働き方が多様化し、企業と個人の関係が変わりつつある現代。終身雇用や安定神話が揺らぐなかで、若手ビジネスパーソンにとって「どの会社に入るか」以上に、「どんな力を身につけるか」が問われる時代になっている。
そうした中で、「個の力を高めること」に真正面から向き合っているのが、コンサルティングファーム・Re-grit Partners(以下、リグリットパートナーズ)だ。創業者自身が業界の構造的な課題に向き合い、あらゆる経験を「学びの糧」とする環境を設計。20〜30代のうちに、市場で通用する力を備えた人材を育てようとしている。
今回は、同社の代表取締役社長・山木 智史氏と、Talent Acquisition Managerとして採用を統括する高尾 輝氏に取材を実施。組織づくりや人材育成に込めた思い、そしてこれからの時代に求められる「個の力」について話を聞いた。
<目次>
●「とりあえず」では通用しない時代に──「個の力」が問われる理由
●スキル×人間性=「市場価値」。リグリットパートナーズの人材育成論
●「新卒がプロジェクトを選べる」は本当に健全?
●コンサル「だけ」では終わらせない、「スピード抜てき」と「プラスワン」
●看板に頼らない。採用担当・高尾がリグリットパートナーズを選んだ理由は
●就活の目的を「職能選び」にするために
「とりあえず」では通用しない時代に──「個の力」が問われる理由
──山木さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
山木:キャリアは学生時代の起業から始まり、その後は大手・外資系のコンサルティングファームや大手グローバルファームグループの日本法人立ち上げに携わってきました。その中で感じたのが、「コンサル業界自体にも課題がある」ということです。多くのファームがクライアントの課題を指摘しますが、実は業界内部にも構造的なゆがみがあると考えたことが、リグリットパートナーズ創業のきっかけでした。
今や「コンサルタント」という職種が世の中にあふれ、コンサルタントはある種のブーム化しています。それに伴い採用基準が緩くなり、タイパやコスパを求める「とりあえずコンサル」といった就職観も広がっています。かつてのコンサルティングファームには成長意欲にあふれ、自分の限界に挑みながらスキルを磨く人が多く集まっていましたが、今はその傾向が弱まりつつあると感じています。
──「とりあえずコンサル」の価値観がまん延すると、コンサル業界の行く末が心配になってしまいます。
山木:そして、そのような安易な選択が本人のキャリアにとってプラスになるのかは、大いに疑問です。快適な環境で数年を過ごした後、「市場価値が低い」と気づいたり、新たな職場で通用しなかったりするケースは少なくありません。だからこそ、「まずは自分の力を磨こう」と私たちは繰り返し伝えています。
今の時代、企業に身を委ねていれば将来が保証されるという考え方は通用しません。かつて「安泰」と言われた大企業でさえ変化の波にさらされています。だからこそ、自分自身のスキルを高めることが、最も確実なキャリアの備えになるのです。私たちは「心理的安全性」よりも「キャリア安全性」を重視し、「自立したプロフェッショナル」の育成に本気で取り組んでいます。
スキル×人間性=「市場価値」。リグリットパートナーズの人材育成論
──リグリットパートナーズを創業された際、業界側に構造的な課題があると感じていたとのことでした。その思いと、「個の能力を磨くべし」という人材育成の考え方は、どのようにつながっているのでしょうか。
山木:密接に関係しています。現在のコンサル業界では、クライアントから高いフィーをいただいているにもかかわらず、それに見合う価値が提供できていないケースが増えています。背景には、業界の「ファクトリー化」があります。コンサル企業が仕組みを整え汎用化することで、誰でもコンサルタントになれるようになり、個々の戦闘力が鍛えられなくなっている。その結果、業界全体の平均値が下がっていると感じています。

山木 智史(やまき さとし):代表取締役社長 学生起業家、ABeam Consulting や 現EY Strategy & Consultingなどを経て、2017年8月にRe-grit Partnersを創業。
「強力な個」の輩出を通じてコンサルティング業界を変革するというビジョンのもと、アジア太平洋急成長企業ランキングで日本国内ランキング(Management Consulting部門)を3連続1位を獲得。一人ひとりが最大限に成長できる仕組みを追求し、日本を代表する人材輩出企業(CxO firm)を目指す。
──個人の力が弱くなっているのは、候補者側の問題ではないのですか?
山木:企業側の責任です。かつては業界全体で200人程度だった採用数が、今は1万人規模。当然ハードルは下がります。当社はその中で「自分の力を鍛えること」の重要性を強く発信しています。
──その「力」とは、具体的にどういったものなのでしょう。
山木:スキルと人間性の2つです。スキルは、論理的思考、仮説構築、プレゼンテーションなどのソフトスキルと、金融やテクノロジーなどの専門知識を指すハードスキルに分けられます。一方の人間性、つまり「器の大きさ」は、有事に直面して初めて育つものです。たとえば部下にきつく当たって信頼を失ったり、失敗を通じて自分の未熟さを実感したり。そうした「痛み」が、人としての成長、「器の拡張」につながります。
スキルは努力で習得できますが、それが上がるほど責任も増し、結果として人間性が問われる場面が増える。スキルと人間性は連動して育っていくものです。20〜30代でこうした経験を重ねた人材は、どこでも通用します。これこそが「キャリア安全性」の本質です。
──早くから自立を求める環境に対し、不安を感じる方もいそうです。会社としてどのような支援体制がありますか?
山木:オンボーディング施策として「ウェルカムミッション」を設けています。そこでは、入社直後に10名ほどの社員と1on1を行い、プロフェッショナルとしての考え方や価値観に触れてもらいます。また「ななメンター制度」という仕組みでは、直属の上司とは別の社員が伴走的にサポートします。相談先が複数あることで、安心してチャレンジできる環境を整えています。
研修として1カ月間の集中型で基礎を固めた後、すぐに現場に出て実戦経験を積んでもらう設計です。フィードバックを受けてから改めて学ぶという往復型の成長サイクルを構築しています。
──すぐに実践となると、支えてくれる人の存在も大きそうですね。
山木:そうです。当社が扱うのは難易度の高いテーマが中心で、成功確率は五分五分。その中で先輩たちも多くの苦労や失敗を経験してきました。だからこそ、挑戦する仲間に対して自然と手を差し伸べる文化がある。制度だけでなく、「人の痛みがわかる空気」が根づいているのは、私たちの誇りです。
「新卒がプロジェクトを選べる」は本当に健全?
──新卒社員のプロジェクトアサインについて伺います。貴社ではワンプール制を採用されているそうですね。
山木:はい、ただ基本的に新入社員はプロジェクトを選ぶことはできません。「やりたい案件を選べる」といった仕組みが一見魅力的に映ることもありますが、それが本当に公平なのかは疑問です。声の大きい人が得して、地道に努力している人が評価されない環境はフェアとは言えませんよね。もちろん、学生時代から実務経験があってスキルが証明されているような人であれば、そこは例外的に柔軟に対応しています。

──将来のキャリアパスとしては、どのような道があるのですか?
山木:明確に3つのキャリアパスがあります。1つ目は、コンサルタントとして専門領域を深め、CxOとしてクライアント企業の変革をリードしていく道。2つ目は、自社で展開する事業の経営を担い、事業家として成長していく道。3つ目は、ベンチャー支援や投資を通じて起業家を支援しながら、自らもビジネス創出の現場に立つ道です。また、これらにピンとこなければ独立という道を選んでいただいても構いません。
コンサル「だけ」では終わらせない、「スピード抜てき」と「プラスワン」
──同業他社と比較した際の、リグリットパートナーズならではの特徴についてお聞かせください。
山木:1つは、評価サイクルが半期ごとである点です。「立場が人を育てる」という考えのもと、早期に責任ある役割を与えることで、成長スピードを引き上げています。もう1つは「コンサルティング+プラスワン」という制度。通常業務に加え、営業や採用、広報、事業開発などにも自ら手を挙げて関われる仕組みで、内容も半期ごとに変更可能です。複数の役割を担う社員も珍しくありません。
この制度は、「頭でっかち」なコンサルタントを生まないためのものでもあります。多様な実務を早期に経験することで、スキルのバランスを可視化し、実務に根ざしたビジネス感覚を養っていきます。また、当社では採用面接も現場のコンサルタントが担当しており、プラスワンで得た経験が、組織全体の意思決定力の向上にもつながっています。
──就職活動中の学生に向けてメッセージをお願いします。
山木:私はよく「BtoI(Business to Individual)」という言葉を使います。これは企業が個人と対等に向き合う時代が始まっている、という考え方です。企業規模よりも、一人一人の専門性や影響力が、より重要な価値を持つようになってきました。
コンサルティングの世界では、それがより顕著です。たった1人のプロフェッショナルが、大手ファームの10人に匹敵する成果を出す──そんなケースも珍しくありません。リグリットパートナーズにも、そうした人材が実際に存在しています。
これからは、「会社」よりも「個人」としての力が問われる時代です。私たちは、そうした個人が育つ仕組みやカルチャー、挑戦できるフィールドを用意しています。会社に依存せず、企業と対等に付き合えるプロフェッショナルを目指す皆さんと、一緒に挑戦できる日を楽しみにしています。
看板に頼らない。採用担当・高尾がリグリットパートナーズを選んだ理由は
──ここからは、採用の専任担当である高尾さんにお話を伺います。これまでのキャリアについて教えてください。
高尾:新卒ではニトリに入社し、店舗運営や採用、新店舗立ち上げなどを経験しました。ただ、振り返ると、自分が顧客から評価されたのは商品の力やブランドの影響が大きかったように思います。「自分の力で価値を出せていたのか」と疑問を抱き、本質的な力を磨くために無形商材を扱うコンサル業界に転職しました。
次に選んだのはベイカレントです。複数のプロジェクトに携わりましたが、そこでも「ブランドに守られている感覚」が拭えませんでした。20代のうちに、自分の力で勝負できる環境に身を置きたいと考え、リグリットパートナーズに転職しました。
──入社してから、ご自身が特に成長できたと感じるのは、どのような点ですか?
高尾:「立場が人を育てる」というカルチャーを、実践のなかで実感する場面が多くありました。入社直後に採用目標が与えられ、イベントを企画・集客し、自ら登壇する。こんなスピード感は、前職では考えられませんでした。大企業では数カ月かかるような稟議(りんぎ)も即決されるここでは即PDCAを回せます。

高尾 輝(たかお ひかる):Talent Acquisition Manager 新卒でニトリに入社後、日系大手コンサルに転職。大手企業の経営支援を複数経験したのちに、2023年にRe-grit Partners入社。CEO直下で新卒採用責任者として採用全体をリードするとともに、新卒社員の定着(アサイン管理)・育成(新卒研修)に領域拡大。ONE CAREERの就活クチコミアワードでは、2年連続ベンチャー部門最高賞&総合部門ノミネートの2冠達成。
「会社選びではなく、職能選びをする就活市場」を実現するために日々奮闘中。
──新卒コンサルタントにも、同じように任される環境なのでしょうか?
高尾:はい、このスピード感は全事業に共通しています。新卒1年目が大手企業の部長クラスにヒアリングし、報告書をまとめる。あるいは100名規模のイベントで司会を任される。そういったチャレンジが自然に任される土壌があります。もちろん、任せきりではありません。うまくいかなかった時には、「何が問題だったか」「どう改善するか」を事実ベースでフィードバックします。
──採用面接には山木さんも積極的に入られるそうですね。重視しているポイントは?
山木:人間性が「伸びるか」より、自分の性質をメタ認知できるかを見ています。明るくても内向的でもいい。ただ、自分の「棘」となる部分を理解し、それをコントロールできるかどうか。厳しいフィードバックの中に意図や愛を感じ取れる感受性があるか。そこを私自身の目でも確かめるようにしています。
就活の目的を「職能選び」にするために
──では、リグリットパートナーズのOJTや研修制度について教えてください。
高尾:当社では、従来のメンター制度に加えて、新卒同士でサポートし合う「ブラザー/シスター制度」を取り入れています。メンティー側は心理的・キャリア的な安全性を確保しつつ、早期にパフォーマンスを発揮できるように支援します。
一方で、メンター側には「立場が人を育てる」という考えのもと、自分自身の限界を超えて成長できるような機会を提供します。直属の上司とは異なる、ごく近い距離での伴走とフィードバックによって、安心して学びを深められる環境を整えています。上司には相談しにくい「このドキュメントの添削をお願い」といった依頼も、ブラザーになら頼むことができます。

──サマーインターンにも特徴があると伺いました。
高尾:そうですね。私たちは「就活を変革する」ことをミッションに掲げています。就職活動とは、企業の看板ではなく「自分が何を成し遂げたいか」を起点にすべきです。このような考えから、インターンでも採用色を無理に押し出すことなく、当社のリアルを伝えることに徹しています。
当社のインターンでは、参加者に3つの大きな問いを投げかけます。「理想のキャリアとは一体何か?」「それはコンサル会社で実現できるのか?」「それはリグリットパートナーズでこそかなうのか?」この問いを深く考えてもらうために、初日にはご自身のTO BE像を明確にするためのワークを実施し、その後、当社の経営課題に取り組む実践へと移行します。実際に役員と議論する機会も設けており、企業理解を深めるきっかけにもなっています。
──参加した学生の反応はいかがですか?
高尾:「どこよりも一番リアルだった」「伴走してもらって安心できた」といった声を多くいただきます。当社が顧客に対して徹底的に向き合う姿勢と同じように、学生にも真剣に向き合っているという評価だと受け止めています。
──最後に、高尾さんから学生へのメッセージをお願いします。
高尾:私自身の経験と照らし合わせても、就活の目的を「内定を得ること」に据えるのは得策ではありません。就活とは、自分の人生を豊かにするための手段です。だからこそ、20代という最も吸収力の高い時期に、何を成し遂げたいのかをとことん考えてほしい。企業の言葉ではなく、自分の頭で問い、考え抜いた末に選んだ道こそが、納得のいくキャリアの第一歩になるはずです!

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