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就活サイトトップ就活記事99%の人は天職に出会えていない。でも、それでもいいと...

99%の人は天職に出会えていない。でも、それでもいいと思う—ライフネット生命社長岩瀬大輔氏

保険 インタビュー
2017年4月20日(木) | 16,263 views
sponsored by ライフネット生命保険

ワンキャリアが総力をかけて行う「WORLD5特集」。

世界経済フォーラムに認定されたYGLの5名と、コーディネーター1名が登場します。

今回は、ライフネット生命保険代表取締役社長の岩瀬大輔氏にインタビューを行いました。輝かしい経歴をもつ岩瀬氏に「天職の見つけ方」「理想のリーダー像」について話を伺った。

「BCG?」「どこそれ。お布団コンサルティンググループ?」と言われた時代

岩瀬大輔:

1976年、埼玉県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。卒業後、1998年にボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJインターナショナル)を経て、アメリカへ留学し、2006年にハーバード大学経営大学院を日本人4人目のベイカー・スカラー(成績上位5%)として修了。帰国後の2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年に代表取締役社長に就任。2010年には、世界経済フォーラムの「Young Global Leaders」の1人に選出。


KEN:今日はよろしくお願いします。岩瀬さんは新卒でボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社されていますが、岩瀬さんが入社された頃のBCGはどんな雰囲気でしたか。


岩瀬:今でこそコンサルは人気職業の代名詞ですが、僕がいた頃は社員数も少なく70名程度でした。受ける側も「かっこいい会社」のイメージで受ける学生は一人もいなくて、よく分からないけど面白そうな「誰も知らない会社」を選ぶ人たちでした。面接も私服、準備もせずふらっと行って、よく分からないまま入ってしまう、まさに「動物園」のような雰囲気でした。

当時は、BCGを知ってる人は一人もいなかった。「え? お布団コンサルティンググループ?」と言われたりしました(笑)。東大法学部の友人にBCGを受けるといっても、「どこそれ?」と言われましたから。


KEN:面白いです。当時のコンサルティングファームには「一番最初に飛び込む、ファーストペンギン*」が溢れていたということですね。

*ファーストペンギン:群れで行動するペンギンの中で、魚を捕るために一番に海に飛び込むペンギンのこと。海には天敵がいる可能性があるためハイリスクな役回りだが、同時に条件の良い環境で餌となる魚を獲れるハイリターンの役回りでもある。このことから、リスクを恐れず新しいことにチャレンジする精神の持ち主をファーストペンギンと呼ぶ


岩瀬:そうです。僕がいつも思うのは「ちょっと時代の先を行くと、面白いことがある」ということ。「今、流行ってるもの」はもう遅い。だから学生が仕事を選ぶ際にも「次流行るもの」を見た方がいい。それは半分くらいの人には、「は?」とか言われるものです。

今でこそ「岩瀬さん、凄いキャリアですね」と言われますが、20代の頃は本当にボロクソ言われていました。「ボストンコンサルグループ? 意味分かんない。やめて。変なベンチャーは」と。

世界的投資運用ファンド「リップルウッド」も、かつては「謎の会社」だった

KEN:岩瀬さんがBCGの次に転職された「リップルウッド」も、今でこそ世界的に超有名な投資運用ファンドですが、当時は様子が違いましたか?


岩瀬:「リップルウッド」も当時20人くらいだったので、「謎な企業」でしたね。それに、キャリアも2年、2年と続けて転職していたので、周りからは「あいつは飽きっぽいし、もったいないな」と何度も言われました。


KEN:私も大企業を2回辞めているので分かりますが、外野の人ほど、適当に発言しますからね。キャリアも「振り返ってみて、意味が分かる」ということで、まさに「Connecting the dots(点と点を繋げる)」ですね。


KEN(聞き手):

新卒で博報堂経営企画局・グループ経理財務局にて中期経営計画推進・M&A・組織改変業務を経験。米国・台湾への留学を経て、ボストン コンサルティング グループで勤務。その後、ONE CAREERにジョインし、執行役員CMOに就任。一方で、23歳の頃から日本シナリオ作家協会にて「ストロベリーナイト」「トリック」「恋空」等を手掛けたプロの脚本家に従事。『ゴールドマンサックスを選ぶ理由が僕には見当たらなかった』『早期内定のトリセツ(日本経済新聞社/寄稿)』など。

世界を動かしたリーダーの多くが、実は「躁鬱病」だった?

KEN:話を少し変え「理想のリーダー像」について聞かせてください。最近は、トランプ大統領・小池知事・習近平主席と、「世の中から求められるリーダー像が少しずつ変わってきている」印象があります。岩瀬さんが思う理想のリーダーの特徴はありますか?


岩瀬:引っ張っていくリーダーと調整型のリーダー、どちらもあり得ますよね。

最近読んだ本で面白かったのは世界を動かしたリーダーの多くが精神病だったという事実。躁鬱病です。チャーチル、ジョン・F・ケネディ、ガンジーも躁鬱だったらしいのです。

リーダー像が変わったのかはよく分かりませんが、最近の政治の分野でいうと、強いリーダーが求められているように思います。これは、世相を表しているのではないかと。例えば「現状に対する不満を変えてほしい」という思いが世の中に蔓延しているとか、不確実性が高くて不安だから強い人が欲しいというような思いです。ですので、今は「力強いリーダーシップ」が求められる時代なのかなと思ってます。

マンデラの右腕が語った、「彼は、羊飼いのようなリーダーだった」

KEN:調整型のリーダーが求められる時代もあるけど、今は引っ張っていくリーダーが求められているということですね。では、調整型のリーダーで印象に残っている方はいますか?


岩瀬:ネルソン・マンデラの例でしょうね。ハーバード留学時のリーダーシップの授業が印象に残っています。その授業では、いろいろなリーダーのケーススタディを読んで経営者に対する理解を深めました。

ある回では、ネルソン・マンデラの右腕で一緒に戦ったという人が講演しに来た。彼の言ったことがとても印象的で、マンデラは「羊飼いのようなリーダーだった」と。そのこころは、羊飼いは後ろを歩く。だからみんな導かれていることに気づいていない。でも静かに確実に導かれていると。

この話を聞き、リーダーシップというのは強いカリスマティックなイメージ以外にも、いろいろなスタイルがあるのだと学びましたね。

人を巻き込むコツは、「この人と一緒に時間を過ごしたいと思わせるか」

KEN:調整型のリーダーには「自然に人々を導く力が必要」ということですね。

続いては岩瀬さんご自身の「リーダー像」についてお聞きしたいです。友人から、「岩瀬さんは、人を巻き込むのがすごく上手」だと伺ったのですが、岩瀬さんが人を巻き込む際のポイントは何ですか。


岩瀬:むしろ、KENさんは何だと思います?


KEN:私はリーダーの仕事は行き着くところ、(1)魅力的なビジョンを掲げて、(2)それが到達できることをロジカルに示し、(3)人々を育てモチベートすること、だと思っています。


岩瀬:それもいいですね。僕は「何か一緒にやりたいと思わせる」とか、「やっぱりこの人と一緒に時間を過ごしたいと思わせること」が、とても大事だと思っています。

例えばよく「ビル・クリントンはすごい」といわれていますが、彼は目の前にいる人の話を聞くときに、ものすごくその人を見て「世界中でこの人には自分しかいない」と思わせるほど相手を注意深く引き込むといわれているんですね。それが魔法のレベルでできる人もいる。

僕は何だろう……普段から楽しそうに過ごしているいるつもりなので、周りの人が一緒にやりたいと思ってくれたり、とにかく人に興味があるところでしょうか。今日も、インタビューが始まる前にKENさんにたくさん質問をしてしまいましたが、普段からそうなのです。多くの場合、人は自分のことを好きな人は好きだと思うのです。ですので、相手に対して興味持つこと、これが秘訣なのかなと思います。

究極は「好み」。採用は学校の試験とは違う

KEN:「一緒に働きたいと思わせる力」、これは就職活動においても大事ですよね。仕事って行き着くところ「誰かに必要とされること」ですから。

岩瀬さんは上場企業の社長として面接も多くされていると思いますが、一緒に働きたいと思う人物の特徴ってありますか。


岩瀬:採用は学校の試験ではないので、絶対評価で数値化できるものではなく、好みだと僕は考えています。恋愛と一緒で誰が優れている、優れていないではなく、好きだから好きという感覚に近しい。

たしかに、どのような学生が採用市場で人気があるかを言語化して最大公約数のように出すこともできるでしょう。それでも採用における合格・不合格は別に優れている劣っているではないので、たとえ面接で不合格になっても落ち込む必要はありません。試験の不合格とは違います。この人、私のことタイプじゃなかったのね、くらいに思えばいいと思います。


KEN:なるほどと思う一方で、私が学生なら思うのは「岩瀬さん。そうは言っても人気のある人っていますよね」と。


岩瀬:それは就職活動とは別で、人として魅力的かどうかという話かもしれません。明るく元気で、自然体で、ある程度気が利いてコツコツ頑張れるかとか、そのような基本的なところかもしれませんね。

本当に好きで好きでたまらない仕事に出会える人って、本当に幸せだなと思う

KEN:次は岩瀬さんの著書の中にも書いてあった「ギリシャの釣り人の話」、つまり「天職」について教えてください。

私も大企業を2回辞めているのですが、辞めたときに「自分に合った仕事ってなんなんだろう?」と考えました。その時に友人から言われた印象的な一言があります。それは、天職は、「自分に死ぬほどお金があっても、それでもやりたい仕事なんじゃない?」と。確かにその視点は面白いなと思いました。

岩瀬さんが思う、天職、言い換えれば「膨大な富があったとして、それでもやりたいと思う仕事」って何ですか。


岩瀬:実は違う本で「ギリシャの釣り人の話」の続きも書いているのですが、そこに僕は「天職なんてない」と記しています。どういうことかというと、本当に好きで好きでたまらない仕事に出会えている人は、確かにたまにいますし、そのような人は本当に幸せだなと思います。

でも、ほとんどの人はそこまでではないと思うのです。同じ銀行員でも、銀行員が好きでたまらない人だったらその人にとっては天職ですが、そうでない人の場合は「仕事としてやっている」わけですよね。天職としてやってるわけではない。

世の中の99%は天職に出会えていない。でも「それでいいんだよ」って

KEN:つまり、今この瞬間において天職で働いている必要がないということですか?


岩瀬:はい。むしろ大事なのは「自分の知らないものに出会った時に臆せず踏み出してみること」だと思うのです。

要は、世の中の99%の人は天職に出会えていないので、それでもいいんだよということです。むしろ、天職を追い求めていろいろなことに失敗して、でもまた挑戦するというその過程が人生なのではと思うのです。だから、天職が見つからなくてもそれほど心配しなくていいのです。出会えていない人が多数派なのですから。

ただ、それは努力しないでいいということではありません。常に努力はすべきで、アクティブに行動したり、自分が普段いる心地よいところから少し飛び出していろいろなことに挑戦してみたりすることが必要です。自分の知らないものに出会った時に臆せず踏み出す。そういうことが大事かなと思います。

仕事は「誰とやるか」「自分にしかできないことか」「足跡を残せるか」で選ぶ

KEN:なるほど。では、仮に「天職なんて99%は見つからない」としますよね。でも、その99%の人は働かないといけない。そうするとなんらかの判断基準を持ってロジカルに仕事を決める必要があるわけですよね。どういう軸で仕事を選ぶべきだと考えますか?


岩瀬:3つあります。1つ目は「何をやるかよりも、誰とやるか」。いい仲間・尊敬できる仲間と一緒に仕事ができること。2つ目は「自分にしかできないことに挑戦していくこと」。最後は、「社会に自分の足跡を残せるか」。この3つが当てはまった仕事がいいと僕は思います。

僕にとってはライフネット生命がそうです。ライフネット生命は、会長の出口と2人で始めた会社です。戦後初めてゼロから生命保険会社をつくるという思いに、多くの仲間が賛同してくれて起業できました。生命保険という大きな非効率と大きな市場がある業界に、インターネットを用いて変化をもたらし、ひいてはそれが生活者皆さんの生活向上に還元されるようにしたい。ライフネット生命は上場していますし、これからもずっとあり続けるということから、ある種の世界観みたいなものを作りつつあると思っています。自分がいなくなった後も社会にずっと残る仕事ができるのは大きな誇りです。



ーー後編:「パワポで世界は変わらない」

後編では、岩瀬氏が「経営は4人麻雀と一緒」と語る経営論から「新卒選びは、大差はないが、『人格形成』に影響を与える」「就職試験は優越ではない」という就活に役立つ発言まで見所満載です。


ライフネット生命の最新の新卒採用情報はこちらをチェック


「WORLD5特集」の公開スケジュールライフネット生命社長 岩瀬大輔 
 ・99%の人は天職に出会えていない。でも、それでもいいと思う
 ・パワポで世界は変わらない。彼がハーバードを経て起業した理由宇宙飛行士 山崎直子 
 ・地球から「8分30秒」の職場。それが宇宙
 ・苦しい業務も、全てが楽しい。きっと、それが「天職」
Xiborg代表/義足エンジニア 遠藤謙
 ・「パラリンピックは人類の未来」
 ・最短距離で世界一になるため、根回しなど面倒なことは不要だ
国連出身・コペルニクCEO 中村俊裕 
 ・官最高峰の国連を経て、彼が「コペルニク」を創立した理由
 ・今、国連に入るってどうなんですか?就職先としての「国連のリアル」
投資銀行出身・ビズリーチCEO 南壮一郎 ・「世の中にインパクトを与える事業を創りたい」南氏の天職と理想のリーダー像に迫る ・自分のことを信じよう!就活生に贈るメッセージとは?世界経済フォーラム出身/コーディネター 長尾俊介
 ・「MBAで流行ってる業界には行かないこと」就活生へメッセージ
 ・僕らは多分、100歳まで働くことになる
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北野唯我(KEN)
取締役
北野唯我(KEN)

北野 唯我(きたの ゆいが):株式会社ワンキャリア 取締役CSO/作家
新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局勤務。米国・台湾留学後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画、現在取締役として戦略・採用・広報部門を統括。2021年10月、同社は東京証券取引所マザーズ市場に上場。作家としても活動し、30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が20万部、他に『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)などで、著者累計40万部。

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