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「企業側の都合で学生のキャリアの選択肢を狭めない」 インターンを通して見える三井物産のこだわり

企業インタビュー 企業理解 インタビュー 商社 日系
2021年4月7日(水) | 10,688 views
sponsored by 三井物産

2022年卒の就活は、新型コロナウイルスの影響で例年と大きく変わりました。

企業説明会や選考もそうですが、最も大きな影響を受けたのは「インターン」でしょう。対面での接触が制限される中、やむを得ずインターンを縮小した企業も少なくありません。


その一方で、コロナ禍だからこそインターンを強化する企業もいます。総合商社の三井物産もそんな1社で、今年は2月〜4月にかけて5種類のインターンを実施。AI(人工知能)開発企業のPreferred Networksとコラボレーションしたデジタル人材向けのインターンは経済誌などでも話題になりました。


今までになくインターンに注力する裏側には、どのような考えがあるのでしょうか。三井物産の田渕さんと廣田さんに聞いてみました。

今回のインターンは「選考プロセスの一環」。正々堂々と明言

──ワンキャリアに寄せられたクチコミでも、三井物産のインターンは好評です。今年はインターンを5種類に増やし、大学院生向けのプログラムやDX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマにしたものなど内容も多様化していますが、どのインターンにおいても参加者に対して「選考プロセスを一部免除する場合がある」と明記している点には驚きました。「3月説明会、6月選考」という、いわゆる「就活ルール」が撤廃され、三井物産の採用も変わりつつあると感じます。どのような狙いがあるのでしょうか?


田渕:私たちにとってインターンというのは、当社を知ってもらうための機会の一つです。それはこれからも変わりませんが、「三井物産の採用選考は6月にしか始まらない」ということが理由で、キャリアの選択肢から当社を外してしまっている方も多くいるのではないか、という課題意識が当社にとってのインターンのあり方を見直すきっかけでした。


──インターンを選考の一部として活用すると伝えているのですね?


田渕:はい。インターンに参加するためには複数回面接を受けていただきます。それを通過してインターンでも活躍いただいた方に、また最初のプロセスから本選考を受けてくれ、というのは学生にとっても有意義な時間の使い方だとは思えません。

インターンを通して時間をかけてコミュニケーションをしていく中で、参加者の方が「ぜひ三井物産で働きたい」と感じ、当社もその参加者に「ぜひ次の選考プロセスに進んでもらいたい」となれば、本選考のプロセスを一部免除するとお伝えすることにしました。私たちはこれを「Fast Track」と呼んでいます。

※2021年卒向けインターンシッププログラム

進む就活の早期化、学生の「キャリアの選択肢」を減らさないために何ができるか?

──あくまで内定を出すのが6月以降というのは、これまでと変わらないということですね。


田渕:はい。インターンに参加できなくても当社に興味を持っていただいている学生の皆さんには、例年通り6月選考に応募いただきたいと考えています。大多数の選考を6月に実施することは変わりません。従って内定を出すタイミングは一律6月以降としています。

ただ、選考開始のタイミングも一律6月以降としてしまうと、たとえ当社に興味を持っていても6月まで待てずに就活を終えてしまう方がいる。これは結果として当社がこうした方々のキャリアの選択肢を狭めていることになってはいないか、という考えからさまざまなインターンを企画しました。 

田渕 順司(たぶち じゅんじ):三井物産株式会社 人事総務部 人材開発室 室長。入社後、財務部にて国内・輸出決済業務を担当し、人事部に異動後は海外人事関連業務に携わる。2000年より情報産業本部(現ICT事業本部)に異動しITソリューションビジネスに従事。2004年には関係会社に出向し同社の経営改革に取り組む。その後、環境ビジネスを志し、エネルギー第一本部にて水素・燃料電池関連の新規事業開拓に邁進(まいしん)。2010年にはシリコンバレーの関係会社に出向しベンチャー投資に従事。2012年からは金属資源本部に異動し石炭プロジェクト管理と石炭販売を担当。2015年にシンガポールで金属資源物流の責任者を務める。帰国後ニッケルの物流室の室長を経て、2020年4月から現職。


廣田:自分自身も含め、「選考の時期」がネックになりキャリア選択をしていることが少なくないように思います。「もっと早いタイミングで商社を知っていれば、選考を受けることができれば、選択肢の一つとして考えていたかもしれない」。学生へのヒアリングの中でもそう答えた方は多かったです。

就活は本来、自分のこれからのキャリアを自分自身で選んでいくものであると思いますが、現状企業側の都合でキャリア選択が制限されてしまっている側面もあるように思えます。2年前に始めた「オワハラホットライン」も、企業の都合でキャリア選択が制限されてはならないというフィロソフィーから生まれたものでした。


──なるほど。企業側の都合で、学生の「キャリアの選択肢」を減らすことはあってはならないと。


廣田:はい。それぞれの学生が第一志望の企業を絞り込む時期に、三井物産という選択肢を示したいと思っています。

また別の観点では、就活時に知ることができる情報が限られている現在の就活マーケットにおいては、企業ブランドや就職難易度といったものがキャリア選択の決定要因になってしまう側面があることは現状、否めないと思います。自分の就活にもそういう面がなかったわけではありませんが、就活がゲーム化してしまい、内定を獲得することがゴールとなってしまいかねない状況に強い危機感を持っています。

インターンというのは、それを解決する一つの手段になると考えます。この会社はどんなことをやっているのか、どんな人がいるのかを五感で感じ、自分自身はどんな活躍ができるのかをイメージしていただける機会を作る。社会人としての一歩をどのように踏み出すかを決める就職活動において、インターンという「リアルな職場体験」を通して有意義な経験をしてもらうという目的で、従来のプログラムをドラスティックに進化させました。

廣田 祐(ひろた ゆう):三井物産株式会社 人事総務部 人材開発室にて新卒採用を担当。2019年の入社から現職にて、採用広報マテリアル(ウェブサイト・採用パンフレット)の作成、採用広報企画の他、海外の大学に正規留学する学生を対象とするグローバル採用、デジタル人材を対象としたDXインターンシップなどを担当。

進化する「リアルな職場体験」。他業界からのインターンからも学んだ

──「リアルな職場体験」というのは、どのような形で実現するのでしょう?


田渕:2020年6月に三井物産はオフィスを移転したのですが、今のオフィスはフリーアドレスで、社外の人が使えるオープンスペースや部門の壁を越えてプレゼンや議論をするピッチエリアもあります。これまでのオフィスからは想像がつかないほど、画期的でクリエイティブな環境が整っています。インターンではこうした職場環境も体感してもらおうと考えています。


──最近は、新型コロナウイルスの影響もあってオンラインで完結するプログラムも増えていますが、オフィスで実施することにもこだわっていくと。


田渕:はい。どうしても学生や社員の安全を確保するためにオンラインに切り替えざるを得なかったプログラムもありましたが、参加いただいた方に「働く場所」を鮮明にイメージしていただくことはインターンを通して伝えたい重要なことの一つです。

加えて、状況次第ではありますが、社員とともに出資先やパートナーを訪問して打ち合わせに参加するなど、普段の業務に近い経験をしていただく仕組みにできないかと工夫を凝らしています。


廣田:外資系コンサルティングファームや投資銀行では、実際にチームの一員になって働くインターンを採用プロセスの段階で実施していると聞きます。入社する前から仕事をどう進めていくかといったことを、身をもって知ることができるのは学生のキャリア選択において重要な意味を持つと考えます。

外コンや外銀に就職した友人や学生からは、インターンがキャリア選択の決め手になったという声を多く聞きます。私たちが説明会で魅力的な仕事の環境があることを伝えても、誰とどんな仕事をしていくのか、明確な職場のイメージまで持っていただくことは難しい。


──それで「現場受け入れ型」のインターンを企画したと。学生からは三井物産の飾らない現場を見られる、貴重な機会となりそうです。


田渕:正直に言いますと、私自身は事前に、つまり入社する前に得られる情報が多いのは必ずしも良いことばかりとは限らないと思っています。入社後に経験を積み、視野も広がってくれば見える世界も本人の感じ方も変わっていきますから。むしろ未知の世界に思い切って飛び込んでみようという気概を持っていてほしいなと思います。

ただ、そういう気概も持ちながら、「商社の現場ってどんなものだろう」という好奇心を持っている人に応えたい、応えようとするからにはありのままの職場をリアルに感じられるプログラムにしたいと思っています。学生にとって心地の良いことだけを言っても本当の姿は伝わらないですから。

新進気鋭のAI企業とのコラボレーション。企画したのは2年目の若手だった

──ありがとうございます。ここからはデジタル人材向けのDXインターンについてのお話を聞ければと思います。新進気鋭のAI企業Preferred Networks(以下、PFN)とのコラボレーションということで、話題になりましたが、他社と連携したプログラムは珍しいように思います。どのような経緯で生まれたのでしょうか。


廣田:三井物産がCDO(Chief Digital Officer. 2020年からCDIO:Chief Digital Information Officer)を設置し、DXに注力し始めたのは2017年のことです。翌年には社内にデジタル人材の専門チームが組成され、新卒でもデジタル人材を採用してきました。

ただ、当社が本気でデジタル人材を求めているということが必ずしも広く認知されておらず、特に新卒採用では「商社=文系就職」というイメージがあり、ITやデジタルにバッググラウンドを持つ人の就職先として選択肢に挙がりづらいのではないかと感じていました。そこでデジタル人材に特化したインターンを実施しようと考えたわけです。

デジタル人材が当社でどんな活躍をしているか、デジタルの力を活用して進化させられるリアルな現場が当社にはたくさん存在するということを実際に体感いただきたかったのです。


──PFNとのコラボレーションにどんな意図があるのでしょう? 初めての取り組みということで、苦労も多かったのではないかと思いますが。


廣田:当社にとってPFNは重要なパートナーで、これまでに多くの協業の実績があります。PFNの力をお借りすれば、「デジタル×ビジネス」で進化する面白い現場が当社には山のように存在するということを、よりリアルに体感いただけるのではないかと考えました。またPFNとともにインターンを実施することで、これまで三井物産を知らなかったデジタル人材も当社に興味を持ってもらえるのでは考えました。

最初にPFNとのインターン開催を提案したときは、前例がないことでもあったので、「面白そうだけど本当にできるのか?」という反応もありましたが、実行プランを綿密に練って丁寧に説明をし、周囲を巻き込んでいった結果、本当に多くの方にサポートいただくことができ、実現につながりました。

──このプログラムでこだわったポイントを教えてください。


廣田:2つあります。一つ目は「ディスカッションだけで終わるワークにしない」ということ。三井物産というプラットフォームを活用したデジタルトランスフォーメーションの醍醐味(だいごみ)を理解いただく上では、ソリューションとしてのデジタル技術を実際のプロトタイプを作るところまで落とし込んで議論することが重要だと考えたのです。

この点は、PFNの社員の方々とのディスカッションも経ることで、リアルなソリューションの提案につながったと思います。10日間のプログラムでしたが、最終プレゼン会では当社の執行役員、PFNのCTO(最高技術責任者)も参加しました。


──それはすごい。ハッカソンやビジネスコンテストにも近い形ですね。


廣田:もう一つは、三井物産のプラットフォームを活用することで他では実現できないビジネスアイデアを考え出してもらう仕掛け作りです。当社の持つ多様な事業領域、資金力、ネットワークなどを活用したビジネスモデルを構築していただくために、当社側のアドバイザーはデジタルを専門に扱っている社員だけでなく、事業部門で営業の最前線で活躍している社員も参加しました。


──三井物産とPFNがどのような関係で仕事をしているのか、ということも分かると。


廣田:そうですね。インターンではプログラムの前半は主に三井物産の社員と、後半はPFNの社員とより深く関わることになりました。前半では事業開発サイドからの視点で、業界が抱える課題を整理して攻め筋を考えます。

一方の後半は、考えたビジネスモデルをデジタルの力を使って、実際にどうプロダクトやサービスに落とし込むのかをPFNの方とのディスカッションを踏まえて具体化していただきました。実際に当社がDX案件のプロジェクトを進めるときと同じような流れになるよう、意識しました。


──このプログラムを作るのに、どれくらいかかったのですか?


廣田:9月ごろに構想を始めて、11月にPFNに打診したので2カ月くらいだと思います。本当にさまざまな方に協力していただきました。


──これだけ中身の濃い企画を、結構な短期間で煮詰めていったわけですね。


廣田:そうですね。このスピード感をもってボトムアップで造り上げていけるところが当社で働く醍醐味の一つだと思います。

当社がDNAとして掲げる「挑戦と創造」はいわゆる営業と言われる事業本部だけの話ではなく、人事においても同じで、本当に社内に浸透しているカルチャーだなと感じます。休む間もなく考え続けるので、少し息切れしてしまうこともありますが……(笑)。


田渕:三井物産ってそういう会社ですよね。「議論して、まずはやってみよう」という文化があります。

インターン、そして社員との議論を通して伝えたい「商社の仕事とスピリット」

──今年は、大学院生を対象としたインターンシップも実施されていましたね。


田渕:大学院生の方から、いわゆる日系大手の就活が本格化する3月〜6月は研究活動が忙しく、思うように就職活動に時間を割けないという話を聞きました。結果、早期に内定をもらった会社に就職を決めてしまうと。こうした学生の中にも、当社に興味を持っていただいている方は存在し、研究活動が忙しくなる前に当社を就職先として検討する機会を提供できればと考え、企画しました。

また、インターンのアドバイザーには院卒の社員を多くアサインすることで、研究活動における試行錯誤や物事の本質を見極めようとする思考方法が、世の中のさまざまな課題をビジネスとして組み立てていくことにどのように役立つかを少しでも感じ取ってもらえるように工夫しました。

──インターンを通して、三井物産のどのような魅力を伝えたいと思いますか?


廣田:これはセミナーでもよく話すのですが、私たち採用チームは「三井物産には魅力的な仕事がある」ということだけでなく、「三井物産というプラットフォームをフルに活用すれば、今までにない新しい価値を生み出せる」ということを伝えたいと思っています。インターンを通して、まさにこの点を感じ取っていただきたいと考えています。


田渕:当社の仕事は、特定の商品や業界に捉われないものであり、学生の皆さんから見れば何でもできそうだと感じる反面、その多様さや発想の自由さが、具体的に何をやっている企業体なのかを分かりづらくしているようにも思います。

世の中は常に変化しており、われわれもその変化に合わせたり、先取りしたりしながら商機を見いだすべく常に自らを変革し続けています。学生の皆さんには当社の仕事をできるだけ分かりやすく伝えたいと思いながらも、取り組みが多岐にわたり、挑戦しないと何も生まれない世界でもあるからこそ、「これが商社の仕事です」と端的に言い表そうとすると、どうしても抽象的な説明にならざるを得ないというもどかしさも感じます。

だからこそ、インターンという機会を通じて、実際に当社の仕事の一端を体感してもらうことが大事だと感じています。必ずしも分かりやすい正解がない世界だからこそ、ワクワクできるという人に当社に来てほしいと思いますし、そのスピリットを社員との議論を通じて感じ取ってほしいですね。


──廣田さんは、どういう人に三井物産に来てほしいと思いますか?


廣田:変化を楽しめる人、またその変化を自分から作りたいと思う人と一緒に働きたいと思います。三井物産はそのような人にとっては最高の環境だと思いますが、そうではない人にとっては少し居心地の悪い環境かもしれません。

──ありがとうございました。最後に就活生へのメッセージをお願いします。


田渕:今回は主に当社でのインターンについて紹介いたしましたが、当社を知っていただく機会はOB・OG訪問や各種セミナーなど、幅広く用意しています。どのような機会であっても、一期一会の気持ちをもって、皆さん一人ひとりと真剣に向き合いたい、その上で皆さんにとって最善の選択につながる力に少しでもなれればと思っています。

コロナ禍でのいろいろな制約が全てなくなったわけでもなく、焦ったり不安になったりするときもあるかもしれませんが、ぜひ自分自身が納得する就職活動を最後までやり切っていただきたいと思います。


廣田:今後も採用に関するイベントは続けていきますが、単に会社を分かってもらうだけでなく、学生の皆さんにキャリアを考えてもらう機会として就活を使ってほしいと考えています。

2021年卒の選考からES(エントリーシート)に「自分史」の課題を設けたのですが、これには「自分史」を作る過程を通して自己分析に生かしてほしいという思いがあります。企業に選ばれるのではなく、学生の皆さんが納得いく形で就職先を選ぶという観点で三井物産を見てほしい。ぜひ、就活でも三井物産を使ってほしいですね。

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