名だたる外資系・日系の超人気企業。その内定者が、どのような一年を過ごし、どんな企業を受けていたのかを探る『トップ就活生レポート』。
今回は採用数が多く、毎年多くの学生が志望する金融業界(メガバンク、地銀、信託、保険、政府系金融)に内定した2019年卒のトップ就活生レポートをもとに、「金融強者」の勝ちパターンをご紹介します。
【目次】
・金融強者の就活の進め方、軸は?
└【最も重視していた要素】「ネームバリュー」「得ることのできるスキル」「企業の安定性」
└【やっておいてよかったこと】「積極的なインターンや説明会への参加・OB/OG訪問」
└【やっておけばよかったこと】「3年生の夏から動き出すこと」「WEBテスト対策、GD対策」
・ズバリ! 内定獲得の秘訣とは?
・金融業界内定者はいつ、何を対策していた?
金融強者の就活の進め方・軸は?
【最も重視していた要素】転職志向は「得ることのできるスキル」、長期志向は「企業の安定性」
金融業界に内定した就活生は、転職志向の人と長期的に働くことを志向している人の大きな2つの軸に分かれました。
転職志向の人は前職の企業としての「ネームバリュー」や、どの企業でも必要となる「お金」に関する知識を得たいなど「得ることのできるスキル」を軸として就活している人がいました。一方、長期的に働くことを志向している人は、女性を中心として結婚・出産といったライフイベントを経た後でも働ける「企業の安定性」・「福利厚生の充実度」などを軸としていました。
・転職を志向
「ネームバリュー」
これからの時代転職が当たり前になると思い、転職しやすいように新卒入社先はネームバリューを重視しました。
【一橋大学Dさん:みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ信託銀行内定】
「得ることのできるスキル・経験」
具体的な将来の夢や目標が定まってはいない現状況で、将来自分がどんな業界に携わることになっても必要となる「お金」という分野において知識・経験を得たかったからです。
【法政大学Aさん:野村證券、SMBC日興証券、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ内定】
「得ることのできるスキル・経験」
これから先どのように時代が変わるか分からないこと、そして女性は働き方が多様なので、どうなっても仕事で困らないよう、自分に専門性をつけたいと思っていたからです。
【日本大学Bさん:三菱UFJ信託銀行、千葉銀行、NECフィールディング内定】
・長期的に働くことを志向
「自分の価値観と企業の方針の親和性」
自分のやりたい仕事でないと長くは続かないでしょうし、転職するつもりはなしで就活していたからです。
【中央大学Cさん:三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、三菱UFJニコス内定】
「企業の安定性」
入社してから今後女性としてさまざまなライフイベントがあっても、安心して長く勤められる環境が欲しいと思っていたからです。
【明治学院大学Aさん:日本生命、第一生命、損保ジャパン日本興亜内定】
「福利厚生の充実度」
結婚出産を経た後も長く働きたいと思ったからです。
【青山学院大学Aさん:三井住友信託銀行、あいおいニッセイ同和損害保険、住友生命保険内定】
【やっておいてよかったこと】「積極的なインターンや説明会への参加・OB/OG訪問」
金融業界に内定した就活生は、積極的にインターンや説明会への参加・OB/OG訪問を行っていました。
金融業界においてイベントやOB/OG訪問を積極的に行うメリットは大きく2点あり、「企業への志望度を示すファクトをつくることが出来る」・「リクルーターがつくなど選考優遇が存在する」ことです。
・「企業への志望度を示すファクトをつくることが出来る」
メガバンクでは「受ける就活生が多く、絞りこみを激しくする必要がある」「就活生が横並びで同業他社を受けている」といった特徴があり、内定獲得には圧倒的な志望度の高さを示す必要があります(みずほフィナンシャルグループの合格の秘訣より)。「面接で『説明会に1度も参加していないみたいだけど』と社員に言われた」という三菱UFJ銀行の内定者情報もあるように、イベントへの参加はみられていると考えられ、内定獲得に欠かせない「志望度の高さ」を示す客観的な根拠を作るのにも、説明会などのイベントに参加することが効果的だったといえます(三菱UFJ銀行の合格の秘訣より)。損保や生保などでも同じく、受ける学生が他の保険会社や金融機関を志望していることが多く、第一志望であることを説得力を持って話せるようにしておく必要があります。
・「リクルーターがつくなど選考優遇が存在する」
金融業界の企業ではインターンを通じてリクルーターがつく(みずほフィナンシャルグループの合格の秘訣より)、早期選考が行われる(損保ジャパン日本興亜のインターンより)などさまざまな形で選考優遇があります。
「3月から多くの会社説明会に行ったこと」
「足を使った就活」を意識し、興味のない企業の会社説明会にも積極的に参加しました。3〜4月は毎日3、4件参加しました。
→直接社員と話すことで、足を運ばないと感じることのできない「同業他社」の違いを肌で感じることができました。このことは面接で自信を持って発言するために必要だと感じました。
【明治大学Bさん:横浜銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、 三井住友海上火災保険内定】
「3年生の頃からOB/OG訪問や社会人との交流会へ頻繁に参加したこと」
社会人とフランクに話しができる機会が持てたので、大人と話すということに抵抗を感じなくなりました。また、業界動向や働くということについて現場の声を聞けて、仕事のイメージができました。
【一橋大学Dさん:みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ信託銀行内定】
「3年の秋〜冬に、毎月インターンに参加したこと」
私は、大学3年生の11月から2月まで業界を絞り、比較的事業規模の大きい会社のインターンに毎月参加するようにしていました。
→「本格的な就職活動の前にインターンに参加し続けることで、本社などに行くことが多くなり就職活動へのモチベーションを保つことにつながりました」
→「その会社を受けに来る就活生のボリューム層が把握できる」
【日本大学Bさん:三菱UFJ信託銀行、千葉銀行、NECフィールディング内定】
【やっておけばよかったこと】「3年生の夏から動き出すこと」「WEBテスト対策、GD対策」
「3年生の夏くらいから動き出すこと」
3年の秋頃からインターンに参加し始め、さまざまな業界を見られたと自分では思っていましたが、就活を終えると、早くから長期インターンに行っている人の方がうまくいっていたイメージがあったからです。
就職活動が解禁されてから見始めた業界に興味を持っても、ほとんどインターンからの内定だったため、選考フローの時点で不利になりました。1Dayのインターンでも、夏くらいから参加しておけば良かったと再度思いました。
【立教大学Cさん:横浜銀行、NTTファイナンス内定】
「3年次から業界研究や企業研究を進めること」
私は4年の3月1日から就活を始めたので、周りより出遅れてしまいました。3月1日に情報が解禁される前に業界研究をしておくべきでした。
例えば、私は(1)業界を絞れておらず、(2)業界ごとの企業シェアも分かっていなかったため、どこの説明会に参加すべきか分からず出遅れてしまいました。3月1日の情報開示後は、人気企業から順に説明会がすぐ埋まってしまうため、どの企業にプレエントリーするかをリストアップするくらいはしておかないといけません。
【明治大学Bさん:横浜銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、 三井住友海上火災保険内定】
「早めにWEBテストの対策をすること」
就活解禁ぎりぎりまで、全然勉強をしていませんでした。忙しくなり始めてから慌てて勉強して、かなりハードでした。
セミナーに毎日参加したり、ESを書いたりと、2〜3月はかなり忙しいですが、その間にWEBテストの勉強をしなければならず、かなり大変でした。また、あまり勉強していなかったこともあって自信があまりなく、不安な気持ちになることが多かったです。
【学習院女子大学Aさん:住友生命保険内定】
「グループディスカッションの対策をすること」
対策を全くしていなかったので、面接まで進めない企業もありました。今思えば、大学のキャリアセンターの講座を利用して対策すればよかったと思います。
SPIとESがいくら完璧に仕上がっていたとしても、グループディスカッションを選考としている企業を受ける場合はその段階で大多数の人を落とす(8人のグループで1人しか通らないなど)こともあるので、苦労しました。
【立教大学Bさん:日本銀行、大和総研内定】
ズバリ! 内定獲得の秘訣とは?
「端的に質問に答えること」などの業界でも共通して重要とされる点に加えて、面接で「うそをつかないこと」が金融業界の内定獲得に有効なようです。
「メインの業務となる融資の営業では、お客様との信頼関係次第で、提案の質が大きく変わる(みずほフィナンシャルグループの合格の秘訣より)」、「既存顧客と良好な信頼関係を築ける能力を学生に求めている(東京海上日動火災保険の合格の秘訣より)」など、金融業界は他の業界以上に「信頼」という要素を重視している業界だと言えます。だからこそ、うそをつかず素直に面接に臨んでいると面接官に感じさせた学生が評価されているようです。
「自分を飾らずに、素直に自分はこんな人間だということが面接官に伝わるような面接」
もともと人と話すことが好きなので、笑顔でリラックスしながら自分のことについて面接官に伝えることができました。それほど緊張しなかったため、話すのが上手だと言われたり、普段の自分の姿も相手に想像させることができたと思います。
【明治学院大学Aさん:日本生命、第一生命、損保ジャパン日本興亜内定】
「面接で目を合わせる・うそをつかないこと」
面接では、面接官の目をまっすぐ見て話し、うそは絶対につかないようにしました。分からないことがあったら正直に「そこまで研究していませんでした」と言います。ですがその時に自信なさげに目をそらすことがないように気を付けました。それで落ちた企業もありますが、それでも「ありのままの自分を見て内定をいただけた」という満足度の高い就活ができました。
【明治大学Bさん:横浜銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、 三井住友海上火災保険内定】
「うそをつかないようにしたこと」
面接中は、相手の目を見ながら聞かれたことには端的に答え、数字など具体的な数値を使うときもうそをつかず、自分が頑張ってきたことや過程についてよく聞いてもらえるようにしました。
【立教大学Cさん:横浜銀行、NTTファイナンス内定】
「面接では飾らずに話すようにしたこと」
面接でどのような質問をされても返せるように、全て正直に話しました。1時間の面接が4回行われた企業もあったので、そのような面接でうそをついたらばれると考え、全て正直に話すようにしました。その結果、内定先の最終面接では「あなたは自分を飾らないで正直に話してくれるから、面接をしていてとても楽しかった」と面接官に言っていただけました。そのような態度が内定につながったのだと思います。
【上智大学Dさん:日本政策投資銀行、住友商事内定】
金融業界内定者はいつ、何を対策してた?
金融業界内定に欠かせないのが業界研究や企業研究。インターンシップ参加やOB/OG訪問、説明会参加などを通じて同業他社や他業界との違いを肌で感じましょう。
トップ就活生レポートで見事金融業界の内定を勝ち取った人の中には、3年の12月からOB/OG訪問を始めている人や、3年生の夏からしっかりとインターンシップに参加している人が多く見られました。
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まとめ
いかがだったでしょうか。
ここで紹介した勝ちパターンや先輩の反省点を生かして、ぜひあなたも「金融強者」になりましょう!
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(Photo:matrioshka/Shutterstock.com)