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「女性が輝く?外資は男女ともに働きづらいですよ」メガバンクvs外資系対談(後編)

外資系 女性 日系 ワンキャリ編集部
2018年6月30日(土) | 50,022 views

こんにちは、ワンキャリ編集部です。

女性のキャリアWEEK特集第3弾は、女性が働きやすいといわれる外資系勤務の女性と、対して保守的だと考えられているメガバンクの女性、それぞれにキャリアについて語っていただきました。そのお話を2本立て、インタビュー形式でお送りします。


後編は前編とは反対に、メガバンク勤務Aさんが外資系メーカー勤務のBさんのキャリアについて聞き出します。

【前編はこちら】→「銀行は女性にとって働きづらい」は本当?メガバンクvs外資系対談(前編)


話し手:外資系メーカー勤務Bさん
東京都内の私立大学を2011年に卒業し外資系企業へ入社。現在もハードワークをこなしながら活躍している。勤続年数的に、マネージャーを目指すか専門職となるか決断すべき時期だと語る。

聞き手:メガバンク勤務Aさん
東京都内の私立大学を2010年に卒業しメガバンクへ入行。現在も総合職として活躍している。女性のキャリアに課題を感じるものの、現在の労働環境にはおおむね満足しているという。

女性が活躍する会社のランキングを見るたび、モヤっとする

──さて、外資系企業における女性のキャリアについて思うところはありますか?


Bさん:結論は「しんどい」です。よく女性が活躍する会社ランキングで、外資系企業、それも外資メーカーが総なめにしてるじゃないですか。あのランキングと実情がどうも合わなくてモヤっとするんですね。


私の知る限りですが、外資で女性が出世できないという話は聞いたことがないです。役員クラスに女性がいることも珍しくないですし、実際にオラクルやIBMでは本社CEO(最高経営責任者)が女性です。「じゃあ女性が働きやすいじゃないか」、と言われると「ジャパン・ブランチ(日本支社)以外では多分そうだろうね」が答えです。


──日本支社だと差別があるということですか?


Bさん:いいえ、日本支社だからといってカルチャーは同じなので、そこで女性だからと出世を止められることはありません。むしろイシュー(論点)として挙がってくるのは日本支社特有の労働時間の長さ。外資系投資銀行は日本以外でも激務ですが、それと比べても日本支社は「頭がおかしい」と言われるレベルです。


男女差別されないからこそ、女性も激務を生き延びる必要がある。つまり「女性が働きやすい」んじゃなくて「男女ともに働きづらい」労働環境にあります。特にアメリカを本社とする企業だと、「バリバリ働く代わりに高給を得る」というアメリカ文化も背負っちゃってる。同じくらい優秀な人たちと競い合うんだから、必然的に労働時間での勝負になります。


──男女で差別がないということは、高給を得られるということでもありますよね。


Bさん:行員にはかなわない(笑)。リーマン・ショック以降、外資系企業の給与は軒並みガタ落ちしまして、コンサルでさえ商社よりもらえません。だったら労働時間が短い商社や銀行にする! ってみんな思いますよね。商社って飲み会がなければ電車に乗って家へ帰れる部署も多いです。


外資のフロントオフィスで働く人間は、内定した段階で「なるべく会社のそばに住むように」とアドバイスされます。そうでもないとタクシー代が大変なことになりますから。

商社の激務とそれくらい労働時間に乖離があるのに、学生が「激務でも大丈夫です」って志望してくるから切ないよね。23時に帰るのを激務だと思うなら、外資に来ないほうがいい。

海外志向だった女性も結婚したいからと辞める

──それだけ激務だと結婚も厳しそうですね。


Bさん:結婚は2つの面で厳しいです。1つは海外転勤。コンサル・メーカーは最近、アジア圏への海外転勤が多いです。ただでさえ高収入だと勘違いされて男性から敬遠されるのに、適齢期に海外へ飛ばされる。入社時は海外志向だった女性も、27歳~32歳で海外住まいだと結婚できない現実に気付いて辞めていきます。HR(人事部)へ退職理由を正直に言ってしまうと彼らのスコアに関わるので、別の言い訳を用意する方が大半ですが。


結婚で多いのは社内結婚ですね。社内結婚の場合は両方とも激務なのですれ違いが起きやすいです。弊社だけかもしれませんが、バツイチは当たり前かな。それでも誰も気にしないから再婚できますけど、「同じフロアのAさんと結婚して、離婚してBさんと再婚」とかあり得るわけで。これは社風にもよるので、すべての業界がこうだとは思わないですけど。っていうか、ウチだけだったらどうしよう(笑)。


──うわぁ、ちょっと想像するとグロいです。

多忙さに付き合いきれるタフな人類がいない

Bさん:2つめは激務による出会いの減少です。外資の女性、それもフロントオフィスは肉食系も多いので婚活は頑張るんですよ。でもどこの誰が深夜24時から合コンを開いてくれるんだろう? というしょっぱなでつまずく。外資は有給休暇も取りやすいんで、半休取れば18時スタートとかもできますけど「今日は仕事早かったの?」なんて言われたら笑うしかないです。そこで緊急コールがかかってきたら走って抜け出すことになりますし。


さらにはデートも基本的に半日単位。土日も出勤するので、午前は仕事して昼から会うとか。私、プロジェクトが火を噴いてた時はお盆も土日もなく50連勤していました。それだけ放置して耐えられる男性……っていうか人類が少ないですよね(笑)。よくマネージャーになれば早く帰れるっていいますけど神話かな? って思っています。少なくとも弊社は役員クラスまでオフィスにビッタリ張り付いていますよ。

「結婚」は出世のマスト条件

──なんか、思っていたのよりしんどいですね。銀行ではわりと結婚して一人前という空気はあって、出世に直接影響することはないと思うんですがみなさん結婚します。そういう意味で、一生独身でいたい女性にとって外資系企業は働きやすいんじゃないかと思ったんですが。


Bさん:それがですね、結婚しないと出世できないんですよ。アメリカの大統領を見ていただければ分かると思いますが、どなたもファーストレディを選挙戦に使いますよね。自分は家庭もパーフェクトだから仕事をマネージできるというアピール材料にする。社内でも既婚者が結婚指輪を外したりすると「そういうのは査定に悪い印象を与えるからよくない」と注意されたりします。


となると日本の女性にとって苦しいのは、出世をプライオリティに置きたい、それなのに結婚が出世の条件に入ってくる点です。適齢期は海外勤務の可能性があるし、ロジカル女子はモテない……八方ふさがりですよね。だから結婚したい時期だけ女性は転勤が少ないといわれる外資に転職したり、ローカルへ特化した戦略を立てる専門職へキャリアチェンジしたりしますね。


──外資にも専門職があるんですか?


Bさん:実はあります。新卒で採らないだけで、転勤やリストラが少ない代わりに出世もある程度までに制限される地位です。その分野ではプロフェッショナルになれますから尊敬されますし、独立起業なんかもしやすいでしょうね。ただ、出世したい女性にとっては辛い選択肢となるでしょう。


もともとUP or OUT(昇進かクビか)の厳しい世界で生き抜く決意をした女性が、仲間の出世を見守ることになるわけですから。

外資に向いているのはシングルマザー!?

──逆に、外資に向いている女性はどんな人がいる?


Bさん:うーん、私の周りで残っているのは2タイプかな。まず、シングルマザーは続けられる方が多いですね。保育園に預けたりする時間の融通が効きやすいですし、他社でシングルマザーを理由に採用を蹴られるから「ここに残るしかない」と必死で踏ん張っています。早く帰って子供の世話をし、寝かせてから午前3時に起きて仕事するといったワークスタイルは、外資でないと厳しいと思います。

次に、パートナーのキャリアを諦めさせられる女性は残ります。これはさらに2つに分かれていて、まずは主夫志望の男性を捕まえて支えてもらうタイプ。画家とかライターみたいに、フリーランスの男性と結婚することが多いです。癒し系で世界中の転勤についてきてくれる。理想的なパートナーですよね(笑)。トップ層になる女性に多いです。


もう1つは、出世志向の男性にキャリアを妥協してもらうタイプ。「尊敬できる人がいい。自分より年収が高くないと嫌。でも自分のキャリアが一番大事」というタイプの女性は、ハイキャリアの男性に「海外転勤についてくればMBA(※)取れるよ」などと言って仕事を辞めてもらいます。

正直このタイプは、まだ成功例を見たことがないです。男性もキャリアがない自分に耐えられないでしょうし、女性も刺激のある男性が好きなので外で浮気するし、社内政治のために戦略的な性の活用もありうるわけで。

(※…Master of Business Administrationの略。日本では経営学修士と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位)


──すごい、後者は商社パーソンみたいな結末ですね。男女平等だと「男性特有の問題」だと思われていたことも、女性にも広がるんですね。外資だからといって女性が働きやすいとか、制度が整っていればなんとかなるという問題でもなさそうで。銀行もそうですけれど、根本原因は会社より日本の男女観が双方とも平等社会に追いついていない点でしょうか。社会全体って、どう変えればいいんでしょう(笑)。

外資系企業で勤務するメリットとデメリット

さて、最後に外資系メーカー勤務Bさんから見た「外資系企業で勤務するメリットとデメリット」をまとめてもらいました。


<メリット>

・昇進などで男女不平等になることはまずない。企業によっては本社CEOを目指すこともできる
・フレキシブルな勤務体系。家での勤務もできるため、シングルマザーなど帰宅時間が決まっている人でも総合職として働くことができる
・専門職を選択すれば、リストラも少なく安定して勤務し続けられる

<デメリット>

・結婚しづらい。適齢期に海外へ飛ばされる、激務で出会いが減るといった都合から社内結婚が多い。しかし激務同士の結婚は継続も難しく離婚も多い
・昇進に結婚が少なからず関わっている。上記の理由で結婚しづらいにもかかわらず、結婚しないことにはトップ層を目指せない
・自分のキャリアを維持するためにはパートナーとなる男性にはキャリアを諦めてもらうことになることも多いため、日本の「男性が働く思想」とマッチングしづらい

※個人情報保護のため、内容を一部改変しております。あらかじめご了承ください。


【全4回:女性のキャリアWeek】
第1弾:女性のキャリアを考える上で欠かせない「就職・結婚・出産」。女性のキャリア記事まとめ6選!
第2弾:「銀行は女性にとって働きづらい」は本当?メガバンクvs外資系対談(前編)
第3弾:「女性が輝く?外資は男女ともに働きづらいですよ」メガバンクvs外資系対談(後編)
第4弾:「女の子なのに」と止める周囲を説得しうるキャリア選択とは?SIer女性へのインタビュー

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