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就活サイトトップ就活記事ベストセラー連発のスター編集者が、なぜ歌手活動にのめり...

ベストセラー連発のスター編集者が、なぜ歌手活動にのめり込むのか。幻冬舎・箕輪厚介氏に聞く、「遊ぶように働くため」の「型」と「死ぬこと以外かすり傷」の真意

インタビュー
2019年7月23日(火) | 23,202 views

「おはようございます。本日はお誘いいただき、ありがとうございます」

インタビューの冒頭、箕輪厚介さんはそうあいさつした。Webからテレビまで、さまざまなメディアで見かける破天荒な姿とは異なる丁寧な口調から、ビジネスパーソンとしての品格が浮かび上がったように見えた。

箕輪さんは敏腕編集者としてベストセラーを連発する傍ら、約1,000人を超えるメンバーを擁するオンラインサロン「箕輪編集室」の運営や、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)と幻冬舎の共同出資会社である「EXODUS(エクソダス)」の取締役、「箕輪★狂介」名義での歌手活動など、幅広い領域で「遊ぶ」ように働いている。

今回は箕輪さんに話を伺い、「メリットは一切ない」のに歌手活動を続ける背景とあらゆる仕事を成功させるために必要な「物事を好きになるための『型』」の体得方法、「捉え違えられることが多い」という箕輪氏の座右の銘「死ぬこと以外かすり傷」の真意に迫った。


特集:「遊び」とビジネス

「遊び」とビジネスは相反する概念として捉えられることが普通だ。しかし、ビジネスで成功を収めるトップランナーのなかには、本業と同様、ゲームやスポーツなどの「遊び」に熱狂する人が少なくない。本特集では、「遊び」から学べる仕事術やキャリア論をひも解いていく。

【本記事の見どころ】
●いわば「修行熱心な愉快犯」。ベストセラー連発のスター編集者が、「メリットを一切考えない」で破天荒に動き続ける理由
●「箕輪を自由にさせよう」と思わせたら勝ち。全力で打ち返し続ければ、好きな仕事が集まってくる
●好きなことがない人は、何事も中途半端な「つまみ食い」しかしていない
●常人の2〜3倍じゃ生ぬるい。死ぬ気で20〜30倍の努力をし、一気に周囲を引き離せ
●「死ぬこと以外かすり傷」の真意──自分が本当に欲しいものを手に入れるため、「ギブ」を積み重ねよ

いわば「修行熱心な愉快犯」。ベストセラー連発のスター編集者が、「メリットを一切考えない」で破天荒に動き続ける理由

──箕輪さんは幻冬舎でビジネス編集者として働く傍ら、オンラインサロン「箕輪編集室」の運営や、「箕輪★狂介」名義で楽曲をリリースしたりと、まるで「遊ぶ」ように活動されています。ぶっちゃけた話、こうした社外での取り組みには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

箕輪 厚介(みのわ こうすけ):株式会社 幻冬舎所属。1985年生まれ。2010年に双葉社に入社。ファッション雑誌の広告営業などを経て2014年から編集部に異動し、『たった一人の熱狂』(見城徹著)、『あえて、レールから外れる。逆転の仕事論』(堀江貴文著)などを手がける。2015年に幻冬舎に入社し、NewsPicks Book編集長として『多動力』(堀江貴文著)、『人生の勝算』(前田裕二著)、『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽著)などのベストセラーを連発。2018年1月、株式会社CAMPFIRE(キャンプファイヤー)と株式会社 幻冬舎の共同出資会社で設立された株式会社EXODUS(エクソダス)取締役に就任。2019年4月に「箕輪★狂介」として歌手デビューを果たす。


箕輪:ぶっちゃけるも何も、メリットなんて一切ないですね(笑)。「やりたいかやりたくないか」は判断材料にしていなくて、来た球を全力で打ち返しているだけ。本当に、ノリだけですね。


──では、「箕輪★狂介」としての歌手活動も、楽しいから取り組まれている?


箕輪:そんなわけないじゃないですか! 歌は本当に苦手だし、あれは「地獄」ですよ(笑)。ただ、強いて言うなら「修行」がしたいんです。仲良くしてるホリエモンが「年に3回くらいは面倒くさいことをやらないと、強くなれない」と言っているんですけど、その通りだと思うんです。彼が出たくもないR-1グランプリに出場したのも、修行の一環。人のメンタルも筋トレと一緒で、一度持ち上げられたバーベルは次から余裕で持ち上げられるように、苦行を乗り越えるうちに精神が鍛えられていくんです。

最初、ショッピングモールのステージでおじいちゃんやおばあちゃんに向けて歌ったときは、「最悪だ」と思いました(笑)。けれど、「この苦しさもすぐに慣れる」と分かっていましたし、実際にあっという間に慣れてしまって、今ではコンビニエンスストアに行くような気軽さでライブができるようになったんです。


──遊びというより修行だと……! 箕輪さんは、メンタルを鍛えた先に何を目指しているのでしょうか?


箕輪:特にないですね。本当に目的がなくて、とにかくやったことがない挑戦をしたいだけなんです。誰も見たことがないようなプロジェクトの渦中にいると、夢中になっちゃう。

例えば、僕が編集を手がけた光本勇介さんの書籍『実験思考 世の中、すべては実験』は原価で販売していて、Kindle版に至っては0円です。普通に考えたら、本を原価で売るなんて施策は絶対に通らないし、いろんな意味でありえないプロジェクトです。

どれだけ売っても1円ももうからないけれど、もし読者が価値を感じてくれたら、特設サイト「価格自由」から課金できる仕組みになっている。課金されたお金の半分は読者にプレゼントします。お金を配ればますます盛り上がって、さらに課金が増えるはずですから。光本さんの「本の価格を読者の自由に委ねてみたら、定価で売った場合よりもうかるのか?」という提案に乗り、実験をしているわけです。

実際にたくさん投げ銭が集まっていて、今は6,000万円くらい(※)に達しました。もう最高に楽しくて、興奮しますね。愉快犯みたいな感覚(笑)。

※取材時の情報(2019年5月下旬)。2019年7月現在、1億円を超える額が集まっている


──「愉快犯」、箕輪さんらしいフレーズですね。冷静に考えてみると、光本さんの狂ったアイデアに「やりましょう」と言えるのは、箕輪さんだけじゃないですか?


箕輪:普通の編集者なら言えないかもしれないですね。「原価で売りたい」なんて言われても、「それはちょっと無理」で終わりです。

『実験思考』のときは、最初に光本さんが「0円で売りたい」と言い出すところからスタートしました。0円で売るのはさすがに無理だと思ったけれど、いきなり「無理です」と伝えるのではなく「マジで0円で売りましょう」って言って、ブレストしてみるんです。

大喜利みたいに、「本屋は正式に取り扱ってくれないだろうから、他の本をどかして勝手に置いちゃいますか」とか、「『この本屋のこの本棚に無料で置いているので、勝手に持っていってください』ってツイートしましょう」とか(笑)。そんなことを言っているうちに、「さすがに0円は難しいけど、原価だったらやれるかも」という話になり、今の形に落ち着きました。

僕は光本さんのように、常識にとらわれないクリエイティビティを持つ人の本を手がけることが多いですね。彼らのアイデアを「引き出す」のが、僕の仕事です。「さすがにこれはできないですよね?」という球に対して、「それ、全部アリですよ」と伝える。そうすると、ホリエモンとか光本さんとか前田さんとか、天才はドンドン面白い球を投げて来るので。


──とはいえ、実際にプロジェクトを動かすとなると、相当な苦労をされたのでは?


箕輪:「社内調整めんどくせえ!」って何度も思いました(笑)。社内の人にも本当に大変な思いをさせました。だけど、苦しさと熱狂が混ざっているような状態なんです。めんどくさい仕事を全部こなして世に出したとき、思い描いた通りに話題になり、「光本さんやべぇ!」とか「箕輪さんがまた変なことしてる!」って言われるのがうれしいし、大好きなんだと思う。もちろん、疲れますけどね。

「箕輪を自由にさせよう」と思わせたら勝ち。全力で打ち返し続ければ、好きな仕事が集まってくる

──箕輪さんは仕事と遊びを区別されているのでしょうか? それとも、どちらも同じだと捉えている?

箕輪:まったく区別していませんね。遊びか仕事かどうかは関係なく、「投下した時間に対して何を得られるのか」が違うだけだと思います。得られるものは、お金だったり、信用だったり、楽しい経験だったり。いろいろです。


──仕事と遊びを区別していないというのは、昔からですか?


箕輪:いえ、決して最初からそうだったわけではないんですよ。仕事で少しずつ結果を出していって自分オリジナルな仕事ができるようになると、遊びと仕事の境界がなくなるんだと思います。

僕も最初は、つまらない仕事を振られることが多かった。雑務も自分でさばいていたし、興味が湧かない案件もそれなりにやって打ち返していました。けれど、ときどき好きな仕事を振られたときに自分流のやり方で活躍するうちに、「箕輪が自由に動く方がもうかる」と思ってもらえるようになりました。すると、好きな仕事の割合が徐々に増えていくんです。

宮崎駿さんにアニメをつくってもらうなら、宮崎さんの世界観に従って自由に作品をつくってもらったほうが売れますよね。それを周りが支える。最初はやらされ仕事でも、自分なりに打ち返すのが大切です。


──一方で、箕輪さんは「苦行」の歌手活動を続けられる「修行熱心」な一面も持たれています。やはりワンキャリアの読者にも、狂介のような修行を勧めますか?


箕輪:いや、やる必要は全くないですね(笑)。でも、狂介みたいなことができる人は、ビジネスでも活躍できると思いますよ。最初に大きな方針を打ち立てる「風呂敷『広げ』人」と、その方針を実現に導く「風呂敷『畳み』人」はどちらも必要だけど、やっぱり市場価値が高いのは広げる人。強烈にやりたい「何か」がある人は、風呂敷を畳める人よりも希少です。

賢かろうがバカだろうが、「これを絶対にやるんだ」と大きな旗を立てられる人は、最初は誰にも見向きされなかったとしても、必死にやり続けていれば少しずつ応援してくれる人が増え始め、チームやコミュ二ティが生まれる。

狂介も、最初は全然ウケなくて、徐々に応援してくれる人が増えていったんです。最初はやればやるほどTwitterのフォロワーは減るし、僕が運営するオンラインサロン「箕輪編集室」のFacebookグループで投稿しても「意味分かんねぇ」みたいな反応で。


──箕輪さんのことが好きで「箕輪編集室」に参加している人たちですら、薄い反応だったんですね!

箕輪:ひどいよ、本当(笑)。編集技術についての投稿には30件くらいコメントがつくのに、狂介の動画には2件くらいしかつかなくて、「確実に求められてないな」と悲しくなりました。初ライブのときも「箕輪編集室のやつらは来てくれるだろう」と思ってたら、ライブそっちのけでボウリング大会とかやってたし、「薄情だな」って(笑)。でも、必死に1人で田舎を回ったりしていると、徐々に「うちわをつくって応援しよう」とか「次は名古屋に来るらしいから、名古屋のメンバーは集まろう」みたいな声が挙がりはじめたんです。

誰もが狂介になる必要は全くないけど、旗を立てられる人間は、多くの人やお金を集められて、「超」有利だと思います。

好きなことがない人は、何事も中途半端な「つまみ食い」しかしていない

──少し話は戻りますが、そもそも「好きな仕事」って、一体どんな仕事なのでしょう。たとえば箕輪さんは、「好きな仕事」と「得意な仕事」の違いは区別されていますか?


箕輪:「得意な仕事」のなかに、「好きな仕事」が含まれると捉えています。ある程度、得意じゃなければ、好きにはなれないだろうなと。僕は歌が得意じゃないから、歌手活動はそんな好きになれないんですよ(笑)


──なるほど。最近は「好きなことがない」という声もよく聞きますが、そもそも得意なものを見つけられていないのかもしれませんね。

箕輪:「好きなことがない」という人は、何事も中途半端な「つまみ食い」しかしていないんだと思います。圧倒的な努力をして、ある程度の知見を得られるまでやり切っていないから、「自分は物事に熱狂できないタイプだ」と勘違いしているだけなんです。

一方で、さまざまな領域に強い関心を抱きながらも、しっかり結果を残せる人は、ある物事を好きになる「型」を持っている。最初は苦手なことだったとしても、極端なまでに没入してみれば、どんどん得意になって、好きになることを知っている。どれくらいの水準で頑張れば「他の人より得意」と言えるまで上達できるか分かっている人は、よっぽど向いていないものは別として、何でも好きになれるし、結果を出せるんです。

「箕輪★狂介」の楽曲『徒花』を提供してくれたたなか君(旧活動名:ぼくのりりっくのぼうよみ)は、歌手を辞めてから、体つきが変わってしまうほどボルダリングに熱中しています。彼のように「型」を持っている人間は、何もかも命がけで熱中できるから、おそらく何をやってもうまくいくと思う。「型」を使えば、成功を横展開できるんです。


──まずは、物事を好きになる「方法」を身に付ける必要があると。


箕輪:何でも良いんですよ。いきなり誰も真似できないようなことを達成する必要はないんです。僕も仕事を始めるまでは、本当に打ち込んで頑張ったことなんて、受験勉強と部活動のサッカーくらい。その人にとって最大級の努力をし、報われた経験さえあれば、より大きなスケールの物事にも「型」を転用できるようになる。そして「型」を使いこなしているうちに、だんだんと「達成中毒」のような状態になって、平気で努力できるようになるんです。

常人の2〜3倍じゃ生ぬるい。死ぬ気で20〜30倍の努力をし、一気に周囲を引き離せ

──とはいえ、入った会社で与えられた仕事がうまくいかないと、「これは本当に自分に向いている仕事なのか?」と悩んでしまう人も多いのではないかと思います。


箕輪:厳しいことを言うようですが、とにかく最初に入った会社で見つけた仕事をやり切るしかないと思いますね。確かに、人によって向き不向きは間違いなくあります。本当に向いてないなら辞めたほうがいい。だけど、「向いてない仕事だから」と言い訳しているだけの場合もある。

僕は最初から編集者をやりたかったけど、新卒入社した双葉社では、雑誌の広告営業の仕事を与えられました。それも、全く好きになれない雑誌の、全く興味が湧かない広告を取ってくる仕事もあった。けれど、やりたいことをやれないからといって腐っていたわけではないし、むしろ、自分から新しい案件を引っ張ってきたり、それなりに楽しんでいた。その経験が今につながっていると思います。

僕は雑誌の広告営業を続けていても面白いキャリアになったような気がするんです。自分に向いた仕事を探すのは悪いことではないはずだけど、どんな仕事であってもまずは一定の結果を残すことに集中したほうが良い気もします。


──向き不向きに囚われず、まずは与えられた仕事に集中すべきだと。具体的に、箕輪さんが考える「やり切る」の基準を教えていただけますか?


箕輪:突き抜けるには、人の2〜3倍の努力じゃダメで、20〜30倍の努力をしなければいけません。大変に感じるかもしれませんが、中途半端な努力を3〜4年やり続けるくらいなら、死ぬ気の努力を1〜2回したほうが、長い目で見るとむしろラクです。

編集の世界でも、日常的な作業としては僕より頑張っている人が多いです。ずっとゲラ作業をしてたり、リライトをしていたり。一方の僕は、抜く時もあるけど、「ここぞ」というときは狂ったような頑張りができる。そういう緩急がないと、仕事で突き抜けることは難しいと思います。

短期間でやり切れば、一気に優秀な人や良い案件が集まるし、どんどんフェーズが変わっていきます。入社1〜2年目に周りが普通の頑張りをしているなか、異常なほど頑張れば、振り向いたときには埋めようのない差をつけられるし、その差はそれからの20年に大きく効いてくるんですよ。

「死ぬこと以外かすり傷」の真意──自分が本当に欲しいものを手に入れるため、「ギブ」を積み重ねよ

──ここからは、キャリアについてお話を聞ければと思います。最近の就活生は、2社目以降のキャリアを考慮して「潰しが効きそうだから」と外資系コンサルを志望する傾向があります。この点について、どう思われますか?

箕輪:失敗するリスクを減らそうとする姿勢は、良いことだと思いますよ。もちろん自分のキャリアを真剣に考え、高い解像度で自分の人生の行く末を捉えられている場合に限りますが。

変に格好だけつけて、あやふやな解像度のまま「起業するぞ!」とむやみに挑戦するような人のほうが、むしろ危うい。自著の『死ぬこと以外かすり傷』に「バカになって飛べ!」と書いたからか、「バカになって飛ぶのと慎重に考えるのは、どっちが大切ですか」と聞かれることが多いんですが、「バランス良くやるべき」としか言えません(笑)。

僕はよく「大胆ですね」「破天荒ですね」と言われますが、僕を含めて破天荒だと思われる人ほど、かなり現実的にリスク管理をしています。光本さんなんかは、その典型です。「『実験思考』のプロジェクトは狂っている」とか言われているけど、あらゆるケースをくまなく想定して、たとえ最悪の状況に転がっても、何とかなると分かっているからバットを振れるんです。


──滅茶苦茶なプロジェクトを実行している裏では、正確にリスクを計算していたんですね。


箕輪:また、「自分がどういう人間でありたいか」を突き詰めることも大切です。小説家の村上龍さんの言葉で、「自分の欲しいものが何か分かっていないやつは、その欲しいものを手に入れることができない」というものがあります。

自分に必要なものが分かれば誰よりも素直に吸収できるし、逆に自分の人生に必要ないことに無駄な時間を割くこともない。もちろん、がむしゃらに頑張るのも大切で、頑張っているうちにどうにかなるとも思うけれど、何が得たいかを分かっていなければ、成功の確度は低いと思います。


──がむしゃらに動くにしても、まずは目指す地点をはっきりさせるべきだと。ちなみに今、箕輪さんが「この人は面白い!」と思う若者は浮かびますか?


箕輪:20代だと、たなか君やdely代表の堀江裕介さんはすごいと思うな。みんな、自分のありたい姿がしっかりと見えている点が共通していますね。


──普段、「箕輪編集室」などで学生の方とも関わられていると思いますが、箕輪さんが「見込みがある」と感じるのはどんな学生でしょうか?

箕輪:一番は行動力があるやつ。面白いもので、頭が良くなくても行動力あるやつは、最初は「こいつ大丈夫かな?」って思っていても、数カ月するとモノになってくる。いわゆる「意識が高い人」は、バカにされがちだけど、実はとても強いです。モチベーションを持てているだけで尊いし、やる気がない人を頑張らせるのはとても難しいので。「とにかく何か成し遂げたい」という思いを持っている人は、最初はバカに見えても、時間がたつと驚くほど優秀になっていることはよくありますね。


──では、行動力を備えた人が気の赴くままに努力を続ければ、成功をつかめるのでしょうか?


箕輪:いえ、実は行動力しかない人は、活躍できずに終わってしまうことがある。活躍する人とできないの差は、「人がどうしたら喜ぶか」を想像する力の有無です。想像力がない人の行動は、相手からすれば自分勝手にしか見えず、うんざりされてしまいます。

よくTwitterで「箕輪さんが著書で『行動力が大切だ』と書いていたので連絡してみました。僕はこんな活動をしたいので、この質問に答えてください」みたいなDMが届きますが、山ほど来るDMにいちいち返していたらキリがないし、僕が疲れてしまうだけですよね(笑)。

相手の状況や気持ちを想像できずに自分勝手な行動をとる人が実らないのは当たり前です。だから、行動するにしてもまずは相手がどうやったら喜ぶかを考え抜いて、ギブから始めないといけません。周りの人の気持ちが分かり、素直に指摘されたことを吸収できる人間性を備えていれば、行動を積み重ねることでどんどん成長できるはずですよ。


【取材・執筆・撮影:岡島たくみ(モメンタム・ホース)/編集:小池真幸(モメンタム・ホース)】


【特集:「遊び」とビジネス】

<幻冬舎 箕輪厚介氏>
・ベストセラー連発のスター編集者が、歌手活動にのめり込む理由
<ミラティブ 赤川隼一氏>
・「意識低い系」バンドマンが、急成長スタートアップの経営者になるまで
<シモダテツヤ氏>
・日本で初めて「おふざけ」を仕事にした男に、『遊び』の感覚はなかった
<東京学芸大学 松田恵示氏>
・「遊び学」研究者が考える、遊ぶように仕事をする方法
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