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33歳、東証一部上場企業の役員に。劣等感をバネに飛躍する、積み上げ式・経営人材への道

企業インタビュー 業界理解 企業理解 インタビュー 金融 日系
2022年4月26日(火) | 8,867 views
sponsored by イー・ギャランティ

東証一部上場の金融企業に新卒入社し、入社5年目の29歳で課長、9年目の33歳で執行役員に就任。昇進スピードが遅いイメージのある金融業界で、30代にして経営メンバーとして活躍するのが、イー・ギャランティの黒谷泰伸さんだ。

伊藤忠商事の社内ベンチャーとして2000年に生まれた同社は、担保を必要としない新しい金融サービスとして「信用リスク保証サービス」を提供。業種や会社規模を問わず、多くの企業の挑戦を支えてきた。2012年には東証一部上場を果たし、コロナ禍でも成長を続けている。


そんな同社に2009年に入社し、順調にキャリアを築いてきた黒谷さんだが、自身への評価は意外なほど低い。

「自分のことを優秀だと思ったことはありません。失敗した経験も少なくありませんし、劣等感も強い方でした」

決して器用なタイプではない黒谷さんは、どうやって実績を積み上げ、今のポジションに至ったのか。その軌跡を紹介する。

何度もチャンスを与え、役員にしてくれた会社への感謝がある

──黒谷さんは、入社5年目の29歳で課長、9年目の33歳で執行役員に就任されています。順調にキャリアを重ねているように思うのですが、執行役員就任を打診されたときはどんな気持ちでした?


黒谷:もちろんうれしかったです。でも、それ以上に感謝の気持ちが大きかったというか。


──感謝ですか?


黒谷:はい。昔から性格は明るかったんですが、要領が良いタイプではなかったんですよ。高校は進学校に進みましたが、大学受験に失敗して浪人生活を送りましたし、大学入学後は音楽活動やバイトに熱中して充実していた一方、学業はぼちぼちでした。

黒谷 泰伸(くろたに やすのぶ):イー・ギャランティ 執行役員
同志社大学 法学部卒。2009年イー・ギャランティに新卒入社。営業部門に配属されて以来、一貫して営業を担当。社長賞受賞を経て2012年、課長に昇進。2017年より執行役員。現在は営業第八グループ長兼西日本営業部長兼九州支店長として大阪、福岡を拠点に活動。プライベートでは2児のパパ。学生時代はDJとして活動


──今の活躍からは想像もできないです。


黒谷:仕事でも入社当時に多くの失敗を経験しました。書類を持参し忘れたこともありましたし、エクセルを使った事務も苦手でした。その都度上司や先輩から注意を受けながら頭を使い、体を動かして懸命に取り組んできた自負はありますが、決して高い位置からのスタートではなかったと思います。

そんな私に会社は何度もチャンスを与え、一人前のビジネスパーソンに育ててくれました。社長の江藤からは、抜擢(ばってき)人事として早期に重要な役職も任せてもらいました。本当に感謝していますし、会社にとってプラスになることは、何でも全力でやっていきたいと思っています。だから執行役員を打診されたときも「やります」と即返事をしました。

ビジネスパーソンのピークを迎えるとき、自分が一番活躍できる業界で働いた方がいい

──そもそもイー・ギャランティに入社したのはどうしてなのでしょうか。


黒谷:学生時代に音楽活動をしていたので、就活を始めた頃は音楽関係の企業を志望していました。その後、金融関係の仕事をしていた父の影響もあり、金融やコンサル業界に興味を持つようになりました。その中で出会った会社の1つが、イー・ギャランティでした。

就活を進めるなかで、若いうちから「自分の仕事が会社の成長につながっている」と実感できる、手触り感のある会社で働くことに魅力を感じていました。イー・ギャランティは当時社員が40名程度、上場して約1年の企業だったので就活前は全く知りませんでしたが、受けてみようと思いました。


──入社の決め手は何でしたか?


黒谷:会社の規模感と働いているメンバーの雰囲気、そして成長性ですね。特に「今成熟している産業ではなく、40代、50代でビジネスパーソンのピークを迎えるときに大きな領域になっているような業界で働いた方がいい」と江藤に言われたことが決め手になりました。

私が参加した説明会は、大雨で交通機関が大幅に遅延したこともあって、少人数での開催だったんですよ。そこに社長の江藤が登壇して、机を寄せて車座で会社の説明をしてくれました。

イー・ギャランティが展開する信用リスク受託・流動化事業のビジネスモデルは難しく、正直全ては理解できませんでしたが、先行する欧米での浸透度や好調な業績、江藤の話しぶりなどから可能性を感じました。どこかクールな感じもしました。金融工学を駆使した専門的かつ難解なビジネスというイメージがあったのだと思います。

でも、実際に入社してみると複雑なロジックも当然あるのですが、必要なら一社一社の企業を地道に調べるなど、同時にアナログな手法を取り入れている点が意外でした。

入社2年目、大企業との提携を実現。一から作った60枚の契約書

──黒谷さんは入社して以来、ずっと営業ですよね。


黒谷:そうですね。営業部署内での異動はありましたが、今に至るまでずっと営業をしています。入社5年目に課長になって、9年目には執行役員になりました。


──若手時代の印象深い仕事について教えてください。


黒谷:2つあります。1つは、2年目の終わりに担当したオリックスさんとの提携。オリックスさんが販売する商品のリスクを当社が引き受けるという共同商品の設計を私が引き受けることになったのですが、その契約書がかなり複雑で。

オリックスさんにはしっかりした法務部門がある一方、当時の当社の法務は人数が少なく、万全の状態ではありませんでした。そのため営業が契約書の作成に携わることも珍しくなく、そのときは私が一から契約書の文章を作ったんです。


──どのくらいのボリュームですか?


黒谷:15枚ぐらいの契約書が4つありました。


──え!?


黒谷:どうにか文章を作り、リスクの洗い出しをして、ちゃんと契約書でカバーできているかを検証し……という作業をひたすら繰り返しました。完成には相当な時間がかかりましたね。

初めて大企業との交渉のフロントに立ち、苦労をしながら先方とやり取りをした記憶があります。先方が最初は「良し」としていた条件を後になって変えることもあり、結局、初稿と完成した契約書は全くの別物になっていました。


──それは苦労も大きそうですね……。


黒谷:でも、おかげで法務的な知識を学べましたし、成長できたかなと振り返って思います。苦労した分、思い出に残っていますし、印象深いですね。

唯一の担当者として栃木県に。提携先ゼロから販路を開拓

──もう1つの印象深い仕事についても教えてください。


黒谷:3年目のときに栃木県の担当になって、足利銀行さんとの提携を主導しました。当社のお客さまは提携金融機関から紹介していただくことが多いのですが、当時はまだ栃木県の金融機関との提携がなく、栃木県担当は私一人。未開拓の市場にスピード感を持って進出するため、県内で最も力がある足利銀行さんとの提携を狙おうと考えました。


──3年目でエリアを丸ごと任されるって、プレッシャーも大きくないですか?


黒谷:「自由にやっていい」と言われていましたし、プレッシャーという感じではなかったですね。一人一人がフロンティア精神を持って動いていたので、「どんどん開拓していくぞ」という感じでした。


──そこからどうやって提携に至ったのでしょう?


黒谷:足利銀行さんの株主に間に入ってもらうことで実現しました。先方の上位役職者に直接アプローチするために、社内においても上司や社長を巻き込み、協力を得られたことも大きかったです。

提携後も「融資は貸倒れのリスクがあるが、保証にはそれがない。融資先の貸倒れリスクを低減できる点で銀行にもメリットがある商品なので、ぜひ顧客に勧めてほしい」と積極的にアピールしました。結果的に足利銀行さんの行員に向けた勉強会を行う機会もいただき、順調に商品を広めることができました。

リーダーとして在り方を模索。葛藤と覚悟の1年間

──その後、課長昇進を経て執行役員に。任命された理由は何だと思いますか?


黒谷:連続で予算達成をしたからだと思います。3連続での四半期達成を2回やって、その後は1年間連続で達成しました。そこを評価してもらったのかなと。


──それはすごい……。達成の秘訣(ひけつ)は何ですか?


黒谷:諦めずにやってきたからでしょうか。人一倍努力はしたと思います。

私は自分が不器用だと自覚していたぶん、打席に多く立つことにこだわってきました。特に課長になってからは、それまで以上に頭を使うことを心がけました。組織の予算達成を目指してデータを分析し、戦略を練り、できることは全てを行う。そのくらいの気概を持って職務に励みました。

例えばスポーツだと、足の速い人に短距離走で追いつくのは限界があるじゃないですか。でもビジネスは長い期間での勝負。スタート位置に関係なく、積み上げれば高いところまで行ける。当社は失敗しても再チャレンジ可能な文化があるので、長距離走で勝負できます。


──執行役員になったことで、仕事への向き合い方に変化はありましたか?


黒谷:大所高所から物事を見られるようになりました。目先の数字だけに固執するのではなく、会社全体にとって良い選択なのかを考えるようになりましたね。

でも一番自分のマインドが変わったのは、執行役員になる少し前、課長になって数年がたった頃です。


──何があったんでしょう?


黒谷:当時はまだ「この会社で定年まで働きたい」というほどの意識がありませんでした。まだ若かったからだと思います。「この会社しかない」という気持ちで働いていたら、言いたいことが言えなくなってしまう気がしていたのかもしれません。逃げ場がなくなって、会社にしがみついてしまうことを恐れていました。

それを社長に話したら、「人の上に立つ人間はラストパーソンであるべきだ。部下から見ると、どんな大変な状況でもそこに絶対に支えてくれる存在がいるということが最後の頑張りにつながるのではないか」と言われました。

その話を受け、1年ほど自分自身と向き合えたことで決意も確固たるものになっていったんだと思います。どんな困難があろうとも、自分は最後までこの会社に残って立て直しをする。そう思えるようになって初めて、周囲も慕ってついてきてくれるんだと思います。


──覚悟を決める重要な1年間だったのですね。振り返って、若手だった頃の自分についてはどう思いますか?


黒谷:もっと早く今みたいなマインドになっておけばよかったなと思います。「イー・ギャランティとしてどうすべきか」が根っこにあると、やはり思考が変わりますから。

「採算が合わないなら、合うように考える」営業スタイルの根底はフロンティア精神と人間味

 ──今のイー・ギャランティに新卒で入社する良さは何でしょう?


黒谷:経営ポジションを担うチャンスはこれから入る人にも十分あります。営業部の評価・昇格基準には、総合的な評価に基づく昇進・昇格の基準だけでなく、営業成績に基づく登用制度も存在します。それぞれの人間の良さにあった評価体制は若手にとって良い制度だと思います。

若手を大抜擢する社風も当然にありますし、3~4年目で課長になる人もいる。私を抜いて社長になれる可能性もまだまだあります。


──黒谷さんはずっと営業のキャリアを歩んでいますが、イー・ギャランティの営業の面白さはどこにあると思いますか?


黒谷:4つあって、1つはまだまだ当社を知らない企業ばかりであること。金融機関との提携も、地域も、お客さまも、これから開拓できる場所はたくさんあります。フロンティア精神を持った人にとって、良い環境だと思いますね。

2つ目は、人間味があるところです。金融業界はドライで「無理なものは無理」と判断する印象を持つ方もいるかもしれませんが、当社はできる限りお客さまの課題解決に向き合います。

単年で赤字になる可能性があったとしても、その会社のためになるのであれば契約を取る。


──赤字でも、ですか?


黒谷:そうです。「採算が合わないからやめる」のではなく、「採算が合わないなら、合うように考える」が基本のスタンス。「なんとかできないか」というディスカッションは社内でも頻繁に行われます。

また、お客さまの会社規模が小さいからといって、軽く見ることもありません。売上1億円の会社に対しても100億の会社に対しても、お客さまのビジネスの成功と採算を徹底的に追及したオーダーメイドの提案をお届けする。中途入社の元銀行員の方から「この状況でもやるんですか?」と驚かれることもあります。

ビジネスは長い期間での勝負。素直さがあれば、高みに行ける

黒谷:3つ目は、社会性の高さです。当社がお客さまの抱えるリスクを引受けることで、それまでチャレンジしたくてもできなかった企業が新しいことにチャレンジできるようになる。担保となるような土地や資産の有無に関わらず、あらゆる企業の夢や挑戦を後押しすることができる点は何より魅力的だと思います。

そして4つ目が、若くして経営者と接点を持てること。商談相手は基本的に経営層です。何年もその業界で会社を牽引(けんいん)してきた方々が何を考えているのか、若手のうちに知る機会を持てるのは魅力だと思います。


──黒谷さんが若手時代に接した経営層の方たちの中で、印象に残っているのはどんな人ですか?


黒谷:営業として商談でお会いした方ではありませんが、一番印象に残っているのは、伊藤忠商事の元社長・小林(栄三)さんです。私が課長になったばかりの頃、江藤に会食に連れて行ってもらったことがありました。

周りの人への細やかな気配りが印象に残っています。もちろん優秀な方なのは間違いないのですが、それ以上に人間力が何年も積み重なって、大きな差になっているのだろうと感じました。


──イー・ギャランティもそういう積み重ねを大事にしている企業なのでしょうか?


黒谷:そうですね。当社はまだ200名弱の規模で、気持ちとしてはベンチャーですけど、伊藤忠商事の社内ベンチャーから始まったこともあり、大企業っぽいところもあるんです。少なくとも単発の成功で一気に部長、役員という訳にはいきません。継続して結果を残すなど、粘り強くキャリアを積むことを重視しています。最短10年で役員までいけますが、短期的な一発を狙うのは難しい会社です。

あとは、やはり素直であることが重要です。ある程度社内のメソッドが固まってきていますし、やればやるだけ結果が出ることも見えている。それを着実に実行できる素直さがある人は成長するなと思います。もちろんイマジネーションも重要ですが、それはコンスタントに平均点を超えられるようになってからの話。自身の考えを持ちつつも、まずはノウハウの詰まった型を習得することが成功の近道だと思いますね。


──最後に、就活生にメッセージをお願いします。


黒谷:自分が活躍できる場を与えてもらえる、もしくは自ら生み出せる場所で働くことが、人生にとって一番大事なことだと思います。そういう場所を探すのは大変ですけど、せっかくの機会なのでいろいろな会社を見て、自分に合ったところを選んでほしいです。

私が個人的に好きなのは、「会社を変えるぞ!」くらいのやる気に満ちている人。そういう元気な人はいいなと思います。実際、本当に会社を変えることだってできますから、そのような気概のある方を応援したいですね。


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