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「出る杭が打たれない」会社。電通×GEが生んだイノベーションのDNA【特集:ISID】

インタビュー 企業インタビュー
2019年12月3日(火) | 18,052 views
sponsored by 電通国際情報サービス

※こちらは2018年12月に公開された記事の再掲です。


こんにちは、ワンキャリ編集部です。

世界屈指の広告企業である電通と、米国発のイノベーションをリードするGeneral Electric Company.(GE)のDNAをあわせ持つIT専門家集団を知っていますか?

ワンキャリアは電通国際情報サービス(Information Services International-Dentsu, Ltd.以下、ISID)を総力特集。全3回にわたり、同社の魅力に迫ります。

初回の今日は、同社金融ソリューション事業部において新規事業開発に取り組む山下雄己さんにお話を伺いました。山下さんは、入社6年目にして新規サービスの構想からリリースまでを一貫して手がけ、同社で初めての新規事業担当としてチームの立ち上げに取り組む、若きエース社員です。漠然とした憧れだけで語られがちな「新規事業開発」の全容から、一般的なSIer(システムインテグレーター)のイメージを覆すユニークな組織風土まで、就活生が知りたい情報を包み隠さずお答えいただきました。

新規事業は、「企画立案」と「仮説検証」の繰り返し

──本日はよろしくお願いします。「新規事業開発」という役割やこれに携わることに憧れを抱きつつも、具体的にどういった仕事をしているのか、実態をつかめていない学生も多いです。まずは、山下さんが現在どういった取り組みをしているのか教えていただけますか?


山下:金融における新規事業創出とビジネス化のために、企画立案と仮説検証を日々繰り返しています。「こんなプロダクトやサービスがあればユーザーに喜ばれるだろう」といった仮説をもとに企画を立て、ユーザーへのヒアリングや試作品づくりを行うことで、事業化に向けて試行錯誤を重ねています。これらの取り組みでは、企画を立ててステークホルダーを巻き込んでいく「ビジネス」、アイデアをプロダクト化する「テクノロジー」、プロダクトをユーザーにどう伝えていくか考える「クリエイティブ」の3種類のスキルが求められます。

山下雄己(やました ゆうき):2013年入社。半年間の研修後、約2年半、メガバンク向けのシステム開発、構築プロジェクトに従事。2016年からブロックチェーン関連の実証実験に携わり技術担当を務めた後、2018年7月に自ら企画、開発した仮想通貨のトレンド情報配信サービス「CRYPTALS」をリリース。同時期に、新規事業創出をミッションとする部署「Startup Factoryグループ」の立ち上げにも参画。新規事業・サービス開発の第一線で活躍している。(所属部署はインタビュー当時のものです)


──そうした試行錯誤の末に完成したサービスが、2018年7月にリリースされた仮想通貨のトレンド情報配信サービス「CRYPTALS(クリプタルズ)」(※)なのですね。開発の背景を教えていただけますか?

(※)…… 「CRYPTALS(クリプタルズ)」の名称は、現在「DECRYPTALS(デクリプタルズ)」に変更しています。


山下:2018年1月にコインチェック社の仮想通貨流出事件があったとき、正式な発表の前に、既にTwitter上の一部コミュニティでは「なにか不穏な動きがあるぞ」と話題になっていました。実はそこに着目したことがきっかけで生まれたサービスが、この「CRYPTALS」です。世の中で1番熱心にトレンドを追っている層の動きを逐一ウォッチし、集約することで、ユーザーに信頼性の高い情報を最速で届けられるのではないかと考えたわけです。


──開発にあたっては、さまざまな苦労があったのではないでしょうか。「辞めたい」と思ったことはありませんでしたか?


山下:実際に開発を始めると、サービスを世の中に送り出すために必要な規約などの法務関連の整備や手続きが思った以上に煩雑だったり、時には一緒に開発を進めていたパートナーさんが辞めてしまったりと、何度も壁にぶつかりました。途方に暮れて涙が出てしまいそうな時もありましたが、プロジェクトを畳もうとは思いませんでしたね。自分の熱量をもとに自発的に立ち上げた企画だったので、とにかく楽しかった。

リリース後は、ユーザーを増やすためのマーケティングに苦心しつつも、アルゴリズムの改良やユーザーインタビュー、業務提携に向けたリレーション構築に奔走しています。

SIerは「守破離の守」スタートアップでは身につかない事業の勘所

──スタートアップ経営者のような毎日を送られているのですね。山下さんは、入社当初から新規事業開発に従事していたのですか?


山下:いいえ。最初の3年間は、メガバンク向けの金融システムの開発や導入など、一般的にイメージされるような比較的大規模なSIプロジェクトに従事していました。その後に、新規事業プロジェクトに技術担当としてアサインされました。メガバンクやスタートアップと一緒に、ブロックチェーン関連の実証実験を行っていましたね。


──最初の3年は、いわゆるSI業務が中心だったのですね。どのような経緯で新規事業を担当することになったのでしょうか。

山下:「新規事業がやりたい」と、とにかく周囲に発信し続けていたんです。SIプロジェクトに従事していた際も、社外の勉強会やイベントに積極的に参加したり、知人と実際にアプリを作ったり。SI業務の傍ら、新規事業のアイデアをいくつも提案していました。そんな経緯を経て、ようやく自らサービス化までこぎつけたのがCRYPTALSです。


──なるほど。お話をお聞きしていると、「新規事業に携わりたいのに、最初の3年間を所謂SI業務に費やすのは遠回りなのではないか」と感じてしまう学生さんもいると感じます。当時の経験は、山下さんのキャリア形成やその後の新規事業開発にどんな影響を与えましたか?


山下:SIプロジェクトの経験は、実はものすごく生きています。私がアサインされたSIプロジェクトは社内でもかなり厳しいところで、クライアントに提出するアウトプットの品質は100%の精度になるように、例えばパワーポイントのレイアウトひとつをとっても、細部に至るまで徹底的なレビューを受けました。

Webサービスを開発するスタートアップだと、「とりあえずプロダクトをリリースして、ユーザーの反応を見ながら改善していく」というリーンスタートアップ思考が支配的です。一方、請負型ビジネスが主流である大規模SIは、完成度の高さは当然クリアした上で、成果物に対してクライアントの期待を超えるクオリティが求められます。これが今の仕事でも、一つの型になっていますね。プロダクトのデザインひとつとっても、「ユーザーにどう届くか?」を考え抜けるようになりました。SIにおける「守破離」の「守」を徹底的に身につけることで、今の仕事の土台を築き上げられたと思います。

給料ゼロでも、ISIDにいたい。「あえて起業しない」選択

──山下さんに思い切ってお聞きします。そもそも、そこまで新規事業に意欲的であれば、ご自身で起業しようとは思わないのでしょうか?


山下:うーん、思わないですね。企業で新規事業に取り組むメリットは、ノーリスク(もしくは限りなくローリスク)でフルスイングできることだと思います。万が一失敗しても生活が立ち行かなくなるわけではないし、ISIDが持っている資金やコネクションをフル活用して、自分のやりたい事業を最大限に追究できます。例えば、現在実施している東京大学との共同研究などは、自分で起業していたら実現が難しかったでしょう。

ですから、もし副業だけで十分な収入を得られるようになったとしても、給料ゼロでもいいからISIDにいさせてほしいと思っています(笑)。今は仕事が楽しすぎて、プライベートとの境目がほとんどなくなってしまっているくらいです。

出る杭(くい)が打たれない。「社員旅行、やめませんか?」がすんなり通る

──企業内で新規事業開発を進める際にぶつかる壁の一つとして、「社内の理解が得られず苦労する」点がよく挙げられます。山下さんは、そういった経験はありませんでしたか?

例えばSI業務に従事していた頃はいかがでしたか。若手社員が業務の傍ら新規事業の考案に精を出すことを、快く思わない先輩や上司もいるのではないでしょうか。


山下:それが全くないんですよ。とにかく好きなことを何でもやらせてくれるカルチャーで、「出る杭(くい)を打つ」発想がないんじゃないかと思います。仕事ではないですが極端な例を出すと、「毎年恒例の事業部旅行が形骸化しているから、なくして他のイベントを企画しよう」というプロジェクトを提案したら、上司も「いいんじゃないか」とすんなりOKしてくれたこともありました(笑)。


──企業によっては「会社の飲み会を断ったら怒られた」という話もある中、衝撃的なエピソードです。新規事業が生まれる土壌という点では、組織風土の自由さは、ベンチャーや外資系企業も掲げているポイントです。そういった企業との違いについても教えてください。

山下:ISIDは東証一部上場企業との太いコネクションを持っているので、日系大企業に実際に提案できる機会が多い点は、メガベンチャーにはない強みだと思います。

その一方、ISIDは三菱地所、電通との3社共同のプロジェクトで、FinTech産業の拠点として大きな注目を集めている「FINOLAB」の運営も行っているので、スタートアップとのコネクションもあります。大企業とスタートアップ両方を巻き込んでオープンイノベーションを起こしやすい点も、ISIDにしかない強みでしょう。


──少し突っ込んだ質問もさせてください。トップ就活生へのヒアリングによると、IT技術職(SE、ITコンサルタント)はひとくくりに「下請けゆえに、裁量や独自性を発揮する場がない」「低い生産性で、精神的プレッシャーも大きいブラックな職場」という先入観を持たれています。その点についてはどうお考えですか?


山下:ISIDに関しては、実感として全くそんなことはないと思います。労働時間は年々短くなっていますし、最近は定時退社が当たり前の風潮になっていて、むしろ私のような暑苦しいタイプの人間は少数派かもしれません(笑)。

とにかく社員の自主性が重んじられていて、プライベートを重視したい人も、私のように仕事に自分の全リソースを割きたい人も、平等に評価され、居心地よく働けているんじゃないでしょうか。一般的なSIerだと、大型案件を受注すると問答無用でそのプロジェクトに人がアサインされていくものですが、ISIDでは、そういった状況であっても個々人にある程度選択権が与えられています。

待ちの姿勢では、機会は巡ってこない

──ここまでお話を伺ってきて、ISIDは、やりたいことが何でもできる、その可能性の高い環境という印象を受けました。だからこそ、逆に「こんな人はISIDに向いてない」という人物像を教えてください。


山下:何でもできるがゆえに、「自分が何をしたいのか」が分からないと、ミスマッチが起きてしまうかもしれません。自分のやりたいことをしっかりと把握し、周囲に積極的に発信し続ける姿勢が必要だと思います。「何かやりたいけど、何をやればいいか分からない」という待ちの姿勢では、いい機会は巡ってきません。

キャリア選択にも通じる点ですが、漠然と「新規事業をやりたい」ではなく、「何がやりたいのか」「何ができるのか」「何が社会に求められているのか」の3つの軸を考慮し、自分の進むべき方向を明確にする努力をし続けるといいと思います。向き不向きというよりは、そういった思考や努力する姿勢をもてるかどうかではないかと。


──山下さん自身のキャリア選択についても聞かせてください。


山下:就活は、修士1年の冬に始めました。情報系の大学院に通っていたので、SIerからスタートアップ、ITコンサルまで50社ほど、IT業界の企業をひととおり見ていましたね。ベンチャー企業や総合系コンサルティングファームにも内定をいただきました。その中でISIDは、大企業の持つ社会的インパクトの大きさと、スタートアップの持つ成長環境を持ち合わせている点が魅力でした。「グローバルで通用する新規ビジネスを創出できるようになりたい」という自分の軸に、まさに合致していましたね。

ただ、1番の決め手は「人」でしたね。ISIDには「この人と友達になりたい」「なんなら朝まででも飲みに行きたい」と思える社員しかいなくて、最後はそんな直感を頼りに入社を決めました。

直感も大切に。友達を選ぶように、企業を選ぼう

──山下さんの今後の目標を教えていただけますか?


山下:短期的には、新規事業で3年以内に億単位の売上を達成したいです。普通のスタートアップから見たらなんてことのない数字だと思うのですが、まずは着実にそうした実績を積み重ねていきたいと思っています。

長期的には、グローバルにスケールする新規事業を恒常的に生み出せる、再現性の高い組織を創り上げていきたいと思っています。私はISIDが好きなので、事業創出プロセス、必要なスキルの定義から育成方法、制度まで視野に入れて、ISIDの中に新規事業を生み出すエコシステムを整備したいです。ある企業の出身者が続々と有名企業を立ち上げることを、「○○(会社名)マフィア」と呼ぶことがあります。いつか「ISIDマフィア」と呼ばれるような起業家集団を輩出していける組織にしていきたいですね。


──最後に、この記事を読んだ就活生に一言メッセージをいただけますか?


山下:企業を選ぶときは、ロジックだけではなく直感も大切にしてほしいです。ビジネスの世界になじみが薄いがゆえに、企業との間に無意識に壁を作ってしまう学生さんが多いように感じます。私は、人をベースに、友達を選ぶように企業を選ぶ方が、ミスマッチが少ないと思います。興味がある企業にコンタクトを取り、働いている人に多く触れて、「なんか、この会社いいな」という感覚が得られるかどうかを重視してみることをおすすめします。


──山下さん、ありがとうございました。


【ISID:特集】
第1回:「出る杭が打たれない」会社。電通×GEが生んだイノベーションのDNA
第2回:SIerってブラックなんですか?キャリアと働き方のリアルに迫る
第3回:「最新Tech」×「UXデザイン」対談。IT専門家集団の真価がここにある

【インタビューアー:めいこ/ライター:小池真幸/カメラマン:友寄英樹】

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