昨今、男女を問わずさまざまな方がメイクを楽しむようになっています。ドラッグストアなどの身近な場所にも男性向け化粧品が数多く並ぶようになり、「女性のためのもの」という化粧品に対するイメージは、大きく変わろうとしています。
より幅広く、よりたくさんの人が楽しむようになった化粧品。そんな化粧品業界において、世界で最も高い売上を誇っているのが、パリに本社を構えるロレアルグループです。化粧品メーカーだと女性の方が多いのかと思いきや、セールス職は男女がほぼ同数(※)となっています。
本記事でお話を伺ったのは、ロレアルグループの日本支社「日本ロレアル」でセールスを担当する、加藤遥さんと松沢祐佳さん。日本ロレアルでは、入社1年目からトップクライアントを任せられることが多いというお2人。なぜ、若手にそこまでの大役を任せることができるのでしょうか。若手の活躍を支える、日本ロレアルの風土と制度に迫ります。
(※)……2023年12月末時点 社内システム Carol調べ(区分:Sales、Retail、Retail&Education、Digital/男性46%)
加藤 遥(かとう よう)(右):日本ロレアル株式会社プロフェッショナル プロダクツ事業本部 プロフェッショナル コスメティックス営業部 部長
2008年新卒で入社後トレードマーケティング部に配属され、営業、セールスプランニングの経験を経て、2018年に営業部部長になる。
松沢 祐佳(まつざわ ゆうか)(左):日本ロレアル株式会社コンシューマー プロダクツ事業本部 アカウント マネジメント部セールスレプレゼンタティブ
2016年新卒で入社後、営業、リテールブランドマネージャー、産休育休を経て営業にて復帰。
<目次>
●百貨店から皮膚科まで。幅広い顧客のニーズを満たす日本ロレアルのセールス職
●「世界最高峰の製品開発力」を武器に「ロレアルならでは」の提案ができる
●日本ロレアルには、年齢を問わず「任せる」文化がある
●若手に賭ける「bet on people」という文化と、幹部候補の育成制度
●日本ロレアルのセールス職で培う「自ら考え、課題を解決する力」
百貨店から皮膚科まで。幅広い顧客のニーズを満たす日本ロレアルのセールス職
──加藤さんはプロフェッショナル プロダクツ事業本部(以下、PPD)、松沢さんはコーンシューマー プロダクツ事業本部(以下、CPD)に所属していると伺いました。事業本部はどのようにチームが分けられているのでしょうか。
加藤:基本的には販売チャネルごとに事業本部が分かれています。日本ロレアルの製品をエンドユーザーに届けるためのチャネルは、美容室、ドラッグストアなどの小売店、百貨店と皮膚科の4つ。美容室を対象とする製品を担当するのが、私が所属しているPPDで、松沢さんが所属しているCPDは小売店向けの製品を担当しています。そして、百貨店向け製品をロレアル リュクス事業本部(以下、LUXE)が、皮膚科や小売店向けの製品をロレアル ダーマトロジカル ビューティ事業本部(以下、LDB)が取り扱っています。
──事業本部によってセールス担当者の業務も異なるのでしょうか。
加藤:相対するお客さまや、取り扱う製品が異なります。例えば、私が所属するPPDにおける「お客さま」は主に美容師さんたちです。販売しているのは、美容室で用いられるカラー剤やパーマ剤で、製品としてはなじみの少ないものが多いですね。
松沢:私が所属するCPDは、マス向けの製品を取り扱っています。ブランドとしては「L'ORÉAL PARiS(ロレアル パリ)」や「MAYBELLINE NEW YORK(メイベリン ニューヨーク)」などですね。主なお客さまは、先ほど申し上げたドラッグストアやバラエティストアなどの小売店と、Amazonや楽天市場、@cosme(アットコスメ)などのECサイトを運営する企業です。
──LUXEとLDBはいかがでしょう?
加藤:百貨店の1階にあるような、ラグジュアリーな魅力を持つブランドを取り扱っているのがLUXEです。具体的には「Lancôme(ランコム)」や「YVES SAINT LAURENT(イヴ・サンローラン)」「shu uemura(シュウ ウエムラ)」などが代表的なブランドです。
LUXEのセールス担当の業務はビューティー・アドバイザー、いわゆる美容部員とコミュニケーションを取り、マネジメントをすることで店舗の売り上げを向上させることです。
一方のLDBは、担当するお客さまによって業務内容も大きく変わります。皮膚科を担当することになれば、製品を取り扱っていただけるよう商談することはもちろん、「LA ROCHE POSAY(ラ ロッシュ ポゼ)」のイベントに担当する医師を招くなど、製薬会社のMRのような業務をすることもあります。ドラッグストアなどを担当することになれば、業務内容としてはCPDのセールスに近いものですね。
「世界最高峰の製品開発力」を武器に「ロレアルならでは」の提案ができる
──セールスをする中で、どのような点にロレアルグループの強みを感じますか?
松沢:製品開発力ですね。CPDで取り扱う製品はマス向けということもあって、たくさんの競合製品があります。SNSなどの影響もあってトレンドの移り変わりも大変早く、1日先には何が売れ筋になっているかわかりません。
そんな環境の中で、常に質の高い製品を生み出し続けられることはロレアルグループの大きな強みだと思っています。
松沢:幅広くビジネスを展開しているからこそ、よりたくさんのお客さまに「世界最高峰」をお届けできているのだと思います。
──LUXEが取り扱う製品だけではなく、低価格帯の製品にも世界最高峰の技術が詰め込まれている、ということですね。
松沢:ただし、製品の質が高いからといって簡単に売れるわけではありません。より付加価値を生み出すことがセールスの役割で、しっかりと「そのお店で」売れる製品を提案することが求められます。
企業や店舗ごとの特性などに関するデータを分析し、その結果を質の高い製品と掛け合わせ、「ロレアルだからこそできる提案」ができることが強みであり、面白さだと思っています。
日本ロレアルには、年齢を問わず「任せる」文化がある
──セールスとしてさまざまな化粧品や美容関連製品を取り扱っていますよね。やはり入社前からそういった製品に関心をお持ちだったのでしょうか? 加藤さんは新卒で2008年に入社したそうですが、当時はまだ日常的に化粧品を使用する男性は少なかったのではないかと思うのですが。
加藤:正直に言えば、化粧品そのものに興味があったわけではありません。今でこそ自社のプロダクトには愛着も持っていますが、就職活動の時点では「化粧品業界で働きたい」とは思っていませんでした。
では、なぜ日本ロレアルを選んだかと言えば、その風土や文化にひかれたからです。私は若手が活躍できる、風通しのよい会社で働きたいと考えていました。そんな中で、日本ロレアルの会社説明会に参加した際、2人の人事担当者が説明会を担当していたのですが、どちらもとても若いにもかかわらず、堂々と会社の看板を背負っていることがとても印象的だったんです。話を聞いてみると、どちらも3年目の社員でした。
会社説明会って、新卒採用においてはとても重要なポジションを占めるイベントじゃないですか。その1回の接点で、就活生の志望度は、良くも悪くも大きく左右されるわけですからね。そんな大事なイベントを、3年目の若手に任せる会社もあるんだと思い、とても印象的だったんです。だから、説明会が終わったあと、その2人の社員を捕まえて日本ロレアルにおける若手の活躍や風土について、会場から誰もいなくなるまでじっくりと質問させてもらいました。
そのとき、「間違いなくこの会社には若手が活躍できる環境がある」と感じて志望度が一気に上がり、最終的には入社することを決めたんです。
──入社後、説明会の際に抱いた印象とのギャップは感じませんでしたか?
加藤:全くありませんでした。日本ロレアルでは、年齢や経歴、性別に関わらず、全ての人の意見が尊重される風土があります。
実際に私も若手時代に提案したことが「それ、会社全体で取り組んでみよう」と採用されたことがあります。そのとき、本当に年齢などの垣根がない会社だと思いましたし、説明会のときに抱いた感覚は間違っていなかったと確信しましたね。
──若手に任せる文化が根付いているんですね。
松沢:私もそう思います。例えば、CPDではトップクライアント20社との取引額が事業本部全体の売上の大分部を占めているのですが、1年目からトップクライアントの担当にアサインされることがよくあるんです。
──事業本部にとって、ひいては会社にとってもかなり重要なポジションですよね。
松沢:事業本部の業績を大きく左右するわけですからね。もちろん、全て1人で業務を完結させるわけではありません。先輩や上司、あるいは代理店のみなさんのサポートがあるからこそ1年目でもトップクライアントとも渡り合えるわけですが、それでも大きな裁量が与えられるのは間違いありません。
私自身も1年目からトップクライアントを担当していました。自分の頭で考え抜き、事業本部にとっても重要な提案を繰り返した経験は、とても大きかったと思います。
若手に賭ける「bet on people」という文化と、幹部候補の育成制度
──なぜ、そんな重要なポジションを1年目に任せられるのでしょうか?
加藤:それが日本ロレアルの文化であり風土だ、というのが答えなのですが、重要なのはなぜそんな風土や文化が根付いているかですよね。私の考えでは、化粧品業界の特性が大きく関わっていると思います。先ほど松沢さんも触れていたように、化粧品のトレンドの移り変わりはとても早いですよね。では、その新たなトレンドを生み出しているのはどの世代かというと、やはり若い世代じゃないですか。
加藤:だからこそ、若手の力が重要なんです。ベテランの感性や経験だけをベースに判断していては、トレンドの変化に取り残されてしまう可能性がある。私自身、40代を目前にして、より若手メンバーから、たくさんのことを吸収しないといけないなと思っています。もちろん若手に与えられるものも少なくないと思いますが、年齢を重ねれば重ねるほど、若手から学ぶことが必要になる。「トレンドの移り変わりが早い」という業界特性が、私たちの「大胆に若手に任せる」という文化のベースにあると思います。
──化粧品業界の会社にとって、若手の活躍は極めて重要な意味を持つわけですね。
加藤:これはロレアルグループの1つの哲学と言ってもいいと思いますが、「bet on people」という考え方があります。直訳すれば、「人に賭けよ」ですね。一般的には「できることを任せる」じゃないですか。でも、ロレアルグループはそうではありません。「できるかもしれない」ことを任せるんです。まさに「賭けて」いるわけですね。
会社規模が大きく、会社としての「体力」があるからこそ「賭ける」ことができますし、先ほど申し上げたように「化粧品業界だからこそ」という側面もあると思っています。
さらに言えば、人事制度面も重要です。日本ロレアルでは、職種別・少数精鋭の採用を実施し、新卒社員は全員幹部候補生として迎え入れています。
入社後は「マネジメントトレーニープログラム」という研修を受けてもらうことになりますが、この研修では一人一人の個性や将来の配属先を加味した上で、最長12カ月のテーラーメイドのプログラムが設定されます。例えば配属先の事業本部内でさまざまな職種をローテーションしながら、実践を通して実務と日本ロレアルのビジネスの全体像を学び、社内ネットワークを構築してもらっているんです。
もともと少数精鋭の採用から4つの事業本部へそれぞれ配属され、さらに担当ブランドに配属されることになるので、ブランド単位で配属されるのは極めて少数です。だからこそ、各事業本部、各ブランドがとても丁寧に新人を指導できますし、幹部候補生として大切に育てようとする空気が生まれるわけです。
日本ロレアルのセールス職で培う「自ら考え、課題を解決する力」
──とても魅力的な環境ですね。一方で、セールス職には体力的なタフさが求められる側面もあるのではないでしょうか。「足を使う」こともあるでしょうし、お客さまの要望に応えるため、ときにはプライベートの時間を削らなければならないというイメージがあるのですが……。
加藤:もちろん、お客さまの元に足を運ぶことも大事なことですが、日本ロレアルのセールス職では「頭を使ってロジカルに動く」ことが重視されます。メンバーたちには自分の頭で考えて行動する癖を付けてもらうことを大事にしていますし、「とにかく足を動かせばいい」というわけではありません。
それに、業界、ひいては世の中も大きく変わっています。働き方改革の波はやってきていて、最近ではオンライン商談も増えてきました。セールス職も、足だけではなく頭を使うことが重要なんです。
──日本ロレアルのセールス職においては「体力」というよりも、ロジカルさや企画力が求められる、ということですね。
加藤:もちろん体力もあるに越したことはないですが、ロジカルさや企画力も同様に求められますね。さらに言えば、日本ロレアルには社員のプライベートを尊重する環境が根付いています。私は管理職としてメンバーをマネジメントする立場にありますが、意識的に誰よりも休むようにしていますね。「ちゃんと休みを取ってね」と言っても、そう言っている張本人が全く休んでいなかったら、メンバーたちは休みにくくなってしまうじゃないですか。
好きなことをして過ごす時間や家族と過ごす時間は、かけがえのないものです。個人的には、そういった時間よりも大事な仕事なんてないと思っていますし、この会社にはそういった考えを受け入れてくれる環境があると感じています。
──とても働きやすい環境なんですね。そんな環境の中、セールス職として働くことを通してどのような力が身につくのでしょうか。
加藤:日本ロレアルのセールス職で身につくのは「自分で考え、課題を解決する力」だと思っています。どのようなタイミングでどのような施策を打てば、目の前にある課題を解決できるのかを自ら考え、実行していく。この流れはどのような職種でも変わりません。つまり、日本ロレアルのセールス職を経験すれば、どのような局面でも通用する力が身につくと考えています。そして、これまでお話してきたようにこの会社のセールス職では、1年目から「自ら考え、課題を解決する」ことが求められるので、キャリア選択の幅も大きく広がるはずです。
松沢:キャリア選択も「自分で考えること」が求められますし、当社にはさまざまな選択肢が用意されています。例えば、さまざまなエリアを渡り歩き、営業経験を積みながらマネジメント職を目指すこともできますし、早いタイミングで営業戦略の立案を担当する部署に異動し、幅広いスキルを身につけることも可能です。若いうちから力をつけて、キャリアを切りひらいていきたいと考えている方にとって、とてもいい環境だと思いますよ。
加藤:私自身、30代前半で部長職を担っているとは入社前には思ってもみませんでしたし、自分では想像もできなかったような成長を遂げられたのは、日本ロレアルの環境だったからこそだと思っています。
私もそうでしたが、学生のうちに将来の自分の姿や、やりたいことを具体的にイメージすることって難しいじゃないですか。それでいいんだと思います。仕事を通じて成長を遂げる中で見えてくるものがあると思っていますし、日本ロレアルでは何年目であっても成長する機会が平等に与えられる。これから入社してくる方々とも、仕事を楽しみながら、ともに成長していきたいですね。
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【取材・執筆:鷲尾諒太郎/撮影:遠藤素子/編集:萩原遥】