スマートフォンが普及し、誰もが1クリックで買い物ができる時代。しかし、その裏側に広がるEC構築の世界が、どれほど泥臭く、そして知的な「総合格闘技」であるかを知る学生は少ないかもしれない。単に綺麗なECサイトを作るだけでなく、企業のビジネス課題を掘り下げ、物流や関税といったサプライチェーンまで含めた「売れる仕組み」全体をデザインすることが求められるのだ。
今回は、学生エンジニアからPM(プロジェクトマネージャー)を経て、26歳で開発部の事業責任者に抜擢された藤井慎太郎氏と、ソリューション事業本部を率いる執行役員の森祐太氏にインタビュー。若手が職種を軽やかに越境し、数々のブランドを裏側から「つくり、届ける」当事者へと成長できる、forestならではの環境をオープンに語ってもらった。
<目次>
●EC構築とは、ビジネス全体の整理を主導すること
●「技術だけではどうしようもない」。26歳の事業責任者が越えた壁
●自社でリスクを背負うからこそ、解像度の高い提案を描ける
●ハングリーな20代へ。「何でもやる」姿勢があれば、経営の舵を握れる
EC構築とは、ビジネス全体の整理を主導すること
──一般的に「EC構築」と聞くとプログラミングを連想しがちですが、forestの開発部が担っている業務の全体像を教えてください。
藤井:確かに世間一般では「EC構築=通販サイトのプログラミング」というイメージが強いかもしれませんが、私たちが担っている現場はもっと広大で、ビジネスの根幹に直結しています。具体的には、Shopifyを用いた自社EC構築やECモール運用の支援はもちろん、企業の心臓部である基幹システムとの連携や、顧客データを統合管理するCRM(顧客関係管理)の設計・繋ぎ込みまでを一貫して担っています。
分かりやすい実例として、現在進行している大手上場BtoBメーカーのプロジェクトがあります。売上の約半分を海外が占めるグローバル企業ですが、これまで属人化していた社内外の受発注業務をDX化したいという相談をいただきました。ただ、組織規模が極めて大きいため、全社システムを一括で刷新することは現実的ではありません。そこで私のチームが入り、まずは米国リージョンの取引DXからスタートし、その成功実績をもとに欧州、オセアニア、中近東へと5年計画で段階的に展開していく社内全体のDXロードマップを設計・推進しています。
森:ECの裏側には、決済だけでなく、商品の在庫管理、受発注フロー、各国の商習慣や法規制など、企業活動のあらゆるデータが複雑に絡み合っています。私たちが強みとしているのは、単に「Web上で商品が買える画面」を作ることではなく、顧客企業の各部署から上がってくるニーズや課題をすべて洗い出して、スケジュール、技術的実現性、費用対効果を総合的に検証してビジネス要件を整理することです。

森 祐太(もり ゆうた)27歳:執行役員/ソリューション事業本部長
学生起業でTsuzucleを創業し、マーケ・コンサル・開発支援を展開。2024年にforestグループへ完全統合し、現在はソリューション事業を統括。若手が「事業全体を動かすプロ」へ育つ仕組みを組織として支援する。
※年齢・役職は2026年9月の取材時点のものです。
藤井:AIを活用すれば、ソースコード自体は誰でも簡単に生成できる時代になりつつあります。だからこそ、単なるプログラミングではなく、顧客の業務に対する解像度を極限まで高めながら「ビジネスの整理」を主導できるかどうかが重要なのです。
「技術だけではどうしようもない」。26歳の事業責任者が越えた壁
──藤井さんは学生エンジニアからスタートし、PMを経て26歳で開発部の事業責任者に就任されています。どのような経緯で職種の壁を越えていったのでしょうか。
藤井:学生時代からWebエンジニアとして個人で活動していましたが、実務を経験する中で痛感したのが「技術があるだけでは、顧客のビジネスを真に伸ばすことはできない」という壁でした。
例えばクライアントから「割引クーポン機能を作りたい」と要望があった際に、言われた通りに実装するだけでは不十分です。課題の本質を掘り下げると、安売り機能ではなく、別のCRM施策や顧客体験の改善こそが必要なことがあります。そうしたビジネス起点での提案力を磨くため、入社後の2〜3年間はあえてビジネス側のPMとして企業のマーケティング支援やコンサルティングに専念しました。ビジネス側と開発側の「間」に立ち、両面から全体像を捉えられるようになった経験は、現在の開発責任者としてのキャリアに多大な影響を与えています。

藤井 慎太郎(ふじい しんたろう)26歳:ソリューション事業本部 開発事業 部長
学生時代にWebエンジニアとして活動後、インターンとしてTsuzucleに参画。入社後はエンジニアの枠に閉じず、PMとしてマーケ・コンサル支援を2〜3年経験。現在は26歳にしてforestの最年少部長として開発部を率いる。
※年齢・役職は2026年9月の取材時点のものです。
森:当社では、新卒や若手に対して「最初の2年間であえて複数の職種を経験し、事業の全体像を掴むこと」を推奨しています。エンジニア、PM、マーケター、デザイナー、さらには自社ブランドマネージャーの兼務など、職種を行き来するキャリアパスを用意しているのは、組織の構造的な強みです。
藤井:私のチームでも「自分の職種はここまで」と境界線を引くことはありません。PMであってもプログラムの構造をキャッチアップしますし、エンジニアやデザイナーもビジネス要件や提案内容に対して積極的に意見を出します。お互いの専門領域に踏み込むため、日常的にPMとエンジニアのそれぞれの目線から建設的に議論し、時には本気でぶつかり合っています。
自社でリスクを背負うからこそ、解像度の高い提案を描ける
──世の中にEC支援専業の会社が多い中で、自社ブランドも運営している強みは何でしょうか。
森:最大の強みは、当社自身が自腹を切って在庫リスクを背負い、ブランドを運営している「当事者」である点です。世の中の多くのEC支援会社は、目に見えるWebデザインの美しさやイニシャルコストの安さばかりをアピールしがちです。しかし、実際にECを運用し始めると、追加アプリの費用や運用保守などのランニングコストが雪だるま式に膨れ上がり、採算が合わなくなるケースが多発しています。
また、ECの成否を分けるのは、倉庫オペレーション、関税、現地ラベルの発行、プライシングといった泥臭いサプライチェーンの実務であり、自社で実務の痛みを経験している私たちにこそ可能な提案があります。
藤井:社内には海外事業チーム、物流チーム、商品パッケージのデザインチームなどが存在しており、クライアントへの営業・提案段階から密に連携しています。「この機能を海外向けに実装する場合、現地の関税計算やラベル発行のオペレーションでこういう落とし穴がある」「この仕様にすると現場の倉庫作業に過度な負荷がかかる」といった実務知見を社内ですぐに突き合わせられるため、他社が見落としがちな考慮の漏れを初期段階で防ぐことができます。
それに、自ら在庫を持ち事業リスクを背負っているからこそ、メリットだけでなくデメリットも包み隠さず顧客に提示できる。その結果として、クライアントからも厚い信頼を寄せていただいております。

ハングリーな20代へ。「何でもやる」姿勢があれば、経営の舵を握れる
──若手が早期に成長し、経営視点を身につけるために求めることは何でしょうか。
森:1人の力でできることには限界があり、顧客の多様なニーズを自分だけで満たすことは不可能です。だからこそ当社では、業務委託のメンバーも含めてチームを束ね、他者に仕事を任せながらプロジェクト全体を成功に導くマネジメントスキルを早期から求めています。20代のうちに開発や自社ブランドなど複数の現場を越境し、事業全体を動かす経営視点を養ってほしいですね。
──最後に、どのような学生と一緒に働きたいかメッセージをお願いします。
藤井:私自身、26歳で開発部の売上・利益の最大化を担う責任者のポジションを任されています。forestは自分の枠を決めず、与えられた仕事以上のことにハングリーに挑戦する人になら、いくらでもチャンスを用意する環境です。最初から専門分野を絞る必要はありません。何でも泥臭くやる中で自分の適性を見つけたい方、デジタルを武器にモノを届けるプロになりたい方と一緒に、ビジネスの全体像を創っていきたいと思っています。
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