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【リクルート】世の中を動かす主体者になる。未経験でもファーストキャリアで「プロダクトマネジャー」を目指す選択

企業インタビュー 企業理解 インタビュー 日系
2023年3月31日(金) | 4,886 views
sponsored by リクルート

就職情報サービスの「リクナビ」や、不動産・住宅の総合情報サービス「SUUMO」、婚活・結婚・出産・育児の総合情報サービス「ゼクシィ」、旅行予約の提供サービス「じゃらん」。そして、オンライン学習サービス「スタディサプリ」、テクノロジーを活用した業務・経営支援サービス「Air ビジネスツールズ」など、私たちの身近に存在するリクルートのプロダクト。それらは社会に根付き、私たちの暮らしに大きな影響を与えてきました。

「世の中を変えるプロダクト」は、誰がどのように生み出すのでしょうか。そのキーマンが、「プロダクトマネジャー」です。

世界を見ると、確固たる人気をもつプロダクトマネジャー職(※1)ですが、日本ではまだまだその名は広く知られていません。そんな中、リクルートには新卒からプロダクトマネジャーとしてのキャリアを目指せる「プロダクトグロースコース」が存在します。

現在、執行役員としてリクルートが展開する全てのプロダクトを、マーケティング・プロダクトデザインの面で統括している塩見 直輔さん。自身もプロダクトマネジャーの経験を持つ塩見さんに、リクルートでプロダクトマネジャーとしてのキャリアを歩むことについて、お話を伺いました。

(※1)参考:glassdoor「50 Best Jobs in America for 2022」

塩見直輔(しおみ ただすけ):リクルート 執行役員
1980年生まれ。出版社の編集職から、2007年にリクルートに中途入社。2013年「タブルーム」立ち上げ。2014年 リクルートライフスタイル 執行役員、2017年 リクルートテクノロジーズ 執行役員、2019年 リクルート 執行役員に就任。マーケティングとプロダクトデザインを統括する。

新卒未経験からでも選べるプロダクトマネジャーへの入り口「プロダクトグロースコース」とは

──リクルートにおけるプロダクトマネジャーとは、どのような役割を担うのでしょうか?


塩見:一言でいえば「プロダクトの責任者」です。例えば「SUUMO」「じゃらん」「スタディサプリ」の責任者、それぞれがプロダクトマネジャーです。すでに利用者が多く、ビジネス規模も大きいプロダクトを担当する者もいれば、これから立ち上げる新規プロダクトを担当する者もいます。責任範囲は、戦略・戦術の立案から実行まで全て。ただ、どこまで自分でやり、どこからメンバーに任せるかはプロダクトマネジャー次第です。


──プロダクトマネジャーになるためには、どのようなスキルや思考を求められますか?


塩見:前提として、プロダクトマネジャーは1つのプロダクト全体を統括するので、エンジニアリング、マーケティング、デザイン、セールスなど、プロダクト運営にまつわる、あらゆるスキルが求められます。

全部習得できるのに越したことはないですが、限界もあります。そこで、目指すプロダクトマネジャー像を定めた上で、どこまで習得するかを自分なりに定義することが大切です。あらゆる各論に精通し自ら手を動かすタイプもいれば、各分野のスペシャリストの力を引き出すことに長けているタイプもいます。いずれもアリですが、「AI(人工知能)に精通していることは必須」のように、時代によって決まる部分もあります。

思考という点では、いずれ世の中の当たり前になるモノやコトを見いだし、実現のための努力ができる人が向いていると思います。「作りたいものを作る」とは異なります。最初は個人の「こうなったらいいな」の妄想で良くて、それを磨いていき「将来絶対こうなるよね。じゃあどうやって実現しようか」という思考にたどり着くと、いいプロダクトマネジャーに近づくと思います。


──新卒から入社した場合にはどのような仕事を担うのでしょうか?


塩見:新卒として「プロダクトグロースコース」から入社いただく方には、まず初めにプロダクトデザイン組織かマーケティング組織に所属いただき、プロダクトの成長や立ち上げに関わってもらいます。先ほどお話ししたプロダクトマネジャーに必要なスキルのいくつかを習得してもらうためです。

もちろん、すでに即戦力となるスキルがあればスキップもできますが、学生時代に億単位の大規模プロジェクトの運用を経験済みの方はまれです。多くの方にとっては配属先での仕事はプロダクトマネジャーを目指す上で有益だと思います。その後は、先ほど申し上げたそれぞれのプロダクトマネジャー像に従って、キャリアをカスタマイズしていく感じですね。

なお、ここでプロダクトマネジャーではなく、デザインやマーケティングのスペシャリストを目指すという選択もできます。

世の中を動かすプロダクトで、時代に名を残すことができる仕事

──とはいえ、学生の多くはプロダクトづくりのイメージが持てていないと思います。塩見さんご自身がプロダクトマネジャーをされていたご経験も踏まえて、プロダクトづくりで大切にすべきことは何だとお考えですか?


塩見:プロダクトづくりの原則は、自分良し・相手良し・世間良しの「三方良し」であること。いずれかが欠けると、自己満足や時代の徒花(あだばな)で終わってしまうと思いますし、そうした例も多く見てきました。「未来の当たり前」を作っているのだという意識を大切にすべきです。


──「『三方良し』を実現すれば、歴史に残るプロダクトを生み出すチャンスがある」という見方もできますね。


塩見:そうですね。プロダクトの規模が大きければ関わる業界を動かすこともできる。手前みそですが、リクルートにはそうしたプロダクトが多く、世の中を動かしているという実感を持ちながら働けることは大きな醍醐味(だいごみ)です。

ボトムアップだからこそ、新しいプロダクトや経営者視点を持った人材が生まれる

──リクルートにおいてプロダクトはどのような仕組みで生まれるのでしょうか?


塩見:ボトムアップで生まれることが最大の特徴です。逆の仕組みとしてトップダウンがありますが、リクルートは文化的にも経営の意思としても、ボトムアップを徹底しています。

ボトムアップとトップダウン、どちらかが正解というわけではないですが、私は変化が激しい時代にトップへの依存度が大きいトップダウンは、リスキーではないかと思います。

より現場に近く、変化に敏感なボトム起点でアップデートされる方がいいのではないか。そうした考えから、制度やルールを作って脈々とボトムアップの仕組みを磨いてきています。


──では、新しいプロダクトも基本的に現場から生まれているのでしょうか?


塩見:そうですね。リクルートでは役職や職種を問わず、誰でも新規事業を起案できます。新規事業コンテストに出すのもいいし、役員に直談判してもいい。さまざまな誕生ルートがあります。

起業家が、ベンチャーキャピタルから投資を受けるか銀行から受けるか、はたまたエンジェル投資家から受けるのかと戦略を練るのと同じ。どこにどういう形で起案するかも現場の選択次第です。


──実際、現場からどのようなプロダクトが生まれましたか?


塩見:私の入社後に生まれ、多くの方に知っていただいているものだと「スタディサプリ」「Airペイ」などがあります。生まれたときも大きく成長したときも、ボトムアップであったのを目の当たりにしています。


──トップは、現場から上がってきた案をどのように評価・判断しているのでしょうか?


塩見:「やったことがない案はやってみよう」が基本スタンスです。ここでトップが独断で決めたら、ボトムアップのふりをしたトップダウンになってしまいますから。

ただ、これまでも大量のトライ&エラーをしているので「過去にやった案」であることが多いです。過去に失敗したものであれば、当然却下します。また、やってみようというのが基本ですが、時間やお金は有限。いい案が複数上がってきたときは、一番成功が見込める案や当たったときのリターンが大きい案を優先します。ここでいい案同士の競争が起きるので、より起案の質も高まっていきます。

──組織がボトムアップだと、社員にはどんなスキルが身に付きますか?


塩見:経営者の視点が身に付きます。先ほどの起案の話でいうと、起案者は案を通すために、過去にどんな成功や失敗があったのだろうか、決裁者はどういう優先順位で決めるんだろうかと考えるようになりますよね。起案するという経験を通じて、経営者の視点を持つようになっていきます。

また、私は執行役員としてマーケティングとデザインの統括をする立場ですが、各プロダクトのCMO(※2)かというと違います。私は起案をジャッジする投資家に近い立場で、マーケティングやデザインの主体者は各プロダクトの現場メンバーです。役職でいえば、グループマネジャーやチームリーダーがCMOに相当する業務を担っているんです。

プロダクトの数だけCMOに相当する業務を経験できる者がいるので、経営者の視点に立てる人材が育ちやすくなります。

(※2)……Chief Marketing Officerの略称で、「最高マーケティング責任者」を指す。


──誰でもアイデアを提案できる環境の中で、新社会人ができることは何だといえるでしょうか?


塩見:先ほどお話しした「やったことがない案」を出すことです。私は2003年に新卒で社会人になりました。2023年卒の新社会人とは、20年間の差があります。

この20年間で、社会は大きく変わりました。2023年卒の新社会人は、まさに現代の生活者の視点と時代の空気感をまとった存在なので、私たちにはない感覚を持っているはずです。私が考える「10年後はこうなる」とは別の10年後が見えているかもしれない。それを案に仕立ててほしい。

とはいえ、最初はいくつ案を出しても全然通らない、なんてこともあるかと思います。「もうそれは過去にやって失敗した」の壁ですね。新社会人は過去にどんな失敗があったのかを知らないので、それはしょうがない。そんなとき、過去から学んで次に生かす力が重要です。ここを粘り強くやり遂げられると「まだ誰もやったことがないチャレンジングな案」が見つかります。

世の中を動かす主体者になるのか、支援者になるのか

──最近では、「上流から事業戦略に関われる」という理由でコンサルタントを目指す学生も多いようです。プロダクトマネジャーも上流から関われる点では共通すると思いますが、違いはどこにあるでしょうか?


塩見:仕事には、「オリジナルワーク」と「クライアントワーク」の2つがあります。オリジナルワークは自社のサービスや商品の開発に関わる仕事。クライアントワークは、顧客からの依頼によって顧客を支援する仕事です。これに当てはめると、リクルートのプロダクトマネジャーはオリジナルワーク、コンサルタントはクライアントワークだといえます。自ら仕事を生み出す主体者となるのか、依頼ベースで仕事が発生する支援者になるのかという違いがあります。


──コンサルタントを目指す理由に「汎用的なスキルが身に付く」こともよく挙げられます。スキルに関してはいかがでしょうか?


塩見:オリジナルワークをするプロダクトマネジャーは、プロダクトに深く関わっていくので、特定の業界・分野に対する専門性を高めることができる。ただその分、他の業界や分野へのノウハウの応用が難しい場合もあります。

一方でクライアントワークをするコンサルタントは、どの業界や分野にも通じる汎用的なスキルが身に付きます。反面、専門的なスキルは身に付きにくい。そもそも企業がコンサルタントに仕事を依頼するのは、自社だけのノウハウでは足りないとき。十分にノウハウがあるときは依頼しません。

そうした背景を考慮すると、先進的なノウハウはコンサルタントに依頼しない企業内にとどまるため、外から触れられる機会は少ない可能性があります。また、これは主体者か支援者かの違いによるものですが、「提案」までがコンサルタントの仕事というケースも見受けられます。より上流の「決断」する仕事や、逆に「実行・実践」という下流の仕事は顧客に委ねるという点でも、オリジナルワークとは身に付くスキルが異なります。

──なるほど。では、学生はまず、自分がオリジナルワークをしたいのか、クライアントワークをしたいのかを考える必要がありそうです。どういう視点で仕事を選択すると良いでしょうか?


塩見:向き不向きがあるので、自分に合ったほうを選ぶのが良いのだと思いますが、どちらが合うのか分からないときは、まず専門性を身に付けた後に汎用性を身に付けるという順番がおすすめです。一度、特定分野の深掘りの仕方がわかると、別分野にチャレンジした際にその経験を生かして効率よく深掘りできるからです。その後のキャリア開発にずっと効いてくる「おいしい」スキルなので、早い段階で身に付けることをおすすめします。

なお、リクルートにはたくさんのプロダクトがあるので、社内コンサルのように動くことも可能です。オリジナルワークとクライアントワークをバランスよく組み合わせている人もいますね。

ワクワクすることは何か。大切なのは、モチベーションの源泉を知ること

──リクルートでプロダクトマネジャーとして活躍する人に共通していることはありますか?


塩見:多様な人材が集まる組織であってほしいので、基本、一概にこれということはないのですが、モチベーションの源泉を自分でしっかり認識している人が活躍している傾向はあります。その中には大きく3つのタイプがあるように思います。

1つ目は、「業界を変えたい」「世の中を良くしたい」など、外向きの強い思いが源泉になっているタイプ。

2つ目は、「稼ぎたい」「市場価値を高めたい」という自分自身に向いた成長意欲が源泉になっているタイプ。

3つ目は、「チームのために働きたい」「利用者のありがとうの言葉がうれしい」といった身近な人との関係性が源泉になっているタイプ。

これら個人のモチベーションと会社の利害が一致したときに、高い成果が上がっていますね。


──塩見さんご自身はどのタイプだったのでしょうか。 


塩見:ずっと同じではなく変わることもあるものだと思っていて、私は2つ目の「稼ぎたい」から1つ目の「社会貢献したい」を経て、今は3つ目が一番強いです。

私は家業がある家の長男だったため、継がないことを正当化できるくらい自分の力で稼ぐことがモチベーションの源泉になっていました。でも、30歳ぐらいでそれを達成して原動力を失いかけたんです。

そんなときにふと足元を見ると、リクルートが世間に先駆けてDXをしていて、そのど真ん中にいた。これってとても面白いし、これを広げることができたら社会を変えられるかもしれないと気付いて、外側に思いが向くようになりました。

そして、私がプレイヤーからマネジメント職、役員へと立場が変わるのにしたがって、今度は個人からチームへ、チームから組織へと動かす単位が大きくなることの醍醐味と意義を感じるようになったんです。社会貢献したいという目的は変わりませんが、日常的な仕事の仕方は人との関係性を重視するようになりました。

──なるほど。そうすると、学生も何によってモチベーションが高まるのかを一度考えてみる必要がありそうですね。


塩見:そうですね。頑張る動機が「稼ぎたい」とか「モテたい」とかでもいいと思うんです。良い・悪いはなくて、何をしているときにワクワクするか、ストレスがかからないかなど、素直な感覚で自分を捉えるといいと思います。


──最後に、社会人としてこれから最初の一歩を踏み出す学生にアドバイスをお願いします。


塩見:ファーストキャリアに絶対的な良い・悪いはなく、自分に合う・合わないという点が大事だと思います。今回お話しした「トップダウンかボトムアップか」「オリジナルワークかクライアントワークか」という点についてもぜひ考えてみてください。

とはいえ、「それが分かれば苦労しないよ」という声も聞こえてきそうです。そんなときはどんな社会人を見たときにカッコイイと思えるか、気が合いそうだと感じるかを考えてみるのもいいかもしれません。仕事選びは、「同じ時間を過ごす人選び」でもあると個人的には思います。「この人たちと過ごしたい」という感覚は、結構信じられるモノサシではないかと思います。


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【執筆・編集:サムライト株式会社/撮影:赤司聡】
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