「モビリティ業界は、今100年に一度の大変革期にある」──。この言葉を耳にしたことがある就活生は多いはずです。しかし、その「変革」の正体が、単なる動力源の変化(EV化)だけでなく、スマートフォンのようにソフトウェアでクルマの価値が書き換わる「SDV(Software Defined Vehicle)」への移行であることは、まだ十分に知られていません。
この変革のど真ん中で、80年を超える伝統を武器に、スタートアップのようなスピード感で「独立・上場」へと舵を切った企業があります。それが、パナソニック オートモーティブシステムズ(以下、PAS)です。
2027年4月には、新ブランド「モビテラ(Mobitera)」への社名変更を控え、自らの手で新しい会社を創り上げようとする同社の熱量について、人事として新卒採用領域を牽引する清水 侑子さんに、じっくりとお話を伺いました。
はじめに:歴史ある大企業から、自立した「グローバル・トップ・プレイヤー」へ
──本日はよろしくお願いします。まずは清水さんの自己紹介と、PASが現在どのようなフェーズにあるのかを教えていただけますか。
清水:よろしくお願いします。私は2022年に新卒で入社し、今年で5年目です。入社以来、一貫して人事として採用や新入社員のオンボーディング(早期立ち上げ支援)に携わってきました。
私たちPASは、1939年に車載用ラジオを手掛けて以来、パナソニックグループの中で80年以上の歴史を紡いできました。しかし今、私たちはその安定した基盤の上に安住するのではなく、非常にダイナミックな変化の中にいます。
大きなトピックとして、2024年12月より、外資系投資ファンドのアポロ(Apollo Global Management, Inc.)との戦略的パートナーシップによる新たな経営体制へと移行しました。これは、パナソニックグループから独立した企業として自立し、意思決定を加速させるための決断です。そして2027年4月には、社名を「モビテラ(Mobitera)」に変更し、将来的にはIPO(新規上場)を目指しています。
──「パナソニック」という誰もが知る名前から、「モビテラ」という新しいブランドへ。就活生にとっても非常に驚きのニュースだと思います。
清水:そうですよね。でも、これこそがPASで働く最大の面白さだと自負しています。これまでの歴史が築いた技術力と信頼をベースにしながら、自分たちの手で新しいブランドを創り上げ、世界へ発信していく。大企業の安定感と、スタートアップのような挑戦心が共存する、非常に稀有な環境だと言えます。

圧倒的な市場シェア:世界1位を支える「信頼」の重み
──業界研究をしている学生の中には「モビリティ業界はハードウェアを作る場所」というイメージを持つ人も多いですが、PASの強みはどこにあるのでしょうか。
清水:まさにそのイメージをアップデートしていただくのが、今日の私の目標でもあります(笑)。もちろん、目に見える製品のシェアは私たちの大きな武器です。
例えば、ディスプレイオーディオは世界1位、そして車両情報と通信を統合したIVIシステムについては世界2位と、グローバルトップクラスのシェアを占めています(※)。この数字は、世界中のクルマメーカーから「PASの製品なら、最高の車内体験を届けられる」と信頼されている証です。しかし、私たちが今、最も注力しているのは、これらの「ハード」を動かす「ソフト」の領域なんです。
(※)出典:富士キメラ総研「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2024, 2025」
「SDV」が変えるクルマの価値。ソフトウェアが“移動のここちよさ”をデザインする
──先ほどお話しに出た「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」ですね。具体的に、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。
清水:簡単に言うと、「買った後も進化し続けるクルマ」です。これまでのクルマは、購入した瞬間が「最高の状態」で、あとは古くなっていく一方でした。しかしSDVでは、スマートフォンのOSアップデートのように、ソフトウェアを更新することで、自動運転の精度が上がったり、車室内のデザインや機能が自分好みにカスタマイズされたりします。
私たちは今、このSDVの心臓部となる「コックピットHPC(高性能車載コンピュータ)」や、車内での体験価値を高める「モビリティUX」の開発に全力を注いでいます。
──「クルマを作る」というより「車内での過ごし方をデザインする」という感覚に近いのでしょうか?
清水:その通りです。私たちのビジョンは世界一の「移ごこちデザイン」カンパニー。例えば、大画面の透明ディスプレイに情報を映し出したり、3Dハイレゾリューションが搭載されたオーディオシステムで没入感のある音楽を楽しんだり。100個以上の電子制御ユニット(ECU)をソフトウェアで1つに統合し、車内を「単なる移動手段」から「リビングや書斎のようなここちよい空間」へと変えていく。
モビリティ業界は今、ハードウェアの時代から、ソフトウェアが主役となる変革のど真ん中にいます。若手社員が新しい感性を生かして、これまでにない「移動のここちよさ」を創り出せる、最高に刺激的なフェーズなんです。

「未知に、駆け出せ。」若手の挑戦を阻む壁はない
──「変革期」という言葉は魅力的ですが、一方で「若手がどこまで意見を言えるのか」を不安に思う学生もいます。PASの社風はいかがですか。
清水:私たちPASの人的資本経営のコンセプトに「未知に、駆け出せ。」という言葉があります。今のモビリティ業界は、誰も正解を持っていない状況です。ベテランの経験も大切ですが、それ以上に、新しい技術やトレンドに敏感な若手の発想が、欲しいです。
私自身の話をさせていただくと、入社1年目の夏、私は当時の入社式の内容に疑問を感じて、「今の学生の感覚に合うように、ゼロから作り直したい」と上司に提案しました。
──入社数カ月で、会社の制度に「NO」を突きつけたわけですね。
清水:そうです(笑)。でも、上司の反応は「いいね、やってみなよ」という非常にポジティブなものでした。結局、会場の選定からコンテンツ企画、運営まで、1年目の私にすべてを任せてくれました。PASには、役職や年齢に関わらず「正しいと思う意見」や「情熱のある提案」をフラットに受け入れる土壌があります。
──それは清水さんが人事だったから特別、ということではありませんか?
清水:全くそんなことはありません。技術職でも、5年目で社外のパートナー企業を巻き込んだ大規模プロジェクトのリーダーを務める社員もいれば、営業職で数億円規模の予算を動かす若手もいます。
PASの強みとして「全社全員で着実に推進する実行力」や「大規模開発力」が挙げられますが、それは同時に、若いうちから大きな責任と裁量を持って、チームで物事を動かす経験が積めるということでもあります。自律して動き、失敗を恐れずに挑戦する姿勢があれば、これほどチャンスに溢(あふ)れた環境はないと思います。
専門スキルだけじゃない。PASで磨かれる「市場価値」
──PASでキャリアをスタートすることで、どのようなスキルが身につくのでしょうか。
清水:まず、ハードとソフトの両方に精通した「システム視点」が身につくことは間違いありません。IT業界であればソフトに閉じがちですが、私たちは「実際にモノが動く」というリアリティの中でソフトウェアを開発します。この経験は、エンジニアとしての可能性を飛躍的に高めるはずです。
加えて、私たちが大切にしている「5つのVALUE(価値観)」に基づくマインドセットも大きな財産です。具体的には、誠意、チームワーク、適応力、挑戦、そして生産性の5つです。誠意を持って社会や顧客に向き合うことはもちろん、多様な個性を生かすチームワーク、変化を捉えユーザー起点で創造する適応力、前例にとらわれず挑戦し続ける姿勢、そして質とスピードを高めて世界一の生産性を実現する力。これらを社員一人ひとりが日々意識してお仕事をしています。
特に「適応力」と「挑戦」は、今の変革期には欠かせません。PASでは、これらの価値観が言葉として掲げられているだけでなく、実際の評価などにも浸透しています。正解のない問いに対して、チームで協力しながら自分たちで答えを創り出していく。このプロセスで磨かれる「課題設定力」や「完遂力」は、どの業界でも通用するポータブルスキルになると確信しています。
安心して挑戦できる、手厚いオンボーディングと福利厚生
──挑戦を後押しするための、会社としてのバックアップ体制についても教えてください。
清水:安心して「未知に駆け出せる」よう、サポート体制は非常に手厚く整えています。
まず採用面では、「職種・勤務地確約型」を取り入れています。自分のやりたい職種、働きたい場所を納得した上で選べるため、キャリアのミスマッチを防ぐことができます。
また、入社後は「新入社員メンター制度」があり、一人ひとりに先輩社員がついて、業務から私生活の悩みまで親身にサポートします。研修も1.5カ月の導入研修に始まり、配属後も個々のレベルに応じた技術研修やビジネス研修をいつでも受けられる環境です。
──福利厚生面でも、PASならではのユニークな制度はありますか?
清水:ぜひ知っていただきたいのが「チャレンジ休暇」です。勤続の節目に10日間の連休を取得できる制度で、しっかりと心身をリフレッシュし、また新しい挑戦に向かうエネルギーを蓄えることができます。
他にも、若年層向けの住宅施策や、個々のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方の支援など、社員が「居心地」良く働ける環境作りには妥協していません。私たちがお客様に「最高の移ごこち」を届けるためには、まず社員自身が心身ともに健康で、前向きに挑戦できている必要があると考えているからです。
就活生へのメッセージ:自分たちの手で「モビテラ」を創る醍醐味(だいごみ)
──最後に、これからキャリアを選択する学生の皆さんにメッセージをお願いします。
清水:私たちが求めているのは、クルマが好きな人はもちろんですが、それ以上に「変化を楽しみ、自らの手で未来を創りたい」という志を持った方です。
今のモビリティ業界は、これまでの常識が通用しない、面白さがあります。その中で、80年の歴史と世界トップシェアという強力な武器を持ちながら、2027年の「モビテラ」への進化、そしてIPOという大きな目標に向かって突き進んでいるのが、パナソニック オートモーティブシステムズです。
「完成された大企業」に入るのではなく、「変革期のど真ん中で、新しい会社を創り上げる」。このダイナミックな経験ができるチャンスは、人生でそう何度も訪れるものではありません。
もし、あなたが少しでも「今の自分を超えたい」「世界を動かすような新しい価値を生み出したい」と思っているなら、ぜひ私たちの門を叩いてみてください。
「モビテラ」という新しい物語の主人公として、皆さんと一緒に未来を描ける日を、心から楽しみにしています!

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パナソニック オートモーティブシステムズ
【ライター/編集:星 綾乃】