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「事業を作りたい」と直談判して面接で連戦連敗。そんな僕がベンチャー企業に内定できた理由【22卒向け:早期内定レポ Vol.5】

選考対策 ベンチャー
2020年4月23日(木) | 7,138 views

高い成長性と革新性、個人に与えられる裁量の大きさなどから就活生を惹(ひ)きつけるベンチャー企業。

ワンキャリアでもベンチャー就活とキャリアに関する就活記事がいくつも掲載されるなど、その注目度も高まっている。

●ベンチャー志望の就活生に考えてほしいたった1つのこと。「経営者」になりたいか、それとも「社員」になりたいか
●「大企業か、ベンチャーか」は終わりにしよう。キャリア選択に横たわる「対立構造」の嘘を暴く
●「結局。ベンチャーでの新卒の裁量って、机上の空論ですよね?」DeNA、外資コンサル、バイアウト経験者が本音で明かすキャリア論
ただ、ベンチャー企業の選考対策はデータが少なく、未知な部分が多い。

21年卒の内定者に就活のエピソードを聞く早期内定レポート。
第5回となる今回は、ベンチャー企業の内定者に話を聞いた。

※メガベンチャー内定者の早期内定レポはこちら

<目次>
●「自分で作って、経験して、成長できる」ベンチャーを選んだ
● 50社を超える面談/面接、リサーチした会社は100社以上
● 社会人向けのセミナーやビジネス番組の観覧に積極的に足を運んで、知識をつけた ● ベンチャーの「ビジョン」を吸収する、就活生の特権を駆使した就活を

「自分で作って、経験して、成長できる」ベンチャーを選んだ

──Eさんは2年生の3月から就活を始めたそうですね。

Eさん:大学の先輩が苦しんでいるのを見ていたので、早く始めようとは思ってました。最初は何から始めればいいかも分からなかったので就活の基本的なことを教えてくれるエージェントや先輩に就活の全般的な悩み相談をしていました。

就活を始める前は、さまざまな経験を通して「自分探し」をしていました。例えば、授業では義務教育では習わない広告や身体表現の授業をとったり、ファッション業界で作る/売るを経験したり、ダンスをしたり……。その好奇心の一環でビジネスにも興味を持って長期インターンもしました。

──ベンチャー志望の学生は起業を考えている人も多いと思うのですが、Eさんはどうですか?

Eさん:そうですね、起業も視野には入れています。でも、大学1年生や2年生のうちから起業する人もいる中で、私はビジネスに興味を持ったのが「大学2年生の後半」で遅いと感じていました。
だから、効率よくビジネスの知識を習得するためにも、まずは企業に就職しようと思いました。

──起業のためのビジネススキルを企業で身に付けたいと思う人の中には、経営陣と近い距離で働くことができるコンサルや、事業投資などでお金の流れを学べる商社などを選ぶ人もいます。その中でEさんはどうしてベンチャー企業を選んだのでしょうか?


Eさん:ベンチャーを選んだ理由は2つあります。

1. 自分で企画や制度を作れる
2. 作っているプロダクト/サービスへの共感

服を作ったりファッション雑誌を作ったりしていた影響で、「1から自分で作りたい」という気持ちが強いんです。

もちろん、大企業でも制度や企画は作れるとは思います。でも、「既にこういう制度があって、この部分を変える必要があるので、これを作ってください」というような決められた範囲の中で作り上げるイメージが強いです。

それも楽しそうではあるのですが、ベンチャーなら「こういうビジョンがあるので、作りましょう」というように、自分が携われる範囲が広い気がします。


そして企業の人数が少ない分、一人一人の負荷が大きい。そのぶん責任がある経験をたくさんできるので、成長スピードも早いと思っています。起業するしないにかかわらず、「自分で作って、経験して、成長できる」環境は魅力的でした。

ストレスがかかることも多いとは思いますが、「早く成長したい」「数年単位で色々な経験をしてみたい」という人はベンチャーに向いているんじゃないかなと思います。

50社を超える面談/面接、リサーチした会社は100社以上。

──一口にベンチャーといっても、数えきれないほどあります。その中から、どうやって志望企業を絞ったのでしょうか?


Eさん:おっしゃる通り、ベンチャー企業は星の数ほどあります。私の場合は、自己紹介スライドの中にもあるのですが、企業選びの軸を作ってそれに基づいて絞っていました(※1)。

※Eさんの企業選びの軸。Eさんが使っていた自己紹介スライドの一枚から抜粋。

軸に基づいて企業を絞っても、100社くらいはありました。すべてのHPや口コミサイトを見て会社の雰囲気をリサーチした中から、少なくとも50社は選考を受けました。

ベンチャー企業は面接ではなく、「面談」という形で何度も就活生と対話をしてくれる会社も多いです。会社や人の雰囲気は実際に話してみないと分からないこともたくさんあるので、社員の方とたくさん話せたのはよかったです。

※Eさんが面談や選考を受けた企業(一部抜粋)

面談で社員の方が持っている哲学や、将来成し遂げたいことを聞くのも面白かったですし、自分の話を聞いてもらって自己分析が深まっていくのも楽しかったです。

(※1)……Eさんは面接で自己紹介スライドを使って「略歴」や「企業選びの軸」、「キャリアビジョン」を面接官に紹介していたそう。


──ただ話を聞くだけでは、次の段階である「面接」には生かせないと思います。社員の方から聞いた話や、話している時に感じたことは、どのようにまとめていたのでしょうか?


Eさん:そうですね。受ける企業、受けた企業、気になった企業はGoogle スプレッドシートにまとめて整理していました。特に、受ける予定の企業は「社員・座談会で聞いた話」「その時に感じたこと」「選考を受ける時にアピールする部分」など事細かく記入していました。


※Eさんが使っていたシートの一部。哲学マッチ度や、座談会・IRで入手した裏情報までぎっしりと書かれている。


──社員個々人の特徴が書かれているなど、ざっくばらんに話せるベンチャー企業選考の面談だからこその情報があって面白いです。各フローの対策は何をされていたんですか?

社会人向けのセミナーやビジネス番組の観覧に積極的に足を運んで、知識をつけた

ES(エントリーシート)

Eさん:ESが必要ないケースが多かったこともあって、実はあまり出してないです。ベンチャー企業は履歴書を出してそのまま面談に進むところが多いので。

ただ、ESを書いたときは、インターン先の同僚に読んでもらっていました。誤字脱字がないか、文章のつなぎ方がおかしくないかなど日本語を重点的にチェックしてもらっていましたね。企業に伝えたいことがあっても、正しい・きれいな日本語じゃないとうまく伝わらないと思うので……。


GD

GDもほとんどなかったので、対策はしてないです。就活対策などをするイベントに行かなかったかわりに、社会人向けセミナーやNewsPicksなどが主催するビジネス番組の観覧、起業家のピッチコンテストなど、オフラインのイベントには定期的に参加していました。
そのイベントに来ていた同世代の人たちに話しかけて、就活仲間を増やしていましたね。

GD対策セミナーなど、就活向けの講座に行くのもいいとは思うのですが、いわゆる「意識が高い」同世代たちと就活以外の場所でコネを作るのもありだと思います。そのときの仲間が、起業をするときに何らかの形で手助けをしてくれることもあるかもしれません。


面接

上記のスプレッドシートにも書いてある「自分のどこをアピールするか」を意識しながら、面接の場数を踏んで「魅せ方」を身につけていきました。

あとは、面接や面談では会社のことを詳しく知りたかったので、質問項目を作ってそれを元に社員にいろいろ聞いていました。

<会社のこと>
・会社の構想はどこまで決まっている?
・1年目から優秀とされている人はどんな人か。
    ∟ 結果がでている人 & 評価されている人
    ∟ 社内評価制度「いつ、誰から、何で、どんなスパンで評価される?」
・業務において、やりたいことを実現できているか。実現スピードはどれくらいか。
・(会議で若手が発言する会社なのか。)
<面談をしてくれる社員のこと>
・入社理由は何か。
  ∟ 会社のどこに共感し、自分のwcm(wii/can/must)のどこにマッチしている人が多いのか。
・自分のビジョンについて。
  ∟ 自分の価値観の軸と会社の方針の軸がどれくらいマッチしているか。
  ∟(転職は考えているか。)
・上司や同僚との関係性はどうか。
  ∟ 仕事はどう振られるか。同僚とどれくらいコミュニケーションをとっているか。
・実力と業務内容/量とのギャップの大きさ
・会社に入ってからのいい意味でのギャップと、悪い意味でのギャップ
<新卒の扱いについて>
・新卒社員の仕事の流れ
・義務的な仕事は何か、割合はどれくらいか。
その他(時と場合に応じて)
・いま就活生だったらどの会社に入るか。
・会社の強み、懸念点(弱み、競合など)
・会社の現状
  ∟ 決算、つぶれたら会社の存続が危ない事業、今後の事業展開。どこに新卒がアサインされる?

※Eさんが使っていた質問項目

ちなみに、3年の夏までは面接でいきなり「事業作りたいです」と言って落ちる、なんてことも多かったです。謙虚さがゼロだったんですよ(笑)

あるベンチャーの社員さんとの面談中に、自分の立ち位置を「上の中」と言ったことがあって。その時に「このままじゃ、上の上には行けないよ。自分を魅せるテクニックも磨いて、底知れなさを見せるべきだ」と言われました。

これはすごく刺さったし、「僕はこういう人間だ! 欲しいだろ!」というスタンスではダメだなと気付けました。ベンチャーの方は、本気でぶつかってきてくれる人が多いので嬉しかったですね。

大企業の社員さんと面談することもありました。大手の社員さんと話して感じたのは、あくまでこれは私の主観ですが、「大手企業は最適化をする場所であって、生み出す場所ではなかった」ということです。

抽象的な表現になってしまいましたが、ベンチャーで新しい未来(社会)を生み出したいと思いました。

──ありがとうございます。最後に、これから就活を迎える22年卒の就活生に向けてメッセージをいただきたいです。

ベンチャーの「ビジョン」を吸収する、就活生の特権を駆使した就活を

就活は、「自分がどうなりたいか」の入り口でしかありません。なりたい自分、やりたいことを実現する手段の1つにファーストキャリアがあると思っています。とことん、なりたい自分を追求しましょう。

「なりたい自分」を見つける手段としておすすめなのは、選考を受ける受けないに関係なく、いろいろな会社の社員さんに話を聞きに行くことです。

特にベンチャーの社員さんは、「本気で社会を変えたい」というビジョンを持っている人が多い。自己追求とは何かを体感できると思います。

「会社のこと、あなたのこと、聞かせてください!」と言えるのは学生、ひいては就活生の特権です。人にうまく頼りましょう。

最後になりますが、自己追求のために仕事ができたら、すごく楽しい人生になるんじゃないかなと思っています。会社にも、社会にも、あなたにしかできないことはきっとたくさんあります。

がんばってください!

▼「早期内定レポート2021」のバックナンバーはこちら
・広告志望の就活生が、外資系戦略コンサルに早期内定するまで【22卒向け:早期内定レポート Vol.1】
・P&G、ロレアル、ユニリーバ。外資マーケに内定するには「英語力」ではなく「聴く力」を鍛えよ【22卒向け:早期内定レポート Vol.2】
・大学1年から就活を意識⁉ メガベンチャー内定までの効率的な就活とは【22卒向け:早期内定レポート Vol.3】
・根強い人気の総合コンサル。早期内定の背中を押したのは「ネガティブな感情」だった?【22卒向け:早期内定レポート Vol.4】
・「事業を作りたい」と直談判して面接で連戦連敗。そんな僕がベンチャー企業に内定できた理由【早期内定レポ Vol.5 ベンチャー】
・【外銀:早期選考対策】「お金を稼ぎたい」から始まった企業選び。心配性の僕が安定を捨てて「外銀IBD」を目指した理由【22卒向け:早期内定レポ Vol.6】

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小野里
ワンキャリ編集部
小野里

早稲田大学 大学院修士1年
2019年8月から、ワンキャリア編集部に長期インターン生としてジョイン。
趣味は散歩。東京タワーとポカリスエットが好き。

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