こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は外資系メーカーの基礎知識から業界の傾向、外資系特有の選考対策までお届けします。インターンが本格化する今、業界理解のためにぜひご一読ください。
目次はこちら
・業界の特徴・主要5社の強みと特性
・選考のポイント
・選考フロー(ES→筆記テスト/Webテスト→GD→面接→インターン)
外資系消費財メーカー:マーケティングを強みにグローバル展開
外資系メーカーは、日用品を世界各地でを製造・販売するメーカーで、主要な企業はP&G Japanやユニリーバ・ジャパンなどです。競合となる日系企業としては花王や資生堂などが挙げられます。外資系消費財メーカーはマーケティングに強みを持つ企業が多く、特にP&Gグループのマーケティングは世界最高レベルと称されます。
このような企業での経験をもとに、他業界のマーケターとして転職する人や、起業家となる人もいます。最近の例では、USJ躍進の立役者となった森岡 毅氏がP&G Japanのマーケティング出身です。
部門別採用で専門性が身につきやすいキャリア
多くの外資系消費財メーカーでは部門別に採用を行い、スペシャリストとして育成されます。そのため、基本的には配属された部門でキャリアを積んでいくことになります。具体的にどのような部門があるか見ていきましょう。
・マーケティング
外資系消費財メーカーの花形といわれる部門で、内定者数は各社5〜10名前後※と狭き門です。
具体的な業務内容は商品企画や販売戦略の立案などで、企業の根幹に携わる業務を行います。
※P&G Japan(MKT) 2021年卒選考対策ページ、より
・ファイナンス
マーケティングの次に人気が高い部門です。採用人数が少なく少数精鋭で、ファイナンスの高い専門性を身につけることができます。
業務内容は主に会社全体の財務戦略、M&Aなど経営戦略を行います。外資系メーカーだけではなく、外資系投資銀行の志望者が併願する場合もあります。
・セールス
商品の営業を行います。日本市場では卸店への営業がメインになり、小売店と直接的に交渉することは少ないようです。
外資メーカーの中では英語力が比較的求められない部署でもあります。
・R&D(研究開発)
製品に関する研究開発を行う部門です。日本に研究拠点を持つ外資系消費財メーカーは少なく、現在はP&G Japan、ユニリーバ・ジャパン、日本ロレアルなどが募集をしています。理系院生の募集が主体です。
・サプライチェイン
物流コストの最適化など、物流に関する業務全般を行います。日本ロレアルなど、一部の外資系消費財メーカーが募集しています。
・HR(人事)
人事戦略を行う部門です。グローバルな組織の人事システムに新卒から携われるため、学生から人気が高い部門です。募集人数も少ないことから、毎年倍率の高い部門です。人事を専門的に募集するのも外資ならではといえるでしょう。
新卒重視のP&G、少数精鋭のユニリーバ……主要5社の強みと特性
外資系消費財メーカーといっても、各企業の強みや特性は大きく異なります。例えば入社後のキャリアパス1つとっても、P&G Japanではジョブローテーションは基本的になく、CBD(セールス職)が他部門に異動するのは稀です(採用ウェブサイトより)。一方のユニリーバ・ジャパンではセールス職で入社しても、マーケティング部門に異動したりと他部門での業務経験が奨励されます(採用ウェブサイトより)。
今回は、国内採用を行っている外資系メーカー5社の強みと特性を紹介します。
P&G Japan:世界的ブランドを誇るNo.1企業
P&Gグループは世界No.1の外資系消費財メーカーで、グローバルの総売上は8兆円を上回ります(2015年度・米ドル換算)。
伝統的にマーケティングが強く世界的なブランド力を持ち、商材としてはファブリーズやパンテーンといった世界的なブランドを確立しています。
日本における新卒採用は全部門合計で約50名前後と、外資系メーカーの中では採用数が非常に多いといえます。
ユニリーバ・ジャパン :P&G永遠のライバル、ヨーロッパ系最大の企業
ユニリーバグループはグローバルでP&Gグループに次いで約7.5兆円の総売上高(2015年度・ユーロ換算)を誇る、外資系消費財メーカー2位の企業です。
オランダとイギリスに本社を持ち、トイレタリーの他にリプトン(紅茶)やベン&ジェリーズ(アイスクリーム)といった食品のブランドも抱えています。
ユニリーバ・ジャパンはP&G Japanに比較すると少数精鋭で、入社した業種の枠を超えてさまざまな案件に挑戦できます。(P&G Japanの連結従業員数約3,500名に対して、ユニリーバ・ジャパンは約500名)
日本ロレアル:外資系化粧品業界の雄
ロレアルグループは世界最大の化粧品メーカーであり、消費財業界では世界3位の売上を誇ります。花形であるマーケティング職には、論理性だけでなく感性を持ち合わせた「左脳と右脳のバランス」に優れた人材を求めます。
また化学品の研究者が会社を設立した歴史的背景から、R&D(研究開発)も重視しています。実例として、2012年に日本国内の研究拠点を拡充しています。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BATS):熾烈を極める採用枠
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BATS)は外資系(英系)のタバコメーカーで、タバコ業界では世界2位の2兆円を超える収入高を誇ります(2016年実績)。競合であるJTと同規模の巨大企業といえます。新卒採用にあたるグローバル・グラジュエイト採用ではマーケティング職の募集を行っており、若干名のみの採用なので倍率は熾烈を極めます。
マースジャパンリミテッド:ペット業界世界No.1
マースは米系の消費財メーカーで、主にお菓子やペット用品を取り扱っています。お菓子ではスニッカーズ、ペット用品ではペディグリーやカルカンといったブランドを持ち、ペット用品の売り上げは世界1位の企業です。現在は日本での新卒採用は行っていません。
外資系メーカーの選考のポイント
外資系メーカーの選考では、一貫して学生が「自社のカルチャーにフィットするか」を問われます。
その特徴は、ESの段階からじっくりと人物を見極める点に表れています。ESで課される文字数は、同じ外資でもコンサルや金融が200〜400字程度なのに対し、外資メーカーは500〜800字の長いESが課されます。
特に面接では、「好きなブランドとその理由」を問うたり、直前のGDを受けて「なぜメンバーの意見に反論しなかったのか」と掘り下げるなど、個人の価値観や性格を探る質問が多いようです。
外資系メーカーの選考フロー
外資系メーカーの選考フローは一般的に以下のように進みます。
「ES→筆記テスト/Webテスト→GD→面接→インターン」以下、フローごとに解説します。それでは具体的な選考フローごとに対策を見ていきましょう。
ES:文字数の多さに耐えうる骨太な内容が求められる
先述の通り、外資系メーカーのESは制限字数が500字を超える設問が複数出題されます。また、分量が多い上に、通過倍率が高い選考ステップでもあるようです。実際にP&G Japanの選考通過者は、「ESを通過している友人はごくわずかであった。多くの学生が落ちていると思う」と述べています。
ES執筆にあたっては、エピソードの内容だけでなく「結論が最初に書けているか」「伝えたいメッセージと具体例に一貫性があるか」を意識しましょう。
筆記/Webテスト:成績だけでなく、性格も選考の判断材料
筆記テストとWebテストは、問題対策と同時に適性検査の結果も見られているようです。例えばP&G Japanでは、自身の考えを明確に示すカルチャーを反映してか4択の選択肢の中でも「はい」か「いいえ」に振り切った回答が好まれるようです(選考対策ページより)。
そのため、適性検査も気を抜かずに取り組みましょう。
グループディスカッション:ロジカルシンキングを鍛えておくべし
P&G Japanやユニリーバ・ジャパンのGDでは、統計データなどの資料を読み取り、問題解決を行う課題が出題されます。
限られた時間で資料をじっくりと読むことは難しいため、問題形式に慣れておく必要があります。外資コンサルの面接で行われるケース面接やフェルミ推定の練習をしておくと、論理的に答える練習となり効果的です。
選考のポイントは明確な判断軸を作り、チームと判断軸について合意を取り、結論を出すことです。チームで結論を出せるかが見られているので、独りよがりで進めることのないように注意してください。
面接:チームで活躍できる人物像をアピールしよう
外資メーカーの選考では各社のESの設問でも分かるように、チームで何かを成し遂げた経験が頻繁に聞かれます。
P&G Japan 本選考ES「あなたがグループの中でリーダシップをとって、方向性を示し、グループメンバーから協力を得て優れた結果を出した経験について説明してください。」※P&G Japan|MKT(マーケティング)2018年卒の選考対策ページより
ユリニーバ・ジャパン インターンシップ選考ES
「あなたが率先して他の人を巻き込み、チームで困難を乗り越えて高い目標を達成した経験について教えて下さい。」※ユニリーバ・ジャパン|マーケティング職2017卒の選考対策ページより
日本ロレアル 本選考ES
「自らイニシアティブをとって、周囲の協力を得ながら、成し遂げた活動について教えて下さい。また、その活動がもたらした「変革」についてお書き下さい。」※日本ロレアル|マーケティング2017卒の選考対策ページより
この要因として、部署間の連携が求められるメーカーの特性と、バックグラウンドの異なる人と協働する外資系企業の風土が挙げられます。
インターンの項で後述しますが、外資系メーカーの選考ではESに限らず「チームでどのような働き方をするか」を問われ続けます。
インターン:カルチャーフィットを見極める最大の関門。押さえるポイントは2つ
外資系メーカーの選考の特徴として、インターン参加を非常に重視している点が挙げられます。例えばP&G Japanやユニリーバ・ジャパンでは採用直結型のインターンを実施しており、日本ロレアルでは学生を各部署に配属し、実際の業務に携わる1〜2ヶ月の長期インターンを受け入れています。ここからも、外資系メーカーが学生のカルチャーフィットを重視していると言えるでしょう。
合否を分ける最後の関門となるインターン。ここでアピールすべき資質は「異なる立場の人と協働する姿勢・スキル」と「企業風土とのマッチ」です。以下、詳しく見ていきましょう。
協働する姿勢とスキル:異なる立場の人との意思疎通は、定量データを根拠に伝えよう
インターンで評価を分けるのは、業務を通じてさまざまなバックグラウンドを持つ社員やインターン生とうまく協働できるか否かです。
例えばグループワークの間も「与えられた課題に対し、チーム全員が同じ認識を共有できているか」意識することが必要です。異なる考え方を持つチームメンバ同士が意見や問題を共有する際は、「xxの製品は、売上高が他の製品よりも10%少ない。だから優先して改善策を考えるべきだ」というように、根拠を数字で示し、論理立てて説明するようにしましょう。実際に、あるP&Gのインターン参加者は、自分の想像をもとに意見を述べていたところ、社員から「数値に基づいて発言するように」と指摘されています(選考対策ページより)。
企業風土とのマッチ:細かい言動が見られている! 懇親会でも油断しないこと
先述の通り、外資系メーカーでは選考を通してカルチャーフィットを重視しています。インターン中も、細かい言動が合否を分ける可能性を常に意識しましょう。
度重なる選考を経てインターンに参加している学生は、能力面は十分と判断されています。なのでインターンは「学生が自社のカルチャーに合うかどうか」という観点を評価するフェーズだといえます。ユニリーバ・ジャパンでも、ワークの結果より学生の発言やメンバーとの関わり方が見られていたようで、「メンター社員がずっと学生の議論をチェックしており、グループワークで優勝を逃したチームの学生も本選考で優遇されていた」と参加者は語っています(選考対策ページより)。
また、同様の理由でインターン期間中の懇親会やランチでも、振る舞いには十分気をつけましょう。「常に選考が行われている」という意識を持つことが重要です。
おわりに
本記事を通じて、企業概要や選考フローに謎が多い外資系消費財メーカーを少しでも身近に感じていただけたでしょうか。
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