未経験から新拠点立ち上げへ。サービスを支える”超”自律文化
斬新な建築デザインや新たなビジネスモデルで注目を集めているNOT A HOTEL。一見、その建築やテクノロジーの印象が強く先行するかもしれませんが、実は体験を司(つかさど)る中核を担うのが、ホテル運営を担うNOT A HOTEL MANAGEMENTです。
NOT A HOTELにおける「ホスピタリティ」をどのチームよりも考え、最前線で表現する2名に、「体験を届ける最終走者」としての想いを聞きました。
異業種出身の2人が出会った、NOT A HOTELのハイブリッドな環境
──それぞれ、ウェディングプランナー、食品メーカーの営業と、異なる領域で活躍されていました。なぜ安定した環境ではなく、新興のNOT A HOTELへの参画を決めたのでしょうか。
東:私は新卒からの5年間、ウェディングプランナーとして特別な一日を創り上げる仕事に情熱を注いでいました。仕事にとてもやりがいを感じていましたが、5年という節目を迎えて「自分が培ってきたスキルを、他のフィールドでも活かし、さらに広げてみたい」と考えるようになったんです。
キャリアを模索するなかでNOT A HOTELに出会ったのですが、驚いたのは、サービス職だけでなく、建築やソフトウェアといった異なる専門性を持つプロフェッショナルたちが社内に多くいて、よいものづくりをするためにフラットに連携している点でした。職種の垣根を越えたこの場所なら、多様な視点に触れながら、自分を大きく成長させられるのではないかとワクワクしたのを覚えています。
深津:私は学生時代にブライダルのサービススタッフを経験し、接客の楽しさを知りました。新卒では食品メーカーの営業職に就き、ビジネスの現場を経験する中で、次第に「もっとお客様の日常や素の瞬間に寄り添い、ダイレクトに喜んでいただける仕事がしたい」という原点のような想いが強くなっていったんです。
そんなとき、友人からNOT A HOTELの名前を聞きました。調べてみると、建築やテクノロジー、そしてホスピタリティが高度に融合した、非常に画期的な環境で。未経験の領域ではありましたが、東さんが言うような多様なプロが交わる場所なら、自らの好奇心に向き合いながら、密度の濃い経験を積んで成長できると感じ、思い切って飛び込むことを決めたんです。

深津 苑蔵(ふかつ・えんぞう):NOT A HOTEL MANAGEMENT サービススタッフ(SETOUCHI)
大学を卒業後、新卒でBtoBの食品メーカーの営業に従事。学生時代のブライダルアルバイトで培った接客への情熱を追求するため、2025年12月に中途入社。NOT A HOTEL MINAKAMI TOJIでの研修を経て、現在は瀬戸内の新規拠点立ち上げメンバーとして参画。対面でのゲストサービスを中心に、設備メンテナンスや清掃まで、ハードとソフトの垣根なくマルチに携わる。
居心地のよさを支えるために、心地よい距離感を大事にする理由
──結婚式場や一般的な高級ホテルが提供するホスピタリティと、NOT A HOTELが追求する顧客体験には、どのような違いがあるのでしょうか。
東:ウェディングが、時間をかけてお客様と深い関係を築き、当日に最高の幸福感を創り上げるものだとしたら、NOT A HOTELの体験は、オーナー様がご自身の家に帰ってきたときのような、おだやかな安心感を提供する仕事だと思っています。
ウェディングではスタッフの個性や存在感をお客様に身近に感じていただくことが魅力でしたが、ここでは求められる役割が異なります。オーナー様が滞在される一番の目的は、目の前の美しい建築や、プライベートな空間そのものを心ゆくまで堪能することだからです。
だからこそ私たちは、あえて「心地よい距離感を保つこと」を意識しています。せっかくの空間のノイズになってはいけない。普段はつかず離れずの距離で見守りつつも、お客様が何かを必要とされたその瞬間に、さりげなく寄り添って心地よいサービスを届ける。この「引き算のサービス」こそが、私たちが何より大切にしている考え方です。
──一方で、1人1人にパーソナライズされたサービスを高い水準で両立させている裏側を教えてください。
深津:私たちは、オーナー様が「ただいま」とリラックスして滞在される空間を守るため、決まったオペレーションをただこなすのではなく、その時々のシーンやオーナー様のご状況に合わせた想像力を大切にしています。
例えば、夏の暑い中チェックインされるときは、通常通りの用意だけでなく、あえて冷蔵庫にも冷えたお水を入れておき、お部屋に入ってすぐに喉を潤せるようにしておく。あるいは、夜遅くにご到着されるオーナー様であれば、長旅の疲れをすぐに癒やしていただけるよう、お部屋の間接照明をあらかじめ落ち着いたトーンに落とし、静かに寛げる空間を整えておく。
こうして目の前のオーナー様に合わせて即座に対応を変えていく、その「想像力の基準」がNOT A HOTELは非常に高いと思うんです。
東:そうした細やかな気配りが、全国どこの拠点でも同じように体感できるのが、NOT A HOTELの面白いところです。
どの拠点に滞在されても、オーナー様が「何も言わなくても、自分にとって心地よい状態」がそこにあるんです。「やっぱりここは落ち着くね」とホッとした表情を浮かべていただけた瞬間は、この仕事をしていて一番嬉しいですね。

東 菜穂子(ひがし・なおこ):NOT A HOTEL MANAGEMENT プロジェクトマネージャー
ブライダル専門学校を卒業後、福岡の専門式場にてウェディングプランナーとして5年間、オーダーメイドウェディングのプロデュースに従事。2023年1月に中途入社。NOT A HOTEL AOSHIMAでのサービス経験、東京のオーナー専用ラウンジ勤務を経て、NOT A HOTEL MINAKAMI TOJIの立ち上げと同時に最年少支配人に抜擢。現在はプロジェクトマネージャーとして、北軽井沢を中心に複数拠点の横断的なマネジメントを統括する。
前日のフィードバックが、翌日には形に。現場の声を最上流に反映
──一般的な高級ホテルでは、清掃や設備管理は外部委託による「分業制」が主流ですが、NOT A HOTELが一気通貫の内製化にこだわる理由は何ですか。
東:NOT A HOTEL MANAGEMENTのCEO(最高経営責任者)の林もよく「当たり前のことを当たり前にやろう」と話しているのですが、NOT A HOTELにとって、客室を常に美しい状態に保ち続けることは、何よりも大切で責任のある仕事です。オーナー様の大切な資産をお預かりし、この先もずっと変わらない美しさでお守りする。だからこそ、私たちは最後の確認まで自分たちの目で、責任を持って行うことにこだわっています。
先日、私が立ち上げに関わっていた宮崎・青島の拠点に約1年半ぶりに足を運ぶ機会がありました。そこで、当時と変わらない、むしろさらに細部まで磨き上げられた綺麗な客室を見たとき、涙が出るほど嬉しかったんです。離れた場所にいても、現場のメンバー1人1人が「自分たちがこの空間を守り、育てるんだ」という強い想いを持って日々の仕事に向き合っている。その真摯な姿勢が、NOT A HOTELのクオリティを支えているのだと改めて実感しました。

NOT A HOTEL AOSHIMA
──その「当事者意識」は、他部署との連携やプロダクトの改善スピードにも影響しているのでしょうか。
深津:そうですね。日々の現場業務は接客だけでなく、客室のiPadを使ったカーテンや床暖房のコントロールなど、さまざまな設備のチェックも含まれます。その中で気づいたことや「もっとこうすれば運営がスムーズになる、ゲストが快適になる」という提案は、毎日Slackの共有スレッドに投稿しているんです。
すると、その投稿を見た建築やソフトウェアチームのメンバーからすぐに反応があり、早いときには翌日にはシステムの仕様やオペレーションがアップデートされていることもあります。このスピード感には最初は本当に驚きました。
東:一般的に組織が大きくなったり部署が分かれたりすると、1つのルールを変えるだけでも時間がかかることが多いと思うんです。だからこそ、現場の声がダイレクトに反映され、日々目の前でプロダクトが進化していくスピード感は、本当に刺激的ですよね。
──設計中や施工中といった、開業前のフェーズにもサービス職の声が届くというのは本当ですか。
東:新しい拠点を建てる際、図面を見ながら「この動線だと現場でのご案内が少し難しくなるかもしれないので、次の棟ではここを変更してほしい」といった現場起因のフィードバックが、設計の初期段階から当たり前のように組み込まれていきます。
新しい拠点に併設するレストランのネーミングやデザインを決める際も、現場のシェフや私たち、プロジェクトを担うメンバーが一緒に現地に足を運び、その土地の風土や空気感を五感で味わいながら意見を出し合って作り上げました。職種の垣根なく、全員で1つのものづくりに向き合える環境は、NOT A HOTELならではの面白さだと思います。
未経験から新拠点立ち上げへ。サービスを支える”超”自律文化
──若手やホテル未経験者であっても、これほど大きな裁量を任される理由を教えてください。
深津:私はホテル業界未経験で入社したのですが、最初の数カ月間、群馬・水上の山頂にある拠点「MINAKAMI TOJI」での研修を経て、すぐに次の新拠点である瀬戸内の立ち上げメンバーに選ばれました。一般的な環境では、未経験から新規開業にゼロから参画できるチャンスは限られていることが多いと思うので、とても貴重な経験をさせてもらっていると感じます。
しかも、NOT A HOTELの立ち上げは、決まったマニュアルをなぞる仕事ではありません。例えば私自身、豪雪地帯である水上では、冬の運営を円滑に行うために小型特殊自動車免許を取得して除雪車を運転したり、瀬戸内ではスタッフが船舶免許を取得するなどオペレーションをゼロから構築しています。
「ホテルサービススタッフ」という枠組みにとらわれず、必要であれば除雪も船の運航も自分たちで形にしていく。そうやって職種の領域を大きく超えて何にでもチャレンジできるプロセスは、毎日が新鮮な驚きに満ちていて本当に楽しいですね。
東:私自身、宮崎・青島や東京でのサービスを経験した後、入社3年目で「MINAKAMI TOJI」の支配人を任せていただきました。現在は、複数拠点を統括するプロジェクトマネージャーへとステップアップしています。
私たちは1人1人の「自律性」を大切にしているので、指示を待つよりも自分で動くことに面白さを感じる組織です。「こういう経験を積みたい」「この拠点を自分がもっと面白くしたい」と声を挙げ、目の前の仕事に真摯に向き合っている人には、年齢や社歴に関わらず、新しい挑戦の機会が次々と用意されます。もちろんサポート体制はありますが、まずは「自分で考えて、走りながら学ぶ」という主体性を大切にできる方には、とてもフィットする環境だと思います。
──最後に、これから社会へ出る学生に向けて、熱いエールとメッセージをお願いします。
深津:就職活動をしていると、どうしても既存の職種や業界の枠組みに自分を当てはめて、悩みすぎてしまう瞬間があると思います。ですが、世の中には本当にたくさんの選択肢があるはずです。その選択が「正しい」かではなく「楽しい」と思えるかどうかという基準も大事にしてほしいですね。
私自身、営業職から思い切ってここに飛び込んだことで、サービスの枠を飛び越え、今では拠点の立ち上げという新しい挑戦に心からワクワクしています。
東:私たちの仕事は、毎日が生き物のように変化します。想像していなかった状況に直面することもあれば、ゲストから「最高の滞在だった、ありがとう」という生の声をいただき、震えるほどの感動を味わえることもあります。そうした変化を楽しみながら、「どう工夫して、それ以上の感動でお応えしようか」と前向きに捉えられる人にとって、これほどの舞台はありません。
私たちは、建築やソフトウェア、セールスなど、さまざまなチームが繋いできた、NOT A HOTELという名のバトンを「体験」へと昇華させてお届けする、いわば「最終走者」です。もちろん責任の重い役回りではありますが、その分何倍にもなってやりがいを感じるポジションです。自らを成長させたいと心から思える方と、全国の美しい現場で一緒に働ける日を心から楽しみにしています。

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