発言が意思決定に影響を与える場面もあります。
平林:働く場所を選ぶ際には企業の看板や待遇だけで選ぶのではなく、「自分がどんな経験をしたいか」を突き詰めてほしいです。DIは、多彩なバックグラウンドを持つ仲間と共に、AIには代替できないような実装まで見据えた事業開発の力を磨ける場所です。
雲石:DIは、脳だけでなく足腰も鍛える、総合格闘家のようなビジネスプロデューサーへと成長できる環境です。ロジックを突き詰めつつ、さらに自分自身が「この構想、面白そうだからやりたい」と惹かれるかどうか考え抜ける場です。また、社会を変えること、産業を生み出すことはとても難しいです。一人ではできません。一企業だけでもできません。「新しいことで社会を動かそう」という志を持つ方が一人でも多く参画してくれることが、実現への力になります。業界の枠を超えた新しい産業を生み出すその場面に、共に出会える仲間をお待ちしております。

ドリームインキュベータ
【制作/撮影:BRIGHTLOGG,INC./編集:小林 遼】