就活では、面接などで特技について質問されることがあります。質問に備えるには、どのように回答すべきかしっかりと事前準備しておくことが重要です。
しかし、「特技といわれても思い当たらない」「持っている特技をそのまま伝えて良いのか分からない」といったように、特技に関しては多くの疑問や不安があるでしょう。
そこで今回は、就活で特技を聞かれる理由、特技の見つけ方や選び方について説明します。また、アピールに効果的な特技の例文なども紹介しますので、就活で特技を絡めたアピール方法が分からない人は、ぜひ参考にしてください。
<目次> ●就活で特技を問われるのはなぜ? ·人柄を知るため ·就活生の緊張を解くため ·企業に合った人材かを知るため ●就活で聞かれる特技とは? ·自分が特技と思っているもの ·特技はすごくなくても良い ·「趣味」と「特技」の違い ●特技がない就活生必見! 見つける方法5選 ·これまでの経験や出来事を振り返る ·習慣化していることから探す ·身近な人に聞いてみる ·好きなことから見つける ·評価や感謝をされたことを探す ●例文付き|就活でアピールできる特技のジャンル別一覧 ·【スポーツ・運動系】体力と継続力をアピール ·【文化・芸術系】感性と集中力をアピール ·【IT・スキル系】実務能力と学習意欲をアピール ·【生活・習慣系】自己管理能力と人柄をアピール ·【ユニーク・面白系】印象に残る個性をアピール ●通過率アップ! 履歴書・ESへの特技の書き方・ポイント ·結論ファーストで簡潔に書く(構成テンプレート) ·具体的な数字や実績(エピソード)を盛り込む ·入社後の仕事への再現性を意識する ·嘘はNG! 自分らしさを伝えることが最優先 ●書く前にチェック! 就活で避けるべきNGな特技 ·ギャンブル・公序良俗に反する内容 ·政治・宗教に関する内容 ·「特になし」や空欄での提出 ·嘘や話を盛りすぎた内容 ●面接で「特技」を聞かれた時の答え方と注意点 ·履歴書・ESと矛盾しない内容を話す ·長々と話さずキャッチボールを意識する ·実演を求められた場合の対処法 ●就活の特技に関するよくある質問(FAQ) ·記入欄(指定文字数)が小さい場合はどう書けばいい? ·志望職種と全く関係ない特技でも大丈夫? ·すごい実績(大会優勝など)がなくても平気? ●まとめ
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就活で特技を問われるのはなぜ?
就活の面接でのアピールといえば、志望動機や自己PRが定番ですが、場合によっては趣味や特技を質問されることもあります。エントリーシート(ES)や履歴書に特技欄があると、「なぜ特技が必要なの?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
そこでまずは、就活で特技を質問される理由や企業の意図・狙いなどを解説していきます。
人柄を知るため
就活で特技について質問されるのは、まず人柄を知るためという理由があります。就活の面接では、志望動機や自己PR・強みを聞くことで、入社意欲やスキルをチェックすることは可能です。しかし、それだけでは、学生の人となりや価値観といったパーソナルな部分は分かりません。
長所・短所、学生時代に力を入れたことに対する回答も、人柄を知るための判断材料といえます。ただ、企業の採用担当者からすると、それだけでは学生の素の姿を垣間見るのは難しいものです。
そこで、特技や休日の過ごし方など、プライベートでの様子をうかがい知れる内容を聞くのです。特に、就活は転職とは違って仕事の経歴や実績がないため、学生の人となりや個性を重視する傾向にあります。企業の採用担当者によっては、特技を聞くことで学生の個性を見いだすという意味合いもあるでしょう。
就活生の緊張を解くため
面接時のアイスブレイクとして、特技などプライベートにかかわる質問をしてくる企業もあります。アイスブレイクとは、初対面の人同士でもスムーズに会話ができるように緊張をほぐすことをいいます。
就活では、多くの学生が非常に緊張しています。緊張しているとそれぞれが本来持っている意欲の高さをうまくアピールできず、企業も優秀な人材を逃す可能性があります。そのため、企業はあえてプライベートにかかわる軽い話題を入れて気分転換を図り、学生をリラックスさせようとする傾向にあります。
企業に合った人材かを知るため
特技を就活のときに聞かれるのは、企業に合った人材か確かめるためだともいえます。企業側は、自社の社風や業界と相性の良い人材を採用したいと考えています。ミスマッチを避けるために、志望動機以外にも趣味や特技など、人柄にかかわることを聞き、就活生の人物像を把握しておくことが目的です。
仕事に関連する趣味や特技があれば、入社後に力を発揮してくれるかもしれないという期待もあるでしょう。仕事と関連性の高い特技がある人は、自己アピールができるチャンスにもなります。そのため、趣味や特技がいくつかある人は、仕事内容や企業理念・社風などさまざまな観点から、マッチ度が高いと思える特技を選びましょう。
就活で聞かれる特技とは?
特技と聞くと、「秀でた成績や、自信が持てるものを書くべきでは」と思う人も多いでしょう。一般的には、特技は特別な技能のことを指します。しかし、就活の面接で聞かれる特技は、少し意味合いが異なります。
ここでは、就活で聞かれる特技について解説していきます。
自分が特技と思っているもの
就活の面接で問われる特技は「周囲の評価にかかわらず、自分が得意だと思うことやスキル」のことを指します。自分に向いていると思えるものであれば、特技だといえるでしょう。
例えば、英検4級しか持っていなくても、自分は「英語が得意」だと思えば、特技としても良いでしょう。特技だといえるレベルや基準は、自分自身で設定しても良いのです。
ただし、特技だと思っていても、それを相手に説明しなければ伝わりません。「洋画は字幕がなくてもセリフが聞き取れる」「洋書を週に1冊読んでいる」「英単語のアナグラムができる」など、英語力があることの具体例を述べて、説得力を持たせます。特技欄に盛り込むエピソードは、結論の根拠となるものを選びましょう。
特技はすごくなくても良い
そうはいっても「目立つところもないし、人が驚くような特技はない」と思う人もいるかもしれません。しかし、特技は「大会で優勝した」「取得が困難な免許や資格を持っている」など、すごい実績や能力を持っていなくても良いのです。また、ユニークなものやマニアックな個性を選んで、差別化を図る必要もありません。
冒頭で説明した通り、就活での特技は、就活生の自然な人柄を知り、緊張を解きほぐすアイスブレイクの役割があります。就活生自身の持つ強みや自己分析力、企業で活躍できるかどうかは、自己PRや志望動機で評価されます。
特技を質問された場合は、あなたの人物像が伝わるように、自分が打ち込んでいるものや趣味で頑張っていることなどを取り上げましょう。
「趣味」と「特技」の違い
この2つは混同されがちですが、就活においては以下のように使い分けるとスムーズです。
趣味
自分が好きなこと、楽しんでいること(Love/Input)
例:音楽鑑賞、食べ歩き、読書
特技
他人より得意なこと、自信がある成果(Can/Output)
例:楽器演奏、速読
趣味は「自分がいかに楽しんでいるか」を伝えるものですが、特技は「何ができるか」という能力の側面が強くなります。ただし、「趣味は料理で、特技は冷蔵庫の余り物で即興料理を作ることです」のように、趣味が高じて特技になったエピソードとして伝えると、一貫性があり説得力のある自己アピールになります。
特技がない就活生必見! 見つける方法5選
就活を進めるにあたって「自分にはアピールできる特技がない」と悩んでいる人は、まず特技を見つける方法をチェックしておきましょう。案外、特技としてアピールできることは見つかるものです。
特技を見つけたいときは、次の方法を積極的に実践していきましょう。
これまでの経験や出来事を振り返る
就活で特技がなくてアピールに困ったときは、まずこれまでの経験や出来事を振り返って、特技に該当することを探してみましょう。
・楽しかったエピソードを思い出す
・これまでに頑張ったことを振り返る
・過去に夢中になったことを思い出す
・個人的に集めているものをチェックする
・計画的に取り組んでいる趣味のこと
・好きで長年続けてきた習い事
特技を探すときには、主に上記のようにこれまでの経験を振り返る方法がおすすめです。過去どのような経験をしたか思い出せば、そのエピソードのなかから特技は見つかるでしょう。特に、これまでに頑張ってきたことや収集しているものから探すという視点を持つと、特技は見つかりやすくなります。
習慣化していることから探す
就活でアピールをするにあたって特技が見当たらないときは、生活の中で習慣化していることから探すのも良いでしょう。日頃から行っていて、自分では当たり前だと思っていることは、特技と一見関係がなさそうに思えても、他人から見たら魅力的なものかもしれません。例えば、下記のようなことから選ぶのがコツです。
・毎日欠かさず行っていること
・日常生活におけるこだわり
・無意識のうちに毎日のようにしてしまうこと
例えば、毎日継続している早寝早起き・柔軟体操などは、特技としてアピールできる事柄です。また、「素早くきれいに洗い物ができる」や「毎日、玄関の掃除をしている」「身の回りの整理整頓が得意」など日々の習慣を取り上げても良いでしょう。
身近な人に聞いてみる
自分の特技が分からないときは、身近な人に「私の特技はなんだと思う?」と聞いてみるのもおすすめです。 例えば、以下のような自分にとって身近な人にアドバイスをもらってみてはいかがでしょうか。
・家族
・昔からの友達
・以前からお世話になっている先生
・アルバイト仲間
家族や友達など、自分のことを昔から知っている人や、一緒に過ごした時間が長い人、取り組んだ過程を知っている人であれば、客観的な目線で「◯◯が特技だと思う」「◯◯がうまいよね」と教えてくれる可能性があります。自分では、特技や長所は発見できないことも多いため、分からないときは周りの人に聞いてヒントをもらいましょう。
好きなことから見つける
就活でアピールできる特技が分からないときは、好きなことから特技を見つけてみるのも1つの方法です。これまでの経験を振り返り、熱中していた趣味などを思い出し、特技を見つけましょう。特技といえる例には以下のようなものがあります。
【スポーツ】
・筋トレ
・ジョギング
・登山
・サッカー
・空手
・野球
・剣道
・ゴルフ
・バドミントン
・水泳
・ランニング
【趣味】
・歌
・ピアノ
・ギター
・茶道
・書道
・将棋
・手品(マジック)
・手芸
・ダンス
・映画鑑賞
・アニメ鑑賞
・裁縫
・カラオケ
・マンガ制作
【スキル】
・動画編集
・英会話
・外国語
・TOEIC
・手話
・暗算
・速読
・そろばん
・MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
・Excel
・パソコン
・ゲームアプリ開発 ・デザイン
【その他】
・カフェ巡り
・家具屋巡り
・ドライブ
・モノマネ
・海外旅行
・整理整頓
・DIY
・写真撮影
・イラスト
自分が好きなことなら、特技について詳細に聞かれても返答には困りません。あなたの人柄を、採用担当者に伝えるポイントにもなるでしょう。しかし、趣味など好きなものに関する話をするときには、話が長くなりすぎてしまう人もいるため注意が必要です。なお、2つ以上の特技がある人は、1つに絞ることをおすすめします。要点を絞り、簡潔な伝え方ができるよう、答えを用意しておきましょう。
ただ、好きなことであっても政治や宗教、または犯罪を想起させるものなどは避けておいたほうが無難です。
評価や感謝をされたことを探す
過去に評価されたり感謝されたりしたことから、自分の特技を探すのもおすすめです。就活で特技が分からないときは、これまでに高い評価をもらったこと、成功体験、高評価を得たことなどを思い出しましょう。
・アルバイト先で良い評価をもらったこと
・勉強で特に成績の良かった科目
・表彰されたこと
・周りによく褒められること
例えば、周りの友達や先輩などから「人見知りしないことが良い」と褒められるなら、誰とでも仲良くなれることを特技にする、といった具合です。実体験からの体験談を一言添えると、より納得感を得られます。
ほかにも「アイデアを思いつくのが得意」などを特技として挙げれば、商品開発の企画職やマーケティング職に応募するときにも、資質があると見込まれて選考に良い影響を与えることがあるかもしれません。業務内容に近いことで、プラスのイメージで捉えられそうなものは積極的にアピールしましょう。
評価されたことや感謝をされたことなどの特技の回答例には、以下のような項目があります。
・スケジュール管理が得意
・記憶力が良い
・忍耐力がある
・行動力がある
・観察力がある
・リーダーシップ力がある
・リスク管理が得意
・悩みの相談に乗れる
・いつでも冷静さを保てる
・計画性をもって行動できる
・チームワークで力を発揮しやすい
・ゴールから逆算して物事を考えられる
・ストレス解消が上手
・アイデアが出せる
・想像力が豊か
・目標達成のために効率的に行動できる
・お金の管理や節約が得意
・前向きに物事を考えられる
・書類の整理が得意
・手先が器用
・人の名前と顔を覚えるのが得意
例文付き|就活でアピールできる特技のジャンル別一覧
ここからは、就活でアピールできる特技の例と、その例文を紹介します。ぜひ参考にしてください。
【スポーツ・運動系】体力と継続力をアピール
運動経験は、シンプルに「体力がある」「精神的にタフである」という証明になります。また、長期間続けているスポーツがあれば、一つのことをやり抜く「継続力」としても高く評価されます。体育会系の部活でなくても、個人の趣味レベルで問題ありません。
特技の例
ランニング、筋トレ、水泳、球技全般、ヨガ、ダンス、登山
【設問】 趣味・特技 【回答】 趣味は筋トレです。特技はベンチプレスです。自己最高記録としては、90キロ持ち上げた経験があります。体を動かすことで気持ちをリフレッシュさせています。フォームの改善や重量の調整など、試行錯誤を繰り返しながら行う点も、一つの魅力だと感じています。 ※出典:明治安田システム・テクノロジー|システムエンジニア(東京勤務)2026年卒本選考のES
【文化・芸術系】感性と集中力をアピール
書道や楽器、絵画などの文化的な活動は、「集中力」や「感受性の豊かさ」をアピールするのに最適です。特に、段位や資格を持っている場合や、幼少期から長く続けている習い事は、「一つの道を極める姿勢」として好印象を与えます。
特技の例
書道、ピアノ・ギター等の楽器、イラスト、速読、ハンドメイド、着付け
【設問】 趣味・特技・特に力を入れて学んでいるテーマ(ゼミ・研究)を教えてください。 【回答】 趣味及び特技は舞踊であり、現在は大学公認フラダンスサークル、◯◯◯に所属している。◯◯大会2024の団体部門では、連覇を果たし、◯◯賞も受賞した。大学では多文化社会論ゼミに所属し、現在でも世界で戦争が続く中、文化の多様性を理解し、いかに共存するべきかについて研究中である。 ※出典:東武鉄道|ポテンシャル採用(総合職)2026年卒インターンシップ選考のES
【IT・スキル系】実務能力と学習意欲をアピール
現代のビジネスシーンで即戦力となるITスキルや語学能力は非常に強力な武器です。単に使えるだけでなく、「効率化への意識が高い」「新しい技術を学ぶ意欲がある」という知的好奇心の裏付けにもなります。事務職やエンジニア職以外でも有効です。
特技の例
速読、動画編集、Excel(関数・マクロ)、プログラミング、SNS運用、情報収集
【設問】 趣味、特技について教えてください。 【回答】 趣味は散歩をしながら街並みや空模様の移り変わりを観察することだ。季節や時間によって変わる風景は、同じ場所でも毎回新鮮で、日常の中で気づきを与えてくれる点が魅力的だ。特技は英文の速読だ。さらにスキルを磨くため、1カ月に3冊の英語小説を読み切ることを自身に課している。今年の〇月のTOEICでは、〇〇点を達成した。 ※出典:阪急阪神不動産|総合職2027年卒インターンシップ選考のES
【生活・習慣系】自己管理能力と人柄をアピール
特別なスキルでなくても、日常生活の中にある「ちょっとした得意」は立派な特技です。料理や整理整頓などは「丁寧な性格」や「段取り力」、早起きや節約は「自己管理能力」のアピールになります。人柄が伝わりやすく、面接官に親近感を持たれやすいジャンルです。
特技の例
料理、早起き、整理整頓、フリマアプリ出品、節約、地図を覚える
【設問】 趣味特技(100文字以内) 【回答】 私の特技はメルカリ出品だ。商品の魅力を引き出す写真撮影と、購入者の心理を読んだ説明文作成により、3年間で約400点を販売した。平均評価5.0を維持しており、マーケティング感覚と顧客目線での思考力を身につけた。 ※出典:みずほリース|総合職2027年卒インターンシップ選考のES
【ユニーク・面白系】印象に残る個性をアピール
面接官の興味を惹き、場を和ませる「アイスブレイク」として有効なのがこのジャンルです。「えっ、それ何?」と聞かれることで会話が弾みます。ただし、ただふざけるのではなく、そこからコミュニケーション能力や観察眼などの強みに繋げることが重要です。
特技の例
イントロクイズ、モノマネ、人の顔と名前をすぐ覚える、どこでも寝られる、利き〇〇
【設問】 趣味・特技 【回答】 私の趣味は旅行に行くことです。列車での移動を楽しむのが主な目的で、冬期休暇には青春18きっぷを使って東京や東北への移動を楽しみました。特技はどこでも寝られることです。むしろ悪環境の方が寝坊のリスクを抑えられます。 ※出典:トラストネットワーク|番組制作部門2025年卒インターンシップ選考のES
通過率アップ! 履歴書・ESへの特技の書き方・ポイント
「特技は何ですか?」という問いは、単なるアンケートではありません。あなたのプレゼン能力や、強みをどう仕事に生かせるかを見る重要な項目です。読み手に「おっ!」と思わせ、通過率を高めるための書き方のポイントを解説します。
結論ファーストで簡潔に書く(構成テンプレート)
採用担当者は膨大な数の履歴書に目を通します。ダラダラとした説明は避け、パッと見て内容が入ってくるように「結論から書く」のが鉄則です。以下のテンプレート(型)に当てはめて書くと、論理的で伝わりやすい文章になります。
結論: 私の特技は〇〇です。 理由・詳細: 具体的には、〇〇(期間や頻度など)してきました。 仕事への生かし方: この経験で培った〇〇を、貴社の業務でも生かします。
具体的な数字や実績(エピソード)を盛り込む
「昔から得意です」「かなり自信があります」といった曖昧な形容詞は、人によって受け取り方の基準が異なるため、採用担当者にはあなたの実力が正確に伝わりません。説得力を生む最大の鍵は、定量的な指標(数字)に変換することです。
特技のエピソードを書く際は、以下の4つの視点で数字を探し、盛り込んでみてください。
期間・継続年数: 「小学校から12年間続けている」 頻度・量: 「週に5日ジムに通っている」「年間100冊の本を読む」 規模・人数: 「部員80名のチームで」「300人の前で演奏した」 順位・スコア: 「県大会ベスト8」「TOEIC 850点」
このように数字を入れることで、あなたのスキルレベルだけでなく、「継続力」や「実行力」といったビジネスに通じる能力まで、読み手に具体的にイメージさせることができます。
入社後の仕事への再現性を意識する
特技の欄は、ただの自慢大会ではありません。最終的なゴールは、その特技を通じて「私は入社後に活躍できる人材です」と証明することです。
特技そのもののスキル(例:絵が上手い)が直接業務に関係なくても構いません。その特技を習得する過程で得た「粘り強さ」「計画性」「観察力」などのポータブルスキル(持ち運び可能な能力)に焦点を当て、「この力は仕事でも再現できます」と結びつけることが重要です。「この特技を持つ学生なら、うちの仕事も任せられそうだ」と面接官に連想させれば勝ちです。
嘘はNG! 自分らしさを伝えることが最優先
「目立つためにすごい特技を書かなければ」と焦るあまり、嘘や過度な誇張をするのは絶対にNGです。面接では特技について深掘りされることが多く、嘘をついていると具体的なエピソードが話せなくなり、すぐにバレてしまいます。そうなれば「信用できない人物」として不採用は免れません。
特技欄の目的の一つは、あなたという人間を知ってもらうための「会話のきっかけ」作りです。背伸びをした嘘の自分よりも、等身大の自分が熱量を持って語れる「本当の特技」を書くことこそが、結果として内定への一番の近道になります。
書く前にチェック! 就活で避けるべきNGな特技
特技は基本的に自由ですが、就職活動はあくまでビジネスの場です。「この人を採用して大丈夫か?」と不安を抱かせるものや、社会人としての常識を疑われるような内容は避けるのがマナーです。以下の4つのNGポイントを確認しておきましょう。
ギャンブル・公序良俗に反する内容
パチンコ、スロット、競馬、麻雀といったギャンブル性の高い趣味を特技として書くのは避けましょう。たとえ「データ分析が得意」「確率計算に強い」というアピールにつなげる意図があっても、採用担当者には「金銭感覚に問題があるのではないか」「仕事中もギャンブルのことばかり考えるのではないか」といったネガティブな印象を強く与えてしまいます。
また、過度な飲酒や夜遊びを連想させるものも、「自己管理ができない人」と判断される可能性が高いため避けるのが無難です。これらは親しい友人との会話だけにとどめ、履歴書には記載しないようにしましょう。
政治・宗教に関する内容
個人の思想・信条に関わる「政治活動」や「宗教活動」に関する内容は、就活の場では持ち出さないのが鉄則です。これらは個人の自由が保障されているデリケートな領域であり、業務遂行能力とは直接関係がありません。
特定の政党の支持や宗教活動を熱心にアピールすると、読み手によっては予断や偏見を持たれたり、「職場に特定の思想を持ち込んでトラブルを起こすのではないか」と警戒されたりする恐れがあります。面接官の背景も様々ですので、リスクを避けるためにも、思想信条に関わる話題は避け、業務適性のアピールに直結する話題を選びましょう。
「特になし」や空欄での提出
履歴書の特技欄を「特になし」と書いたり、空欄のまま提出したりすることは、絶対にやめましょう。これは「私にはアピールポイントがありません」と宣言しているだけでなく、「自己分析を十分に行っていない」「入社意欲が低く、履歴書を埋める労力を惜しんでいる」と受け取られてしまいます。
特技欄は、あなたの魅力を伝えるための貴重なスペースです。前述したように、特技は些細なことでも構いません。空欄で提出することは、自分をアピールするチャンスを捨てているのと同じです。必ず何かしらの記載をして、面接での会話の糸口を作りましょう。
嘘や話を盛りすぎた内容
自分を良く見せたいからといって、できないことをできると偽ったり、実績を過度に盛ったりするのは厳禁です。面接官はプロですので、深掘りした質問をいくつか投げかければ、実体験に基づかない嘘はすぐに見抜かれます。
もし「英語が得意(実は全く話せない)」と嘘をついて入社できたとしても、実務で対応できずに自分が苦しむことになります。何より、就活において最も重視されるのは「信頼性」です。たった一つの嘘がバレるだけで、「この学生の言うことは信用できない」と判断され、他のアピール内容がどれほど素晴らしくても不採用に直結します。等身大の自分で勝負しましょう。
面接で「特技」を聞かれた時の答え方と注意点
ここでは、好印象を残すための話し方のコツと、実演を求められた場合の対応策を解説します。
履歴書・ESと矛盾しない内容を話す
面接官は手元の履歴書やエントリーシート(ES)を見ながら質問をしています。ここで書類に書いた内容と全く違う特技(例えば、書類には「ピアノ」と書いたのに、口頭では「テニス」の話をするなど)を答えてしまうと、「一貫性がない」「書類を使い回しているのではないか」と不信感を与えてしまいます。
基本的には、書類に記載した項目について話しましょう。その上で、書類の限られたスペースには書ききれなかった「苦労したエピソード」や「その特技を習得する際の感情(楽しさや悔しさ)」を口頭で補足することで、話に深みが生まれ、あなたという人物の解像度が上がります。
長々と話さずキャッチボールを意識する
特技は自分の好きな分野であるため、つい熱が入って話しすぎてしまう人がいます。しかし、面接は演説の場ではなく、会話(キャッチボール)の場です。最初の回答は「結論+簡潔なエピソード」で1分以内(長くても40秒〜50秒程度)にまとめましょう。
あえてすべてを語り尽くさず、「もっと詳しく聞きたい」と面接官に思わせる余白を残すのがテクニックです。「〇〇という大会にも出たのですが……」と少しだけ触れて相手にパスを渡すことで、「その大会の結果はどうだったの?」と追加質問を引き出しやすくなり、自然と会話が弾むようになります。
実演を求められた場合の対処法
「モノマネ」や「語学」など、その場でできるものは、恥ずかしがらずに堂々とやり切りましょう。実際に披露することで、嘘偽りのない特技であるという信憑性が高まります。
一方で、物理的に不可能なもの(水泳や料理など)だった場合も、焦る必要はありません。「ここでお見せできないのが残念ですが」と一言添え、印象深いエピソードで魅力を補足しましょう。
就活の特技に関するよくある質問(FAQ)
最後に、特技欄の記入について、就活生から寄せられることの多い疑問をQ&A形式でまとめました。些細な迷いを解消し、自信を持ってエントリーシートを提出できるようにしておきましょう。
記入欄(指定文字数)が小さい場合はどう書けばいい?
履歴書のフォーマットによっては、特技欄が1行しかない場合もあります。その際は、無理に文章にせず「箇条書き」や「体言止め」を活用して情報を凝縮させましょう。
例えば、「料理(3年間毎日継続。冷蔵庫の余り物で30分以内に3品作成)」のように、「特技名+カッコ書きで具体的な実績・数値」という形式がおすすめです。「〜が特技です」といった丁寧語を省き、事実だけを端的に伝えることで、限られたスペースでも情報量を落とさずにアピールできます。
志望職種と全く関係ない特技でも大丈夫?
全く問題ありません。 むしろ、業務と直接関係がない特技の方が、あなたの意外な一面や人柄を伝える良いチャンスになります。
例えば、事務職志望で「特技:キックボクシング」であれば、「ストレス解消が得意で精神的にタフ」という印象を与えられますし、営業職で「特技:手芸」であれば「手先が器用で緻密な作業も得意」とアピールできます。重要なのはスキルそのものではなく、そこから透けて見える「あなたの性格」や「取り組み姿勢」が企業風土とマッチするかどうかです。
すごい実績(大会優勝など)がなくても平気?
もちろん平気です。 全国大会優勝や段位といった輝かしい実績を持っている学生はごく一握りであり、企業もそこまでのレベルは求めていません。
評価されるのは結果の凄さではなく、「なぜそれが得意と言えるのか」「どれくらい継続しているのか」を自分の言葉で語れるかどうかです。「近所の野良猫とすぐに仲良くなれる」「キャベツの千切りが早い」といった日常的な特技であっても、その背景にある独自の工夫やエピソードを笑顔で話すことができれば、コミュニケーション能力の証明として十分に武器になります。
まとめ
就活で特技が問われる理由は、就活生の人柄や、企業にあった人材であるかを見極めるためです。また、就活生の緊張を解きほぐすというアイスブレイクとしての意味合いもあります。
特技が見つからない場合は、過去を振り返る、身近な人に聞くという方法があります。または、習慣化していることなどから探してみるのも良いでしょう。例文や回答方法のポイントなどをチェックした上で、自分らしい特技や仕事への熱意の高さをアピールしていきましょう。
