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      就活サイトトップ就活記事キャリアを考えるビビリの僕が、双日を辞めて起業するまで。自分の「プライ...

      ビビリの僕が、双日を辞めて起業するまで。自分の「プライド」を崩し続けた3年間

      起業 企業理解 商社 大企業 日系 インタビュー
      2020年2月14日(金) | 31,678 views

      総合商社は起業への近道──。

      幅広い商材に出会え、事業投資にも関われるため、経営に近い経験が積めるということで、起業志望の学生に総合商社を勧める話は少なくない。

      しかし、本当に起業の準備として、総合商社に新卒入社するのは有効なのだろうか。

      「本当に起業したいなら、一番近い環境を選んだ方がいい。ベンチャーに行く方がいい。でも、僕の場合は人からベンチャーを勧められても商社に入ったと思います。リスクを取らないビビリな性格なので」


      こう話すのは、双日に新卒入社し、25歳で起業をした辰巳衛さんだ。起業をしたいとは思い続けていたものの、自分だけでは商社を飛び出す勇気はなかった、と振り返る。

      そんな辰巳さんは、なぜ起業に踏み切れたのか。話を聞くうちに浮かび上がってきたのは「プライド」というキーワードだった。

      辰巳 衛(たつみ まもる):2015年、新卒で双日入社。リスク管理企画に配属。その後、営業部門に配属され、国内外の空港M&Aを経験。2017年、24歳で米国公認会計士試験合格。2018年に秋山祐太朗氏とともに、25歳で株式会社Leretto(リリット、現:カンリー)を起業。Twitterではビジネスマンインフルエンサーとしても活躍中。
      Twitter:@maamorun

      商社時代に悩んだ「店選び」の経験が、起業のアイデアに

      ──本日はよろしくお願いします。今回のシリーズ企画を思いついた時に、まず話題になったのが辰巳さんが作成した、商社版のカオスマップでした。Twitterアカウントでは、商社を目指す就活生のフォロワーも多いと思いますが、いかがでしょうか。


      辰巳:毎日何通かDMをもらっていて、基本的に全て返しています。商社志望の人もいれば、私が現在、共同経営しているLeretto(現:カンリー)でのインターン志望や、起業をしたいという学生もいるんですよ。

      辰巳さんが2019年11月に公開した「商社マン カオスマップ」


      ──Lerettoでは、どのようなビジネスを展開されているんですか?


      辰巳:ビジネスパーソンから最も信頼される店選びのインフラを作ることを目指し、2019年12月に会員制グルメ予約サービス「Leretto(リリット)」をリリースしました。

      僕自身、商社時代に大統領の接待アレンジをしたり、飲み会の幹事をたくさんやったりして、店選びに苦労した経験がたくさんありました。共同経営者の秋山も元銀行員で、同じような経験を持っていたことが事業のアイデアになっています。

      ユーザー登録は完全審査制で、掲載店からは初期費用や成果費用などは一切いただきません。また他のグルメポータルサイトよりも安い、最低価格保証をうたっています。僕たちが調べた中では、今まで他にはないビジネスモデルです。


      ──私自身、幹事で苦労した経験があるので確かにありがたいサービスです。商社はやはり飲み会が多いというわけですか。


      辰巳:僕のいた部署は想像よりも少なかったですね。ただ、1年目で寮に入るときに、そこの広間で先輩と飲む同僚は結構いたかもしれません。あとはモノを買って売る、昔ながらのビジネスをしている部署は、週5で飲みに行くというのは聞いたことがあります。

      起業のための「商社志望」、起業失敗時のリスクヘッジも見据えていた

      ──ありがとうございます。ここからは、辰巳さんの就活のお話を聞いていきたいのですが、そもそも商社志望で就活をされたのでしょうか?


      辰巳:そうですね。練習として他業界も少しは受けましたが、ほぼ商社に絞っていました。


      ──商社に絞った理由は何ですか?


      辰巳:僕の叔母の父が、昔、総合商社の役員だったこともあり、商社の仕事には興味を持っていました。また、いずれは起業したいという思いがあり、起業前にどこで社会人経験を積むかを考えた結果、商社が一番いいと考えました。

      経営知識が学べ、グローバルでビジネスをする経験もできるし、箔(はく)もつきます。万一、起業に失敗したとしても、商社勤務の経験があれば、その後のキャリアでリスクヘッジができると思ったのです。


      ──なるほど、ある意味「守り」の意味もあったというわけですね。辰巳さんは、最終的に双日を選ばれていますが、他の商社も受けられましたか?


      辰巳:はい。総合商社は全て受けました。双日ともう一つの2社に内定し、双日を選びました。

      「世界から、すげーーーって言われたい」で認めてくれたのは、双日だけ

      ──双日を選んだ決め手はなんだったのでしょう。


      辰巳:ちょっと話すと長くなってしまうのですが……。当時、通っていた就活塾にいたカリスマ講師の勧めもあって、当初自分で考えていた志望動機を変えて、第一志望だった総合商社の選考に挑みました。そしたら、なんと全然刺さらなくて。


      ──それって、どんな内容なんですか?


      辰巳:「世界から、すげーーーって言われたい」と。信じられないかもしれませんが、面接で本当に「すげーーー」と言ってたんですよ(笑)。そしたら、面接官に「君、承認欲求の塊なの?」と言われて、一次面接で落ちました。以降、この志望動機で違う総合商社の面接にも挑んだのですが、ことごとく落とされ……。あのときは本当に焦りましたね。


      ──内定をもらった2社は、これで通ったということですか!


      辰巳:いえ、反省してもう1つの内定をもらった商社では、変更前の志望動機だった「世界から必要とされる人材になりたい」と説明しました。

      もともと、幼少期に周りからあまり必要とされていないと感じていた、という僕の原体験があって、誰かから必要とされることが自分のモチベーションにつながっているという自己分析がありました。その上で「何事も挑戦して、泥臭く動き、結果まで出すことが、必要とされるためのレシピです」とアピールしました。


      ──なるほど。僭越(せんえつ)ながら、その方が通りそうな気がしました……。ということは、双日でもそれで通ったということですね。


      辰巳:いや、それが違うんですよ(笑)。そこで内定をもらったこともあり、双日では思い切って「世界からすげーーーって言われたい」に戻しました。


      ──ええ!? せっかく通ったのに、また戻しちゃったんですか?


      辰巳:そうなんです。なぜそうしたのかは、あまり思い出せないところがあるのですけれど……。そしたら、面接官に「君、面白いね!」と言われて内定をもらったので、僕も面白い会社だなと思って、双日を選んだというわけです。

      3年目からは「鬼のように働いた」。それでも折れなかったのは、起業の志があったから

      ──それはすごい。度量の広さを感じました。新卒で入社してからは、どのような仕事をしていましたか?


      辰巳:まず配属されたのが、コーポレートのリスク管理企画部です。3年目から航空産業・交通プロジェクト本部で営業を担当し、4年目の7月末に退職しました。僕の知る限りでは、3年ちょっとの期間でコーポレートと営業の両部門を経験するのは、非常に珍しいと思います。


      ──商社といえば「配属リスク」を心配する学生が多いです。辰巳さんは希望した部署に行けたのでしょうか?


      辰巳:いいえ。将来の起業を見据え、コーポレートと営業の両方を経験したいと思ってはいましたが、コーポレートについては、経営に近い主計部を希望していました。


      ──配属が希望と違ったことで、後悔しました?


      辰巳:後悔はないです。確かに希望は通りませんでしたが、結果的にリスク管理企画部で、各社の決算書やM&Aの際の規定書、カントリーリスクなど、経営の知識が包括的に得られました。ここで学んだことは、Lerettoの経営にも生きています。


      ──あえて、何か探すとしたら何でしょう。


      辰巳:雑務が多いことでしょうか。部署によると思いますが、議事録作成、印刷物のまとめ、社内調整などは正直たくさんあります。これを雑務と捉えるか、仕事の1つと捉えるかで意味は大きく変わると思います。

      実際は起業してからも、議事録や印刷物は大手を相手にすればするほど、きちんと求められますし、役立つところは多いです。商社だけでなく、ベンチャーだって雑務だらけですし、将来のキャリアにどうリンクするかを考えながらやることが必要だと思います。


      ──商社時代を振り返って、「特に大変だった」という時期はありましたか?


      辰巳:3〜4年目にかけて付いた上司がめちゃくちゃ厳しい人でした。とにかく優秀なんですが、本当に厳しくて。「ついていけない」と漏らす人も多かったです。僕はギリギリではありましたけど、鬼のように働いて、何とか食らいついた記憶があります。


      ──なぜ、そこまで頑張れたのでしょうか?


      辰巳:やはり、起業したいというモチベーションがあったからですね。「これくらいやり切れないと、起業なんてできない」と。さらに志望動機でもあったように、世界から必要とされる人材になりたいという、承認欲求が強いことも影響していると思います。

      在職中に米国公認会計士に合格。「起業に向けてコスパが一番いいと思った」

      ──コーポレートから営業に短期間で異動するのは珍しい、とのことでしたが、すんなり希望が通ったということでしょうか?


      辰巳:そこは偉い人を説得しました。在職中に米国公認会計士の資格を取得して、実績を示したのも大きかったと思います。もちろん、偶然にポストが空いたというラッキーもありますが。


      ──米国公認会計士の資格を取得した理由は?


      辰巳:起業するためです。商社を選んだのと同じ理由ですね。経営知識をつけること、そして、起業を失敗したときのための保身です。簿記一級や中小企業診断士なども考えましたが、資格取得までに費やす時間などを考え、一番コスパがいいと思えたのが米国公認会計士でした。


      ──お話を聞いていると、全ては起業のため、最短で知識を得ているように感じます。


      辰巳:実は、本当に商社を3年で辞めていいのかは迷っていました。学生時代から起業したいと思っていましたが、「何が何でも」というような、熱い気持ちがあったかというとそこまでではありませんでした。

      商社でキャリアを積むか、起業するか。プライドを捨てるのに3年かかった

      ──それでも、退職という決心ができたのは、3年の経験で起業するための実力がついたと感じたからですか?


      辰巳:いいえ。僕だけでは飛び出す勇気はありませんでした。当時、ルームシェアをしていて、現在の共同経営者である秋山(祐太朗)から、ずっと「早く起業しよう」と言われていたのが大きかったですね。あとは投資家の知人に、会社員と起業家は「筋肉の使い方(鍛える力)が違う」と言われたことも印象に残っています。


      ──リスクを回避するため、複業的に起業をするビジネスパーソンもいます。


      辰巳:そこはリスクとリターンの関係を考えました。起業の成功を「利益を上げること」だとするなら、少ないリソースで戦う以上、リスクをとって大きく動きたかったです。また、性格的に1つのことにしか集中できないので、そこは一気に勝負しようと思いました。


      ──起業をしたいと思いながらも会社員であり続ける人は少なくありません。退職して起業できる人との違いはどこにあると思いますか?


      辰巳:最終的にはプライドを捨てられるか、だと思います。特に商社の場合は、学歴が高い人が多く、商社で働いていること自体が世間的に成功だと捉える人が多いでしょう。

      一方で、起業家は親や親戚に反対や心配される場合が多いですし、失敗したら……という恐怖もあります。実際に、商社時代を含め、自分の周りには「起業したい」と言いながらも踏み出せていない人は多い。周囲の目を気にせずにやれるかどうかに大きな違いがあると思います。


      ──辰巳さんは、最初からプライドを捨てられたのでしょうか?


      辰巳:僕は就職してから、週に一度は自己分析を行い、本当は何がやりたいのかを自分に問い続けました。起業するために「意識高い系」のコミュニティに所属しましたし、ルームシェアもその一貫です。そうやって商社以外の人と付き合い、環境を変えることで少しずつプライドが切り崩され、「もう退職するしかないな」と思ったのが、正直なところです。

      あとは、商社時代に僕より地頭のいい人にたくさん会ったこともあります。それこそ東大や京大出身の人はたくさんいますし、他社ならハーバード出身の人もいます。彼らに勝って、出世できるとは思えませんでした。でも、一方で起業する人は少ない。退職して起業するだけで差別化できるかなと。


      ──戦うフィールドを変えたということですね。商社で勝ち残れない、と思ったのはいつですか?


      辰巳:先ほどお話しした、3年目についた上司です。何もかもが頭に入っていて、圧倒的でした。僕も米国公認会計士の資格を取得したくらいですから、ファイナンスに自信はあったのですが、その遥(はる)か上をいく知識があって、仕事のスピードも速い。その人を見たときに「勝てない」「会社員は無理だ」と思えたのは、大きかったです。

      商社で学んだ「巻き込み力」と「当事者意識」、でも起業したいならベンチャーに行け

      ──辰巳さんは、商社から起業というキャリアを歩んでいますが、もし、もう一度就活をやり直すとしたらどうしますか? むしろ就活せずに起業しますか?


      辰巳:うーん。僕はリスクを取らないビビリな性格なので、多分、商社に行くのではないでしょうか。人に「ベンチャーに行った方がいいよ」とアドバイスをされても、商社に行っているような気がします。今、経営が何となく分かってきた感覚を、もし学生時代に既に持てていたとしたら、ベンチャーに行くかもしれませんね。


      ──では、目の前に起業志望で、ベンチャーか商社を迷っている学生がいたとしたらどうでしょう?


      辰巳:それはベンチャーですね。起業をしたいなら、一番近い環境を選んだ方がいい。起業するのが一番ですが、それができないなら、社内でNo.9くらいまでには入れる環境で働くのが最短距離かなと思います。ただ、僕みたいに「起業してみたいなぁ」とふわっと思っている人は、商社に行くのもアリなんじゃないでしょうか。


      ──商社出身で起業する強みはどこにあると思いますか?


      辰巳:人を巻き込む力があることです。商社で空港のM&Aを経験したことがあるんですが、莫大(ばくだい)なお金が必要になるので、当事者だけでなく、保険会社、ゼネコン、コンサル、弁護士など、あらゆる人を巻き込まなくてはいけません。その取りまとめ役が商社です。これが起業してからの工程にも、すごく似ているなと思います。


      ──上司から学んだことで印象的だったことはありますか?


      辰巳:圧倒的な当事者意識です。Lerettoのバリューにも「圧倒的当事者意識」を入れていますが、これは商社時代に上司から学んだことです。「自分が失敗したらプロジェクトが終わる」という意識で仕事をしていました。例えば、次回の会議のスケジュールもその場で決めてしまいます。スケジュールを見るだけで、ものすごく計算されていることがわかりました。


      ──今でも商社時代の人と交流はありますか?


      辰巳:ありますね。育ててもらったという恩も感じています。退職する時には僕の名前入りの高級万年筆をプレゼントしてもらい、いつか一緒に仕事をする時には、これで一緒にサインしようと言われました。

      双日には本当に感謝していますし、退職してからも悪く言ったことはありません。他の商社と比べて、30代の層が薄いと言われているのですが、その分、20代にたくさんチャンスがある会社だと思っています。


      ──では、最後に商社志望や起業志望の学生にメッセージをお願いします。


      辰巳:目標から逆算して行動することが重要です。死ぬ気で何をやりたいのかを探してください。やりたいものが見つからない人は、とにかく大量に行動することです。SNSで気になる人に、直接聞いてみたっていいと思います。

      直感は自分が長年積み上げてきた経験が基になっているので、時には直感に従うこともいいと思います。あとは最短で行動するのみです。


      特集「転職時代になぜ商社」も同時連載中

      本特集「商社を喰うか、喰われるか」では、総合商社を離れた立場から、商社にまつわる「ぶっちゃけ話」やキャリア観を聞いています。しかし、これはあくまで総合商社を見る1つの視点に過ぎません。


      ワンキャリア2020年の「商社特集」は、2つの側面で記事を展開しています。もう一方の特集「転職時代になぜ商社」では、総合商社社員の「商社で働き続ける理由」に迫っています。こちらの特集もぜひご覧ください。

      ・【総合商社特集スタート】転職ありきの時代、ファーストキャリアに総合商社を選ぶ意味とは?
      ▼【特集:「商社を喰うか、喰われるか」】の他記事はこちら
      ・ヒマラヤ登頂が認められずに新卒3年目で辞めた男が、それでも三菱商事に感謝している理由
      ・ビビリの僕が、双日を辞めて起業するまで。自分の「プライド」を崩し続けた3年間
      ・「伊藤忠の魅力」の前に霞んだ起業家精神──気鋭のYouTube事業家が、就活生に絶対に伝えておきたいこと
      ・三菱商事歴28年商社マンの決断。大企業の経営人材が選んだ「キャリアへのこだわり」
      ・起業したいなら、商社は「2社目」がちょうどいい──双日出身社長が語る「中継ぎの商社論」
      ・三井物産出身の起業家が断言「今、商社に行く学生はセンスがない」

      ▼Lerettoの企業サイトはこちら


      【撮影:保田敬介】

      (Photo:Rawpixel.com/Shutterstock.com)

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      編集プロダクションに新卒入社 → フリーランス編集・ライター → デザイン会社のコピーライター → 現在、フリーランスのコピーライター。エンタメ界から経済界のトップまで、インタビューした数は500人以上。フィリピンと日本を行ったり来たりするワーママ。人と組織を動かすためのブランディング、コピーライティングに関わっています。

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