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変化は当たり前。だから人も企業も成長する。新規事業の宝庫・オリックスの人材育成術

企業インタビュー インタビュー 金融 日系
2020年10月12日(月) | 13,611 views
sponsored by オリックス

「名前は知っているけれど、一体何をしている会社なのだろう」。志望企業を絞り込むとき、こう思った経験がある人もいるのではないでしょうか。


オリックスもそうした企業の1社かもしれません。プロ野球チームや、イチローさんが出演するCMでおなじみの同社は、創業時から事業の多角化を進めてきました。金融事業のイメージを持っている方も多いかもしれませんが、近年も水族館運営や太陽光発電事業、空港運営に携わるコンセッション事業など、金融とは無関係にも見える領域へも事業を拡大しています。一方で、事業領域が幅広くなっているがゆえに入社した際のキャリアはイメージがしづらい点もあるかもしれません。

新規事業を創出し、変化し続けるオリックスでは、どんな人材が育っているのでしょうか。グループ人事部長の三瀬さんにお聞きしました。

実態をつかみづらいのは「隣へ、そのまた隣へ」と事業領域を拡大しているから

──本日はよろしくお願いします。まずは、オリックスの事業について教えていただけませんか。学生の中には「名前は知っているけれど、何をしている会社かは知らない」という人もいるかと思いますので……。


三瀬:当社はさまざまな事業を展開しているので、よく「分かりにくい会社」と言われます。実際に、私も就職活動を始めた頃はプロ野球チームのことは知っていましたが、事業については詳しく知りませんでした(笑)。

三瀬 勝之(みせ かつゆき):オリックス株式会社グループ人事部長。

1995年新卒入社。大阪や名古屋で法人営業を経験した後、地域営業本部、本部統括室、広域事業部、業務改革室でチーム長を歴任。2017年にオリックス不動産株式会社に出向し、社長補佐などを経験。2019年から現職。


──具体的に、どのような事業分野があるのでしょうか。


三瀬:大きく分けると、法人金融サービス、自動車リースやパソコンレンタルのメンテナンスリース、不動産、事業投資、リテール、海外事業などがあります。ただ、リテール事業だけでも生命保険、銀行、カードローンなどサービスは多岐にわたりますし、新規事業にも投資をしています。


──事業領域が拡大していった背景には何があるのでしょうか。


三瀬:オリックスは1964年に創業し、当時は新しい金融手法であった「リース」を日本に導入しました。機械設備をはじめとしたあらゆる「モノ」を貸すことで収益を得るビジネスモデルなので、「金融」と「モノ」、2つの専門性が磨かれました。

その経験やノウハウを生かして、リース事業に隣接する事業領域に進出し、またその隣の事業領域へと進出してきました。この「隣へ、そのまた隣へ」を繰り返してきた歴史があるので、一見すると関連性のない事業も、リース事業が原点にあります。

※引用:オリックスHP「オリックスの事業」


──創業から50年余りで随分と事業領域が幅広くなったのですね。


三瀬:1995年に私が入社した以降も、さまざまな新規事業が誕生しています。例えば水族館の運営、そして太陽光発電事業も始めました。まさか発電事業を手掛けることになるとは、入社時は想像もしていませんでした。


──なぜ、そこまで新しいことに挑戦できたのでしょうか。


三瀬:創業当初の経営哲学の1つが「自分の足で立つ」でした。当社の成り立ちをさかのぼると、3つの商社と5つの銀行によって設立されています。今の時代でいう「合弁ベンチャー企業」のようなものです。社員も株主各社から出向してきた混成部隊のようなものでした。

その状況に対し、当時の経営トップは「親会社ありきでは会社は成長しない、自分の足で立つべきだ」と旗を掲げ、親会社に戻るという退路を断ったそうです。自立の道を選んだからこそ、生き残っていくためには新しいことに積極的に挑戦しなければいけませんでした。


──なるほど。創業時のベンチャー精神を忘れずに成長してきたのですね。


三瀬:そうですね。原点を大切にしながら事業領域を拡大し、規模も大きくなっていきました。創業時は13人だった社員数も今ではグループ合計で3万人を超え、2020年3月期の当期純利益は3,027億円に上ります。一方で、事業セグメント別の利益を見てみると、祖業である法人向けの金融サービスに偏ることなく、海外や環境エネルギーなどさまざまな事業領域から得た利益の割合も高く、多角化を進めてきたことが分かると思います。

金融との掛け算が新規事業に。変化をいとわず、リスクを見極める 

──新規事業にどんどん挑戦できる環境があるのは魅力的ですね。一方で、私が就活生だったら「若手から新規事業に挑戦できるのか」は気になる点です。


三瀬:入社1年目であっても周りや上司に「こういうことをやりたい」と言うのは大歓迎です。やりたいことがあったとき「何を何年経験しなければいけない」といった条件はありません。ただし、それが本当に実現できるのかどうかはシビアに見ています。


──シビアに見るのは、どのような点でしょうか。


三瀬:まずは、「お客さまのニーズがあるか」が大事です。私たちが取り組んできた新規事業は、取引先から「こんなことがやりたいのですが」と相談を受けたことをきっかけに始まったものもあります。社会やお客さまから必要とされていることが、ビジネスを始める上での前提となります。

その上で、ビジネスとして成り立つかを見極める力も極めて重要です。その際に生きるのが、当社が強みとするファイナンス能力です。

決算書を見たときに数字を感覚的に捉え、リスクを把握し、事業として伸びるのか伸びないのかを判断できる。こうした能力はどのようなビジネスにおいても重要です。金融をベースに事業を展開してきた当社なら、これまで蓄積してきたファイナンスの知見を生かし、事業の価値を適切に判断できます。


──積極的に新規事業に挑戦しつつも、無謀な賭けはしない。リスクをしっかり見極めている点は、オリックスらしさかもしれないですね。


三瀬:そうですね。金融と何かの掛け算で事業を生み出してきたのがオリックスなので、数字はしっかり見ています。一方で、変わること自体が当たり前だと思っている。これもオリックスらしさです。


──「変わることが当たり前」ですか?


三瀬:どんどん事業領域を広げて今があるというのは、常に変化をしているということです。社員も「現状維持では事業は続かない」という認識は持っていると思います。既存のビジネスをより良くすると同時に、培った専門知識やノウハウを新たなビジネスにつなげられないかを考える。変わらなくていいとは誰も思っていないでしょうね。


──そのような社風を実感する場面はありましたか。


三瀬:いきなり社内で「水族館の運営を始めました」という話を聞くと普通は驚くと思いますが、既存事業を通して培った知識やノウハウをどのような領域で生かすことができるか考える姿勢が根付いているため、社員の間では「まあ、うちならあるかも」くらいの受け止め方でしたね(笑)。


──「オリックスなら、やっても不思議ではない」と(笑)。新しいことを頭ごなしに否定しない社風なのでしょうね。その上で、社内のリソースを生かしながら挑戦できるのも、オリックスの魅力ですね。


三瀬:おっしゃる通りです。新規事業を立ち上げるときは、使えるリソースが多い方が成功する可能性は高いと思います。人材や資金はもちろん、会社が持つ経験値もリソースです。こうした強みを全て生かすことで、組織が大きくなってもスピーディーに事業を拡大できるのだと思います。

想定外の経験も回り回って、良いキャリア形成につながる理由

──入社すると、実際にはどのようなキャリアを歩むことが多いのでしょうか。


三瀬:最初に特定の事業部門に配属されたら、ずっとその道を進んでいくことはあまりありません。部門をまたいだ異動も一般的です。私自身、グループ人事部に異動するまではオリックス不動産株式会社に在籍していました。入社してから10年くらいは国内の法人営業をしていましたし、業務改革室では、業務プロセスの見直しやIT投資の検討などを担当していたこともあります。


──さまざまな部門を経験していくのが一般的なキャリアプランということでしょうか。


三瀬:基本的な方針はそうですが、厳密に決まっているわけではありません。当社のキャリアプランは「入社10年で3部署を経験する」とよく表現されるのですが、2部署しか経験していない人もいますし、5部署の人もいます。ただ、なるべく違うことを経験してもらうという考え方はありますね。


──違うことを経験してもらうことで、どのような人材に育ってほしいのでしょうか。


三瀬:例えば、入社10年後の社員の姿を想像したとき、10年間同じ部署にいた人と複数の異なる部署を経験してきた人では違う視点を持っています。継続することの良さもありますが、さまざまな領域で仕事をした経験は確実にプラスになります。

私自身、自分では想像していなかったような領域の仕事をすることもありましたが、振り返ると良い経験をさせてもらったと思っています。


──自分が想定していなかったことをやった経験が、回り回ってその人にとってプラスに働く、と。


三瀬:それはあると思います。本人の志向でどんどん進むという道もありますが、「次はこのような経験をしてもらった方がいい」と周囲が考えてくれた上で、新たな業務に挑戦することは本人にとって非常に良い経験になるでしょう。

また、さまざまな部署を経験することで変化に対応する力が身に付きます。これは新規事業に挑戦する上でも大事な力です。


──さまざまなことを経験した後は、社員に何か専門性を持ってもらいたいのでしょうか。


三瀬:ゼネラリストかスペシャリストか、どちらかでなければいけないということはありません。両方あっていいと思います。専門的な知識や経験を深めていきたいという人も活躍できるし、いろいろな部門、いろいろな業務で経験を重ねていくことで、自分の役割を広げていくという働き方もあると思います。

会社としてはどちらの選択肢も用意しています。最初から自分はゼネラリスト、スペシャリストになると決めなくても構いません。途中で方針を転換してもいいのですから。

キャリアに挑戦と自由を。「社内転職」できるオリックスならではのサポート体制

──社内で多様なキャリアを選べる点も、オリックスの特徴なのですね。配属先には、どのくらい自分の意思を反映できるのでしょうか。


三瀬:自分の意思を表明できる制度は用意しています。「この部署に行きたい」「こういう仕事をやりたい」と思っているのであれば、年齢に関係なく手を挙げてほしいですね。実際に、制度を使って新しいキャリアに挑戦している人もたくさんいます。


──具体的にどんな制度があるのでしょうか。


三瀬:2005年に「キャリアチャレンジ制度」を始めました。行きたい部署があるときにまず手を挙げてもらう。希望部署と面談をして、その部署がこの人に来てもらいたいと思ったら異動が実現する制度です。実際にこれで異動した人は相当数います。


──社員が自ら手を挙げられる仕組みが整っているのは、良いですね。


三瀬:同じような狙いで「社内インターンシップ制度」もあります。興味がある部署の仕事を実際に体験できる制度です。応募者はこの制度で、短期間、今いる部署を離れて、希望部署での仕事を経験します。その結果、そこに異動したいということであれば、先ほどのキャリアチャレンジ制度を活用します。

社内インターンシップ制度は2017年に始まり、昨年度までにグループ合計で340人ほどの社員が利用しました。その後、実際に異動した人もいますし、今いる部署で引き続き働く人もいます。インターンに参加したら必ず異動しなければいけないというわけでもありません。他部署に行ってみることで、自分がいる部署や他部署を多面的に見られるようになるという良さもあります。


──まるで同じ会社にいながら転職に挑戦できるような制度ですね。


三瀬:転職に近い点はあるかもしれませんね。お金を貸す仕事をしていた人が旅館やホテルの開発や運営をするということも可能ですから。


──面白いですね。オリックスに入れば「キャリアアップのために転職しようか」と悩まなくても良さそうです。


三瀬:やりたいことがあれば、まずはオリックスでやってみればいいと思います。「ビジネスとして今はできない」という判断は当然ありますが、今は手掛けていないビジネスでも「こういうことをオリックスでやりたい」と思って入社してくる人も歓迎したいです。


──逆に「今はやりたいことが明確ではないが、オリックスで働く中で見つけていきたい」という人はいかがでしょうか。


三瀬:大歓迎です。就職活動のときにやりたいことが決まっている人の方が少ないのではないでしょうか。弊社は幅広い分野を扱っているので、さまざまな可能性、選択肢があるのが強みです。


──オリックスに向いている人はどのような人だと思いますか。


三瀬:会社の規模は大きくなっていますが、常に変化しなくてはいけないと思っています。変化を受け入れ、挑戦する人にぜひ入社していただきたいですね。


──安定を求める人はあまり向いていないということでしょうか。


三瀬:何をもって安定とするのかは人によって違うと思いますが、財務面での安定性のみを求めるのではなく、多様な選択肢の中から自分なりのキャリアを選べることや、若いうちから挑戦できるチャンスがあることを楽しみにしてほしいですね。


──ありがとうございます。最後に就活生にメッセージをお願いします。


三瀬:就職活動は「自分が働く上で何を求めるのか」をしっかりと考える良い機会だと思います。それが実現できそうな場所は世の中のどこにあるのかをぜひ調べてみてください。その上で「オリックスで働きたい」と思った方がたくさん来ていただけるといいですね。


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【構成:杉本健太郎/撮影:百瀬浩三郎】

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