「パナソニック」という名から、多くの就活生はテレビや冷蔵庫といった家電を連想するかもしれません。実は今、パナソニックグループの中核を担う1社として、材料開発・プロセス技術で世界の進化を支える存在があります。
2022年の事業会社制への移行に伴い設立されたパナソニック インダストリー株式会社(以下、インダ)は、生成AIサーバの内部など、さまざまな“見えないところ”を支えるデバイスやマテリアルを世に送り出しています。
若手のうちから最前線に関わり、試行錯誤を重ねながら、自らの可能性を広げていくことができるインダ。
今回は、同社の人事戦略統括部で新卒採用に携わる出嶌佑衣子さんと、電子材料事業部で車載領域を対象にした新商品の研究開発を担う橋本明希人さんにお話を伺いました。現場で活躍する若手社員のリアルな声から、若手が裁量権を持って未来をつくる面白さに迫ります。
はじめに:パナソニック インダストリーとは?
──最初に、インダがどのような会社なのか、お聞かせください。
出嶌:私たちは一言で申し上げると、「見えないところから、見違える世界に変えていく会社」です。スマートフォンやパソコン、生成AIサーバ、さらには自動車や宇宙分野に至るまで、あらゆる製品の内部にある電子部品や電子材料、制御機器を開発・製造・販売しています。グローバルで約3万9,200人の従業員を擁し、売上高は1.1兆円規模にのぼります。(2025年4月時点)
私たちが現在、特に注力している事業領域は3つあります。1つ目は未来のモビリティを実現する「車載CASE」、2つ目はIoT社会の進展に貢献する「情報通信インフラ」、そして3つ目はモノづくりの現場の革新を目指す「工場省人化」です。
──パナソニックという大企業だからこその安定感がありつつ、新しい会社として変革期にあるのですね。
出嶌:その通りです。だからこそ、人財戦略コンセプトとして「想いを、動かせ。」を掲げています。社員一人ひとりの「挑戦したい」という想いを起点に、人と組織が一緒に成長し続けることができる風土づくりに本気で取り組んでいます。
出嶌 佑衣子(デジマ ユイコ):人事戦略統括部 採用・人財開発部 新卒入社4年目
宇治拠点にて人事を担当したのち、現職。主に採用マーケティング、新卒採用(事務系)に従事。
なぜ今、材料・プロセス事業に挑むのか
──最初のトークテーマは「なぜ今、材料・プロセス事業に挑むのか」です。この戦略の背景について教えてください。
出嶌:理由は大きく2つあります。1つ目は「高い価値を生み出し、収益性が高いこと」、2つ目は「他社との圧倒的な差別化が図れること」です。
たとえば、生成AIの普及に伴い、データセンターの需要が世界中で爆発的に増え、高性能・高信頼のデバイスが求められています。ここに当社の独自材料やプロセス技術を投入することで、お客様に選ばれる高付加価値である商品を提供し、社会へお役立ちを果たすことができるのです。
──橋本さんはまさにその最前線である「材料開発」に携わっているそうですね。
橋本:はい。私は電子材料事業部で、一貫して車載向けのプリント配線板(基板)材料の新商品開発を担当しています。具体的には、EV(電気自動車)の電費(※)向上や安全性向上に直結する、「高耐熱性・高信頼性」という特徴を持つ樹脂材料の開発です。
インダの強みは、他社には真似できない「樹脂の配合技術」にあります。どの素材をどう組み合わせればターゲットとする特性(目標値)が出るのか。この独自の配合・プロセス技術があるからこそ、世界中に約2万5,000社のお客様に対して強力な差別化を図れています。
(※)……「電費」とは1km走行するために必要な電力量
──研究開発職というと、実験室にこもって黙々と作業するイメージがありますが、実際の動き方はいかがですか?
橋本:実は、非常に多くの人と関わる仕事です。新商品の開発を進める中でお客様のニーズをヒアリングする際は、営業部門やマーケティング部門と密に連携します。いざ工場で試作するとなれば、製造現場の方々や品質保証部の方々との調整が欠かせません。オンラインだけでなく、対面でのコミュニケーションも頻繁に行い、チーム一丸となって泥臭く進めていく仕事ですね。
なぜ新卒でインダに入社したのか
──お2人が新卒でインダを選んだ理由、入社の決め手について教えてください。
出嶌:私は学生時代に福祉を専攻しており、社会福祉士の資格取得やボランティアに取り組んでいました。就活中に参加したインダのセミナーで、社員の方が「どんな人でも活躍できます」とおっしゃっていたのが強く印象に残りました。
1つは福祉を学んでいた身として、多様な価値観を認める環境があると感じたことです。もう1つは、働く前から「自分がどんな職種に向いているか」などを完璧に予見するのは難しいと感じていたため、インダのように事業領域が広く、入社後にも多様な職種や業界に挑戦できる会社は非常に魅力的だと感じ、入社を決めました。
──実際にメーカーの人事として働いてみて、その多様性は実感できていますか?
出嶌:正直なところ、数字の面ではメーカーという特性上課題はあります。例えば男女比率という点では、まだまだ男性が多いという課題です。ただ、それを会社全体が「自分ごとの課題」として捉えている姿勢がありますね。女子中高生向けにモノづくりを通して理系の魅力を伝えるイベントを開催するなど、社会貢献も含めて会社全体で多様性を推進しようという強い意志を感じています。
──橋本さんはいかがでしょうか。
橋本:私は大学時代、工学部の応用化学科で有機合成を研究していました。その知識がダイレクトに活かせる電子材料の分野だったことが1つです。そしてもう1つは、プリント配線板というものが、車載・ICT・航空宇宙などあらゆる最先端の電子機器の根底に含まれているからです。自分の専門性を活かしながら、世界中の幅広い産業へアプローチできるスケールの大きさに魅力を感じて入社を決めました。
仕事の面白さと、社会に与えるインパクト
──現場で働く中での「仕事の面白さ」について、橋本さんはどのように感じていますか?
橋本:材料開発の面白さは、自分が立てた仮説をもとに実験計画を組み、狙い通りの物性が出た瞬間の達成感にあります。また、自分たちが開発した新商品を提案した際、お客様から非常にポジティブなフィードバックをいただいたり、高い評価を得られたりしたときは大きなやりがいを感じますね。
──そういった面白さを実感できるようになったのは、いつ頃からですか?
橋本:1年目は覚えることや業務に慣れることで精一杯で、自分の考えを反映させる余裕はあまりありませんでした。しかし、2年目、3年目と年次を重ねるごとに、ある程度自分の考えを持って主体的に行動に移せるようになり、一気に仕事が面白くなっていきました。
──大学の研究と、企業のビジネスとしての研究開発で、最もギャップを感じた点、成長したスキルは何でしょうか。
橋本:一番の違いは、「お客様ありきでの開発」という点です。大学時代とは異なり、厳しい納期や、市場から求められる高いクオリティを強く意識しなければなりません。
その中で磨かれたのは、単なる材料科学の知識だけでなく、他部署の協力を得るためのコミュニケーション能力や折衝能力です。また、仕事を前に進めるための「行動力」や「決定力」の重要性を、日々の業務を通じて痛感しています。
──EVや自動運転の進化の裏に、自分の開発した材料があるというのは、非常に高い社会貢献性を実感できそうですね。
橋本:そうですね。まさに時代が変わっていく節目において、その基盤となる材料の観点から世界の進化を支えているのだと実感できるのは、この上ない面白さです。
橋本 明希人(ハシモト アキト):電子材料事業部 グローバル電子基材ビジネスユニット 技術二部 新卒入社8年目
電子材料事業部に研究開発職として入社し、一貫して車載向けのプリント基板材料の開発に従事。
「大企業は若手の裁量権がない」は誤解。社員一人ひとりの挑戦を後押しするインダ
──就活生の中には、「大企業に入ると歯車になってしまい、若手のうちは裁量権がないのでは?」と不安視する声もあります。先程、社員数が約3万9,200人という話があったようにパナソニック インダストリーも非常に大規模な会社にはなりますが、この点につきましては、いかがでしょうか?
出嶌:インダには、社員が裁量権を持って働くことができるように、挑戦を後押しする仕組みがしっかりと整っています。特徴的な制度を2つご紹介します。
1. 柔軟に往来できる2つのキャリアパス「マネジメント」と「スペシャリスト」
従来のような「リーダーになってチームをまとめ、管理職へ昇進していく」というマネジメントの道だけでなく、特定の技術や職種を極める「スペシャリスト(プロフェッショナル)」としての道も、同等の等級体系として用意されています。さらに、これらは固定ではなく、自身のキャリアの歩みに合わせて柔軟に行き来することが可能です。
2. 自分の意志でポストを掴む、公募型異動制度(Iチャレンジ)
会社からの画一的な辞令を待つのではなく、社内で募集されているポジションに対して、条件が合えば自ら手を挙げて応募・異動できる仕組みです。
出嶌:入社時にやりたいことが明確でなくても、豊富な研修制度や業務での経験を通じて自分の軸を見つけ、見つかった瞬間にアクセルを踏んで挑戦できる環境がそろっています。
──橋本さんは、現場の若手として裁量権をどのように実感していますか?
橋本:開発の現場でも、若手のうちからテーマの一部を任されます。実験計画の立案や評価水準の設定なども、上司や周囲のサポートを受けつつ、まずは「自分なりに考えて動かす」ことが求められます。1から10まで指示されることはなく、「まず橋本さんはどうしたいの?」と意見を尊重してもらえる風土がありますね。
──活躍している社員や、今後一緒に働きたい人物像に共通点はありますか?
橋本:主体性を持って「自分はこうしたい」という強い想いを発信できる人がどんどん活躍している印象です。
出嶌:同感です。採用活動においても、「自分で考えて挑戦しようとする姿勢」は大切だと考えています。インダには、学びたい・挑戦したいという想いを後押しする環境が十分にあります。創業者の松下幸之助の言葉に「物をつくる前に人をつくる」がありますが、社員の育成に対してここまで真摯に向き合う会社は他にないと感じています。自分の軸や想いを形にしたい方に、ぜひ飛び込んできてほしいですね。
パナソニック インダストリー