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P&G若手社員が語る「ビジネスリーダー」が育つP&G流人材育成とは

企業インタビュー 企業理解 インタビュー メーカー 外資系
2025年4月2日(水) | 5,475 views
sponsored by P&G Japan
※こちらは2025年2月に公開された記事の再掲です。


日用品・化粧品メーカーとしてグローバルに事業を展開するP&G。今回は同社で活躍する新卒入社3年目の社員2名にインタビューを実施。話を聞いたのは、スキンケアブランド『SK-II』において、マーケティング部門でシニアブランドマネージャーを務める大池竜慈氏と、経営管理部門でシニアファイナンスマネージャーを務める末益夏花氏です。

P&Gといえば2024年には、米ビジネス誌「TIME」で「Best Company of future leader」に選ばれるなど、ビジネスリーダー輩出企業としても有名で、「成長」「グローバル」というキーワードが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。なぜ、多くのビジネスリーダーを育てることができているのか、その秘密を探るべく、今回はお二人に、お話を伺いました。

新卒3年目で数十億円規模の予算配分を任されるなど、若手から大きな裁量が与えられる環境の中で、グローバルなビジネスリーダーを目指す2名の等身大の声をお届けします。

大池 竜慈(写真右)
マーケティング部門 新卒入社3年目。スキンケアブランド『SK-Ⅱ』のシニアブランドマネージャーとして、日本の『SK-Ⅱ』全体のビジネス戦略、マーケティングキャンペーン設計やメディア戦略をリード。ブランドを継続的に成長させていくためのビジネスマネジメントとブランドビルディングの両軸の役割を担っている。(所属部署はインタビュー当時のものです)

末益 夏花(写真左)
経営管理部門 新卒入社3年目。スキンケア部門で『SK-Ⅱ』のシニアファイナンスマネージャーとして、日本の『SK-Ⅱ』全体のビジネスプランニング、ファイナンシャルの分析をリード。限られたリソースの中で売り上げと利益をバランスよく最大化していくためにどこに投資すべきか、ビジネスの上流から下流まで俯瞰(ふかん)して判断する役割を担っている。(所属部署はインタビュー当時のものです)

<目次>
●グローバルなビジネスリーダーを目指して
●新卒にも圧倒的な裁量権、実践重視のP&G流人材育成
●普遍的かつ強力な専門性とスキルの習得を加速する、P&G流「70:20:10の法則」
●全ては消費者のために。「Consumer is boss」を起点とした、徹底した目的思考
●戦略から実行まで。「経営者」のような存在となり、事業を成長に導く
●衝突を恐れず、正しい判断を。P&Gが貫く「Do the right thing」の精神
●コンフォートゾーンを抜けて、成長し続ける

グローバルなビジネスリーダーを目指して

──就活ではどのような業界や企業を見ていましたか? その中でP&Gへの入社を決めた理由も教えてください。


大池:「グローバルな環境でビジネスリーダーに成長できるか」「普遍的かつ強力な専門性・スキルセットが身につくか」の2つの軸で会社を見ていました。戦略系コンサルティングファームや投資銀行など、さまざまな会社を回ったのですが、P&Gのマーケティング職が一番自分の軸に合致すると思い入社を決めました。

P&Gがコンサルティングファームや投資銀行と決定的に違うのは、自社のブランドを自分たちでマーケティングできること。コンサルだと外部からアドバイスやサポートする立場なので、戦略を描いて終わりになってしまうこともあると思います。そう考えると、やはり自分が思い描いた戦略を形にできるP&Gのマーケティングは魅力的でしたね。

末益:私もメーカーやコンサルなど業界を絞らず、大手からベンチャーまで気になるところは全部回っていました。その中でも「経営に関われるか」「若手から裁量のある仕事を任されて実力がつくか」という2つの軸で就職先を探していました。

もともと経営に興味があり、学生時代は経済学部で経営学を専攻していました。いつか自分でやりたいことが見つかったときに、自ら経営計画を描いて実行する力を身につけておきたいと考えたため、若手でも裁量権を持って経験を積める環境がいいと考えていました。

そんな中、P&Gに入社を決めた一番の理由は、「ファイナンス部門」の募集だったからです。上流から下流まで全体を俯瞰して経営リソースの最適化をする役割を担う部門のため、経営者に必要な視点を養えると考えました。

新卒にも圧倒的な裁量権、実践重視のP&G流人材育成

──入社後はどのように仕事を始めていきましたか? 研修もあったのでしょうか。


末益:入社後は、全部署を対象とした数日間の全体研修があって、事業内容、ビジネスモデルの考え方、組織やより効果的なコミュニケーション方法など、P&Gの社員としての基礎を学びました。その後は、ファイナンス部門だけのトレーニングを2日ほど行い、損益計算書の読み方や分析の仕方、Excelの使い方なども教わりました。


大池:末益さんと同じく全体研修を数日間受けた後は、配属先の上司と顔合わせをしてからすぐに、プロジェクトオーナーを任されるところからスタートしました。

印象的だったのは、全体研修が終わった後に、オンラインでグローバルのトップまでを含むマーケティングチーム全員の前であいさつする時間があったことです。英語で自己紹介をするだけではなく、「君の強みは?」「何がしたくてP&Gに入ったの?」といった質問もあり、直属の上司だけではなく、部門全体で私を理解し、どのような機会があれば成長できるのか、などを考えてくれたので「人を大切にする会社だ」「グローバルな会社だ」と感じました。


末益:私も入社1年目にシンガポールで新入社員を集めた研修があり、そこでファイナンスのベーシックなスキルはもちろん、グローバルで活躍するリーダーたちから効果的なコミュニケーションのTIPSなども教えてもらいました。

入社して印象的だったのは、いきなり責任ある仕事を任せてもらえたこと。最初のアサインメントは30~40人規模の営業組織付きのファイナンスで、入社1週目で「あなたのカウンターパートになるのは入社20年目ぐらいのセールスディレクターです」と言われて驚きました。新入社員であっても、裁量の大きな役割をリードできる環境があるだけではなく、その中で私たち若手の成長を後押しする上司や周囲のサポートがしっかりあるということを入社1年目で実感しました。

普遍的かつ強力な専門性とスキルの習得を加速する、P&G流「70:20:10の法則」

──P&Gには、入社1年目から大きな裁量権のもと、ビジネスリーダーとして成長できる環境があるんですね。その成長を支える育成システムに「70:20:10の法則」があると伺っているのですが、どのようなものでしょうか?


大池:P&Gでは、経験ベースを70%、上司や同僚からの学び・コーチングを20%、研修や教材を通じて得る情報を10%とした「70:20:10の法則」を人材育成の基盤として重視しています。企業によっては数カ月の座学研修を行うこともあると聞いていますが、P&Gでは座学ではなく、OJTを重視し、人材育成を行っています。

入社後すぐプロジェクトのリーダーを任されるので、最初は戸惑うこともありました。しかし、自分で考え動いたり、悩んだりした経験が業務に活きるので、振り返ってみると「70:20:10の法則」は、人を育てる上で非常に効果的であると実感しています。インプットした知識がどう実務で生かされるのか、自分で考えて苦しまないと学びが定着しないですから。

もちろん、リーダーを任されるとは言っても一人で行うのではなく、上司や先輩が手厚くサポートしてくれます。30分おきにミーティングをしてアドバイスをくれる先輩もいましたし、ランチで相談に乗ってくれる先輩もいました。他にも、自分に合ったリーダーシップのとり方や、人間関係の築き方まで教えてもらうこともあり、とにかくサポート体制は充実していると思います。


末益:ファイナンスだと会計的な知識が必要ですが、実務を経験しないと身に付きません。例えば、ルールブックや会計の本を読んでも「この知識、いつ使うんだろう?」と感じることがあるじゃないですか。経験ベースで必要なときに必要な知識を、先輩の話や教材もうまく活用しながら蓄えておいて、実践してみる。「70:20:10の法則」は、インプットとアウトプットを繰り返し、専門性を自分のスキル・強みとして習得するために、理にかなったシステムだと実感しています。また、入社時点で特に経営・会計の知識がなかった同期もいますが、そういった人でも活躍しているので、それもやはり、70:20:10のおかげなのかなと思います。

もし分からないことに直面した場合も、ファイナンスの知識をまとめている社内のサイトを確認したり、社内の分かる人に30分ミーティングセットして教えてもらったり、うまく先輩や同僚、社内の教材の助けを借りながら成長サイクルを回していけるのが、このモデルのいいところだと思います。

全ては消費者のために。「Consumer is boss」を起点とした、徹底した目的思考

──P&Gには徹底した目的思考が根付いていると感じました。その背景には何があるのでしょうか?


大池:限られた資源をどう配分するのか戦略を立てる上で、目的がクリアでないと大きな組織で大きな予算を動かすことはできません。それに全員が同じ方向に向くことも難しくなってしまう。だからこそ、P&Gでは日々のメール、ミーティング、プロジェクト1つとっても、目的と照らし合わせて「なぜ必要なのか」があらゆる場面で問われます。目的思考が浸透している背景には、こうしたカルチャーがあると思います。


末益:P&Gには「Consumer is boss」という言葉が根付いています。全社共通で「全ては消費者の生活を良くするために」を最終ゴールにしているので、そこから派生する施策は全て「Consumer is boss」につながっていくはずです。逆に消費者の生活を良くすることにつながらないものは「不要」という判断になります。

それこそマーケティングや研究開発、ファイナンスだと、消費者に何が求められているか理解しないと、戦略や企画が立てられません。例えば、商流を見たときにコストを下げられたとしても、消費者に届く価値も下がってしまったら意味がありません。それに各部門と働くときにその人たちが何をしたいかという目的を理解していないと、ファイナンスとして適切な判断ができません。「なぜそれがいいのか?」を常に聞かれると思ってみんな準備しているし、自問するからこそ、目的思考が根付いているのだと思います。

戦略から実行まで。「経営者」のような存在となり、事業を成長に導く

──一般的には、マーケティングは広告宣伝、ファイナンスは資金調達や会計のようなイメージが強いと思うのですが、P&Gでのマーケティングやファイナンスはよりレイヤーが高い概念のように感じました。


大池:たしかにマーケティングといえば、TVCMやSNSマーケティングなど、広告宣伝のイメージが強いかもしれません。しかし、私たちのマーケティングでは、そもそもどのような消費者に届けたいのか、その人はどのような生活をしていて、そこにどのようなインサイトがあるのかを深く掘り下げます。そしてそれを踏まえて、どんなコミュニケーションを展開するのか戦略を立て、戦術を考えています。

この「Who」「What」「How」のフレームワークに沿った一連のプロセスこそが、当社のマーケティングです。まさにブランドを成長させる「経営者」のような存在です。


末益:ファイナンスも経理や会計のようなイメージが強いかもしれませんが、私たちの仕事はFP&A(ファイナンシャルプランニング・アンド・アナリシス)という職種になり、当社では経営管理本部と呼ばれています。

ビジネス全体をポートフォリオごとで捉え、どんな新製品に注力をするとP&G全体として売上・利益が上がるのか。全体を俯瞰しながらも、現場でマーケティングやセールスの人たちと議論して、全体の最適化を図っていく仕事です。ファイナンス一人一人が担当部門のCFO(最高財務責任者)として活躍しているところが、一般的なファイナンスとP&Gファイナンスの違いだと思います。

就活時に「P&Gのファイナンスは各部門のことを部門長の次によく知っている必要がある」という話を聞いたのですが、まさにその通りだと思います。全体戦略をマーケティングが立て、セールスが小売店に商品を販売し、商品が店頭に並ぶ流れがあったときに、どこに注力をすべきで、どこに機会があるのか全て把握していないと、適切な意思決定ができません。P&Gのファイナンスにはそういった部門の理解が求められています。

衝突を恐れず、正しい判断を。P&Gが貫く「Do the right thing」の精神

──自らプロジェクトをリードしていく中で、意思決定をする機会も多くあると思います。その中で、周囲と主張が衝突した場合、どのように乗り越えているのでしょうか?


大池:意識していることが2つあって、1つは目的のすり合わせです。意見が食い違うときは往々にして目的の認識がずれています。例えば、目的が新規のお客さんの数を増やす場合と、全体の売上を伸ばす場合、戦略の立て方が全く変わってきます。お互いが何をゴールに議論に参加しているのか、そこは常にクリアにするよう意識しています。

もう1つは、「何が一緒で、何が違うのか」を理解すること。意見が食い違った場合、相手はどこに立ち返って話をしているのか考えるようにしています。例えば、相手が導いた結論にX、Y、Zという論拠があったときに、XとYは自分と同じ意見だけど、Zだけ意見が違うのであれば、XとYについて議論する必要はないですよね。Zに論点を絞ってしまえば、話が進みやすくなると思います。

末益:意見が対立するとき、相手は私の意見を否定したいわけではなく、その人なりの意図や背景があって、純粋な気持ちで自分の意見を言っていることがほとんどであると、上司から教わりました。対立したとしても、相手の立場に立って考えると、解決の糸口が見えてくると思います。

もう1つ意識をしていることは、衝突を恐れず正しい意思決定をすることです。P&Gには「Do the right thing」「Easy wrongより、Harder right」という言葉が根付いていて、会社として正しいことであると自分が信じているときは、しっかりディスカッションするようにしています。

特にファイナンスだと「Stewardship」といって、いわゆる内部統制の責務を担っているので、どんなに難しいことでも、会社として正しいことであれば、自分の考えを貫く姿勢が必要です。明確な信念を持ち、通すことは、私だけでなくP&Gの社員みんなが大切にしていると思います。

コンフォートゾーンを抜けて、成長し続ける

──今後はどんなキャリアを描いていきたいですか?


末益:長期的な目標で言うと、ファイナンスを武器に経営戦略をリードできるようになりたいですね。いつかやりたいことが見つかったときに、目的達成までのロードマップをパッと描ける人になっていたいです。

短期的には、海外のP&Gでも働いてみたいです。P&Gは多様な製品群やブランドを持っていて、ブランドごとにビジネスモデルが違います。国が変われば条件も変わってくるので、いろいろな挑戦機会があります。この2年半だけでもビジネスパーソンとして必要なマインドセットやスキルが身に付いたので、それを使って社内でどんどん大きなチャレンジがしたいですね。


大池:P&Gにはいろいろなブランドがありますが、ターゲットが違うだけで「何がこのビジネスにとって大事なのか」「どのレバーを引けば伸びるのか」という考え方は共通しています。長期的には、自分がトップとして関わったブランドはどんなビジネスでも伸ばせるようなグローバルビジネスリーダーになりたいです。

短期的な目標では、『SK-Ⅱ』のマーケティング責任者を目指したいですね。ブランドの責任者として、マーケティングのキャンペーン戦略やメディア投資、プロモーションを包括的にリードする、現状自分のいるポジションの1つ上のレイヤーであるマーケティングディレクターになることが、最速でビジネスのインパクト、そして個人の成長につながると思うからです。


──最後に就活中の学生さんにメッセージをお願いします。


末益:P&Gでは入社3年目の社員でも、1つの目標を達成するとさらに面白い挑戦の機会をもらえます。「コンフォートゾーンから抜け出そう」というカルチャーが浸透している会社なので、自分でどんどん面白い仕事をリードしていきたい方には最適なフィールドだと思います。


大池:「グローバル×ビジネスリーダー」といった軸で就活をしているなら、P&Gは最良の職場だと思っています。まず、一緒に仕事をするメンバーの半分くらいが外国人なので、仕事のやり取りのほとんどが英語で行われています。多様な国籍の人たちと仕事をすることが多いので、新しい価値観にも気づくはずです。

また、私は入社3年目ですが、シニアブランドマネージャーとして、ビジネスの目的、なりたいブランドの姿、課題、戦略を聞かれても、パッと自分事として答えることができます。実際に店頭で消費者と話し、データを見て、課題を抽出して、優先度を決めて戦略を考えていく仕事なので、自然と経営者としての自覚が芽生えるからです。

裁量も大きく、数十億円もの予算の配分を任されているのですが、心持ちも含めて自分で経営をしている感覚を味わえます。厳しい環境で圧倒的に成長したい方は、ぜひ私たちと一緒に働きましょう。

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【制作:BRIGHTLOGG,INC./撮影:遠藤素子/編集:山田雄一朗】

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