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就活サイトトップ就活記事【企業分析シート付き】企業研究のやり方とポイントを徹底解説!

【企業分析シート付き】企業研究のやり方とポイントを徹底解説!

企業研究のやり方
2025年10月31日(金) | 56,368 views

こんにちは、ワンキャリ編集部です。

「企業研究のやり方がわからない」「どんな情報を集めればいいの?」

そのように感じる就活生は少なくありません。企業研究は、志望動機やES、面接対策のすべての土台となる重要なステップです。

本記事では、就活初心者でも今日から実践できる企業研究のやり方をわかりやすく解説します。また、企業研究ノートの作り方や調べるべき項目リスト、情報収集のコツまで徹底解説します。「企業研究で何をすればいいか分からない」を今日で卒業しましょう。

<目次>
●企業研究とは|目的や取り組むタイミングなどを解説
 ・企業研究の目的
 ・企業研究と業界研究の違い
 ・企業研究にはいつ頃取り組む?
●企業研究のやり方|全体像を5ステップで解説!
 ・ステップ1. 企業研究先を決める
 ・ステップ2. 企業研究ノートのテンプレートを用意する
 ・ステップ3. 企業の基本情報を調べ、企業研究ノートに書き込む
 ・ステップ4. 「ワンキャリア」で社員の声やクチコミ、選考体験談を確認する
 ・ステップ5. 企業研究を生かし、志望動機を作る
●企業研究で調べるべき14の項目
 ・会社概要
 ・企業理念
 ・事業内容
 ・業績
 ・社風
 ・求める人物像
 ・企業の強み
 ・企業の弱み
 ・将来性
 ・評価制度と給与水準
 ・福利厚生
 ・勤務地・転勤の有無
 ・就業時間・休日
 ・選考フロー
●企業研究ノート作りのポイント
 ・企業研究ノート作成を目的にしない
 ・得られた情報は追記していく
 ・自分が感じたことも書いておく
●【11選】企業研究の情報収集方法
 ・企業のサイトを見る
 ・就活情報サイトを見る
 ・「ワンキャリア」を使った情報収集方法
 ・インターンシップ・座談会への参加
 ・経営者の取材記事や書籍を読む
 ・会社説明会やセミナーへの参加
 ・OB・OG訪問
 ・IR情報を見る
 ・競合他社と比較する
 ・業界地図を読む
 ・新聞・ニュースを見る
●企業研究ノートの活用方法
 ・就活の軸を明確にする
 ・自己分析とつなげて志望動機を作成する
 ・エントリーシート(ES)や面接への活用
 ・就職先の選択時に活用
●企業研究を行う際の6つの注意点
 ・企業研究自体を目的にしない
 ・業界研究も同時に進めておく
 ・時間をかけすぎない
 ・企業の強みだけではなく、弱みにも向き合う
 ・信用性の高い情報・新しい情報を収集する
 ・知っている情報と知らない情報を明確にする
●企業研究のやり方に関するよくある質問(FAQ)
 ・Q. 企業研究はどこまで深くやればいい?
 ・Q. 企業研究は本当に意味があるの?
 ・Q. 企業研究はいつまでに終わらせればいい?
 ・Q. 企業研究をしないまま就活を進めると、どんなデメリットがある?
 ・Q. どうしても埋められない項目はどうしたらいい?
●この記事のまとめ


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企業研究とは|目的や取り組むタイミングなどを解説

企業研究とはさまざまな角度から志望先のリサーチを行い、理解を深め、自分とマッチする企業か見極めることです。企業理念や事業内容、業績などの基本情報から、業界内での位置づけや競合他社との比較に至るまで幅広く行う必要があります。

リサーチが不十分なまま、選考対策に進んでも、内定獲得にはなかなか結びつきません。初めに企業研究の目的や概要を解説します。


企業研究の目的

就活では選考を受ける企業に関して、徹底的に調べ上げることが大切です。なぜなら、企業研究には次のような目的があるためです。



・自身の将来像やキャリアプランを明確にする


企業研究を通して会社の製品やサービスへの理解を深め、そこに所属する従業員の声を聞くと、働きたいと思える企業が見つかる可能性が高まります。評価制度や研修体制など働き方にまでリサーチの範囲は及ぶため、入社前から働く環境をイメージできます。

特定の企業に関する深い知識を身につければ、入社後のキャリアパスが明確になるため、自身の将来像を考える際にも役立ちます。


・自分とマッチする企業を見つける


まず就活でエントリーできる数は限られることから、興味ある業界の全ての企業の選考を受けるのは難しいです。自分にマッチする会社を見つけるためには、あらかじめ企業研究で対象を絞る必要があります。

希望を全て満たす理想的な企業が見つかるとは限りませんが、自分の中で優先順位が高い条件をクリアする魅力的な企業は発見できるでしょう。


・選考対策の事前準備をする


内定を獲得するには、自身の強みや魅力を積極的に伝えるだけでなく、応募先の企業をよく知ることが重要です。企業研究をしていない、または不十分な学生は活躍の仕方や将来のキャリアプランを具体的に語れず、ESや面接で落とされる可能性が高くなります。


企業研究と業界研究の違い

企業研究と業界研究の違いは次の通りです。

・企業研究:ある特定の企業について、事業内容や社風、福利厚生などを調べること
・業界研究:業界に対象を広げて、成長度合いや将来性、主要な企業などについて調べること

企業研究は1つの企業に対して深く調査することである一方、業界研究は業界単位でリサーチを行うものであり、調査の対象が異なります。両者を混同してしまうと、就活で必要な作業に抜け漏れや重複が生じる恐れがあるため、十分注意してください。

一般的には業界研究で興味がある業界を見つけた後、企業研究でその業界内のさまざまな企業の情報収集に取り組むという流れで進みます。ビジネスモデルや市場を取り巻く環境など、業界レベルで共通する要素もあります。

業界研究を丁寧に行うことで企業理解を深めやすくなるため、省略せず、両方とも実施しましょう。



▼業界研究について詳しく知りたい方はこちら
・【業界研究のやり方:36業界収録】めんどくさい業界研究は全て任せろ!人気業界/企業を徹底比較


企業研究にはいつ頃取り組む?

企業研究を始める時期の目安となるのは、大学3年生の5〜6月頃です。サマーインターンへの応募を始める時期と重なるため、就活を本格化させるにはよいタイミングです。

企業研究の項目は多岐にわたることから、数日程度で終わらせようとせず、数カ月単位でスケジュールを確保しておきましょう。

採用選考活動が解禁される3年生の3月になると、説明会や面接で忙しくなります。遅くても2月までには企業研究をひととおり終わらせ、選考対策に集中できるようにしておくとよいでしょう。

学生生活はサークルやアルバイト、ゼミ、学業などすべきことが山積みです。企業研究ではうまくスケジュールを調整し、少しずつ進める意識を持つのがポイントです。

▼就活スケジュールについて詳しく知りたい方はこちら
・27卒就活スケジュール|選考・インターンの準備の対策を徹底解説

企業研究のやり方|全体像を5ステップで解説!

企業研究の目的や取り組むタイミングなどを理解したところで、次は企業研究の「やり方」を見ていきましょう。

ここでは、企業研究のやり方の全体像を5つのステップで解説します。後ほど、企業研究で調べるべき具体的な項目について紹介しますので、まずは企業研究の全体像を押さえましょう。



ステップ1. 企業研究先を決める

企業研究は、やみくもに始めても非効率です。まずは「どの企業を研究するか」を決めましょう。

初めの段階では、業界や職種で広めに選定することがポイントです。例えば、金融業界やメーカー業界といった業界で絞るのもいいですし、コンサル職や営業職といった職種で絞るのもいいでしょう。大事なことは、自分の興味や価値観に合いそうな領域を整理することです。

このとき、最初から企業研究先を絞りすぎると、視野が狭まり後悔するケースもあるので注意が必要です。まずは「気になる企業群」をざっと洗い出し、そこから情報を集めながら比較・選定していく流れを意識しましょう。


ステップ2. 企業研究ノートのテンプレートを用意する

情報収集に労力を割いても、うまく活用できなければ意味がありません。そこで次に行うのは、情報整理用の「企業研究ノート」を作ることです。ノートの形式は、Excel・スプレッドシート・Word・手書きのどれでも構いません。重要なことは、「項目を統一して比較できる」状態にすることです。

以下、企業研究ノートの概要や目的、メリットを解説します。


企業研究ノートの概要と目的


企業研究ノートとは、興味がある企業や応募を検討する企業の情報を一元化してまとめたものです。基本的に情報源からインプットした内容を整理・記録して、自分で見返す目的で作成します。

企業研究ノートを作ると、企業研究の目的である企業理解と選考対策に役立ちます。企業同士で製品・サービスの違いや、業務内容などを比べて、自分の希望に合う環境か理解できるでしょう。

また、業界の比較では大まかな傾向しか把握できないため、企業研究ノートで個々の企業を深掘りすることは非常に有効です。自分との相性を正確に見極めて、入社後のミスマッチを防ぐ上でも意味があります。


企業研究ノートを作るメリット


企業研究ノートを作るメリットは次の通りです。



選考の場では紙のメモを取り出して、面接の回答を考える時間は設けられていません。

事前準備として得た情報を記憶に定着させる必要があるわけですが、企業研究ノートの作成はこのプロセスに貢献します。重要なポイントを書き記し、要点をまとめる過程でインプットした内容を忘れにくくなるでしょう。

また、表やグラフを用いて、複数の企業の情報を一目で見比べることができます。求める人物像1つとっても、企業ごとにサイトに記載する場所や書き方は異なります。ノートのレイアウトをそろえて、同じ尺度で情報を書き連ねれば、比較が容易です。

持ち歩いても負担にならない大きさや軽さのため、いつでも気軽に見返しやすいのも利点です。また、説明会やインターンで追加情報を得たときは、カバンから取り出して簡単に追記できます。


(参考)テンプレート例


企業研究ノートのテンプレート例をご紹介します。



テンプレートはあくまで一例のため、必要に応じて項目を追加してください。例えば、リサーチの過程で生まれた所感を書くスペースを設ける書き方が一例です。

他にも、各項目のサイズや幅にまでこだわり、情報を規則正しく整理することに特化したフォーマットも存在します。見た目をスッキリさせたいのか、感想も合わせて記載したいのか、人によって重きを置くポイントは異なります。

実際に、テンプレートに従って企業研究を行った見本は以下です。


企業名:株式会社 資生堂
応募職種:総合職


※参考:資生堂 新卒採用サイト「募集要項/総合職 Sales」
※参考:ワンキャリア「資生堂」
※参考:資生堂|Sales2025年卒の選考対策ページ
※参考:資生堂「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」
※参考:資生堂「事業概要」
※参考:資生堂「インターンシップ・イベント情報」


ステップ3. 企業の基本情報を調べ、企業研究ノートに書き込む

テンプレートを準備したら、いよいよ情報収集です。

企業研究の情報収集方法は後ほど詳しく解説しますが、まずは公式サイト(会社概要・IR情報・採用ページ)から信頼性の高いデータを集めましょう。特にIR情報には、経営方針・中期経営計画・売上構成比など、企業の方向性を理解できる内容が豊富です。

次に、ニュースサイトや業界レポートで外部評価を確認します。企業が「どのように社会や市場に影響を与えているか」を把握することで、表面的な情報では見えない強み・課題が見えてきます。

そのようにして集めた情報を企業研究ノートに書き込みます。このとき、簡単にでいいので「なぜこの企業が気になるのか」「どんな点に魅力を感じたのか」を自分の言葉で書き込むことが、志望動機づくりへの第一歩となります。


ステップ4. 「ワンキャリア」で社員の声やクチコミ、選考体験談を確認する

企業のリアルな姿を知る上で欠かせないのが、「ワンキャリア」などのクチコミ情報サイトです。公式情報だけでは分からない社風や、実際の選考内容を把握できます。

例えば「選考体験談」では、ESの設問や面接で実際にされた質問、評価されたポイントなどが詳しく掲載されており、選考対策に直結します。また、「合格の秘訣」では、企業の魅力や業界内での立ち位置、社員の生の声などを具体的に確認できます。

重要なことは、一人の意見を鵜呑みにしないことです。複数の投稿を比較し、共通するキーワードやポイントを抽出することで、より客観的な理解が得られます。

これらを読み解き、「自分はその企業についてどう感じるのか」や「志望企業に合格するための自分なりの勝ち筋」を考えることで、志望動機の質が格段に上がります。


ステップ5. 企業研究を生かし、志望動機を作る

最後に、集めた情報をもとに志望動機を形にしましょう。志望動機の基本構成は次の3段階で整理すると効果的です。

  • なぜその業界を志望するのか(業界研究の結果)
  • なぜその企業なのか(企業研究の結果)
  • どのように貢献できるか(自己分析の結果)

企業研究で得たデータをそのまま並べるのではなく、「だから自分はこの企業で成長したい」「この企業の強みと自分の価値観が一致する」といった自分の軸とつなげる表現が重要です。

例えば、「地域に根ざした経営方針に共感し、地方創生を支える金融の在り方をともに考えたい」といった具合に、調べた事実をもとに自分の思いを具体化しましょう。

このステップまで完了すれば、エントリーシートや面接でも自信を持って話せる「説得力のある志望動機」が完成します。

企業研究で調べるべき14の項目

企業研究ではただ闇雲に情報を収集してもあまり意味はありません。あらかじめ必要な項目を列挙し、統一したフォーマットを作成しておくと情報収集が効率的に進む他、企業間での比較も容易です。

業界や業種、規模感に関わらず企業研究で収集すべき情報を項目ごとにご紹介します。



会社概要

初めに志望先の会社概要を知り、規模感やサービスをはじめ、企業の特徴を大まかに把握します。最初から細部まで知ろうとするのは難しいため、まずは基本情報に絞って確認したほうが効率的です。

主な確認項目は次の通りです。

・企業名
・設立年度
・資本金
・従業員数
・業種
・本社の所在地や支店数

企業名を転記する際は、正式名称(株式会社◯◯)で記載しましょう。一般的に使われる略称があっても、選考では正式名称が用いられます。

企業の規模感を把握するため、大企業・中小企業とグループにわけるのも効果的です。中小企業の定義は、以下の通りです(※1)。

・製造業その他の事業:常時使用する従業員の数が300人以下の会社
・卸売業:常時使用する従業員の数が100人以下の会社
・小売業:常時使用する従業員の数が50人以下の会社
・サービス業:常時使用する従業員の数が100人以下の会社

(※1)参考:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」


企業理念

企業理念とは、「その企業がなぜ存在するのか」「何のために事業を行うのか」などを示す理念を指します。企業の活動方針を示した企業理念(経営理念)の整理も、企業研究では外せない項目です。経営者の事業や社会貢献に対する考え方が如実に反映され、自分との相性を推し量るうえで大切な要素となるためです。

企業理念が自分の仕事観や方向性と合わないと感じた場合、応募をやめて、別の企業を探すことも検討したほうがよいかもしれません。

暗記する必要はないまでも、表面的な言葉だけでなく、何を意味しているか正確に読み取ることが大切です。なお、企業理念への共感は好印象を与えやすい志望動機の1つでもあります。


事業内容

企業が提供する製品や、サービスへの理解も不可欠です。大手企業や有名企業の場合、トヨタ自動車の自動車事業のように、事業内容が広く知られている場合もあります。しかし、メインの事業以外にも、複数の領域でビジネスを展開する企業も少なくありません。

理解しているつもりでも抜け漏れが生じる恐れはあるため、複数の情報源を活用して幅広くリサーチして、メモやノートに書きとめておきましょう。そのためには、企業の公式サイトやSNSだけでなく、業界に関連するニュースサイトなども普段からチェックする癖をつけておくといいでしょう。

競合他社の場合でも、事業内容が異なる場合があるため、一社一社丁寧にチェックしてください。


業績

業績は事業の成長性や安定度を、客観的に測定できる重要な指標です。誰しも年々利益が伸びていて、成長フェーズにある企業に入社したいと思うでしょう。業績が下降の一途をたどり、経営がうまくいっているといえない会社では、倒産の心配もあります。

企業は株主や投資家に向けて、事業年度の売上や利益をIR(投資家向け情報提供)情報としてまとめています。これはコーポレートサイトで、調べることが可能です。

企業研究では項目を統一して、企業間で比較しやすい形に仕上げることが重要です。近年は新型コロナウイルス感染症の影響やAI(人工知能)の台頭で、業績が著しく変化した会社も少なくありません。

今年や去年の数字だけではなく、数年間のデータを取得し、調査しましょう。


社風

企業特有の文化や価値観を表す社風は、その会社に応募するか見極める際の重大なポイントです。「個人の裁量が大きい」「若手でも活躍できる環境」「福利厚生が充実し、女性でも働きやすい」などが該当します。

社風は、単純に良しあしで判断できないのが特徴です。ミスマッチを防ぐには、自己分析を通して、自分がどのような環境で働きたいかを把握しないといけません。

社風は、規模感や業態などによって似通った風土を持つ場合が多い傾向にあります。一般的に言えることとしては、例えばベンチャー企業では風通しのよさ、日系大手の場合は福利厚生の充実度が挙げられます。


求める人物像

求める人物像の把握はESや面接で効果的なアピールをして、内定を獲得するために重要です。採用担当者は、自社に合う学生かどうかという点に主眼を置いています。いくら優秀な候補者でも、求める人物像にそぐわないと判断されると内定には結びつきません。

ESの志望動機や自己PR、面接での受け答えは求める人物像を念頭に置いて回答を練るとよい成果につながります。企業からの期待と自分の進みたい方向性が異なる場合、入社後に苦しむ可能性があるため、選考を受けるか一度考え直すことがおすすめです。

企業の求める人物像については、合格の秘訣(ひけつ)からも探せますので、ぜひ参考にしてみてください。

▼企業ごとの求める人物像を確認する
・ES・体験談一覧


企業の強み

企業の強みとは競合他社と差別化できるポイントを指し、商品ラインアップの広さや安価な値段、顧客継続率の高さなどが該当します。サイトや求人広告で、「◯◯が選ばれる理由」「私たちの強み」と宣伝しているため、自分でもリサーチは可能です。

強みは、製品やサービスを軸とした対外的に優れた部分以外にも、従業員向けのさまざまな制度も含まれます。

その会社の長所がわかれば、業界内での立ち位置が明らかになり、選考を受けるべきか決める際にも役立ちます。志望動機の直接的な理由にも活用できるため、リサーチを通して、複数個の強みを見つけておくと心強いでしょう。


企業の弱み

企業の弱みや課題も、企業研究を通して把握すべき項目です。「顧客が国内に集中している」「海外展開を考えていない」「女性管理職の比重が少ない」などが該当します。

企業自ら自社の弱点を外部にさらすことは基本的にないため、公式が出す情報以外でリサーチをかける必要があります。

例えば、その企業に勤務するOBやOGを訪ねるのが1つの手です。身近に頼れる人物が見当たらないときは、クチコミサイトに散らばる情報から傾向を知るのも有効な方法です。

ただし、ネットの情報は過度にネガティブな場合があるため、信用しすぎないようにしてください。


将来性

将来性は短期的に倒産の可能性があるか、今後の成長が見込めるかなどを判断する項目です。

将来性は財務情報から直接読み取ることが難しいため、企業研究の際は工夫する必要があります。次の特徴があるかなどを調べてみるとよいでしょう。

・情報の開示に積極的である
・最先端の技術を取り入れている
・業績を着実に伸ばしている
さらに詳しく調べたい方は、IR情報(投資家向け情報提供)の「中長期経営計画」を確認するとよいでしょう。「中長期経営計画」は数年〜数十年後の戦略や方向性を判断できる貴重な資料です。


評価制度と給与水準

入社後のキャリアパスに大きく関わる評価制度や、給与額がわかる給与水準についても忘れずに確認しましょう。就活のゴールは内定の獲得ではなく、入社して満足いく働き方が実現したときです。

給与や昇進は、働くモチベーションを左右する重要な要素だといえます。高年収を志望動機に掲げるのは避けたほうがよいですが、どれだけの収入が得られるか確認することは重要です。

基本的に評価制度と給与水準は、コーポレートサイトや採用サイトの募集要項で確認できます。記載金額は手取りではなく、税金や社会保険料を控除する前の総額であるため、注意してください。


福利厚生

福利厚生とは福祉の向上を目的に、企業が従業員に提供する給料以外のサービスなどです。具体例でいうと、家賃補助やストックオプション、家族手当、育児・産後休暇などが該当します。

福利厚生と一括りにしても企業ごとに複数の制度があるため、先に自分が求める制度を明確にしたほうが、志望先の優先順位づけを考える際には効率的です。

内部に向けたサービスのため、給与と同様、志望動機の理由に挙げるのは好ましくないとされています。福利厚生は、労働環境の一部となる副次的な要素です。情報として知っておくのは大切ですが、企業選びで直接影響を与える要素にはなりません。


勤務地・転勤の有無

勤務地や転勤の有無も働く環境を左右する要素として重要なため、企業研究で調べるものの1つです。採用区分に応じて、総合職は勤務地を限定せず、一般職は採用されたエリアで働き続けるケースが一般的だといえます。

企業研究の際は転勤の頻度や、主要な勤務先までまとめておくと、企業選びの際に便利です。


就業時間・休日

就業時間や休日の日数は、働きやすさやプライベートの充実度に関わります。ワークライフバランスを重視する人や、体力に自信がない人や、ワークライフバランスを重視する人は重点的に確認したいポイントです。

令和4年就労条件調査によると、年間休日の平均は115.6日(労働者1人当たり)となりました(※2)。休みが多い企業か知りたいときは、上記を目安にすると簡単です。

なお、完全週休二日制と週休二日制では定義が異なります。前者は毎週必ず二日間休める環境を表し、後者は月に1回以上は週休二日の週があることを示す言葉です。

就業時間は法定労働時間(1日8時間)の範囲内で、企業が独自に就業開始時刻や終了時刻を設定します。総労働時間が事前に取り決めた範囲内であれば、始業・終業時刻を決められるフレックスタイムを導入している会社もあります。

(※2)参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況 P.5」


選考フロー

入社を検討するなら、選考フローの確認も企業研究では外せません。選考の一般的な流れは、書類選考→適性検査(Webテスト)→一次面接→二次面接→最終面接です。業種や企業によっては、グループディスカッション(GD)やケース面接が行われる場合もあります。

選考の開始時期も企業によって異なるため、注意が必要です。3年生の3月に採用選考活動が解禁となり、6月から面接が行われ、10月以降に内定が出るという流れが通常です。しかし、一部の業界では優秀な学生をいち早く採用するために、前倒しで採用を進めることもあります。

外資系やベンチャーが最たる例で、日系でもマスコミや一部のメーカー、商社なども早期選考を行っています。

企業研究ノート作りのポイント

企業研究ノートに特定の書き方は存在せず、学生によってノートの内容は千差万別です。しかし、念頭に置かないと作る意味が薄れてしまうような作成のポイントがあります。これらの注意点を意識すれば、企業理解を深めるだけでなく、選考対策でも力を発揮するでしょう。企業研究ノートの作り方のポイントを、詳しく解説します。



企業研究ノート作成を目的にしない

企業研究ノートを作成すると、レイアウトの美しさや情報量を多くしようと、優れたノートの作成に固執してしまう場合があります。丁寧にまとめるのは大切ですが、時間をかけすぎるのは本末転倒です。

就活ノートは就活を成功させ、志望する企業から内定をもらうために作ります。目的ではなく「手段」にあたるため、最初から最後まで全力で書こうとはしないことです。人に見せる機会もなく、あくまでも自分の確認が目的の準備資料です。

素晴らしい企業研究ノートを作ったからといって、内定の確率が上がるとは限りません。必要な項目に絞って、シンプルにまとめることが第一です。


得られた情報は追記していく

企業研究ノートは一度作ったら終わりではなく、適宜ブラッシュアップする必要があります。作成の時点ではリサーチが途中の段階であるケースが一般的で、ノートにまとめる過程で、情報の不足に気付かされる場合も多いためです。

ネットでのリサーチ、インターン、会社説明会と選考が近づくにつれて、情報収集の機会が徐々に増えてきます。情報を得るごとにノートを更新して、常に最新の状態をキープするようにしてください。

何かと変化が早い現代にあって、企業の活動も常に進化を続けています。情報も毎日更新される状態になるため、一度完成した企業研究ノートもそのまま放置すると不完全な資料と化します。

作成を決めた当初の段階からカスタマイズを想定して、状況に応じて臨機応変に追記や項目を追加しましょう。


自分が感じたことも書いておく

企業研究ノートには、リサーチや説明会に参加する過程で抱いた感想や所感も記載しておきましょう。選考では他の候補者にはない、自分だけの個性をアピールする必要があります。

イベントに出席して得た感想やエピソードは、受け取る情報は同じでも、個人差が出ます。企業研究ノートに感想や所感を記載すれば、まとめの内容が厚みを増すだけでなく、選考対策の大きな武器にもなるのです。

企業研究ノートは自分が使えればよい資料のため、何でも記載してよい、自由度が高いものです。例えば、「福利厚生が充実して働きやすそう」「始業時間が早いから朝がきつそう」など、率直な感想で問題ありません。

書き方に正解はないため、そのときに感じたリアルな感情を自分なりの言葉で書き表すことが重要です。

心が動く経験をするには、パソコンの前での調査にとどまらず、自ら足を運ぶ能動的な行動が必要です。「企業研究の情報収集方法」でも解説したように、インターンや説明会には積極的に参加して、リアルな経験を積みましょう。

【11選】企業研究の情報収集方法

企業研究の肝となるのは情報収集です。就活がはじめてだと、どこから情報を手に入れるのか、何からすればよいかわからず迷ってしまう場合があります。

企業のサイトや就活情報サイト、業界地図や経営者の取材記事、新聞やニュース記事も情報源として有益です。また、インターンシップの参加や、OB・OG訪問などで実際に経験した情報を集めるのも大切です。

企業研究の方法を列挙するとともに、各方法の注意点やポイントを解説します。



▼ワンキャリアに会員登録して企業の情報を効率良く入手する
・就活サイト【ワンキャリア】インターンシップや新卒の就職活動情報が満載


企業のサイトを見る

企業のサイトはネット環境さえあれば、スマホでもパソコンでも気軽にチェックできます。検索エンジンで「企業名」を入力すれば、目当ての企業サイトが出てきます。

トップページは顧客向けの製品やサービスの紹介がメインのため、企業研究をする際に確認すべきページと、読み取れる情報を以下にまとめました。

・会社案内ページ:企業名、設立年度、資本金、従業員数、事業内容など
・採用ページ:募集職種、求める人物像、勤務地、福利厚生、年収、採用予定人数、選考フロー
・プレスリリース:報道機関向けに新規サービスの発表や事業提携などの情報を掲載

また、従業員のインタビュー記事は、気になる働く環境を確認できる貴重な情報源です。サイト内をくまなくチェックして、見落としがないよう気をつけてください。


就活情報サイトを見る

就活情報サイトも、企業間の比較検討に適しています。基本的な企業情報や選考フローが端的にまとめられ、概要を素早く把握したいときに役立ちます。

気になる会社をいくつかピックアップして、事業内容や従業員の声など深掘りしたいと感じたら、コーポレートサイトを確認するのが効率的です。

こちらでは、就活情報収集にお役立ていただける「ワンキャリア」についてご紹介します。

▼会員登録はこちら
・就活サイト【ワンキャリア】インターンシップや新卒の就職活動情報が満載


「ワンキャリア」を使った情報収集方法


選考ステップ


ES、Webテスト/筆記試験、GDなどの有無や時期の他、OB・OG訪問など非公式な選考フローの有無を確認でき、選考を受ける際のスケジュールを立てるのに役立ちます。

また、テストの形式や面接で聞かれること、GDのテーマやインターン/ジョブの流れなどといった選考の内容と、内定者によるアドバイスを含んだ対策すべきポイントまで詳しく知ることができます。


合格の秘訣


各社の「企業の魅力」と「選考のポイント」をレポート形式で確認できます。各社の概要や事業の特性、強み、社風、競合他社との違いなどが端的に掲載されており、選考対策のみならず企業・業界研究にも活用できます。また、内定者が社員から実際に聞いた情報も書かれており、現場の声を知ることもできます。

▼気になる企業の選考ステップ・合格の秘訣を確認する
・ES・体験談一覧


企業の魅力


各社の概要や事業の特性、強み、社風、競合他社との違いなどが端的に掲載されており、選考対策のみならず企業・業界研究にも活用できます。

▼気になる企業の魅力を確認する
・企業一覧


インターンシップ・座談会への参加

インターンシップや座談会ではネットではわからない情報や発見できなかった気付きがあります。

インターンシップはオフィスで従業員と一緒に業務をこなすため、社内の雰囲気やともに過ごす社員の印象などがわかります。社員の方と親しい関係を築ければ、説明会では聞きづらい質問もしやすくなるでしょう。

職務を体験できるインターンシップは、自身の業務特性を見極める際に有効です。目の前の作業に集中することも大切ですが、あくまでも企業研究の一環で行うため、全体的な業務フローや社風の確認も意識しましょう。

企業が主催する座談会も、従業員の話が直接聞ける貴重な体験でしょう。座談会では業務の話や自身の就活、社内の雰囲気などざっくばらんに伝えられることが一般的です。業務がからむインターンより近い距離感で質問もしやすいため、参加をおすすめします。


経営者の取材記事や書籍を読む

企業の社風や仕組みは、経営者の考え方が色濃く反映されます。最終面接でもなければ、会社を設立した人物に直接会って話を聞くのは難しいため、当人の取材記事や書籍があれば目を通しておくことをおすすめします。

創業に至った背景やターニングポイント、企業の歴史など企業を深く知るうえで有意義な情報を得られます。

サイトの代表あいさつや会社説明会の資料では確認できない、書籍や取材でのみ答えているエピソードがあります。今後の展望のような、ビジネスに深く関わる話が見つかるかもしれません。

経営者の取材記事や書籍をチェックする学生は限られるため、選考で「読みました」とアピールするだけでも好印象です。


会社説明会やセミナーへの参加

採用選考活動の解禁後に行われる会社説明会やセミナーへの参加は、企業研究の常道です。大きなメリットは、実際に働いている人の話を聞き、活躍する従業員の特徴や人となりを把握できる点にあります。

説明会やセミナーは複数の企業が協力して行う合同説明会と、単独開催の2種類にわかれます。基本的に登録すれば誰でも参加でき、選考があるインターンシップと比べると、敷居の低さが魅力です。

説明会で確認したい情報は、事業の方向性や採用コンセプト、キャリアパス、人事制度・福利厚生などです。サイトでは確認できない将来的な展望や、求める人物像の具体例、入社の働き方に関する詳細な話が聞けます。

会社説明会やセミナー時は、質問をするよう心がけてください。疑問点をその場で解消できる他、会社の採用への姿勢を感じ取れるため、志望度を決める際に役立ちます。説明会で従業員と話をしたエピソードを面接で伝えれば、話題のネタにもなるでしょう。

▼会社説明会やセミナー情報を確認する
・就活イベント(企業説明会・セミナー)一覧


OB・OG訪問

OB・OG訪問は、気になる業界や企業で働いている方に仕事の内容や社内の雰囲気などを伺うことです。

説明会や座談会でも働いている方の話は聞けますが、残業時間や有給の取得しやすさなど、踏み込んだ労働環境については聞きにくいものです。よりリアルな情報を知りたい場合はOB・OG訪問が適しています。

▼OB・OG訪問について詳しく知りたい方はこちら
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・OB訪問のマナーと服装【社会人の本音】連絡の取り方・当日の対応とNG例
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IR情報を見る

企業が株主や投資家に向けて公開するIR情報では、財務諸表と呼ばれる貸借対照表・損益計算書を含む決算書が重要な情報です。有価証券報告書の内部に記載されているため、意識して確認しましょう。

中でも、損益計算書の売上高(営業収益)と営業利益は要確認の項目です。営業利益は株式の売買や固定資産の売却を除く、純粋な本業での売上を表す指標です。収益力の把握に適していて、数年間の推移を確認すれば、事業業績を確認できます。

他にも、IR情報では中長期経営計画も有益な情報が得られる貴重な資料です。長期的な経営ビジョンとともに、目標の実現に向けた具体的な行動計画を示しています。

現状の課題や改善すべき事柄を読み取れ、企業が今後進もうとする方向性がわかるため、将来性の判断に役立ちます。


競合他社と比較する

今まで紹介した方法を組み合わせれば、ある企業単体の情報の質・量は担保されます。しかし、企業研究では説得力のある志望動機の作成につなげるため、競合との違いを明確にしなくてはいけません。

業界内での立ち位置や競合他社との優位性を調べるには、会社四季報がおすすめです。項目別にデータがまとめられ、一社一社のサイトやIR情報を効率的に見られます。


業界地図を読む

業界地図は、国内の主要な産業ごとに業界全体の流れや市場の規模感、具体的な企業の売上や業績をまとめた書籍です。地図と呼ばれるだけあって、マップ形式で業界の動向や勢力図が視覚的にわかりやすい形で記されています。

・『「会社四季報」業界地図 2025版(東洋経済新報社、2024年)』


グループや系列会社を含め、企業同士の結びつきも確認できるため、競合との力関係や提携関係を把握することも可能です。業界地図は、経済関連の書籍を扱う出版社や新聞社が提供主体となり、年に一度のペースで発行されています。

トレンドの解説やコラムが充実した東洋経済新聞社の『「会社四季報」業界地図』や、今後の動きを予想して天気のマークで表した日本経済新聞社の『日経業界地図』がメジャーです。


新聞・ニュースを見る

特定の業界に関する最新のニュースや、動向がわかる業界新聞の活用もおすすめです。メリットは、タイムリーな情報を横断的に取得できることです。

年に一度の業界地図では担保しきれない、新聞という即時性が高い媒体ならではのリアルタイムの動向がわかります。

業界地図だけではなく、一般向けの新聞の社会面やテレビ・ネットニュースも情報源として十分役立ちます。日常的にチェックして、重要だと感じた記事は切り抜きやブックマークですぐ見直せる仕組みを作るとベストです。

企業研究ノートの活用方法

企業研究ノートは作成した後が肝心で、いかに企業選びや選考対策につなげられるか工夫が必要です。企業研究ノートの具体的な活用方法を解説します。



就活の軸を明確にする

就活の軸を明確にすることで、志望企業の選定に活用することできます。複数の企業の情報を書き連ねて、さまざまなリサーチを行う過程で、自分の中で企業に対する譲れない条件や譲歩してもよい条件が明確になります。

就活をはじめた時点では「就活の軸がわからない」と悩んでいても、実際の活動を通して解像度が上がり、軸となる要素が見つかるケースもあります。

軸が明確ではない状態で企業を選んでも、納得がいく会社を発見できるとは限りません。入社後にミスマッチが生じてしまう可能性もあります。

就活の軸を見つける目的を考えると、はじめから自分の可能性を限定するのはおすすめできません。企業研究は、幅広い視点で実施しましょう。後でノートを見返したときには、業界内や他業界でリサーチが不十分な会社はないかという観点でチェックするのも有効です。

▼就活の軸について詳しく知りたい方はこちら
・就活の軸【例一覧100選】面接/ESでの答え方と業界・職種別の例文


自己分析とつなげて志望動機を作成する

就活で内定を獲得するには、自分の強みと企業が求める人物像が重なり合う部分のアピールが求められます。

企業情報が網羅された企業研究ノートを作成すれば、自身と企業の共通点や仕事への特性を把握しやすくなります。共通項をベースに志望動機を作ると、厚みがある内容になり、選考通過へ有利に働くでしょう。

自分の強みが明確で、かつ企業理解が深い状態になっていれば、入社後にどのような形で会社に貢献できるか、説得力のある訴求が可能です。

▼志望動機について詳しく知りたい方はこちら
・志望動機【例文17選】ES・履歴書での書き方と職種・業界別の実例


エントリーシート(ES)や面接への活用

直前に紹介した志望動機の作成に関連することですが、企業研究ノートの作成は全般的な選考対策(ESや面接)にも役立ちます。なぜなら、他の企業との違いやその企業ならではの特徴を言語化しやすくなるためです。

企業研究ノートでは、統一したフォーマットに沿って企業間での比較が容易です。1つチャレンジしてほしいのが、福利厚生の充実度や経営理念の共感など項目を設定して、情報をまとめた企業を一つ一つスコアリングすることです。

企業ごとに点数の違いが出てきたら、次は高得点・低得点をつけた理由を言語化します。他と比べて何がよくて何が悪いのか、他人に伝わる形で整理できれば、面接で投げかけられるさまざまな質問に答えやすくなります。

企業間の比較は、就活の軸にあたる優先度が高い項目で行うことがポイントです。点数をつけてもうまく理由を言語化できないときは、原点に立ち返って、もう一度企業研究を行い、志望先についての理解を深めましょう。

▼ES対策について詳しく知りたい方はこちら
・ESの書き方&例文集|エントリーシートの基礎から質問別/業界別の回答例まで完全対策


就職先の選択時に活用

応募先の企業をピックアップしたり、複数内定を得たうちで就職先を決めたりする際にも、就活ノートの作成は有意義です。ノートにいくつもの企業情報を書きためるうちに、徐々に志望順位が高い企業と低い企業に分けられます。

エントリーして選考を受けるべき企業か、吟味する際に役立ちます。頭の中だけで複数の企業を仕分けする行為は難易度が高いため、リサーチ対象にした企業の中から、優先度が高い会社を別途抜粋して表にするのも1つの方法です。

自分の中でお気に入りの企業が一目で可視化されれば、就活を行ううえでの軸の検討や、調査を深掘りする企業の判断に役立ちます。世間や他人から評判がよくても、自分に合う会社とは限らないため、自分の意見をベースに優先順位をつけて問題ありません。

企業研究を行う際の6つの注意点

次に、企業研究を行う際の6つの注意点について解説します。どれも就活生が陥りがちなポイントですので、1つ1つ丁寧に見ていきましょう。



企業研究自体を目的にしない

企業研究は「やること」そのものが目的ではなく、「就活の軸を明確にし、自分に合う企業を見極めるための手段」です。

よくある失敗は、情報をまとめることに満足してしまい、「企業研究ノートを埋めること」が目的になってしまうことです。これでは、選考や自己PRで活かせる情報になりません。大事なことは、調べたことと自己分析の結果をつなげることです。

例えば、企業理念を調べたら、「自分の価値観とどこが共通しているのか」「働く上で共感できる点は何か」まで考えることが大切です。

企業研究は「情報を覚える」作業ではなく、「自分の言葉に落とし込む」プロセスです。調べた情報を自己分析とつなげ、「なぜその企業なのか」を自分なりに語れるようにすることが、真の目的なのです。


業界研究も同時に進めておく

企業研究を進める際は、必ず業界研究と並行して行いましょう。なぜなら、企業の強みや立ち位置は「業界全体の構造」を知らないと見えてこないからです。

例えば、同じ食品メーカーでも、「原材料を扱う企業」と「販売を担う企業」ではビジネスモデルがまったく異なります。業界全体のサプライチェーンや主要プレイヤーを把握した上で企業研究を進めると、「競合他社との違い」「業界内での成長ポジション」といった視点を持つことができます。

結果として、志望動機も「この企業だからこそ働きたい」という説得力ある内容になるでしょう。業界研究と企業研究は、「二つで一つ」の関係として捉えることがポイントです。


時間をかけすぎない

企業研究は大切ですが、1社に時間をかけすぎると非効率です。特に就活初期は、興味のある業界・企業を幅広く比較することが重要です。

最初から完璧な企業理解を目指すのではなく、まずは概要を掴み、「自分に合いそう」と思った企業に時間をさらに投下しましょう。また、情報をまとめる際は、採用サイトやワンキャリアなどの信頼性の高い情報を優先し、ニュースや社員の口コミで最新の動向を補うのがコツです。

限られた時間の中で「深さ」よりも「質」を意識し、取捨選択をしながら効率的に進めることが、就活全体の成功につながります。


企業の強みだけではなく、弱みにも向き合う

企業研究では「魅力的なポイント」ばかりに目を向けがちですが、同時に弱みにも注目することが重要です。どんな企業にも課題やリスクは存在し、それを理解してこそ本質的な志望理由を語ることができます。

例えば、業績が安定している企業でも、「成長スピードが鈍化している」「新規事業への挑戦が少ない」といった課題を抱えている場合があります。こうした情報をもとに「自分ならどう貢献できるか」を考えると、面接でも説得力ある回答につながります。

また、弱みを知ることで入社後のミスマッチを防げる点も大きなメリットです。企業研究は「いいところ探し」ではなく、「リアルな企業理解」を深めるプロセスであることを意識しましょう。


信用性の高い情報・新しい情報を収集する

収集した情報をもとに企業選びや選考対策を進めるため、信用性の高い情報に絞って集める必要があります。インターネットで得た情報は不確かなものもあるため、注意しましょう。

クチコミサイトで得た情報のみに頼るのは危険とはいえ、実際に働いた人の意見は貴重です。OB・OG訪問や座談会で事実であるとわかれば、企業を選ぶ際の情報源としても採用しても問題はありません。

情報収集でもう1つ重要となるポイントが、新鮮度です。IRであれば最新の公開資料からさかのぼり、書籍よりもニュースや新聞で得た情報を参考にしましょう。


知っている情報と知らない情報を明確にする

その企業に関する世の中にあふれる、全ての情報を取得しようと努めるのは非効率です。自分の中で知っている情報と知らない情報をわけ、後者のみ重点的に収集します。

はじめのうちは何も知らない状態のため、精査・整理よりもインプットの量を意識すべきです。ある程度知識が蓄積したら、ノートやメモ帳にまとめてみましょう。

アウトプットを通して頭に入った知識が可視化されれば、不足した情報の有無がわかります。追加で情報収集が必要だと判断すれば、今までとは違う角度から別の資料を駆使して行いましょう。

就活は限られた時間の中で進めなければならず、時間との戦いでもあります。必要な情報・不要な情報を把握し、効率的に賢く活動することが大切です。

企業研究のやり方に関するよくある質問(FAQ)

最後に、企業研究のやり方に関するよくある質問を5つご紹介します。



Q. 企業研究はどこまで深くやればいい?

結論から言えば、「面接で自分の言葉で語れるレベル」までが理想です。

企業研究は「知識を詰め込む」作業ではなく、「自分との接点を見つける」ためのプロセスです。例えば「企業理念」「事業内容」「強み・弱み」「社員の声」などを一通り調べた上で、「なぜこの会社で働きたいのか」を説明できるかどうかが目安です。

表面的な理解では他の学生と差がつきにくいため、企業が発信するデータや実績を自分なりに解釈する姿勢が大切です。特に、業績や事業戦略などの根拠をもとに自分の意見を述べられると、企業理解の深さが伝わります。

完璧な企業研究を目指すよりも、「自分が納得できる仮説を持っているか」を重視しましょう。それが、自然と説得力のある志望動機につながります。


Q. 企業研究は本当に意味があるの?

企業研究は「選考対策」と「ミスマッチ防止」の両面で非常に意味があります。

まず、企業が求める人物像や価値観を理解することで、自分の経験をどのように伝えるかを具体的にイメージできます。例えば、同じ「挑戦」を掲げる企業でも、新規事業を伸ばしたい会社と海外展開を進めたい会社では、求める挑戦の方向性が異なります。そうした違いを理解できていないと、「どこでも通用する志望動機」になりやすいのです。

さらに、企業研究を深めることで入社後のミスマッチも防げます。社風や業務内容、成長環境を事前に知ることで、「自分に合う働き方か」を見極めることができます。

企業研究は、合否を分ける要素であると同時に、「後悔のない選択」をするための重要な準備です。


Q. 企業研究はいつまでに終わらせればいい?

基礎的な企業研究は、大学3年の夏〜秋までに終えておくのが理想です。採用選考活動が解禁される3年生の3月になると、説明会や面接で忙しくなるため、遅くても2月までには企業研究をひととおり終わらせられるといいでしょう。

サマーインターンシップや業界セミナーで得た情報を整理し、自分の志向と照らし合わせることで、秋以降の本選考準備がスムーズに進みます。その後はESや面接対策で忙しくなるため、事前に企業理解を深めておくことが効率的です。

ただし、企業研究は一度終わらせて満足するものではありません。ニュースやIR情報などを通じて、常に更新していく姿勢が大切です。企業は四半期ごとに業績や方針を発表しており、直前期に新しい取り組みを始めることもあります。情報をアップデートし続けることで、より鮮度の高い志望動機や質問を準備できます。

企業研究は「完結」ではなく「進化」させる意識を持ちましょう。


Q. 企業研究をしないまま就活を進めると、どんなデメリットがある?

企業研究をせずに就活を進める最大のリスクは、「志望動機が浅くなる」ことです。

企業の魅力や強み・弱みを理解していないと、「なぜこの会社なのか」という質問に対して抽象的な答えしか出せません。その結果、他の学生との差が出にくく、熱意が伝わらないまま選考を終えるケースもあります。

また、情報不足のまま入社を決めてしまうと、「思っていた仕事内容と違う」「社風が合わない」といったミスマッチにもつながります。さらに、面接での深掘り質問に答えられない点も大きなデメリットです。

企業研究を行うことは、合格率を高めるための戦略であり、同時に「自分が後悔しない選択をするための防御策」でもあります。


Q. どうしても埋められない項目はどうしたらいい?

企業研究ノートを作っていると、「評価制度」や「今後の事業方針」など、どうしても情報が見つからない項目が出てきます。そんなときは、自分で動いて聞きに行くことが最も効果的です。

会社説明会や座談会、OB・OG訪問などの場で、「HPでは見つからなかったのですが…」と前置きして質問すると、担当者の印象も良くなります。採用サイトやプレスリリースだけでなく、経営者インタビューやSNSの発信からヒントを得るのもおすすめです。

大事なことは、完璧に埋めることを目的にするのではなく、「仮説を立てて動く」ことです。このように情報を自ら取りに行く姿勢は、企業理解だけでなく、面接時の印象にもプラスに働きます。空欄を恐れず、積極的な行動で補うのが本当の企業研究です。

この記事のまとめ

企業研究は興味のある企業の情報を入手し、自分が活躍できる環境を見つけるために行う活動です。

リサーチすべき項目は多岐にわたり、情報収集もさまざまな方法を駆使して行う必要があることから、すぐ終わるボリュームではありません。限られた時間の中、企業研究を効率的に実施するには企業研究ノートの作成がポイントです。

いつでも見返せて記載内容の理解に役立つ他、企業間の比較がしやすく、志望先の選択から選考対策まで就活のさまざまな場面で重宝します。

本記事を参考に、企業研究ノートを有効活用して、内定に直結する企業研究を実施しましょう。企業についてほぼ知らない場合、どのような企業があるかわからない場合、就活サイトで企業研究を始めるのも1つの手です。

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(Photo:segawa7/Shutterstock.com)

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