若手でも大きな仕事を担える。自動車業界の設計・開発に特化するデンソーテクノで働く魅力とは

電動化、自動運転、コネクテッドカーなど、昨今の自動車業界は技術革新が加速度的に進行しています。環境問題への意識の高まりや、都市化・高齢化といった社会的な変化も相まって、自動車のあり方そのものが大きな転換期を迎える中、その作り手であるメーカーも変化に対応した組織体制を整えていくことが喫緊の課題です。

その自動車業界で、デンソーグループの一員として、車両システムおよび要素技術・環境エネルギー分野関連製品の設計・開発・製作を一気通貫で手掛けるのがデンソーテクノです。

設計、開発に特化したデンソーグループ最大の機能会社である同社は、量産設計技術と新たな要素技術を融合させる形で、世界中のさまざまなカーメーカーに部品やシステムを提供しています。

デンソーテクノでは、具体的にどんな業務・プロジェクトが進んでおり、また働く環境としてどのような魅力があるのか。情報処理系（ソフト）、電気・電子系（ハード）、機械系（メカ）、それぞれの職種のエンジニアメンバーにお話を聞きました。

＜目次＞
●「量産化」プロフェッショナルへの進化を掲げ、変革をリードしていく存在へ
●より良いものを作るために、自分たちから積極的に働きかける
●設計から動かすところまで一貫してできるのは、やりがいがある
●ロジカルに物事を考え、自分の考えを言語化・見える化できる方と一緒に働きたい

新海 和也（しんかい かずや）：パワトレインプロダクツ機器事業部 パワトレインプロダクツ機器1部（写真右）
機械系（メカ）職種として、電気自動車などで将来用いる電源製品の先行開発業務を担当。

鳥居 大二（とりい だいじ）：セーフティソフトウェア事業部 セーフティソフトウェア3部（写真中央）
情報処理系（ソフト）職種として、ADAS（先進運転支援システム）の主にプラットフォームソフトの開発業務に従事。

石濵 航大（いしはま こうだい）：セーフティハードウェア事業部 セーフティハードウェア1部（写真左）
電気・電子系（ハード）職種として、モビリティコンピューターの車載イーサネット部分における設計から評価までを担当。

「量産化」プロフェッショナルへの進化を掲げ、変革をリードしていく存在へ

──まずは、皆さまがデンソーテクノに入社した理由を教えてください。

新海：小さい頃から自動車が大好きで、自動車のことを学べる大学に進学しました。就職もその流れで、自動車業界に入りたいと考え、かつ設計ができるところがいいなと探したところ、デンソーテクノであればほぼ確実に設計職になれるということで、「これは運命だ！」と思い、入社を決めました。

鳥居：私も設計・開発など、実際に手を動かしてモノを作るところに携わりたいと考えている中で、デンソーテクノの「ほぼ全ての技術系社員が設計業務に携わることができる」という特徴に惹（ひ）かれて、応募しました。大学も地元の愛知県にある情報系の学部だったことも相まって、入社を決めました。

石濵：私も出身が愛知なので、「将来は自動車業界で働きたい」と思い、電気電子系の大学に入りました。お二人と同じく、メインで設計をやりたいと考えていたので、いろいろと調べた中で量産設計を専門とするデンソーテクノを選びました。

──皆さま、共に「設計」を志してのご入社だったわけですね。現在の自動車業界、ひいてはデンソーテクノで働く魅力についても教えてください。

新海：なんといっても、世間で言われている通り「電動化」への動きが大きなトレンドですね。自分の仕事を振り返ってみても、まさにその電動化の部分を担っているわけで、今後拡大する部分であり、需要の高さを日々感じています。

もちろん、デンソーテクノはガソリン車に関わる設計についても長年にわたりノウハウを蓄積してきているので、トレンドがどう転んだとしても、対応していくことができるのは強みの1つだと思います。

世界中のカーメーカーの製品を扱っていることも、将来性の面で強みだと感じています。

鳥居：ソフトウェア担当としては、やはり自動運転技術が熱いですね。自動運転レベル2からレベル3、レベル4と、今後どんどんと技術が発展していくと思うので、仕事は尽きないでしょう。もちろん、新しい技術が次々と出てくるので学ぶのが大変ではありますが、新しいことに携わりながら進めていけるのが仕事としての魅力かなと感じています。

DXも推進しており、業務改善をする中でAI（人工知能）やさまざまなプログラミング言語を扱います。

あと、ソフト・ハード・メカの知見を有しているのも、他社にはない強みだと思います。

──電動化と自動運転。まさに自動車業界のトレンド、2大トップですね。石濱さんはいかがでしょうか？

石濵：ハードウェアの観点からすると、これまでは車のいろんなところにECU（Electronic Control Unit）があり、それぞれが1つずつの機能を持って手足を制御するというイメージでした。

しかし、昨今ソフトウェアファーストになっていくにつれて、頭脳を集約するため、ECUを統合していき、1つの大規模な製品にしていこうという動きがあります。

そうなると、必然的に大容量通信が求められるため、パソコンなどで一般的に使用されているイーサネットを車載で応用するということをやっています。車載イーサネットを1Gbpsで使うというのは初めてのチャレンジなので、まさにC.A.S.E.のConnectedのところに携われるのはありがたいと感じています。

あと、デンソーグループというとトヨタグループのイメージが強いですが、さまざまなメーカーともお取引があり、幅広く受け皿があるのも1つの強みだと思います。

新海：もうひとつ、強みの観点でお伝えすると、2030年のありたい姿として弊社では「量産化」プロフェッショナルへの進化を掲げています。さまざまな領域が変革期にある中で、われわれとしてはその変革をリードしていく立場であると考えています。

より良いものを作るために、自分たちから積極的に働きかける

──「量産化」プロフェッショナルへの進化というお話がありましたが、量産設計とは具体的にどんな業務なのでしょうか？

新海：少し抽象的な表現にはなりますが、研究や先行開発は花を育てる上で種をまくフェーズであり、量産設計はまいた種をしっかりと育てるフェーズだと、それぞれ捉えています。

──なるほど、わかりやすいです。

鳥居：ゼロからイチを生み出すようなところが研究や先行開発で、生み出されたモノを、より多く人に使ってもらうべく社会に普及させていくことが量産設計ともいえます。

石濵：電気・電子系の目線で補足をすると、例えば「このメーカーのIC（集積回路）だとこういうことができる」といった、できること・できないことを「整理」していく段階が構想設計だとすれば、量産設計はお客様から依頼があった際に、QCDを満たす形でどの部品を使うのか、どうしたら実現できるかを「検討」する段階だと思っています。ですから、実際に製品としての最適解を見つけ出せるのが、デンソーテクノの量産設計の強みかなと思います。

──ぜひ、具体的な業務内容についても教えてください。

石濵：私はモビリティコンピューターのイーサネットの設計から評価までを担当しています。イーサネット自体、国内カーメーカーでの採用は少なく、その中でデンソーテクノとしては先ほどお伝えした通り1Gbpsの車載イーサネットに初めて取り組みました。あとモビリティコンピューターに搭載されるイーサネットにはアメリカ製のICを採用しているのですが、ECUの開発段階では使っている電子部品も開発中のものを使っています。

──開発業務で、開発中の部品を使う。非常に面白いですね！

石濵：そんな中、例えばデータシートと呼ばれる、部品の動きが書いてある仕様書みたいなものがあるのですが、データシートの記載と実際の部品の動きが異なることもあり、電子部品メーカーと日々やりとりをしながら調整をしています。このように、ECUを立ち上げるところから参画しているのです。

そこが固まってきたら、実際の開発フェーズに進み、基板を作るために回路図をレイアウトメーカーに送りアートワークを設計してもらいます。

ここは配線幅など少しのズレで通信エラーになるので、レイアウトメーカーとは微調整を繰り返して進めています。このように、他社との折衝が多く、大変な部分でもあります。

──なるほど。鳥居さんはいかがでしょうか？

鳥居：ソフトウェア職ということで、ずっとコードを書いている印象があるかもしれませんが、実際はそんなことはなく、むしろコードを書く時間の方が少ないです。

ざっくりと業務の流れをお伝えすると、まずお客様から仕様が出てきて、そこに対して要求分析をし、どうやって実装するかを考えて評価まで担当する、という一連の流れで進めています。

その中で私は、ADASにおけるソフトとハードをつなぐ役割を担っているプラットフォーム部分の開発を行っています。プロジェクト全体では前半のフェーズであるため、ここでしっかりと作らないと後続のプロセスが詰まってしまいます。

──それは、役割として非常に重要な部分ですね。

鳥居：はい。重要な部分であるため、ただいただいた仕様書に沿って作るのでなく、自分たちからもより良いものを作るための働きかけを積極的にしていきます。

新海：メカ設計については、デンソーテクノにほぼ一任していただいている分野も多く、デンソーとはアイデアから一緒に考えていくような関係性だと感じています。

石濵：たしかに、デンソーとの関係性としては非常にフラットですね。量産設計に関してデンソーテクノでは豊富なノウハウがあるので、主体的に動けます。

──新海さんはどんな業務をされているのでしょうか？

新海：私が担当しているのは、電気自動車などに搭載する電源製品の先行開発業務です。より良い電源製品を作るための先行開発業務になるのですが、ここでいう「より良い」とは、他の自動車に関する機能部品と同様で「小型で高効率にする」ということです。

そうなると、例えば小型で高効率にするためには発熱を解決する必要がありますし、いろんな寸法を追い込んでいくので製品としての強度も考える必要があります。製品の構造をどうするのかを、頭を捻ってアイデアを出していき、必要に応じてハードウェア職種の方々とも会話をしながら、製品をより良いものにしていくのが先行開発の仕事です。

──ここも非常に難度が高い印象ですが、どうやってお互いの主張を製品へと反映させていくのでしょうか？

新海：そこは、もうコミュニケーションを取り続けていくのに尽きますね。また、対お客様の観点でお伝えすると、デンソーテクノは技術の会社なので、コンピューターシミュレーション（CAE）の技術があることでお客様との話がスムーズに進むという点はあると思います。

設計から動かすところまで一貫してできるのは、やりがいがある

──仕事のやりがいや醍醐味（だいごみ）は何ですか？　特に印象に残っているプロジェクトや成功体験をお話しください。

新海：今は先行開発をやっているのですが、数年前までは量産設計をガツガツとやっていました。そうなると、製品との距離が近く、例えば数年前に担当していた製品を使った車が実際に道路を走っているわけです。誰かの生活に寄り添っていると考えると、やっていて良かったなとしみじみと思います。

石濵：自分の場合は逆で、入社後に先行開発の部分をやっていました。2年目の時に初めてゼロから回路図を引いて、試作品ではあるものの実際にモノを作るところをやらせてもらいました。

自分で設計したものが、モノとして出来上がったのを見て、「本当にできるんだ」と実感したのを覚えています。自分が今設計しているモノが車両に搭載されるのはこれからだと思うので、5年後、10年後が楽しみですね。

──やはり、実際にユーザーが使うところが醍醐味ということですね。

鳥居：私の部署では年に1回体験会が催されていて、実際に車をレンタルして運転できます。いろんな機能を実際に使ってみて「すごい！」と体感できるのは、「良かった」と改めて感じる瞬間でもありますね。

また、担当がプラットフォームということでアプリとハードの両方の知識が求められます。自分の周りの機能のことも考える必要があるので、いろんなところから情報を得るように心掛けています。上司にいろいろと聞いたりマニュアルをあさったりと、自ら情報を集めながら業務を進めるのが楽しいところでもあります。

あとは、上流工程である要求分析から下流工程の評価といった、一連の流れを経験できるのもやりがいとなっています。

新海：デンソーテクノは若手の頃からさまざまな仕事を任せてもらえます。もちろん、上司のサポートはありますが、入社1年目からこんなことをやらせてもらえるんだという感想を抱くこともあります。

石濵：若手にとってチャンスは多いと思います。自分の場合も、2年目から回路図を引かせてもらって、やりがいを感じました。

鳥居：そうですね。新しい製品の担当になったのは3年目からだったのですが、その時にやりたい部分を任せてもらえたのはありがたいなと感じます。

ロジカルに物事を考え、自分の考えを言語化・見える化できる方と一緒に働きたい

──福利厚生についても教えてください。働きやすさやサポート体制について具体的にお話しください。

鳥居：一番いいなと思っているのが、テレワークの制度ですね。実機に触る以外は、家でもできる仕事があるため、僕の場合は週3～4くらいでテレワークをしています。上司の合意を得たうえで、結構自由度の高い働き方ができていると感じます。

新海：私も柔軟に活用しています。今日も先ほどまでテレワークをした後、こちらに向かいました。

石濵：私も平均すると週3日くらいのペースでテレワーク制度を活用しています。ハード製品の担当なので当然、モノに触る機会も多いのですが、例えば午前中は出社して、午後からはテレワークに切り替えるなど、柔軟に働けています。特に最近、フレックスタイムの「コアタイム」が廃止されたので、そういう観点でもワークライフバランスがより取りやすくなっています。

あとは育休ですね。自分が所属している課では複数名の男性社員が育休を取得しており、中には半年ほど育休を取得した方もいます。自分も2人目の子供が産まれたら1〜2カ月は取ろうと思っており、非常に取得しやすい環境だと思っています。

新海：あと、カフェテリアプラン制度についても、会社の心遣いをありがたく感じます。他社さんと比較すると「デンソーテクノは結構恵まれているな」と感じることもあります。先ほどのコアタイム廃止の話もしかり、既存の制度をどんどんと良くしていこうというマインドが会社全体にありますね。

──最後に、どんな方と一緒に働きたいか、学生たちへのメッセージをお願いします。

石濵：最新の技術に携わりたい方、そして自分でモノを作ってみたい方。ぜひ一緒に働きましょう！

鳥居：ぜひ、素直な人と一緒に働きたいです。分からないことがあってもすぐに聞いてくれたり、どんどんといろんな意見を出してくれたりするような方と、楽しみながら働きたいと思います。

新海：ロジカルに物事を考えられて、自分の考えを言語化・見える化できる方と一緒に働きたいですね。自動車は人を乗せるものなので、当然ロジックの積み重ねで作り上げていきます。

また1人でできる仕事はないので、自分の考えを誰かに伝えないといけないシーンばかりです。だからこそ、ロジカルに言語化・見える化する力が大事になってくると考えています。ぜひ、そんな方に入社していただきたいと思っています。

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デンソーテクノ

【執筆：長岡武司／撮影：遠藤素子／編集：山田雄一朗】