会計事務所・経理代行・採用支援・飲食・ウェルネス・SaaS系事業など、多様な事業を展開しているSEVENRICH GROUP(以下、セブンリッチ)。「何の会社かよくわからない」そんな印象を抱く学生も多いだろう。
実は会計事務所としてスタートした同社。共通点が見えにくいようにも思えるが、その根底には「しあわせの総量を増やす」という明確なビジョンと、独自のカルチャーが息づいている。
「いいと思うことは全部やる」。そんな言葉を掲げ、自由と挑戦を大切にする組織のあり方とは──。
今回は、セブンリッチ 経営企画室室長の吉川悠真氏、BOX(同グループで採用支援事業を展開する会社)代表取締役の長山広大氏に、組織の成り立ちから人材観、そしてこれからの展望まで伺った。
<目次>
●会計事務所から始まったセブンリッチの多角化
●共通の旗印は「しあわせの総量を増やす」
●「いいと思うことは全部やる」セブンリッチのカルチャー
●「抜てきと成長」が組織を強くする、新卒採用の本質的な価値とは
●「貪欲さ」と「利他性」を両立させられる人が、組織を強くする
●誰と、何を、どうつくるか──ビジョンとつながる事業づくりのこれから
会計事務所から始まったセブンリッチの多角化
──もともとは会計事務所からスタートしたセブンリッチが、多角化経営に至った経緯を聞かせてください。
吉川:2011年に会計事務所として創業してから14年。新規事業に本格的に取り組み始めてからはおよそ8年になります。そのきっかけとなったのは、現副代表の福島が、独立しようとセブンリッチに会計の相談に訪れたこと。
創業者の服部が「うちでやらないか」と声をかけたことで、セブンリッチの新規事業として始めることにしたのです。もともと服部も新規事業の必要性を感じていたので、福島にとっても会社にとってもいいきっかけになりました。
──なぜ、会計業務だけでなく、新規事業を考えていたのでしょうか?
吉川:会計事務所の仕事は、企業の経営者と長く、密接に関わり続けることのできる仕事です。経営におけるバックオフィスの課題だけでなく、採用や開発、時には経営者の健康やプライベートな悩みにまで寄り添う機会があります。
その中で、「こういうサービスがあったら経営者の悩みをもっと解決できるのに」と思うことがたくさんありました。それならば、われわれ自身がそのソリューションを提供する側に回ることで、より大きな価値を届けられるのではないかと考えるようになったのです。
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吉川 悠真(よしかわ ゆうま):SEVENRICH GROUP経営企画室室長
学生起業後、新卒でITベンダーに入社後、2018年にセブンリッチ会計事務所に入社。当時会計事務所以外の事業はなかったところから、主に新規事業の開発に従事。人材紹介、開発支援、コーチングスクールなど数多くの事業立ち上げを担当。現在は社内の全事業管理に責任をもち、中期計画達成にコミットする
──確かに、経営の現場に寄り添っているからこそ見えるニーズも多そうですね。
吉川:加えて、会計事務所としての強みである「守り」がしっかりしていることも、多角化の追い風になりました。自社で新規事業をつくるときに必要な守りの機能が内製化されているため、事業部長が事業推進に集中することができます。
そのため、リスクを取って「攻め」の事業にチャレンジできる土壌が整っていたのです。また、新しい事業に踏み出すとき、計画策定やファイナンスの面で会計事務所としてのノウハウが有利に働きました。
──ただ、組織としてリスクを取るには、慎重になる部分もあったのではないでしょうか?
吉川:たしかに、最初は社内でも、「それって本当にやるべきことなの?」と疑問の声が挙がることもありました。特に、既存の会計メンバーから見ると、新規事業は未知の領域ですし、不安もあったと思います。
だからこそ、「とにかく結果を出すしかない」と泥臭く取り組んできました。事業部長やマネージャー陣と対話を重ねて信頼を築きながら、結果で証明しようというスタンスで事業を展開してきました。
共通の北極星は「しあわせの総量を増やす」
──多角化が進むと、組織としての一体感や方向性の共有が難しくなるようにも感じます。セブンリッチでは、事業の多様性をどう束ねているのでしょうか?
吉川:それを束ねる役割を担っているのが、「しあわせの総量を増やす」というビジョンです。これは社員一人一人のしあわせも、企業やパートナーとしてのしあわせも含めた、全体としての「豊かさ」を広げていこうという考え方です。
事業ごとに独自のミッションやビジョンを掲げているものの、そのすべてがこのビジョンにつながっています。例えば、ある会社の開発支援をすることになったとします。対面する方が話す「会社としてやりたいこと」をヒアリングするのは当然ですが、それに加えて、「その方のKPIはなんだろう」「どうしたら年収が上がるのだろう」「案件終了後はどういう関係が理想だろう」まで考えます。
クライアントの会社のしあわせだけでなく、目の前にいる個人のしあわせや、その方の周りに散らばるしあわせの可能性にまで思いを巡らせていきます。そうなると、自然と多様な課題を総力戦で解決していく必要がでてきます。それが周りの事業をリスペクトし、共存する理由に繋がっていると思います。
──バリューアップ事業の幅を広げるだけでなく、飲食や個人の健康に向き合う事業も展開していますよね。
吉川:はい。セブンリッチグループは、「事業を伸ばすための事業」であるバリューアップ事業を育ててきました。そして今では、バリューアップ事業を活用して、「事業を伸ばすための事業」に限らず、自分たちが挑戦したい新規事業により幅広く挑戦できるようになりました。このような拡大方針についても、よく挑戦する理由を聞かれます。たとえば、各地域に点在する「町」をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。町にはパン屋さんもあれば、自転車屋さんもあるし、役所もある。そこに暮らす人々が、それぞれの役割を果たしながら、経済圏をつくっている。
セブンリッチもそんな「小さな経済圏」を意識していて、会計からスタートした企業が、飲食や人材、テクノロジー領域に広がるのは、決してブレた選択ではなく、経済圏としての自然な広がりだと考えています。

──ただ、そうなると「どこに向かって進んでいるのか」が見えにくくなるリスクはないのでしょうか?
吉川:だからこそ「しあわせの総量を増やす」という北極星をしっかり言語化し、全体の指針として機能させています。その上で、各事業に携わるメンバーには「自分はこの領域に軸足を置きながらも、どうやってしあわせを最大化できるか?」を主体的に考えてもらうようにしています。
最終的には「自分のしあわせと周りのしあわせを、どう両立できるか」という問いに尽きると思っています。自分にとって意味があり、周囲にも価値をもたらす仕事。そんな視点を持つメンバーが増えれば、自然と経済圏も広がっていくはずです。
「いいと思うことは全部やる」セブンリッチのカルチャー
──ビジョンを達成するために、セブンリッチが大事にしている価値観について教えてください。
長山:価値観を表す言葉はグループ内にいくつかありまして、代表的なものは「全体最適」かと思います。これは自分の役割や責任は関係なく、全体を考えてそれぞれが動いていこうというメッセージで、私たちが毎日を生きる上でのセンターピンになっている考え方だと理解しています。
この言葉には、「やりたいことができる自由」と「自ら責任を引き受ける姿勢」の両方が込められています。僕たちの組織は、オーナー企業で自己資本経営だからこそ、自由な意思決定ができます。顔の見えないステークホルダーに過剰に忖度(そんたく)する必要もない分、「これをやった方がいい」と思ったら本当に実行できる。その代わり、すべての結果には自分たちで責任を持たなければなりません。
──「自由であること」と「責任を持つこと」がセットになっているのですね。
長山:私たちは各領域のプロである以前に、大人として立派であるべきだと考えています。それは誰かに指示されたから動くという世界ではなくて、自分の意志で行動を決める自由を持ちながら、その行動から来る結果とその先の未来に責任を持つということを意味しています。

長山 広大(ながやま こうだい):BOX 代表取締役
大学卒業後教員として勤務、その後リクルートでビジネスキャリアをスタートし、2021年にセブンリッチへジョイン。2024年に執行役員COO、2025年より現職。
吉川:僕たちのベースには、「青春し続けたい」「ずっと自由でいたい」という青い思いもあるのだと思います。だから、自由を勝ち取るには力が必要です。そして、力を得るには苦労が必要です。であるならば、誰かに管理される苦労よりも、自分で考えて、自分で選んだ道を苦労して歩む方がしあわせだと信じています。もちろん、自由というのは「何でも勝手にやっていい」ということではありません。全体最適や仲間への配慮も含めて、自律した選択が求められます。
──「いいと思うことは全部やる」という言葉は、どこか利己的にも見える一方で、実は利他的でもあるのですね。
長山:その通りです。たとえば、私は花粉症なんですが、セブンリッチがプロデュースしているクリニックで治療を受けて完治したことで、本当に人生が変わったと思っています。だからこそ、それを人に勧めたくなったんです。実際に、私はHR事業を行う会社の代表でありながら、春にはクライアントに花粉症治療を全力で提案していました。絶対治療した方が生産性が上がると思うので。
吉川:自分のしあわせな体験や成功体験が、人にも波及していく──それが「しあわせの総量を増やす」という考え方にもつながっています。誰かが無理をして成り立つような組織ではなく、個々の納得や挑戦が、自然と周囲に良い影響を与えるような状態を目指しています。
「抜てきと成長」が組織を強くする、新卒採用の本質的な価値とは
──事業の多角化を狙うなら、経験豊富な人材の方がマッチすると思います。新卒採用に注力する理由を聞かせてください。
長山:そんなこともない気がしていますね。毎年新しい事業が創出されたりM&Aでグループインする企業があったりなど、私たちは常に進化をしています。そのスピード感を考えたときに、どこか積み重ねてきた領域を持つ中途採用の方と白地の多い新卒採用の方を比較すると、後者の方が上手に波を乗りこなすのではないかと期待を持っています。
吉川:我々が挑むような不確実性の高い市場に対してでも、優秀な学生の皆さんであれば、ファイティングポーズを取り続けることができる可能性が高いと考えています。 過去の成功に縛られてしまう中途やプロフェッショナルに比べて、何事も糧にする覚悟を決めた新卒の皆さんのほうが、自分の中で意義を作って問題解決に挑戦できるのではないでしょうか。 創業当初から、会計事務所では新卒採用を続けてきました。その背景には、「新卒の成長は組織全体の成長に直結する」という考えもあります。新卒社員が成長する過程で、それを迎え入れる経営陣も、教育を担当する既存社員もまた成長します。これは売り手市場で会社が何10年もグロースし続けていくには必要なプロセスだと考えています。ビジネスモデルやオペレーション、組織などあらゆる側面で、新卒の皆さんが挑戦し成長することの価値を最大化できれば、事業も拡大します。
──具体的に、どのように組織の成長につながるのでしょうか?
長山:新卒入社の方を迎える私たちは、どうやったら入社後に活躍をしてくれるのだろうかということを必死に考えています。たとえば中途採用メインだったから成り立っていた仕組みを見直したり、属人的な部分を整理したりする機会になっています。それは組織をアップデートするということだと捉えていて、成長につながると考えています。また、どんな打席を用意することが、新卒入社の方の成長につながるのだろうか、という視点でも日々議論をしています。
吉川:結果的には、大学1年生の頃からインターン生として関わり、新卒で入社した後に事業責任者になり、最終的には子会社の代表を務めるようになったメンバーもいます。しかも、その会社はすでに50人規模の組織に成長しました。そういったキャリアが実現可能なのは、新卒から自分たちのカルチャーの中で育ててきたからだと思います。
──まさに「抜てきの文化」が根付いているのですね。
長山:広い事業展開を行っているがゆえに、数多くのチャレンジする打席がある環境だと思っています。この打席は中途採用の方だけではなく、できるかどうかわからないけどチャレンジしてみるという勇気を持った新卒入社の方にも同様に訪れます。

──では、新卒社員はどのように配属され、キャリアを歩んでいくのでしょうか?
長山:選考の段階で、「事業部配属」と「本部配属」のいずれかを提案するようにしています。たとえば、採用支援に興味を持っている方には、その領域でのキャリア可能性を提示した上で入社していただいています。その上で、本人の希望やポテンシャルに応じて事業部間の異動も柔軟に行っています。
吉川:ある程度は組織に流動性があったほうがいいと考えており、今年4月だけでも複数名の異動がありました。グループとして「やった方がいいこと」があり、それに適した人がいてお互い納得の上異動したり、能力などを鑑みもっと花開いてもらうと抜擢したケースなど様々あります。ただ大事にしているのは、それぞれの事業部のリーダーがビジョンを語り、異動するメンバーもそれに納得していることです。もちろん、そのリーダーたちに経営陣がビジョンを見せるのは大前提です。
「貪欲さ」と「利他性」を両立させられる人が、組織を強くする
──「一緒に働きたい」と思う人物像についても聞かせてください。
長山:一言でいうなら、「自分の人生をもっと良くしたいと思っている人」です。自分の人生に対して希望を持ち、諦めていない人。そういう人は、失敗しても前向きにチャレンジを続けることができますし、その過程で周囲にも良い影響を与える存在になれると思っています。
加えて、全体最適で物事を考えられるかどうかも重要です。自分の得になるからやる、という個別最適な判断ではなく、チームや会社、クライアントを含めた「集合体」全体にとって何がいいのかを考えられる人。そうした視点を持つことで、結果的に自分の人生も豊かになっていくのではないでしょうか。
吉川:僕自身は、よく「欲張りな人がいい」と話しています。いろいろなことを手に入れたい、経験したい、成し遂げたいという気持ちを持っている人は、自然と行動量も思考量も多くなりますね。その「貪欲さ」がある人は、きっとどんな環境でも成長できると思っています。
──「貪欲さ」と「利他性」、一見相反するようでいて、実は両立するのですね。
吉川:その通りです。僕らが掲げている「しあわせの総量を増やす」というビジョンも、自分のしあわせだけでは完結しないし、他人のしあわせだけでも成立しません。だからこそ、自分自身の人生に責任を持ちながら、同時に周囲のしあわせにも向き合える人が理想です。
長山:そういった人は、目の前の仕事に対しても「自分ごと」として取り組めますよね。「これは自分の仕事じゃないのでやりません」という姿勢ではなく、「誰かのためになるならやってみよう」という柔軟さと責任感がある人。そういう人が増えれば、組織全体もどんどん良くなっていくはずです。
──自分と周囲のしあわせを両立するために、どのような考えが求められるのでしょうか。
長山:日常の違和感や気づきを、見逃さずに言語化し、行動に移せる人。それが、私たちが一緒に働きたい人のイメージです。普段目にする広告についても「もっと効果的なデザインにできるんじゃないか」と考えたり、自分が使っているベッドに「本当に人生の1/3を預けるのに適しているだろうか?」と疑問を持ったり。そういう、感覚を持ちながら、実際にもっと良くするために行動できる。そんな方にはぜひ仲間になってほしいと思います。

誰と、何を、どうつくるか──ビジョンとつながる事業づくりのこれから
──最後に、これからのセブンリッチが目指す方向性について教えてください。
吉川:やりたいことを全部やるには、まだまだ力(ヒト・モノ・カネ)が足りません。それぞれのサービスが各業界で(時にはニッチ)トップを目指す必要がありますし、まだまだ実現できていない幸福レベルも残っています。今後も自社事業の開発は続けていきます。M&Aすなわち会社ごと「町」に入ってきてもらって一緒に成長していくという手段も、積極的に活用していきたいと考えています。いわば、「事業創出と新規事業開発とグロース、会社単位でのグループイン」の両輪で組織をスケールさせていく戦略です。
ドメインは特に絞らず広がっていくと思いますが、今後はAI(人工知能)や、AI時代に逆に価値が高まる不動産、など、時流に合ったテーマには特にリソースをつぎ込んで取り組んでいく予定です。いずれの領域でも、「しあわせの総量を増やす」というビジョンと結びつけながら、事業としての価値と社会的意義の両立を目指していきます。
長山:私たちの強みは、個人・企業を問わず広範囲に渡るネットワークと顧客基盤です。もともと会計事務所としてスタートしているので、経営者とのリレーションが深く、課題の本質にまで踏み込めます。その信頼関係があるからこそ、他の事業にも横展開できる。これは他社にはなかなかまねできない強みだと思います。
──最後に、これから入社する新卒の方へメッセージをお願いします。
吉川:よく「求めてもらえる場所に行った方がいいよ」という話をします。
ベンチャー企業は、あらゆる場面で「前例のない問題の解決」に携わることになります。そういったプロセスで個人としての問題解決能力が上がるのは言わずもがなです。ただそれ以上に、未開の地を0から開拓して形をつくるという行為は、シンプルにとても感謝されます。他にできる人がいない状況で、自分がそこに横たわる問題解決をなしたときに感じる自己効力感は、その後の人生にとって価値の高いものになると思います。だから、せっかくだったら、求められる場所、失敗してもナイストライをされるベンチャーにいこうよという話をよくしています。
長山:選考は、お互いの相性を確認する場だと思っています。こちらが一方的に評価するのではなく、「自分はどんな人と働きたいか」「どんな環境でワクワクできるか」を考える時間にしてほしいですね。そして、もしその答えがセブンリッチだったなら、私たちは本気で向き合い、全力で応援します。

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