本記事は「ABEMA TIMES」の記事を転載、一部編集したものです。2021年3月1日に「ABEMA」で放送された『どうする?withコロナの就活&働き方【12時間特番】』の模様をお届けします。放送を見た方も見逃してしまった方も、ぜひご覧ください。
就職活動が本格スタートする中、女子学生にとって気がかりなのは、志望した企業が本当の意味で働きやすい環境であるのかどうか、ということではないだろうか。1日の「ABEMA Prime」では、仕事と家庭の両立、そして産休・育休と、これに伴う昇進についてのことなど、面接ではなかなか聞きづらい問題について考えた。
「1発目に聞かれるとネガティブに映る可能性も」
番組では、まず現役の就活生を招き、企業の人事担当者に率直な疑問をぶつけてもらった。
服部冴映さん(早大2年)の「75点の男性と80点の女性だったら、男性を採用するか? 女性は管理職に就きにくいか?」との問いに池田さん(仮名、IT人事)は「(男性を優先することは)ない。一方、管理職になりたいという意志を持っている女性が少ないということはある」、佐藤さん(仮名、メーカー人事)も「男女関係なく80点の人を採りに行った方がいいし、同じ点数だったら両方を採用したい。ただ『この人ってまた産休育休に入るんじゃない?』みたいな話ってやっぱりゼロではない。昔ながらの企業だとその辺りは気にしちゃう分、管理職に上がりづらいみたいなところは少なからずある」。
また、石井詩緒理さん(法大3年)が「面接で育休・産休について聞くのはマイナスになるのだろうか?」との疑問には、「基本的には聞いてもらって構わないが、産休・育休や福利厚生はちゃんと働いている方の権利だ。1発目に聞かれるとネガティブに映る可能性は間違いなくあるのではないか」と回答。
入社後の男女格差もゼロではないようで、横山キラさん(慶大3年)の「産休や育休を取得した女性と、そうでない女性では出世スピードに差はあるのだろうか?」という質問には、池田さんが「子育てと仕事を両立できるためにはどのような役職にしたら働きやすいかを考えてくれるケースもある」とした一方、佐藤さんは「元通り、というのもなかなか難しいところがあると思う。他の社員にとっては働いている期間にもなるので、抜けた分だけ出世が遅れるということは間違いなく起きてしまう。ただ、その間に自分で勉強し、パワーアップして戻ってくるという方もいる。そのようにして、自分の場所を確保しておこうとすることも大事ではないか」と答えた。
「聞き方や調べ方をベストな方法にするしかない」「『女性活躍推進データベース』でチェックを」
ワンキャリア取締役の北野唯我氏は「そもそも面接というのは、パワーバランス、情報格差が圧倒的なゲームになっている。つまり企業側は学生側の出身や大学、ゼミのことなどがわかっているが、学生側は『すみません、あなたはどこの部署の方ですか』というところから始まる。その中で何とか適応していくしかない。とはいえ、入った後にどれだけ活躍できるかどうかというのは女子学生にとってはリアルな問題だし、産休・育休についても絶対に知っておく必要がある。そこで、例えば面接の最後に『できるだけ長く働きたいと思っているので、子育てをしながら働いている方と1対1でお話させていただく時間をもらえませんか』と聞いてみる。そうすると、企業の側も『それはもちろんいいよ』と言ってくれると思う。つまり、聞き方や調べ方をベストな方法にするしかないと思う」と指摘。
また、「子どもが産まれると価値観が変わる、という考え方もあるが、どちらかと言えば『働きたいとは思っているが無理だからそう考えている』という人も多いのではないかと思うし、企業側の言い訳に使われているような気もする。国も企業も女性の管理職比率について言っているが、実際には割合はまだまだ低い。それでも専門性を持って活躍されている女性はたくさんいる。そういう方々は20代、30代のうちに何らかの専門性を身につけた、という共通点があると思うので、女子学生の皆さんも、そこにいかに適応していくか、を考えてもいいと思う」と話した。
全国紙の記者を経て『Business Insider Japan』の副編集長に転じた滝川麻衣子氏は「先日の『森発言』の時には、トヨタなどのスポンサー企業が抗議した。私たちがアンケートを実施したところ、他にも抗議した企業や、『遺憾だ』『こうした発言は認められない』とはっきりと言った企業が出始めている。これまでは『こうした問題についてはお答えできません』というのがフォーマットだったが、やはり大企業、グローバル企業を中心に、『いつまでも男性中心ではやっていけない』と認識し始めているということだと思う。これは一つの希望だ。また、2016年にできた女性活躍推進法によって、従業員100人以上の企業は女性に関するデータや行動計画を公開しなければならなくなった。面接に関しては、もっと本質に迫る『対話の場』にならないと時間の無駄になってしまうが、『女性活躍推進データベース』というサイトに行けば女性の採用比率、管理職比率、役員がどれだけいるかということが検索できるので、就活生の皆さんはぜひチェックしてほしい」と話す。
「家庭内の家事・育児の分担の問題もセットだ」
一方、自身もワーク・ライフ・バランスの問題には「男女の別なく働いていたが、出産を考え始めるときに初めて直面した」と振り返る滝川氏。小学3年生と保育園児の2人の子どもを育てる現在は午前4時に起床、朝食を取る7時30分までを読書・勉強など、自分のことに集中できる時間に充てている。
自身の勤務先が新興メディアであること、また、夫が土日に仕事がある代わりに平日に2日の休みがあることからできていることでもある、とした上で、「企業の復帰後の支援制度も充実してきてはいるが、期待をかけてくれたり、管理職になるため研修を用意してくれたりしたとしても、やはり家庭内での家事・育児の負担が圧倒的に大きいとパンクしてしまう。そこもセットで考える必要がある。私の場合、仕事柄、日中は人と会ったり取材をしていたりするので、インプットのための時間がなかなか取れない。帰宅してからも、寝かしつけまでは『怒涛(どとう)』のスケジュールなので、自分の時間を確保するのは早朝が一番良い。これだけを見てしまうとネガティブな印象を与えてしまうかもしれないし、『無理だ』と感じる学生さんもいらっしゃるだろうが、お子さんがいる方々はやはりさまざまな工夫をされていると思う」と指摘。
さらに「在宅勤務が認められていて、上司に子育ての経験があり、なおかつ理解あるパートナーがいて、という環境にいる方の発言と、深夜に及ぶ接待があったり、復帰するための高いハードルがあったりするような環境にいる方の発言、さらに個人の資質、性格によっても異なってくるので、なかなか一般化しづらい問題ではある。ただ、家庭内も含め、男女の役割を固定化しないことが大切だと思う。子どもが産まれたことで家庭的になり、これからは緩く働きたいと考える男性もいると思うし、逆に子どもを産んだ後も負荷がなければバリバリ働きたいという女性もいる。それでも日本の共働き家庭では女性が男性の3倍近くの家事・育児をしているというのがデータからも明らかだ。これを1対1に近づけていくだけでも、出産後は女性の働く意欲が下がる、というような主張は少なくなるのではないか」と話していた。
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