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      就活サイトトップ就活記事キャリアを考える「やっぱり、ぼくは『就社』ではなくて、『就職』をする」...

      「やっぱり、ぼくは『就社』ではなくて、『就職』をする」パラレルマーケター・小島英揮さんの『転生就活』

      転生就活 ランキング 企業理解 インタビュー
      2021年4月7日(水) | 9,879 views

      「ある朝、目が覚めたら、あなたは『就活生』になっていました。どの会社へ入りたいですか?」

      (※ただし、自身がこれまで所属した企業は選べません)


      社会人の先輩に、この「究極の転生質問」に答えてもらうシリーズ企画。今回は、パラレルマーケターの小島英揮さんにご登場いただく。

      < 小島英揮さんの「入社以降年表」 >

      ・1991年(22歳)
      「マーケティング」の仕事に就けるかどうか基準で会社を選び、PFUへ入社。

      ・1999年(30歳)
      外資系企業のジェットフォームに転職。世界で売られるものを日本に導入するときの手法を学ぶ。

      ・2002年(33歳)
      アドビシステムズ(現:アドビ)に所属会社が買収される。のちに、同じくアドビに買収されたマクロメディアの「Flex」という製品の担当に。ユーザーコミュニティに初めて触れる。

      ・2008年(39歳)
      ニコラス・G・カーの『クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換』(翔泳社、2008)を読み、強い衝撃を受け、クラウド業界への転職を決意。

      ・2009年(40歳)
      アマゾンウェブサービスジャパン(AWS)に第1号社員として入社。マーケティング部門のヘッドとして従事。

      ・2010年(41歳)
      日本最大規模のクラウドコミュニティ「JAWS-UG」を発足させ、多くのエンジニアがコミュニティを通じて新たなビジネスや価値創出に関わるモデルを確立。

      ・2016年(47歳)
      AWSを退職し、パラレルマーケターとしてのキャリアをスタート。

      ・2021年(現在)
      Still Day One合同会社の代表社員を務めるほか、AI(人工知能)、キャッシュレス、コラボレーションなど各分野の複数のSaaS、サブスクビジネスで、マーケティング、エバンジェリスト支援業務をパラレルに推進中。

      著書『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』(日本実業出版社、2019)に詳しいが、小島さんは新卒就活のとき、会社に入る「就社」ではなく、マーケティング職に「就職」するという意識で会社を選んでいる。その考え方は、最近になって一般的になってきたと思うが、小島さんが社会に出た30年前にはレアな考え方だったのではないか。

      小島さんがいま就活生になったら、どんな会社に行きたいか、を伺う。ちなみに、小島さんは、PFU、ジェットフォーム(アクセリオ)、アドビ、AWSに所属したので、それらの会社は選べない。

      マーケティングの本質に魅かれて30年

      ──小島さんは大学時代に「マーケティング」という言葉と出会います。当時は、ホイチョイ・プロダクションズが企画した「マーケティング天国」という名の深夜番組が放送されるなど、世の中に「マーケティング」という名前が出始めていた時期だったそうですね。小島さんは大学3年生のときに「マーケティング」のゼミに入ります。


      小島:「マーケティング天国」は、今どんなものが売れているかをランキング形式で紹介する番組でした。でも、ゼミの教授から「あれはマーケティングとは違う」と言われるんです。

      「マーケティングという名のついたランキング番組があるが、ランキングは単なるリサーチであって、マーケティングではない。マーケティングは、恋愛と同じだ。好きな人がいたら、その人のことを考えて、食事に誘ったり、ドライブのコースを考えたりする。相手によって、オファーは変わる。これが、マーケティングそのものだ。誰に、何を、どう売るか、Who、What、Howなんだ」


      ※引用:小島英揮『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング p22』(日本実業出版社、2019)

      小島:もともと「マーケティングって面白そうだ」と思っていたんですが、最初はぼくも「リサーチ」程度に捉えていたんです。もちろん、手法を学ぶ面はあるのですが、もっと本質的なところがマーケティングにはある。教授はそれを教えてくれたんですね。すごく面白いなと思って、興味がどんどんと湧いていきました。

      実家が自営業だったこともあって、「そうか、おやじがやっていたこともマーケティングだったんだな」という具合に、世の中のことをだんだんと「マーケティング」という視点で見られるようになっていきました。すると、いろんなことを説明できるようになってきて。「おぉ、これは面白い!」とさらにのめり込んでいきました。

      大学時代のサークルの飲み会で、大好きなビールをラッパ飲みする小島さん。


      ──学生時代にマーケティングの仕事に就く下地ができたわけですよね。当時の小島さんは、会社選びをどのように考えましたか?


      小島:ぼくが新卒就活をしていた頃は、バブル経済の後半で、学生にとっては環境が良かったと思います。企業側からすると、学生を採用するのが一番難しかった時期ですよね。名前が通っている会社ならまだしも、少し中堅の会社だと「学生に選んでもらう」努力をしなければならない。ちなみに「選んでもらう」のもマーケティングですね。

      そんな会社側のさまざまなトライの一つが「職種別採用」でした。そうしたら、PFUという会社が職種別採用で「マーケティング職」を募集していたんです。ぼくとしては「そうそう、ぼくはそういう職に就きたかったんだ」という想(おも)いが強かったので、就社ではなく、就職という心づもりで「マーケティング職」の道に進みました。


      ──小島さんのキャリアを見ると、20〜30代で「マーケティング」という武器を磨いていたように見えます。ずっと「マーケティング」という道を進み続けられたのは、学生時代の「これは面白そうだ」という直感が大きかったですか?


      小島:はい、直感通り面白かっただけでなく、気が付けば「マーケティング」にとって良い時代になっていました。

      ぼくらの世代が新卒で入った頃は、「マーケティング」という名前はあったものの、実態としては「営業支援部」や「販売促進部」でした。あくまで、営業のセールスツールをつくるなどして、営業を支援する立場。ビジネスをリードする立場だとは思われていなかったんです。

      だから、「キャリアを上げていこうと思ったら、どこかで営業を経験しないといけない」という暗黙の雰囲気がすごくありました。ぼくも最初の頃、「営業を一回くらいやっておいたほうがいいんじゃないか」と思ったことが何回かありましたよね。


      ──たしかに、マーケターよりも、営業が花形、というイメージがあったことは想像できます。


      小島:昔は、営業こそが偉くて、営業を回すために「マーケティング」や「販売促進部」は存在するものである、と思われていたんですよね。それはなぜかというと、マーケットが大きくなり続けていたから、だとぼくは思います。同じ事をやっていても売上が上がる時代が長かったんですよね。

      今、マーケティングにスポットライトが当たっているのは、同じ事をやっているだけでは売上が下がるようになったからです。「みんなが売上を上げられるパイ」がもうないんですよね。すると、ちゃんと考えなければいけない。誰に、何を、どう売るかを「考える」ことがマーケティングなんですよね。

      ぼくの中では、営業って1対1の技術なんです。目の前の人にどう買っていただくか、という。一方、マーケティングというのは1対n(多)の技術なんです。だから、全然違うんですよね。比べるものでもない。

      1対1をやる人がいないと、1対nが機能しないです。でも、1対1だけでは「n」がカバーできないんです。どちらがスケーラブルか、というと、マーケティングのほうがスケーラブルじゃないか、とぼくは思っていました。

      30年たって「マーケティング」に対するニーズが高まってきたことは、個人的にはすごく面白いな、と思っています。


      ──「マーケティングへの就職」で、気をつけた方がよいポイントってあるでしょうか?


      小島:マーケティングって細分化されやすい職種でもあるんです。イベントマーケティングとか、プロダクトマーケティングとか、フィールドマーケティングとか。たとえば、デジタルマーケティングをやってきた人は、デジタルだけで語ろうとする。イベントマーケティングをやっていた人は、イベントだけで語ろうとする。全部細分化しているんですよ。

      その分、マーケティングにまつわる全部を経験する機会を得たマーケターは、少ないですよね。だからどの会社も全体を任せられる「マーケティングマネージャー」の採用はすごく苦労しているんです。


      ──細分化されたマーケティングを横断的に経験できると、キャリアの希少性が高まるんですね。


      小島:マーケターと一口で言っても、オールラウンドマーケターというのはBtoBの世界では少ないんです。ぼくはジェットフォームのときと、AWSの立ち上げのときに、マーケティングにまつわるほぼほぼ全てを経験させてもらいました。それが自分の財産になっています。

      ぼくは「相手に、受け入れてもらうための、あらゆる手段」がマーケティングだと思っています。つまり、手法に囚われないのが大事なんですよね。本の中にゼミの先生の言葉で「Who、What、How」が重要と書きましたよね。マーケティングって「誰が相手なのか」を規定するところから始めるんです。多くの人はこれができないんですよね。Howの話ばかりをしてしまうんです。


      ──そうした本質的な部分に魅かれたからこそ、小島さんは約30年にわたってマーケティングの道を歩まれたのかもしれませんね。さて、そんな小島さんが今、新卒就活生になったら、どんな会社選びをするかを伺いたいと思います。

      新卒就活生になった小島英揮さんが選ぶ3つの会社

      小島:1つ目は、リクルートです。

      自分がキャリア形成するにあたっての「ロールモデル」とたくさん出会える可能性がありますよね。新規事業にも参画する機会もあるでしょうから、そこでマーケティング視点を得ることができそうです。「勤めあげる」ではなく「何をするか(成すか)」を仕事の指針にしている人に出会えるのも魅力でしょう。私の周りも、そんなリクルートOBの方が多いです。


      2つ目は、日本マイクロソフトです。

      早くからグローバル企業に慣れ親しんでおくのは、今後のキャリア形成でも重要だと思います。GAFAの4文字にはなぜか入ってませんが(笑)、クラウドに舵(かじ)を切ったマイクロソフトは10年前とはだいぶ違って変化の芽もたくさんあるので良いのではないか、と思います。新卒枠も比較的多いので、希望に近いポジションにつける可能性もありますよね。

      リクルート、そして日本マイクロソフト、いずれも、マーケティング職につけるかは未知数ですが。


      3つ目は、社名はなく、「マーケティング職」で取ってくれるIT系の企業であればどこでも! です。


      ──小島さんが30年前に就活をしたときもそうでしたものね。


      小島:本当は、1つ目に挙げたいと思いましたが、社名を出さないと記事にしにくいかな、と思って(笑)。

      やっぱりぼくは「就社」より「就職」です。この場合は、どの業界を選ぶかがポイントになりそうですよね。2021年時点ではデジタル周りのスキルを身につけるのであればIT系企業の方が早いでしょうし、現時点では転職によるキャリアアップもしやすい業界ですので良いかな、と思いました。


      ──リクルートや日本マイクロソフトの社名を挙げられたのも、やはりマーケティングという軸ですね。


      小島:リクルートを挙げたのは、先ほどお伝えした「Who、What、How」をやる会社だと思っていて。「誰にどんな価値を届けるんだ?」という設計が初めにある事業が多いですよね。もちろん、ゴリゴリと営業する力が強いなど独特のパワーはあるでしょうけれど、「何かつくって走れば良い」という風土ではない。「Who、What」の設計がハッキリしている会社で勤めるのは、たとえマーケティング職じゃなくても、マーケティング的なセンスを磨くことができるのではないかと思います。

      日本マイクロソフトは「あとで転職しやすそうだ」と純粋に思えることと、社会人やビジネスに必要な基礎的なものを学ばせてくれる場所だと思うので。外資とはいえとても日本的な企業だと思いますが、外資の目を理解することもできるのは魅力です。また、「学ぶ」という意味でも非常にいい会社かな、と思います。

      人生の中で「働く」期間はとても長いです。新卒として入る会社は、長く働くための「基礎体力」や「応用力」を養える環境がある会社がいいのではと思っています。そういう意味では、やはり新人をオンボーディングできる能力のある組織であるとともに、活躍しているOBをたくさん見つけられる会社を選ぶのが良いでしょう。

      「社外のコミュニティ」というモノサシを持つ

      ──著書を読むと、AWSでユーザーコミュニティを立ち上げるときに、小島さんがとにかく足をつかって、人に会いに行っているのが印象的でした。


      小島:サービスを理解するには、そのサービスを採用している人に聞いた方が絶対にいいですよね。メーカーの開発者に聞いても、本当のところは分からないので。

      社内の中だけで閉じない、というスタンスは、PFUの頃から持っていました。PFUにいたのは、インターネット初期の頃なので、インターネット事業部がいろんなものをアイデアベースでつくるわけです。その価値を検証するには、市場に聞かないと分からないんです。

      そして、ジェットフォーム、アドビ、Amazonと職場が変わるにつれて、外の人に会う方法がどんどんラクになってきたんですよ。メーリングリストができたり、あるいは、SNSで連絡できるようになったり。


      ──たしかに、2000年代に入り、だんだん加速していきますね。ブログやSNS、と。


      小島:直接お話を聞いて、その人との関係を維持するということが、どんどんとやりやすくなったんですよね。

      仕事の関係のヒトとは、Facebookではつながりたくない、という人もいると思います。それは個人のポリシーなので全く強要しないですけれど、つながっている人の方が結果的にうまくいっている、とぼくは思っています。今の時代は、公私混同できる人の方が強い。たとえば、仕事の関係がなくなっても、そのお客さんだった人やステークホルダーだった人と関係を維持できる人の方が圧倒的に強いですね。ビジネスのオンタイムだけで仕事を回せると思っている人は、ちょっと難しい時代になったんじゃないかな、と思っています。


      ──社内の中だけで閉じない、という感覚は、働いてみると結構難しいように思います。


      小島:社内で閉じないためにも、社外のコミュニティへの参加は重要ですよね。
      就職したら、社外との接点を持ったほうがいいです。それが「外のモノサシ」になりますから。

      異業種に進んだ、学生時代の同期とのネットワークも重要ですし、自分の関心軸に合ったコミュニティに参加してみるのも面白いんじゃないか、と思います。どんどん越境していきましょう!


      ──今日はお時間をいただき、ありがとうございました。

      小島 英揮(おじま ひでき):パラレルマーケター、Still Day One合同会社代表社員
      1969年生まれ、高知県出身。明治大学商学部卒業後、PFU、アドビなどを経て、2009年から2016年までAWS(Amazon Web Services)の日本法人で、マーケティング部門のヘッドとして従事。AWS在籍中に、日本最大規模のクラウドコミュニティ「JAWS-UG」を発足させ、多くのエンジニアがコミュニティを通じて新たなビジネスや価値創出に関わるモデルを確立、日本のクラウド業界全体に大きな貢献を果たした。2016年のAWS退職後、コミュニティマーケティングの実践者を増やすコミュニティ「CMC_Meetup」を立ち上げる。2017年よりStill Day One合同会社の代表社員を務めるほか、AI(人工知能)、決済、コラボレーションなどの分野でサブスクリプション系のビジネスを展開する企業のマーケティングやエバンジェリスト業務をパラレルに推進中。著書に『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』(日本実業出版社、2019)、『DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C』(翔泳社、2019)がある。

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      編集者、コーチ
      佐藤譲

      1986年、福岡県生まれ。2010年、株式会社スタジオジブリ入社。鈴木敏夫プロデューサーと同じ家に住みながら、編集者として働く。2015年、日本テレビ放送網株式会社に入社。実写映画・アニメーション映画のプロデューサーを務めたのち、2018年に独立して京都へ移住。ゲームベンチャーの立ち上げに関わったのち、現在は、作家・クリエイター向けの編集者・コーチとして働くほか、藤原和博氏が立ち上げた『朝礼だけの学校』プロデューサーも務め、ワンキャリアには2020年から関わっている。日本で唯一の「人形劇」に関する専門図書館の研究員でもある。

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