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【第2弾】「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるもの?:就活道場

コラム トイアンナ
2017年4月18日(火) | 25,898 views

こんにちは、ワンキャリ編集部です。

ワンキャリの人気ライター、トイアンナ・KEN・熊谷 真士が学生の悩みに答える「就活道場」。


今回のテーマはこちら。

「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるものですか。


・トイアンナ:人はたとえ強制収容所でもやりたいことを見いだせる、いわんや職場をや。

・KEN:ハッキリ言って「見つからない」可能性が高いと思う。日本人である限り

・熊谷 真士:見つかる・見つからないという二元論でない


三者三様の答えをお楽しみください!

トイアンナ:人はたとえ強制収容所でもやりたいことを見いだせる、いわんや職場をや。

トイアンナ:
大学を卒業後、外資系企業にて約4年勤務。600人以上の人生相談を受けた実績を基に独立。現在はマーケター、ライターとして広く活動中。


「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるものですか。


こんにちは、トイアンナです。私の愛読書に『夜と霧』という本があります。アウシュヴィッツ強制収容所に囚われた方がどのような心理状態になったかを振り返る記録なのですが、そこで筆者は極限状態においても歌を熱演する人、自然の美しさに感動する人がいることをつづります。友達びいきせず、食料を平等に分配した誠実な人もいました。


人はたとえ強制収容所でもやりたいことを見いだせる、いわんや職場をや。


と、結論を出してしまったところでもっと詳しい話を知りたい方は、残り700字ほどをガマンしてご覧ください。


ほとんどの人はやりたいことを持っていない

まず前提として、たとえ優秀であろうがほとんどの人は「やりたいこと」なんて持っていません。現に今これをご覧になっている方のほとんどに今、やりたいことがないはずです。ここで言っている「やりたいこと」は、モテたいとか単位欲しいとかではなく、自らが人を巻き込んでまで達成したいビジョンです。ビジョンを持っている学生はたいてい就活以前に行動を起こしていますし、この記事をご覧になることもないでしょう。


私を含め、「フツーの人が望んでいるやりたいこと」は主に、家庭を築きたい、安心して暮らせる年収が欲しいの2つ。これらは人権ある企業に就職できれば達成できますから、「(フツーの人が望んでいる)やりたいこと」を叶えたいならブラック企業を見抜くよう頑張ってください。


できることから、やりたいことは生まれていく

ただ、今やりたいことが無いフツーの人でも、会社に勤めてから「やりたいこと」が生まれることもあります。就職してすぐの頃は何も分からない社員だって、経験を重ねればできることが増えます。できることが増えると「もっとこの業界は〇〇ができるんじゃないか」と革新的なネタを思いついたり、「目の前の業務はこうしたら面白いかも」と工夫できたりします。


社会人がやりたいことを見つけられる理由は、できることが増えるからです。仕事のテンプレも知らないうちから「やりたいこと」を思いつくのは、サッカーのルールを知らないのにどのポジションでプレイしたいか考えるくらい無謀です。


ですから、「やりたいこと」を見つけたいなら「やりたい仕事」というあてどない自分探しを始めるより、今すでに知っていることから「やりたいこと」を探し出す好奇心の方が大事かもしれません。


もしよければ自分の「やりたいこと」に将来出会うため、好奇心を育ててください。まずは「今期で一番つまらない授業をいっそ楽しくするにはどうすればいいか?」を考えてみるのなんてどうですか?

KEN:ハッキリ言って「見つからない」可能性が高いと思う。日本人である限り

KEN:
1987年生まれ。本名北野唯我。事業会社、コンサルティングファーム出身。学生時代にボランティア団体を設立・プロボノ支援等のソーシャルセクターでの活動経験を持つ。


「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるものですか。


悲しいけれど、本当のところ「見つからない」と思います。というのも、そもそも日本人で「やりたいことを持っている人って19%しかいない」みたいなんですね。上記のデータによると、国際的にもとても「夢を持っている人が少ない国」のようです。ですので、ファクトベースで見ると、「ハッキリ言って、見つからない可能性の方が高いと思う」と言っておきます。


では、なんでこうなるかというと、まさに今僕が書いている文章のように、すぐに「日本人はXXXだから」と一般化したり、足を引っ張ろうとしたりするからだと感じます。そしてそれを受けた人たちは「まぁ、そんなもんだよな。現実って」と思う。パブロフの犬のように、カマスの実験のように、「学習性無気力」を習得していくわけです。


この前ですね、久しぶりに大企業の人と会ったら、びっくりしました。僕は今、夢が1つだけあるのですが、それを情熱的に語ったら「口でなら何とでもいえる」と怒られました。笑われました。その時に久しぶりに思い出しました。


「あー、これが日本的なサラリーマンだよなぁ」と。

夢は、出過ぎる一部の釘しか語っちゃいけない雰囲気があるんでしょうね。


そして、これは就活の時でも一緒だと思います。面接時に本当に成し遂げたい壮大な夢を語ったら、「地に足が付いてない」と評価される。多分、落とされます。だから受けがいい志望動機を言える人が勝つ。壮大な夢を承認することは、面接官自身の人生を否定するようなものだと感じるからでしょうか。


ベンチャー界隈にいると、良くも悪くも「夢見がちな人」が多い。平気で「日本を良くしたい」とか言う。

僕も学生のときはそういう話を聞いて「嘘くさいなー」と思っていたのですが、今になって思います。「あぁ、あの人たちはもしかしたらあの時の自分よりも遥かに先のフェーズにいたのかな」と。彼らは目の前のことだけに集中して生きていくことが、きっと簡単なんですよ。笑われることも知ってるんですよ。それでも夢に可能性をかけているわけです。


若い自分は、それを素直に「カッコイイ」と認める本当の自信がなかったんでしょう。


で、これは今、「ベンチャー」vs「大企業」と一般化しちゃいましたが、本当は、日系企業の中でも夢を大事にしてくれる会社は少なからずあると思います。ベンチャー企業の中でも、夢がない会社は腐るほどあります。人生って、夢があった方が楽しいのは間違いなくて、みんながそういう会社を見つけてくれると嬉しいなと思います。

具体的にどうすればいいかって? そのためにこういう記事を書いてます。

熊谷 真士:見つかる・見つからないという二元論でない

熊谷 真士:
京都大学→総合商社→ヘッジファンド/ライター。ブログ「もはや日記とかそういう次元ではない」を運営。

「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるものですか。


「やりたいこと」というのは自然と見つかるのか、それとも見つからないのか。どうなんでしょうか。全然分かりません。



一つ、個人的に気になるのは、どの程度まで具体性の伴った抱負を、「やりたいこと」と呼ぼうと思っているのか、と言う点です。「やりたいこと」と言っても何の具体性も伴わない極めて抽象的なもの、例えば「幸せになりたい」とか「満足いく人生にしたい」みたいなものであれば、すでに持っているのではないでしょうか。抽象的過ぎて、殆ど“欲求”としか言いようのない例のアレです。


ただ、もう少し具体的になっている事柄を「やりたいこと」と呼んでいる場合には、確かにそれを持っている人と持っていない人がいるかもしれません。これは、上で挙げた“欲求”レベルの願いを叶えるための、もう少し具体的な方法、例えば、「webマーケティングを極めたい」とか、「人に深く関わる仕事をしたい」とか、「何か日本の為になることを成し遂げてドヤ顔したい」とか、「コンサルタントとしての自分の成長を実感して薄暗い部屋で1人グフグフと不適な笑みを浮かべたい」とかです。


そして、もっと具体化された「やりたいこと」なると、それを持っている人の方が少ないのかもしれません。「世界中の良質な情報を、必要な人に届けるようなサービスをつくりたい」、「フィリピンのインフラを整えることに寄与したい」、「日本食の良さを世界に広めるような仕事をしたい」、「自分の鼻毛を伸ばし続け、それでいつの日か三つ編みをした上で、同じように鼻毛の三つ編みをしたいと思っている世界中の人々の支援をすべく財団法人を設立し、運営したい」。




冒頭の質問に戻りますが、「やりたいこと」というのは見つかる・見つからないという二元論でなく、「やりたいこと」をどのくらい具体的に持つか、その具体性が人によって違うという話なのかなと思います。そして、具体的である程“良い”というわけでもなく(そういう空気はありますが)、それをどの程度具体的にするかは、ある種、本人の自由なんじゃないかと思います。具体性の高い「やりたいこと」を持つことで欲求を満たしている人もいれば、具体性の低い「やりたいこと」のままで欲求を満たしている人もいる。そんな感じかと思います。



あと、これは余談ですが、「自分の欲求を実現する具体的な方法は、常に“仕事”の中にある筈だ」という資本主義マッチョな思想は、人によっては行き詰まりを生むかもしれません。「仕事」とここで呼ばれているものは、何か価値を提供して対価を得る活動、ある種スポーツみたいなもので、個人的にはそれ自体に対して好き嫌いも得手不得手も付き物なんじゃないかと思うんです。「満足いく人生を送りたい」という、もっとも抽象度の高い欲求があったとして、その方法が「仕事とかどうでも良いからとにかく家族とたくさん旅行したい」とかに落ち着く人だっていると思いますし、そういう人にとっては出来るだけ仕事を放棄し鬼のようにサボり散らかすことが最も合理的な選択になる可能性だってあると思います。



ちなみに先ほどから偉そうに上から目線で訓示を垂れている自分に対して驚異的な満足感を覚え恍惚の笑みを浮かべているのですが、僕が現在保有している「やりたいこと」はと言えばよくよく考えると極めて具体性にかける赤ちゃんレベルのものしかなく、文字にすると「とにかく楽しく生きたい」みたいな感じになります。脳細胞の欠如したプランクトンが如きこの目標を達成すべく、毎日生命活動の維持に最低限必要だと思われる水分と栄養素を補給し、3分以上息を止めないよう心掛けた上で、楽しい人達と楽しいことばかりすることを念頭に置いて活動しています。それ以上具体的に「やりたいこと」はありません。社会人も中堅になります。


「就活道場」の記事一覧
・vol.1:学⽣のうちは遊んでおけっていうアドバイスは本当に正しいのか?
・vol.2:「やりたいことは仕事をやっていく中で見つけていこう」ってのは、実際見つかるもの?
・vol.3:いつも最終面接までいい感じで進むのに、最終で落ちることがよく分からない
・vol.4:新卒として再就職したい企業はどこ?(どこでも入れる前提で)
・vol.5:学⽣時代の期待が裏切られ、社会⼈になって最もがっかりしたことは何か。
・vol.6:幸せな家庭を作っている社会人と、そうでない社会人、どこに分かれ目があると思われますか?
・vol.7:就職せず、いきなり起業する学生についてどう思いますか?
・vol.8:結婚しないと昇進に響くか
・vol.9:中堅となると出世するしないが顕著になってくるが、交友関係はどうなるのか。
・vol.10:社会人1年目と現在との考えのギャップ。(e.g.将来のビジョン、働くモチベーション)
・vol.11:昇進する上で失敗せずにチャレンジするコツは?
・vol.12:大学時代に恋人を作れと先輩方に口を酸っぱくして言われるが、社会人の出会いはそんなに悪いものか?
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