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未来を創る「美の革新者たち」。資生堂のDX本部が挑む「体験価値の創造」とは

企業インタビュー 企業理解 インタビュー メーカー 日系
2024年6月20日(木) | 7,868 views
sponsored by 資生堂

化粧品業界のリーディングカンパニーとして知られる資生堂。その資生堂グループのDXを加速させることを目的に、アクセンチュア社との合弁会社として2021年に設立されたのが、資生堂インタラクティブビューティーです。

同社のミッションは「すべての人生を健やかでリッチに。デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造する」こと。その実現を具体化する部門の1つである「DX本部」のミッションは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や新規事業の開発で、業界にイノベーションを起こすことです。そのために多様な人材が集まっており、新卒や若手でも業界初の取り組みにチャレンジしています。

DX本部は何をミッションに、どのような変化を起こそうとしているのか。オムニエクスペリエンス推進部 企画推進グループでグループマネージャーを務める増田卓矢さんと新卒で入社した奥田玲子さんに最前線の舞台裏を伺いました。

<目次>
●デジタルの力で資生堂のビューティー体験を進化させる
●新卒の初仕事が、業界初の新規事業
●DX本部なら、キャリアの「ロールパーツ」を見つけられる
●ボトムアップでの挑戦は大歓迎。領域を超えて成長してほしい

デジタルの力で資生堂のビューティー体験を進化させる

──まず、お2人が資生堂に入社された理由から教えてください。


増田:2018年に資生堂に入社した後、資生堂インタラクティブビューティー(以下、SIB)に転籍し、現在に至ります。今は「Beauty DNA Program」という新規サービスのチームリーダーとして企画やローンチ、運営に携わっています。

資生堂に入社したのは、デジタル領域で挑戦がしたかったから。以前はアパレルメーカーで勤務しており、そこでの経験を他の業界でも生かしたいと考え、ECの拡大余地が大きい化粧品業界に関心を持ちました。資生堂は今後、ECの売上比率を高めることを目標にしており、また「既存のリアルの店舗×デジタル」の融合を促進していきます。その一翼を担うのがDX本部です。

増田 卓矢(ますだ たくや):資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部 オムニエクスペリエンス推進部 企画推進グループ グループマネージャー
2018年に資生堂に入社。資生堂インタラクティブビューティーに転籍し、「Beauty DNA Program(ビューティー・ディーエヌエー・プログラム)」のチームリーダーとして企画からローンチ、運営に従事。


奥田:私は2022年に新卒で資生堂に入社し、現在は出向という形でSIBに在籍しています。資生堂に入社した理由は2つあって、まず私自身が人を喜ばせるのが好きだということ。もう1つは大学時代に応用化学の電気化学分野を学んでいたことです。そこで培ったデータ分析や予測のスキルを、DX本部で生かせるのではないかと思いました。


──就活では、他の業界や企業は見ていなかったのですか。


奥田:実は、最後までコンサルティング会社と迷っていました。でも、「自分で作ったものをお客さまに届けたい」という、資生堂のような事業会社寄りの志向を私が持っていたことと、当時の資生堂がデジタルへの転換にチャレンジすることを発表しており、そこに共感したことが決め手になりました。

奥田 玲子(おくだ れいこ):資生堂インタラクティブビューティー株式会社 DX本部 オムニエクスペリエンス推進部 オムニPBPリレーショングループ
2022年に新卒で資生堂に入社。プログラムのメイン担当として、「Beauty DNA Program」の立ち上げから運用に従事。


──増田さんと奥田さんが所属されているDX本部とは、どのような組織なのでしょうか。


増田:まず、私たちが所属するSIBは、資生堂グループにデジタルマーケティング業務やデジタル・IT関連業務を提供するため、2021年7月にアクセンチュア社と設立した合弁会社です。中でもDX本部は、リアルとデジタルを融合させたオムニエクスペリエンスを通じて、お客さまに新しい価値を提供することをミッションとしています。

たとえば、2022年に始めた会員サービス「Beauty Key」もその1つです。これまで資生堂は、店舗やブランドごとに会員サービスを持っており、それぞれの会員情報やポイントの連携ができていませんでした。それらを統合すれば、購買データや肌に関するデータを連携させて、より価値のあるサービスを提供できます。

そこで生まれたのが、資生堂のすべての会員サービスを統合した「Beauty Key」です。私と奥田はDX本部の中でもオムニエクスペリエンス推進部に所属しており、まさに「Beauty Key」のようにデジタルの力であらゆるタッチポイントを実現することが役割です。

また、DX本部の特徴としてデジタルに特化した活動をする美容部員である「オムニパーソナルビューティーパートナー(以下PBP)」がいます。美容部員というと、店頭で接客するスタッフのみをイメージするかもしれません。ですが、オムニPBPは個人用のSNSアカウントを運営し、オンライン上でデータをもとにカウンセリングやライブコマースをしたり、デジタルツールを使って美容情報を発信したりしています。オムニPBPとは、DX本部の同じフロアで一緒に仕事をしていて、これまでにない面白い取り組みだと感じています。

新卒の初仕事が、業界初の新規事業

──お2人が携わっている「Beauty DNA Program」について、詳しく教えてください。


増田:「Beauty DNA Program」はDNAを使って、肌の特徴を検査するサービスです。店頭で行っている肌診断はあくまでも現在の肌に注目したものですが、「Beauty DNA Program」は生涯変わることのないDNA情報を用いることで、もともと持っている肌の性質や特徴を検査します。

たとえば、肌がビタミンをどれだけ保持できるのか、どれくらい刺激に対して抵抗力を持っているのか、といったことも分かります。そして、検査をして終わりではなく、先ほどご紹介したオムニPBPによるカウンセリングを行っていることも特徴です。ここまでのサービスを提供している競合他社は、まだないと思いますね。

「Beauty DNA Program」の検査結果イメージ(資生堂提供)

奥田:「Beauty DNA Program」でずっと変わることのない自分の本来の肌体質が分かれば、その後のお手入れ方針が明確になることが大きなメリットです。また、本来の肌体質と今の肌の状態が両方分かれば、そのギャップを知ったうえで、お客さまのお悩みに対してPBPがサポートできるところが、このサービスの強みです。


──他にはないサービスとなると、開発には苦労もあったのでは?


増田:そうですね。資生堂は、そもそもは化粧品という「モノ」を売る会社です。そんな会社がデジタルサービスによる「体験」を提供することは、大変なチャレンジでした。特に、「Beauty DNA Program」のような新規サービスの立ち上げは、いわば0を1にする仕事です。

どこまでビジネスとしてドライブするのか、予算はどれくらいかかるのか、それで本当に売れるのか、サービスをどう運営するのか……など、社内からの多くの疑問に答えなければ、0を1にはできません。

実際に開発がスタートしてからも、苦労は多かったです。特に、業務フローを構築するのは大変でした。「Beauty DNA Program」は販売して終わりではなく、販売後に発生するかもしれない事柄にも対応しなければいけません。そのためにはどんな作業が必要で、それを誰が担当するのか。そういった業務フローが、最初に定義したもので100くらいあり、サービスを運営していく中でどんどん増えています。


奥田:仮にお客さまから問い合わせがきた場合、その内容が緊急事態なのかどうかを判断できるようにするためのナレッジ化や、そこから現場に落とし込んで、誰でも対応できるようにするための「見える化」も必要でした。「Beauty DNA Program」は社内の関係者が多いからこそ、そうした業務フローをしっかりと定義して周知しておくことが重要です。


──資生堂という大企業ならではの苦労と言えそうですね。


増田:そうですね。新しいサービスや取り組みはDX本部だけで実現できるものではなく、数多くのグループ会社との連携が必要です。たとえば、「Beauty DNA Program」の場合はDNA情報を使うわけですが、このDNAの研究は資生堂の研究所で行われています。研究員たちが長い年月をかけて研究した成果をビジネスの種として、私たちがどのように活用するかは、研究所の意向も尊重しながら考える必要があります。


──奥田さん個人としては、どんな苦労がありましたか。


奥田:「Beauty DNA Program」のプロジェクトが、新卒で入社してから最初の仕事だったので、そういう意味でも苦労しました。新卒でかつ新規事業だったので、上司や先輩たちの見よう見まねで業務を定型化して、自分の仕事として落とし込んでいきました。

それと、オムニPBPの方々と会話をする中で、現場の課題や改善点をどうキャッチアップして上にエスカレーションするか、という連携も難しい部分でした。さらに、課題をシステム化で解決すべきか、オペレーションで解決すべきなのかについての判断も簡単ではありませんでした。

でも、新卒も一社員として捉えて意見をしっかりと聞いてもらえる環境は、やりがいがあり、責任感も育まれました。

──お話をお聞きしていると、DX本部の取り組みは資生堂の将来に大きな影響を与えるように思えます。


増田:そう思います。資生堂は業界をリードする立場として最先端でDXを進めていかなければなりません。だからこそ、他社に先駆けて「Beauty DNA Program」やオムニPBPといった新しい施策に取り組んでいますし、資生堂全体でのデジタル活用を推進できるよう取り組んでいく必要があると思っています。

DX本部なら、キャリアの「ロールパーツ」を見つけられる

──DX本部で働く魅力は何でしょうか。


増田:新しい挑戦ができることですね。デジタルに慣れていると当たり前に思えることでも、実は一般社会では当たり前ではないことも多いです。それを言語化し、翻訳して社内外に伝えるのもDX本部の大事な仕事。このデジタルと非デジタルをつなぐ経験は、これからのキャリアでどの領域に進んだとしても、価値のあるスキルになると思います。


奥田:やりたいことがあれば、誰でも手を挙げて提案できる点も魅力ですね。大きいところだと、「こういう事業を立ち上げたい」と言えますし、日々の業務においても「効率化のためにこういうツールを使いたい」など、どんどんボトムアップで提案できる環境です。新卒・ベテランに関係なく、フラットに意見を聞く風通しの良さがあります。

また、多様性があるのもDX本部の魅力だと思っています。新卒も中途も資生堂グループの他の会社から転籍・出向してきた人もいますし、コンサルタントやエンジニアだった方、メディアにいた方など、さまざまな業界から人材が集まってきています。多様な仕事の進め方や考え方に触れられるので、勉強になり成長もできます。


増田:こんなに多様な人材が集まっているのは、資生堂グループの中でも弊社だけだと思います。よく「キャリアのロールモデルになる人を見つけよう」と言いますよね。でも、現代のような多様性の時代においては、ロールモデルではなく「ロールパーツ」という考え方が適しているのではないか、と思っています。つまり、いろいろな人の良い所を「パーツ」として集めて、自分自身のキャリアを形成していく方法です。DX本部は、まさにそうしたロールパーツを見つけられる場だと思います。

ボトムアップでの挑戦は大歓迎。領域を超えて成長してほしい

──新規事業開発やデジタルに興味がある学生がDX本部で働く際、どのようなスキルや経験、素質が求められますか。


増田:DX本部は、ボトムアップでどんどん挑戦できる組織です。「失敗を恐れず、まずやってみよう。やってみないと分からない」というマインドを持った方と一緒に働きたいですね。それから、自分の領域を小さく閉じないこと。「この仕事は私、この仕事は◯◯さん」と分断するのではなく、自分の領域から一歩踏み出したほうがコミュニケーションもうまくいくし、成長できると思います。実際に、そうやって領域を超えたコラボレーションからいい仕事が生まれてきたのを、何度も目にしてきました。

スキルについては、得意な分野を1つ持ちながら他のスキルも広く身につける「T型人材」を目指してほしいですね。必ずしも、デジタルに直接関係がないスキルでも構いません。どんな領域でも、デジタルが関わる余地はありますから。一見すると無関係に思えるスキルが、DX本部での仕事にどう役立つか考えてみてほしいです。


奥田:私が学生時代にやって良かったと思っているのは、多様なバックグラウンドを持つ帰国子女の友人たちと交流したり議論したりしたことです。そこで、自分の意見をしっかりと持ったうえで他者の意見も尊重しつつ、どこに落とし込むのかといったコミュニケーションを学びました。この経験は仕事にも生きているので、学生の皆さんも多様な人たちと関わる経験をぜひしてほしいと思います。

もう1つおすすめしたいのは、PDCAを回す経験です。私は学生時代の研究活動で「こういうことがやりたいけれど、そのためにはどうすればいいのか」とチームメンバーと一緒に考え、PDCAを回してきました。この考えて実行する力は、仕事でも重要です。


──DX本部の今後の展望について、教えてください。


増田:当面は、「Beauty DNA Program」や「Beauty Key」の運用に注力し、ビジネスを拡大していきます。お客さまの肌データや購買行動をしっかり把握したうえで、新たな価値をもたらしていく。それも、デジタル上だけでなく実店舗も含めてシームレスに展開していきたいです。

極端な話、「DX本部」という名称の部署があること自体、デジタル領域がまだ弊社の中で特別な立ち位置であることを表しています。将来的にデジタル活用がもっと当たり前になり、すべてのグループ会社に浸透したら、DX本部という部署はなくなるかもしれません。その状態こそが、DXの推進に成功したと言えるのではないか、と思っています。


──最後に、DX本部に興味がある学生に向けてメッセージをお願いします。


奥田:DX本部は、さまざまなバックグラウンドを持った人たちが働いている職場です。そして、そんな多様な個性を受け入れる雰囲気のある組織です。自分の意見をしっかり持って、前向きにチャレンジできる人とぜひ働きたいと思っています。


増田:学生の皆さんは、まだサービスやビジネスに関わった経験はないと思いますが、もう今からでも関心を持ってもらいたいですね。世の中のプロダクトがなぜその仕様になっているのか、なぜそのサービスが成立しているのかなど、世の中の事象に興味や疑問を持ちましょう。それがいずれは、DX本部でのチャレンジやアイデアにつながると思います。

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