こんにちは、トイアンナです。19卒の就活生の中には、すでに内定ホルダーの方もいらっしゃることでしょう。私が各企業の人事担当者へヒアリングしたところによると、選考が早いと知られる外資系のみならず日系大手でも「こっそり内々定」は横行しています。
そして、全就活生のうち一番中だるみを起こすのがこの内定ホルダーです。
4月時点で内定を持つ学生は、外資系企業の内定を日系企業を受ける肥やしにできる優秀層です。実際、本命は日系企業という学生も多いでしょう。ところが内定を1度手に入れてしまうと、本命企業へたどり着く前に燃え尽きる方も後を絶ちません。
言い訳できません。これは数年前の私です。
日系メーカーを当初志望していた私は3年生の夏インターンで全敗。焦って就活に本腰を入れたおかげで、外資系企業の内定を手に入れました。本来ならそこで再度本命企業に挑戦してもいいはずが、中だるみモードへ突入。
「すでに内定を出してくれた会社へ申し訳ない」
「本命企業が高待遇かは分からないし」
「眠い」
などありとあらゆる言い訳を駆使し、日系企業の面接はわずか10社程度しか行きませんでした。70社エントリーしていたので、通過した選考もかなりの確率でキャンセル。ここにタイムマシンがあるなら、当時の自分を殴りたい。なにしろ、受けて落ちた選考は諦めがつきますが、受けずに終えた企業を後々何年も「あの時受けておけば人生変わったかもな」と葛藤してしまったからです。
「最初に行きたかったのどこだっけ?」と3回問い直せ
誰だって内定後、ハイになるのは当たり前です。ましてや早期選考に多い外資へ内定していたら、それだけで学生時代は楽しいもの。「もう内定がある、しかもそれなりに知名度もある場所に」という快楽から逃れようとしてもムダです。
さらに早期内定を出す企業も、他社へ流出する人材を、ただ静観しているわけではありません。内定者向け研修をスタートさせてやりがいを与えたり、ラグジュアリーなレストランでご飯をおごったりと、あの手この手で内定蹴りを防ぎます。
だからこそ、です。「俺/私、◯◯へ行こうと思うんだよね」と結論付ける前に3度問い直してください。
「最初に行きたかった会社、どこだっけ?」と。
父の背中に憧れた商社。尊敬するOBと出会えた投資銀行。最初の説明会でほれ込んだ代理店。そういった憧れの気持ちを捨てて、本当に外資へ行くのかと。最終的に外資へ行くことは何の問題もありません。ただ、挑戦もせず「その会社にしか内定できなかった人間」で終わって満足なのかと、自分を奮い立たせてほしいのです。
早期内定を出した企業もまた、当初第一志望だった他業界を受けてもなお入社したい、そう言ってくれる人材の方が信頼できるでしょう。数年後の自分に納得するためにも、「内定ハイ」を存分に味わったら次のステップを考えてください。
企業へ内定している事実を伝えてもよい
さて、ここからは実際に本命企業を受ける就活生へのアドバイスです。商社や広告代理店などの名だたる企業は、志望度の高さを重視します。その一環としてよく「他社の選考状況はどうですか」と質問されます。
その際、他社へ内定している事実は正直に伝えましょう。「◯◯社に内定はいただいておりますが、その上で御社を第一志望としています」と付け加えれば問題ありません。むしろ他社の内定はきちんとした企業から内定をもらえる優秀さと、それでも就活を止めないほど志望度が高いことをアピールできる好材料です。
ただし、あからさまに別業界の場合は「どういう軸で就活してるんだ?」と疑われる恐れがあります。たとえば「サントリーの研究職から内定をいただいておりますが、電通の営業が第一志望です」と言われれば、誰でも「この学生は何がしたいんだろう?」と疑問を抱くはず。もしこれまでに内定を得た業界と志望業界に一貫性がなさそうであれば、「なぜ全くテイストの異なる2社を受けたのか」説明できるロジックを用意しておきましょう。
「内定ホルダー」期間は最短に抑える
最後に、「内定ホルダー」期間は最短に抑えましょう。学生一人の採用には、説明会からWebテストの設置・面接人員の準備など大量の資金や労力が投入されています。あなたが早期に内定辞退をすれば「夏選考」「秋選考」と学部4年生・院2年生後期の選考で枠を埋めるスケジュールの余裕もありますが、あまりにギリギリの辞退ではあなたの採用枠がムダになってしまうためです。
内定辞退は企業もある程度織り込んでいますし、あなたが空けた「枠」は、最終的に他の誰かで埋めて通年の採用計画を達成しようとします。そのためにも「本命企業から内定が出たらまずはサブ企業に辞退の連絡をしよう」と配慮できると、立つ鳥跡を濁さず、先方も手放してくれるはずです。
内定辞退は法的な責任こそないものの、あまりに信義に反する手段を取った場合は損害賠償請求をされる可能性もあります。特にSNSで「◯◯の内定蹴ったったww」などと無礼な拡散はしないよう、くれぐれもご注意ください。
※こちらは2018年3月に公開された記事の再掲です。