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就活サイトトップ就活記事「伝説のベンチャー投資家」になれた理由、教えてください...

「伝説のベンチャー投資家」になれた理由、教えてください、渋澤さん【by - OWNER -】

インタビュー
2018年8月23日(木) | 67,747 views

「伝説のベンチャー投資家」と呼ばれる男がいる。見てきたベンチャー投資は2,000社超え。主担当としても40社のIPOやM&Aに携わってきた。


渋澤祥行(しぶさわよしゆき)氏。日本最大のベンチャーキャピタルJAFCOの常務取締役を務め、Asiaのヘッドだ。渋澤氏は、当時全く無名であったビズリーチ・南壮一郎氏の才覚を一瞬で見抜いたことでも有名だ。


・どういう学生が「起業家」に向いており、「投資家」に向いているのか

・直接金融の歴史から知る、「投資」と「出資」の違い

・今のベンチャーブームが、「バブル」ではない理由


など、「ベンチャービジネスの核心」に迫る特別インタビュー。普段、取材に出ない渋澤氏に挑むのは、ワンキャリア執行役員でベストセラー著者でもある、北野唯我。3時間にも及んだ、「シリーズ:激論」。


スタートアップ志向の学生に向けた、完全限定イベントOWNERで話される内容の一部を先行公開。お楽しみください。

「もしロジカルシンキングや、合理性の突き詰めで全ての答えが出せるのであれば、皆成功しますよ。北野さん」

渋澤祥行(しぶさわよしゆき):JAFCO Investment ( Asia Pacific ) Ltd CEO 兼(株)ジャフコ 常務取締役

株式会社ジャフコに入社以降、25年以上一貫して、ベンチャー・キャピタル投資に従事。数々の創業者・起業家と「共に歩む」出資スタイルで、40件以上のIPOやM&Aを経験。2012年以降はシンガポールを拠点として海外投資全般を管掌し、現在は、中国・台湾・インド・韓国・シンガポールといったアジア諸国におけるVC投資も担当。1992年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒


北野:早速ですが、日本とアジアを代表する「ベンチャーキャピタリスト」の渋澤さんに聞きたいです。ずばり、「ベンチャーキャピタリストの仕事の本質」とはなにか。その面白みを教えてください。


渋澤:前提としてあるのは、VCと普通の仕事の最大の違いは「相手の強さ」への考え方です。具体的には「相手が強い方が儲かる」のです。


北野:どういうことでしょう?


渋澤:一般的な交渉、とくに「折衝」みたいなシチュエーションを考えると、相手が手強くないほうが収益を上げやすいという考え方がありますよね。ポーカーで例えると、相手が弱い方が儲かる。うちの仕事は逆なんです。


北野:つまり、強い「ライオン」と戦った方が儲かると。たしかに、普通のビジネスは「情報のアービトラージ(非対称性)」を使って儲けることもおおい。その点、逆です。


渋澤:そうです、皆さん起業家の方は一部分では突き抜けているので、それは恐れもあるし、怖さもあるのですが、そういう人と仕事をしたほうがリターンが大きいというのは、根本的に他の仕事と違うところです。


北野:でも、これは「人」の側面ですよね。もう一つの「事業の面白み」についても教えてください。


渋澤:ベンチャーキャピタルの仕事は「アート」に近い側面があることです。経営は科学だとか、アートだとかいう考え方がありますよね。言い換えれば、7割は合理性でも3割はアンノウンな世界(分からない世界)だと。ベンチャービジネスも同じです。もしロジカルシンキングや、合理性の突き詰めで全ての答えが出せるのであれば、皆成功しますし、誰でもやっていますよね、世界中で。


北野:なるほど。つまり「論理を超えた面白さ」があると。

シリーズAや、シード投資は「バスキア」への投資にすぎない

渋澤:しかも「論理」は最終的にはAIに全て代替されるのでしょうから、そういう観点、分からない30%に挑むという意味で、アートに近い。


北野:アート。たとえるなら「何がバスキアになるか」は、事前には分かり切らないと。のっけから面白いです。


渋澤:あるベンチャーキャピタリストは、シリーズAやシード投資はアートにすぎない。だから取りあえず分からないから全部投資しておく、ということを言っていて。その人は、悪い意味で言っていますが、私の考えも一部だけ似ている部分があります。ですが、その中でも「絶対真理」を探していく。これがベンチャーキャピタリストの事業の面白みです。


北野:絶対真理……7割の論理を身につけた上で、3割のバスキアを見抜く「審美眼」を求め続ける存在こそ、真のベンチャーキャピタリストだと。

皆が良いと思うものはだいたいいいし、皆が悪いのも悪い。だが、意見が割れるものには「ビッグサクセス」がある

渋澤: ベンチャーキャピタルに限らず、金融は虚業だ、「事業とは違うんだ」という意見もあります。それは一面では私は正しいと思います。一方でベンチャーキャピタルという事業を突き詰めていくと、そこにはきちんとした事業としての本質があるのではないかと思って、その道を求道している感じです。


言い換えれば、アートも同じでしょうが、皆が良いと思うものはだいたい良いのですが、皆が悪いということもだいたい悪い。しかし、「意見が割れるところ」には、いわゆるビッグサクセスなり、突破口というものが存在している。


北野:なるほど。1つ気になるのは、それをいつ気づいたのか、です。

日本のマス大学で、4万人の学生の中で普通に生きていたらこの4万人に埋もれて終わる

北野:そもそも、22歳でベンチャーキャピタリストを目指すというのは、周りから見ると「変わったキャリア」ですよね。今でこそ僕も「論理を超えたベンチャーの面白さ」をしみじみ感じます。でも、渋澤さんが就活されていた1990年頃は、ベンチャーキャピタルなんて、世の中的には知られていないはずです。


渋澤:当時の友達には「ジャスコに行くの?」「ナムコに行くの?」とか言われました。


北野:(笑) そのなかで、なぜ、ベンチャーキャピタルというビジネスの面白さに気付けたのでしょうか。それが不思議です。


渋澤:町工場を経営していた父親の影響もありましたし、高校時代の男子校生活もあったと思いますが、決定的となったのは、大学に入ったときです。私は日本のマス大学に入りましたが、4万人の学生の中で普通に生きていたらこの4万人に埋もれて終わるのだろうな、という危機感がありました。


北野:渋澤さんは、早稲田大学をご卒業されています。


渋澤:どの大学でも、熱狂の新歓コンパとかありますよね、最初。あの4万人の熱狂に、わーっと盛り上がれる人もいるのでしょうけれど、このトランス状態に巻き込まれて自分を失うことが私は怖かった。だから、結果として、自分と向き合うことが多かったんですよね、昔から。


北野:つまり「普通に生きていたら、4万人に埋もれて終わる」という危機からきたと。現代でも、同じですね。

北野さんが博報堂を辞めたときは「何考えてんの?」と聞かれましたよね、「異端なわけ」ですよ 

渋澤:そうです、ただそれで終わりたくないですよね。私は起業した経験はないわけですが、起業家の方は、ある電撃が走ってやることを見つけて、事業をスタートする。最初は必ず「異端」なわけですよね。まさに北野さんが博報堂を辞めたときに「何考えてんの?」と周りの人に言われたでしょう。


北野:たくさん、言われました。


渋澤:つまり異端なわけですよね。ただいずれそれが社会に必要とされているものであるならば、最終的には社会的認知を受けて市場を席巻して、どんなサービスや材であったとしても、社会を支えるインフラのような存在になっていくので。でも最初は異端なんですよね。


北野:勇気付けられる言葉です。

現代ビジネス最前線では、VCは「選び、選ばれる立場」。優れた起業家には沢山のチョイスがある

北野:つまり、ベンチャー投資の世界というのは、起業家という「異端」と、ベンチャーキャピタリストという「異端」の二者が高度なレベルでバチバチやるイメージですね。


渋澤:そうです、ただ、我々が勘違いしてはいけないのは、現代ベンチャーキャピタル最前線においては、お互い「選び、選ばれ合う関係」なんですよね。


北野:……選び、選ばれる関係? 


渋澤:いわゆる、マネーの虎、つまり、投資家が事業家を前に並べて目利きして出資するみたいなほうが、受けは良いのですが、現実は逆です。普通、優れた事業プラン、優れた事業家は周りが放っておかないわけですから。


北野:しかし、となると、ベンチャーキャピタルにも「選ばれる資質」が必要ですよね。言い換えると、「良いVCとはなにか」へのアンサーです。

「投資」と「出資」は違う。本来は、中に入るから「イン」ベストであるべき

北野唯我(きたのゆいが):兵庫県出身。ワンキャリアの執行役員。著者。博報堂、ボストン コンサルティング グループを経て現職。TV番組のほか、日本経済新聞、東洋経済、プレジデントなどのビジネス誌で「職業人生の設計」の専門家としてコメントを寄せる。

初の著書『転職の思考法』(ダイヤモンド社)は発売2ヶ月で10万部突破のベストセラーになっている。


渋澤:そもそも、僕は「投資」ではなく「出資」と言うようにしています。「投資」と言うと投げっぱなしというイメージがありますから。インベストというのは、英語だとIn-Vestなんですよね。中の当事者なんです。特にベンチャーキャピタルは、上場しているパブリックシェアへの投資ではありませんから、いつでも買って売れるものではありません。


北野:わかりやすいです。


渋澤:本来の「出資(Invest)」は、取ったリスク、出した知恵、かいた汗、このいわゆる事業創造における貢献度によって、将来の価値をプロフィットシェアする比率を決めているわけです。一方で「投資」の考え方は、出資をするときの条件によって、どっちが得か損か、と判断する。もっと狭義の意味です。


北野:なるほど。「出資」と「投資」はレベニューシェアに対するスタンスが違うと。


渋澤:これは日本のVC産業の歴史を見れば分かるのですが、日本のVC業界というのもいろいろな変遷を経て今に至るわけですが、元々は間接金融、銀行借り入れしかなかったのが、日本の事業家にとっての企業金融だったんです。そこに直接金融の道を切り拓いてきたのが、日本のVC業界です。

最初はアメリカの見よう見まねでした。だから銀行の融資と日本のVCの投資というのは大差ない、という課題をずっと抱えてきたわけです。その名残があるのかもしれません。


北野:つまり、日本のVCは「融資→投資→出資(Invest)」と段階的に進化している過程にある。

リーズナブルなプライスで出資をしたら、投資家が勝ちで、大株主の創業者の負け、という話ではない

北野:もう少し丁寧にいうと、レベルの低いベンチャーキャピタルの投資は、実質的には「融資」に近い。金だけ出して、レベニューをとる。でも本来のベンチャーキャピタルとは、中まで入った「In-Vest(出資)」であり、そこには出した知恵もリスクも汗も入っている。こういうことですね。


渋澤:そうです、だからいわゆるリーズナブルなプライスで出資をしたら、投資家が勝ちで、元々の株主でもある大株主の創業者の負け、という話ではないんですよ。それでVCの事業が終わりだとしたら、たいした仕事ではないですよね。


そこが終わりではなくて始まりなわけなので、出資者に裏打ちされた我々のファンドからの資金が、その事業なり会社の一部になっているわけで。それで共にどうやってパイを大きくするのか、最終的に先ほどの3要素(取ったリスク、出した知恵、かいた汗)で分け合うと。本来それに見合う貢献がなかったら、このビジネスは長続きしないですよね。


北野:今、渋澤さんとお話させていただいていて、本質的には人間に対する理解というか、人間に対する洞察力みたいなものが一番ベンチャーキャピタリストとして重要なのではないかなと感じたのですが、それはどうですか? 


渋澤:その通りです。普段、私はベンチャーキャピタリストに求められる資質は、3つあるといっています。それは「知的好奇心」、「理解力」、「揺れない投資哲学」です。

普通の人が見過ごす日常の中に何か勝機、勝算、突破口を見いだせる人は、VCに向いている

北野:1つ目の「知的好奇心」について教えてください。


渋澤:最初に必要なのは、知的好奇心、探究心というところでしょうね、まず第一に、普通の人が素通りしてしまう日常の一場面の中に、何か勝機、勝算、突破口があるのではないか、それを考えることが、ベンチャービジネスの始まりですから。


北野:2つ目の理解力とは?


渋澤:事業を理解する、話を理解する、相手を理解するという意味です。そのために反面であるのが、「己を知っている」ということでしょう。己を知らないと、相手や事業は知れませんよ。3つ目、つまり、ベンチャーキャピタリストにとって最も必要なものは何かと問われたら、揺れない投資哲学だと思います。


北野:「揺れない投資哲学」が、一番重要……?

常に孤独感を味わいますよね、ベンチャーキャピタリストも

渋澤:結局ですよ、VCは起業家の方から聞いた話に対して共感して、結果的に自分でも将来シナリオを描くわけです。ただし、出資をするときも、出資をした後も、ベンチャーにおいてはいろいろなことが起きるので、ぶれてしまうんですよね。揺れない投資哲学がないと。だいたい出資に失敗したケースというのは、VC側もぶれてしまうからなんですよね。


北野:「信念」と同じですね。我々スタートアップを作っている側にも、必要とされるものです。


渋澤:まさにその通りです。結局先ほど言ったとおり、異端の中で勝負するわけですから、そりゃあ孤独ですよね、VCも。同じですよ。いろいろな人に言ったら、こんなのうまくいかないよとか、何考えてるのとか、他の人と違うじゃんと言われるわけですから、常識外れだと。

もちろん、それを最も味わうのはプロジェクトリーダーでもあるその事業のCEOなわけですが。


北野:だから、ベンチャーキャピタリストにも「揺れない哲学」が必要だと。

2000年、2006年、2012年。三回目のベンチャーブームは、「バブルではない」

北野:ここまでやや普遍的な話を聞いてきましたが。次は「タイミング」について聞かせてください。外から見ていると、今、マザーズが盛り上がり、かつてはなかった「M&Aによる事業のイグジット」や、delyへのヤフーの大型資本参加のように、ベンチャーと大企業が組んでさらなる高みを目指すような動きも、普通になってきた。盛り上がっているように見えます。つまり、起業家にとって「市場は好転しているのか」。それについて伺いたいです。


渋澤:私見ですが、今のベンチャーブームは、かつてないほどレベルが高くなってきたと感じます。他にもチョイスがあるような人物がベンチャーを創業し、ベンチャーに就職している。まさに北野さんもそうですよね。私が入社してから見てきた3回のベンチャーブームのなかでも、最も「実が伴っている」と感じます。


北野:ちなみに、これまで3回もベンチャーブームがあったんですか?


渋澤:ベンチャーブームでいうと、私が入社してからだと、やはり2000年のネットバブルというところですよね、1つは。あと2006年頃にもう1回あったということですね。ネットバブルではないけれど、ミニバブルみたいなことです。ライブドアショックが起きる前までですが。


北野:確かに2000年の頃、いわゆる「ネットという単語」が付くだけでバリュエーションがぶわっと上がる時代。2006年のときは、まさにライブドアが株式分割しまくってあげますみたいな、ちょっと金融のルールがまだ追いついていないというか、隙間を狙ったような印象がありました。


渋澤:そうですね。


北野:でも、今回は違う、と?


渋澤:そうです、ただし、あくまで僕の中で言えばですが。

※JAFCO×ワンキャリアで、スタートアップ志望の学生向けイベントが開催される。その名は「OWNER」。ここでは、投資・経営戦略・起業の3点からみた「ビジネス拡大」の方法論を徹底議論する。小数限定の【一般公募枠(選考あり)】はこちらから。


メルカリの出現により、ベンチャーキャピタルは「拡大再生産」フェーズに入る

渋澤:まず、既に最長です。2012年以降から続いている。そして繰り返しですが、他にもチョイスがあるような人がベンチャーを創業し、ベンチャーに就職しているわけです。その傾向は非常に顕著に表れています。その背景にはやはりモバイル、ソーシャル革命があり、加えて、AWSに代表されるように起業の「インフラコスト」が下がってきていることがあります。


北野:そうなると、これから、「ベンチャーキャピタル産業」は、成長期に入る、こう感じますが。


渋澤:これまでの日本のVCは、アメリカと比べて正直、儲かっていなかった。たとえば、アメリカでいうとGoogleに投資していた人はもうすでに莫大なキャピタルゲインを手にしていて、新しいベンチャー事業に再投資しているわけですよ。日本でいうと、今回メルカリでリターンを上げた投資家の人は、また次のところに行けるじゃないですか。成功体験と収益を元に。そういう拡大再生産に入れるわけです。


北野:なるほど。つまり、メルカリの出現により、ベンチャーキャピタルは「拡大再生産」フェーズに入ったと。


渋澤:結局ベンチャーキャピタルとして生き残る秘訣の1つが、「環境が良いときも悪いときも継続して投資を続ける」ということなんです。でもこれが難しい。なぜなら、人間は良くなるとイケイケになって、悪くなると下を向いてしまう。


いわゆる逆張りということですよね。ではそれを克服するためにはどうしたらいいかというと、良いときも悪いときも投資を止めないということです。だから、揺れない投資哲学が必要なんですよ。


北野:なるほど。総括すると、今、「ベンチャーキャピタルは、拡大再生産に入れるフェーズに入った。おい、みんな、金は余ってるぞ」と。

では、もしも足りないものがあるとしたら、それは起業家や事業のほうだ、という構造になりませんか?

お金は世界中で有り余っている。足りないのは「リーダーシップ」

渋澤:その通りで、現実の世界というのは、お金は世界中で有り余っているわけです。私はいつも、「リーダーシップと新しいアイディア、小なり、マネー、大なりである」と表現しています。式で書くとこうです。


  リーダーシップ・新しいアイディア << マネー


北野:なるほど。僕がベンチャービジネスに身を置く者としていつも感じるのは、日本から「1兆ドルのIT企業(apple、Amazonなど)は生まれるのか」っていうことなんです。仮にすごくリーダーシップがある起業家がいたとして、彼がビジネスをしたいとする。でも、事業によっては「1兆ドル」にそもそも届かないドメインもありますよね。


渋澤:仮に「1兆ドル事業」をつくろうとすると、重要なのは「事業の普遍性」です。


北野:事業の普遍性?


渋澤:はい、たとえばディズニーが世界を制したというのは、物語の中にある要素が、親子だったり兄弟愛だったり、世界共通の普遍性を持つことが大きいですよね。事業の選択をきちんとしないと、1兆ドル企業になるというのは難しいと思います。


北野:それこそ、例えばM3とかってプラットフォーム自体は世界共通で、情報は現地の医師からの情報で、外から見ている限りは国境を越えてうまくいっているように見えたりするのですが。


渋澤:M3のビジネスモデルは秀逸の極みです。または、メルカリなどは、要はCtoCという、人と人とのビジネスなので、企業対人ではないですよね。Facebookもなぜ世界でこんなに流行ったのか、それはCtoCでみんなエンゲージメントしたいということだったので、それは普遍性があったからでしょう。


北野:面白いです。たしかに、CtoCだと自然に「その国の普遍性」にリーチしやすい。では、「組織」の面で1兆ドル企業を作る際に重要なことはありますか。

グローバルな視点を持った経営陣:必要なのは「マルチカントリーオペレーション」

渋澤:一番重要なのは、グローバルな視点を持った経営陣ですよね。日本流を押しつけるのはNGでしょう。我々もマルチカントリーオペレーションというのをやっていますが、全く違う文化に対してのリスペクトとアライメント、それと企業としてのコーポレートディシプリンみたいなものを両立させる必要があります。


北野:グローバルな視点を持った経営陣でいうと、ユーザベースとかもそうですよね。


渋澤:そうですね、ユーザベースにもグローバルな視点をもった経営者がいますよね。だから「日本と海外という分け方」を彼らもしていないと思うのですが、そういう言葉自体がちょっとクエスチョンですね。たとえば、外国人は騙すからとか言っていたら相手も信用するわけないですから。


俺は信じるけれど騙したら許さないぞ、というふうにまず、信じるのは重要ですよ。もちろん、経済合理性、具体的にはサラリーとかも必要ですよね。


北野:なるほど。(1)国を超えた、お互いへのリスペクトと、(2)経済合理性の二つが必要だと。


渋澤:あと、実は組織でミューチュアルリスペクトを保つ上で重要なのは「事業への共感」ですね。国をまたいでこの事業って面白いよね、将来大きくなるよね、みたいな。給料や、社長が好きだとか、尊敬してるとかだけではなくて、この事業って良いよねという「事業への共感」は必要です。メルカリにあれだけの経営陣が集まったのは、そういうことですよね。


北野:メルカリは、元起業家の人が山ほどいます。


渋澤:元起業家の人というのは、普通はまた起業するか、エンジェル投資家になる。その中で彼らは、わかりやすく言えば、もう1回サラリーマンをやっているわけですから。


それがなぜかというと、やはりあの事業に皆未来を感じたからですよね。それは海外に出て行くときでも、海外のメンバーを最後引きつけるものというのは、この事業って面白いね、ということですよね。未来を感じるね、みたいな、そこに自分も関わりたいねと。


こういうのは国籍も言葉も人種も関係ないんですよね。したがって、1兆ドル企業を作るには、「事業の選択」がものすごく重要だと僕は思います。

究極的にはCなんちゃらとつくのは、全部一緒。CFOもCEOもCOOも、「ABCD」が違うだけ 

渋澤:僕は究極的にはCなんちゃらとつくのは、全部一緒だと思っています。CEOもCFOも、COOも、ABCDが変わっているだけで、本来は一緒なんですよね。


北野:……そのこころは?


渋澤:ABCDが違うだけで、根幹のものは一緒なんです、経営の一員なわけなので。例えばよく会議で「社長がそう言うなら仰せの通りに」みたいな話がありますが、それではしょうがないですよね。経営の一員なんですから。


そういう者同士で議論をしているからこそ、その中で新しいアイディアが生まれ、同じ方向に進むにしてもよりシャープになります。当初はそういうメンバーが足りないときに、ベンチャーキャピタルの人間がその役割を果たせるというのが理想なのですが、これにはベンチャーキャピタリストにも精進が必要ですよね。


ただのモニタリングだけして揚げ足取っていればいいというものではありませんから。本来ガバナンスなんていうものは、そこに座っているだけで効くくらいではないとおかしいですからね。


北野:格言ですね。

「この国の未来を一緒に創る学生と、OWNERで会いたい」:本当に優秀な人をずっと一緒に働いていて騙し続けることはできない

北野:さて、そろそろこの対談を終わりますが、今回の企画、OWNERは、スタートアップ志向の学生へのイベントです。具体的には

「10人以下規模のスタートアップがいいんですけど、いいスタートアップ知りませんか?」「新卒で起業すべきか、スタートアップで修行積んでから起業したほうがいいですか?」「新卒でVCはどうですか?」という声に全方位的に、答える完全招待制イベントです。

僕も登壇し、渋澤さんにもご登壇いただきます。なにかコメントはありますか?


渋澤:私は古い人間なので、昔は、人間16歳で元服していたわけじゃないですか。だから20歳過ぎた人間がスタートアップに行きたいなら、やればいいじゃんとしか、僕は思わないです(笑) やめたほうがいいよとか言うつもりはないですし、やってみなきゃ分からないし、やってみたらいいじゃんと。


北野:……(笑) ちなみに、僕がいつも言っているのは「スタートアップはNo.2〜5まで見た方がいいよ」ってことです。言い方悪くいうと、ベンチャーの経営者って、学生を2時間の面接で騙すなんてチョロい、誰でもできると。それぐらいできないと何もないところから人も金も集められませんから。


けれど、そんなNo.1でも本当に優秀な人をずっと一緒に働いていて騙し続けることはできないから、ナンバー2とか、周りにいる優秀な社員が、社長の見るビジョンとかを信じているかどうか、そちらのほうが重要ですよ、と。これはどう思いますか?


渋澤:確かにそうですね。私たちも、海外での出資や、違う文化の中で出資する際は、No.2以下にも積極的にインタビューしたりしますからね。


北野:当日のイベントでは、まさに「ベンチャービジネスの見極め方」「起業と投資の真髄」を、深堀していきたいと思います。ぜひ、この国の未来を一緒に創れる人と会いたいですね。

学歴とは、手にしたいものを得るためのカード

北野:最後に渋澤さんより、20万人の学生にメッセージをお願いします。


渋澤:やはり人生って全て選択の連続なんですよね。好きな事業を選択するために学歴が必要なら取らなくてはいけないし。だから好きなことをやりたいと言うと、なんだかあまちゃんみたいに取られるんですが、好きなことをするというのは、実はものすごい努力が必要です。


学生のみなさんには、好きなことをやってほしい。好きなことはやるには信用がなければできないし、実力がなければできない。すなわち、努力と準備を怠ればあなたのチョイスはない。ということですよね。


北野:「学歴とは、手にしたいものを得るためのカードだ」と。ありがとうございました。イベントOWNERでも、白熱した議論をさせてください。

OWNER、完全招待制イベント!

このイベントでは、投資・経営戦略・起業の3点からみた「ビジネス拡大」の方法論を徹底解説します。スタートアップ志望の学生のみを対象にした、ワンキャリア限定の「完全招待制イベント」です。小数限定の【一般公募枠(選考あり)】はこちらから。


一流たちが激論を交わす 〜北野唯我 インタビュー「シリーズ:激論」〜

・フリークアウト・ホールディングス取締役 佐藤裕介氏
・KOS代表取締役 菅本裕子氏(ゆうこす):前編/後編
・JAFCO Investment (Asia Pacific) Ltd CEO 兼 (株)ジャフコ 常務取締役 渋澤祥行氏
・アトラエ代表取締役 新居佳英氏
・リンクアンドモチべーション取締役 麻野耕司氏:前編/後編
・ヴォーカーズCEO 増井慎二郎氏
・元楽天副社長 本城慎之介氏
・東京大学名誉教授 早野龍五氏:前編/後編
・陸上競技メダリスト 為末大氏:前編/後編
・元Google米国副社長 村上憲郎氏:前編/後編
・ジャーナリスト 田原総一朗氏
・サイバーエージェント取締役 曽山哲人氏
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北野唯我(KEN)
取締役
北野唯我(KEN)

北野 唯我(きたの ゆいが):株式会社ワンキャリア 取締役CSO/作家
新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局勤務。米国・台湾留学後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画、現在取締役として戦略・採用・広報部門を統括。2021年10月、同社は東京証券取引所マザーズ市場に上場。作家としても活動し、30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が20万部、他に『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)などで、著者累計40万部。

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