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「コンサルに行けば、転職は安泰」の嘘:ベンチャーの経歴の方が有利かもしれないワケ

大企業 ベンチャー コンサル
2017年8月21日(月) | 26,739 views

こんにちは、雨月カレンです。学生から話を聞いていると、就活で一番気にするポイントに「給料」を挙げる学生の多さに驚かされます。

「給料の高さ」は「ビジネスパーソンとして生き抜く力」と比例しないこともあります。今回は、「高給取り」の代表としてコンサルを例にあげながら、「高給」がキャリアにどう影響するのかを考えてみましょう。

コンサルに「新卒の切り札」が使えない理由

まず、給料は高ければ高い方がいい、と多くの就活生は思うでしょう。その考え自体は、間違っていません。給料が高ければ、稼いだお金で自分にさらに投資し、レベルアップ(さらなる高給取り)を目指すのも可能なワケです。ただ、気をつけてほしいのは、「給料」だけに釣られると予想外の落とし穴にハマる可能性があるということです。Aさんの例を挙げましょう。


楽勝と思った転職が思いがけない結果となったAさん

Aさんは、新卒でとあるコンサルティング会社に入社しました。給料は、残業代も含めると月に40~45万円程度と、存分に遊べる金額が手元に残ります。一方の仕事面では、上司からのプレッシャーや勤務時間の長さにデメリットを感じていました。そこで、「これなら転職も楽勝……もう少し、ワークライフバランスを重視したいな」と、社会人2年目で会社を辞め、転職活動を始めました。

しかし、ここで意外な落とし穴にハマるのです。Aさんが狙ったのは、大企業でも前職よりも明らかに「就職偏差値」が低い企業でした。しかし、何故か最終面接で落とされてしまうのです。その敗因は、コンサル特有の「守秘義務」でした。

中途採用の面接では、身に付けたスキルを評価するため「具体的に何をしたか・自分はどう取り組んだのか」など、仕事内容を詳しく説明する必要があります。ところがAさんは、守秘義務によって具体的なクライアント名を出すわけにもいかず、自分が手掛けた複雑な案件についても、抽象的にしか説明できなかったのです。結局、Aさんは思いがけず中小企業への転職をすることになりました。


「自発性・創造性」が評価されず、思うように転職できなかったBさん

Bさんは、日系大手に新卒で入社しました。給料に不満もありませんでしたが、3年目の部署異動をキッカケに転職を決意しました。転職活動では、「具体的な自分の取り組み・成果」を求められます。Bさんは、上司から与えられた仕事を淡々とこなしていただけだったので、「自発性・創造性」が評価されず、思うように転職がうまくいきませんでした。Bさんも、最終的には中小企業に転職をすることになります。

「明確な成果」がないと、キャリアダウン以外の転職は不可能

Aさんも、Bさんもキャリアアップは叶わず、キャリアダウンの転職に終わりました。敗因としては、最初の会社で「与えられた環境に満足していたこと」「成果が明確ではなかったこと」が挙げられます。「成果を明確にする」ことは、サラリーマンにとってはときに厳しいことです。例えば、営業であれば「売上」として数値が明確になりますが、その他の仕事ではチームで取り組むことも多く、客観的に数値や評価を出すのはなかなか難しい場合もあります。


一番簡単なのは「自分の名前」で仕事をすることです。名前の出る成果物があったり、広報媒体に自分が載れば、説明もしやすくなります。

「自分の名前で仕事をする」ことは、自分自身の生き方のブランディングにも繋がります。そう思えば、名前が出ない仕事をしている人より「誰かが尻をぬぐってくれるから」と受け身になることも少なくなるので、結果的には自発性にも結び付くわけです。一言でいえば、「実力」が付きます。

自分の名前で仕事をすることと「高給」の両立は困難

自分の名前で仕事をする場合に「若手で(一般的にいう)高給」とリンクするのは、「電通」や「博報堂」など、クリエイティブの大手の一握りに限られます。場合によっては「高給」取りの会社に務めつつ副業として「自分の名前」で仕事をすることもできますが、忙しければなかなか難しいものです。

転職で生きる「実力」は、ベンチャーの方が身につけられる

ベンチャー企業では人数が少ないということに加え、「とにかく生き残る」ことがミッションという段階の企業も多いため、若手でも大きな仕事を任されることが多いです。給料は、高くない場合もありますが、「実力を買っている」「下積み」と思えば、その後の転職でそのスキルが大きく化ける可能性もあります。


特に、最近はどこもかしこもITに強い人材は不足しています。具体的には、エンジニアに加え、プログラミングやウェブデザインに強い人材はものすごく市場価値が高くなっています。

例えば、広告業界や新聞社はもちろん、少子化で他のジャンルに事業拡大を検討している教育業界も、IT人材は人手不足です。実際に私の周りに、こんな人がいました。新卒でマスコミを目指すものの惨敗し、IT系のベンチャーへ。しばらくして、新聞社でWEBマーケティングの人材を募集してるとのことで、転職を志願し合格。その人は3年越しに夢を叶えたのです。


このように「明確な成果」が求められる転職では、ベンチャーでの経歴が評価されることもよくあることです。

目の前の「高給」、今後の「高給」

「ほどほど」で、ずっとこの会社でいい……という選択肢ももちろん、あります。しかし、正直いつまで今の会社が保つかは、誰も予想ができません。20代は若さで激務に耐えられても、年齢とともに耐えられなくなるかもしれません。そうしたときに必要になってくるのは「自分ブランド」です。高給をもらいながら、与えられた環境だけに満足せず、「自分ブランドの構築」ができる人もいます。しかし、私の経験上そうした人間は、ほんの一握りのように思います。目の前の「高給」は、今後の「高給」の保証には全くならない───ぜひ、こうした視点を持って就活をしてほしいと思います。


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 (Photo:Billion Photos/Shutterstock.com)

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雨月カレン
ライター
雨月カレン

第二の故郷は米・ニューヨーク。旅好きで、旅行した国は20か国を超える。メディア業界を転々とし、雑誌・書籍・WEB・新聞・フリーペーパーとさまざまな媒体を手掛ける。ライター歴7年。ワンキャリ編集部には、編集アドバイザー兼ライターとして参画。なぜか転職や人生相談を受けることが多い。

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