「学生時代に頑張ったことは何ですか?」
この質問に頭を悩ませたことはありませんか? 業界を問わず、この質問には準備が必要です。
例えば、ケース面接のイメージが強い外資系コンサルでもさえも「学生時代の経験」を聞かれるようです。ボストン コンサルティング グループ(BCG)の内定者は、面接で「ゼミの課題について深掘りされた」、エントリーシート(ES)では「人間性を知ろうとする質問が多くされた」と語っています。
部活動・サークル活動・アルバイト・学業の研究など、どんなエピソードも「書き方・伝え方を意識するだけ」で面接官や人事に響く魅力的な回答になるんです! 今回は、エントリーシート(ES)や面接で他の学生と違いが出せる「学生時代頑張ったこと」の書き方と、「自己PR」の例文と話し方について、トイアンナさんの記事をお届けします。
<目次>
●はじめに:エントリーシート(ES)・面接の自己PRで違いが出る!「学生時代頑張ったこと」書き方・話し方のコツ
●企業の採用担当者の意図:「就活生の経験・実例を自社で生かせるか」
●合否を分けるポイント(1):自己PRの「再現性」と「反復性」
●合否を分けるポイント(2):「定量的な表現」と「成功につながる行動特性」
・定量的な書き方・伝え方の2つのポイント:「周りとの比較」と「経年での評価」
・行動特性をアピールする5つのポイント
●おわりに:過去の経験・エピソードを面接官の視点で伝えることが重要!
はじめに:エントリーシート(ES)・面接の自己PRで違いが出る!「学生時代頑張ったこと」書き方・話し方のコツ
こんにちは、トイアンナです。
エントリーシート(ES)や採用面接で自己PRの場として聞かれる「学生時代に頑張ったこと」。この「学生時代に頑張ったこと」という質問は、面接官が就活生の将来性を見抜くための大切なカギになります。
「学生時代に頑張ったこと」として、サークル活動やアルバイト、学業の研究などのエピソードを伝える就活生は多くいます。ところが、この質問で自分の能力をうまく伝えられる人は、就活生のトップ層でもごく一部。私自身、旧帝大や早慶上智の学生を年間1,000人ほど面接してきましたが、「この人だ!」と思えることは本当に少ないです。
その原因は面接官に、将来性を判断するために必要な情報を伝えられていないこと。
今回は、企業が「学生時代に頑張ったこと」を質問する理由と、エントリーシート(ES)や面接で、採用担当・面接官に将来性を感じさせる自己PR術をお伝えします。
企業の採用担当者の意図:「就活生の経験・実例を自社で生かせるか」
企業側は「自社のビジネスで活躍できる人材」を採用したいと考えています。そのため、中途採用では「営業で◯◯の成果を残した」「◯◯の専門資格を持っている」など、仕事の実績やスキルを参考に合否を判断します。
一方の新卒採用の場合、学生はビジネス経験が浅く、そのスキルや経歴で活躍の可能性を見極めるのは非常に難しいです。
そこで企業は「学生の過去の経験・実例」から、自社のビジネスで活躍できる人材を見極めようとするのです。
合否を分けるポイント(1):自己PRの「再現性」と「反復性」
ここでカギを握るのが、過去の経験・エピソード内容に「再現性」と「反復性」があるかどうかです。
具体的にイメージしてみましょう。あなたはテニスサークルのキャプテンで、未経験者の新入生から「活躍してくれそうな人」を選ぶ立場にあるとします。あなたならどのように人選しますか?
例えば、高校時代にサッカーの全国大会に出場している学生は、テニス未経験でも活躍しそうだと予想できませんか。その理由は、サッカーの経験から「基礎体力や試合相手との駆け引きに長けている」「目標に向かって努力できる」と評価できるからです。
これは新卒採用でも同じです。面接官は学生の思考や行動パターンからその学生が入社後に企業で活躍するか(=再現性)、活躍は長期間継続するか(=反復性)を見極めようとしています。エントリーシート(ES)や面接の自己PRで、自分の過去の経験の再現性と反復性をアピールし、「将来性がある」と面接官に判断させましょう。
合否を分けるポイント(2):「定量的な表現」と「成功につながる行動特性」
では、どのように伝えれば将来性を評価されるのか、具体的な例文を見てみましょう。
まずは以下の2つの自己PRエピソードを読んでください。あなたはどちらに魅力を感じますか?
【エピソードA】
私はアルバイト先の飲食店で新メニューを提案し、売上を1.2倍に伸ばしました。
売上の減少を受けて、店長から売上アップのために意見を求められる機会があり、新メニューの開発を提案しました。
開発したメニューは「巷(ちまた)で人気」とテレビで取り上げられていた料理です。他店でその料理を食べた私は「絶対に売れる」と確信し、店長に提案しました。メニューを提供するにあたっては、キッチンやホールのスタッフの協力が必要でした。そのため、彼らと何度もミーティングを重ね、意思疎通を図りました。結果として、この新メニューは人気メニューとなり、売上向上に貢献することができました。
【エピソードB】
私はアルバイト先の飲食店で新メニューを提案し、売上を1.2倍に伸ばしました。
バイト先は近年売上が減少しており、私はお世話になっているお店に貢献したいと思いました。
調査したところ原因が客単価の減少にあると突き止めたので、客単価を上げる新メニューを企画することにしました。
企画にあたっては、来店客100人にヒアリングしてニーズを探るとともに、競合の10店舗を調査することで、今のメニューに足りない要素を分析しました。
結果、この新メニューは人気メニューとなり、売上向上に貢献することができました。
どちらの例文も大まかな内容は同じですが、面接官に「採用したい」と明確に思わせる回答はBでしょう。
面接官は、A・Bそれぞれの自己PRエピソードからこのような情報を読み取ります。
エピソードAから読み取れる情報
・店長に求められて提案した
・受動的に耳にした情報(=テレビ番組)をもとにメニューを企画した
・定性的な分析をした(料理を食べて「絶対に売れる」と確信した)
エピソードBから読み取れる情報
・自ら課題を見つけて行動した
・能動的に情報を集めてメニューを企画した
・定量的な分析をした
エピソードBの方がプロセスを通して「問題に積極的に取り組む」「判断力・問題解決力に長けている」学生像が浮かび、「我が社で活躍できる将来像」が想像しやすいのは明らかです。カギになるのは、「定量的な表現」と、成果に繋がった「行動特性」を明示することです。
ここからは、具体的な自己PRのポイントを紹介します。
定量的な書き方・伝え方の2つのポイント:「周りとの比較」と「経年での評価」
ありがちな「すごく苦労した」「大きな成果が出た」という書き方・伝え方は理解はできますが、抽象的すぎて具体的なイメージが湧かず、説得力もありません。一方で、売上金額のように全ての数値を定量的に落とし込むのは難しいものです。悩んだ時は、以下の2つのポイントを意識して確認してみましょう。
1. 周りと比較した評価
「〇〇人中▲▲位をとった」などのように現在の競合相手と比較する
2. 経年での評価
「これまで〇〇位だったが、今年は▲▲位になれた」など、過去の先輩や自チームと比較する
行動特性をアピールする5つのポイント
行動を通して「再現性」と「反復性」を感じさせるためには、5つの要素を盛り込むとよいでしょう。
1. どんな課題に取り組んだか
2. 取り組んだ動機は何か
3. 何を目標に設定したか
4. 課題をどう解決したか
5. 取り組みの成果とその評価
これらの要素を定量的に伝えることで、面接官に効果的な自己PRができます。
おわりに:過去の経験・エピソードを面接官の視点で伝えることが重要!
上記の通り、学生時代に頑張ったことを通じて面接官に見られているのは「経験の内容」ではなく「入社後の将来性」です。
エピソード作りのためだけに大学時にサークル活動やアルバイト・学業の研究に取り組んだり、海外でバックパッカーになったり、ベンチャー企業で長期インターンをしたり、学生団体を立ち上げたりなどの特別な工夫をする必要はありません。
今取り組んでいることを、「定量的に」「行動特性を感じさせるように」表現するよう意識してみてください。みなさんの就活での活躍を応援しています。
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※こちらは2016年3月に公開された記事を、一部加筆し再掲したものです。