商社といえば、世界を舞台にビジネスを切り拓く総合職のイメージが先行しがちだ。だが三菱商事には、価値創出を支えるもう一つの働き方がある。それが「バックオフィス職」だ。
三菱商事にとって、最大の資産は「人材」に他ならない。同社では10年後を見据えたHR Visionとして、多彩・多才な人材(Diversity)を活かし(Energize)、育て(Accelerate)、報いる(Reward)の頭文字を取った「DEAR」を掲げ、一人ひとりが輝くための環境整備を加速させている。
バックオフィス職は、単純な事務処理でも、指示を待ち続ける裏方でもない。自ら考え、先回りして動き、事業価値の向上に主体的に貢献する。これが三菱商事のバックオフィス職の実態だ。契約・通関・決済から計数管理・分析、予算や予実の管理、更には全社的な制度運用まで、その仕事領域はおよそ「バックオフィス」という言葉の枠には収まらない。
AI時代が本格化する今、既存のプロセスを見直し、より高付加価値の仕組みへと再設計する力が問われている。三菱商事のバックオフィス職が担うのは、まさにそのビジネスプロセスをデザインする役割だ。今回はその実像に迫った。
<目次>
●固定観念を捨てなければ、バックオフィス職は語れない
●AI時代に問われるバックオフィス職の役割
●「強い個」が集まり、チームで最大の成果を出す文化
●バックオフィス職だからこそ味わえるやりがい
●船の安全を守る役割が、航海には欠かせない
固定観念を捨てなければ、バックオフィス職は語れない
──三菱商事という日本を代表する商社が、このタイミングでバックオフィス職の新卒採用を再開しました。まず三菱商事のバックオフィス職とはどのような職種なのでしょうか。
吉木:まず、商社の仕事って、前に出て交渉して、投資して、世界を動かす。そんなイメージが強いですよね。でも実は、その裏には、契約・通関・決済、あるいは経営計画策定や財務分析などの業務があり、これらのプロセスが積み上がってビジネスが成立しています。
三菱商事のバックオフィス職というのは、単純な事務業務の遂行ではなく、これらのプロセスの根幹に主体的に関わり、+αの成果創出や業務プロセスの再構築などを通じて、安定的な事業運営・事業価値の向上を実現し、会社の更なる発展を支える重要な職種です。
──事務業務に留まらず、主体的に動く。三菱商事のバックオフィス職業務は私のイメージよりも高度な業務内容ですね。
吉木:はい。まさに自ら動ける人でないと、仕事が成り立ちません。三菱商事のビジネスは多岐にわたっており、関わる産業も地域も幅広く定型的な業務ばかりではありません。
各ビジネスのバックオフィス領域を担うプロフェッショナルとして、総合職や他部署、あるいは社外の関係者とも積極的にコミュニケーションを取りながら、最適なオペレーションの構築や課題解決に当たっていきます。
また、各事業領域でAIの進化を含めた市場環境は激しく変化しており、領域をまたがるような横連携の重要性も増していくことが想定されるので、バックオフィス業務は今後ますます高度化していくと思います。

吉木 明博(よしき あきひろ):三菱商事 人事部 採用チームリーダー
2010年、三菱商事入社。機械グループ(現:社会インフラグループ)にて宇宙航空事業を担当し、4年間ワシントンD.C.に駐在。2025年4月より現職
──高度化という言葉がありましたが、実際の業務はどのような領域にまで広がっているのでしょうか? 三菱商事のビジネスが変遷するにつれ、バックオフィスの役割も変化しているように感じます。
吉木:三菱商事のビジネスモデルは、トレーディング中心から、事業投資、そして事業経営へと進展してきました。これに応じて、バックオフィス職の業務領域も広がっています。
トレーディングにおける取引実務やその統括だけではなく、事業投資における計数管理・分析、あるいはコーポレート領域における制度運用など、今ではその業務領域は多岐にわたっているのが実態です。
そして、各業務領域において、状況の変化に対応しながら、バックオフィス職としての経験・知見を活かして、何が必要になるのかを自身で考えながら主体的に業務を遂行していきます。問題が起きてから対応するのではなく、先回りして未然に手を打つといった動き方も重要になってきます。
──投資の計数管理や分析、更には全社的な制度運用まで。もはやバックオフィスという一言では片付けられないほど高度な領域ですね。こうした多岐にわたるフィールドにおいて、更にAIの活用も加速していくのでしょうか?
吉木:そうですね。AI技術の発展は目覚ましく、事業環境そのもの、そして会社にある仕事そのものの在り方が変わっていきます。そうした中で、組織を超えた連携や、AI技術などの進展を踏まえた業務プロセスのアップデートもバックオフィス職の役割期待の一つであり、今後更にその職務内容は高度化していくことが見込まれます。
AI時代に問われるバックオフィス職の役割
──AIのお話が出ましたが、あえて切り込ませてください。バックオフィス領域こそAIの影響を最も受けるという見方もあります。学生の中には「自分の仕事がなくなるのでは」と不安を感じる方もいるかもしれません。いかがお考えですか?
吉木:AI技術の進化の速さや、そのインパクトを考えれば、現在の業務が将来にわたって一切AIに代替されないということはないでしょう。
しかしながら、先ほども申し上げたように、AI技術などの進展を踏まえた業務プロセスのアップデート自体もバックオフィス職の役割期待ですから、その結果としてバックオフィス業務そのものも進化していきます。そういった観点から、不安というよりは、むしろ積極的に進化を楽しむような気概を持った方に来てほしいですね。
──非常に率直ですね。では、バックオフィス業務において、人間にしかできない付加価値はどこにあるとお考えですか?
吉木:重要なのは「AIをどう使うか」です。
AIで代替される仕事、AIと人間が共存する仕事、人間にしかできない仕事に分かれていく中で、AIを業務プロセスにどう組み込み、どこを人が担うべきかを設計する。そのプロセスデザインそのものが、これからのバックオフィス職に期待される役割であり、やりがいでもあります。
また、何よりもチームワークを最大化するコミュニケーションは、人間が担うべき大きな要素ではないでしょうか。

「強い個」が集まり、チームで最大の成果を出す文化
──これまでのお話で、非常に高度な役割であることは伝わりました。一方で、それが現場の手触り感としてどう現れるのか、より具体的にイメージしたい学生も多いはずです。まず、三菱商事の社風について、率直に教えてください。
吉木:「組織の三菱」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。ただ、それは「ルールに縛られた、個の埋もれた組織」というイメージとは全く異なります。一人ひとりが「強い個」、つまりプロフェッショナルであることが重要であり、その上でそうした強い個が集って「チームプレー」を行うことで成果を最大化していく文化です。
更に三菱商事が大切にしているのは、利益を追求することは大前提にしつつも、社会課題の解決に貢献するという信念を持ってビジネスを行う姿勢です。
こうした社風の中で、バックオフィス職としても共通の意識を持って自ら動き、積極的にチームプレーに参加していくことが求められます。そして共に成果を創り上げていく中で、まさにチームに「なくてはならない存在」として信頼をされています。
バックオフィス職だからこそ味わえるやりがい
──吉木さんがバックオフィス職をとても信頼していることが伝わってきました。三菱商事全体としても、バックオフィス職への厚い信頼があるのですね。今度は、三菱商事という全産業×グローバルな圧倒的なフィールドだからこそ味わえる、バックオフィス職のやりがいを教えてください。
吉木:おっしゃっていただいたように全産業×グローバルといった幅広い領域で、多様な人材と関わりながらビジネスを手掛けていることは三菱商事ならではのダイナミックさであり、一つ一つの仕事が社会に与えるインパクトの大きさを実感できます。
同じフロアでも隣の部署ではビジネスが全く違う。扱う商材も、関わる国も違う。だから、一つの正解だけでは業務が回らないのです。
こういった環境の中、バックオフィス職としては、利益や損失にも直接影響を与える取引実務や、計数管理・分析業務などを任され、スピード感・正確性・自主性を持った、プロフェッショナルとしての働きが期待されます。
自分自身で状況を読みながら、先回りして動いてビジネスやチームを支えた結果が、周囲からの信頼につながる。その積み重ねが、自身の仕事への誇りになっていきます。
船の安全を守る役割が、航海には欠かせない
──お話を伺うほどに、専門性と主体性が求められる職種だと感じます。あえて「総合職との違い」を挙げるとすれば、どのようになりますか?
吉木:総合職は事業やビジネスモデルそのものを構想し、世界中のパートナーと協力しながらその構想を実現すること、そして事業を着実に経営しながら拡大していくことが求められます。バックオフィス職はそこに伴走しながら、事業が安定的に回り続けるための土台を支えていく、いわば礎のような役割です。
支えるといっても、総合職からの指示を待って動くのではなく、バックオフィス職だからこそ気づく観点をもとに、先回りしながら周囲の関係者とコミュニケーションを取って解決していく主体性が重要です。
また、海外も含めた転勤がある総合職と、首都圏勤務確約のバックオフィス職という点も、分かりやすい違いかもしれませんね。
──異なるアプローチでの連携なのですね。現場での実際の関わり方は具体的にどのようなものですか?
吉木:具体的な例としては、新規ビジネスや施策の構想は総合職が行いますが、そうした構想に対するバックオフィス目線での検討や、既存ビジネス・施策のオペレーション・改善はバックオフィス職が担当すると言えばイメージしやすいでしょうか。
先ほども申し上げたように、総合職は海外を含む転勤があり比較的異動も多いこともあり、各ビジネスにおけるオペレーションの詳細部分や、過去からの経緯などはバックオフィス職側の方が詳しいケースも多く、まさに実行フェーズの中心的存在です。
仮に航海に例えるなら、行き先や行き方を決めることは総合職の役割ですが、実際の航海において船の安全を守ることはバックオフィス職の役割というイメージでしょうか。

──よく理解できました。ありがとうございます。最後に、三菱商事という場所で新しいキャリアを切り拓こうとする読者へメッセージをお願いします。
吉木:三菱商事は、多彩・多才な人材が集まり、それぞれの強みを掛け合わせながら、変化を先取りし、社会に新しい価値を生み出してきた会社です。
キャリアの形が多様化する中で、三菱商事における価値の生み出し方も一つではなく、総合職とバックオフィス職、それぞれが異なる強みを持ち、互いに補完しながら、事業価値の向上に貢献しています。
だからこそ、三菱商事ではチームプレーを大事にしています。良いチームであるためには、それぞれがプロ意識を持ちながら、主体的に関わり合うことが大切です。総合職とはまた異なるプロフェッショナリティを持って、「能動的にチームを支える」ことでより良い社会を実現していく、そんな関わり方が三菱商事のバックオフィス職です。
キャリアに正解はありません。ぜひ、自分自身の価値観にあった、自分らしい選択をしていただけたらと思います。皆さんと一緒に新しい価値の創出に挑戦できる日を楽しみにしています。
──バックオフィス職は単なる支える存在ではなく、事業価値を高めるための重要な担い手なのですね。伺えば伺うほど、業務の正確性だけでなく、周囲との関係性や業務全体を見据えて主体的に動けるかどうかが問われる仕事だと感じました。チームに貢献することを自分の成果として引き受けられる人にとって、この役割は、想像以上に手応えのあるキャリアになるのではないでしょうか。
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