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就職先は業種・業態ではなく、「素の自分」で挑んで「期限」で選ぶ。コーチングのプロフェッショナル・馬場啓介さんの転生就活

転生就活 インタビュー
2022年7月5日(火) | 5,560 views

「ある朝、目が覚めたら、あなたは『就活生』になっていました。どの会社へ入りたいですか?」

(※ただし、自身がこれまで所属した組織は選べません)


社会人の先輩をお呼びして、この「究極の転生質問」に答えてもらうシリーズ企画。今回は、国内外に5,000名以上のコーチを輩出している「トラストコーチング」の代表で、キャリアにまつわる悩みにも答えた新刊『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』を上梓(じょうし)した馬場啓介さんにご登場いただく。大学生向けのキャリアコーチングだけでなく、企業の社長をはじめとしたエグゼクティブや現役の官僚など、多種多様なビジネスパーソンへコーチングを届けてきた馬場さんに「もしも」の問いを伺う。

先んじて伝えると、記事では具体的な会社名を挙げていない。

代わりに、今の時代の就活について示唆に富む話が繰り広げられている。

馬場啓介さんの思考過程を一緒に追えば、自分自身のあり方について、新たな視点が生まれるはずだ。

<馬場啓介さんの「社会人年表」>
・2003年(23歳)
大学卒業後、アメリカ留学中に知った外資系人材サービス会社に入社。

・2005年(25歳)
コーチングの本と出会い、転職を決断。

・2006年(26歳)
日本最大のコーチングファームコーチ・エィに入社。史上最速・最年少で、世界で最も権威のある国際コーチ連盟の資格を取得。大手企業に向けた、「エグゼクティブコーチング」「業績向上コンサルティング」など、さまざまなプロジェクトに携わる。また、日本最大のコーチ育成プログラムのトレーナーを務め、トップトレーナーとなる。

・2009年(29歳)
コーチ・エィを退職し、「トラストコーチング」を起業。また、オンラインキャリアコーチング「ラストスクール」をリリースするほか、法政大学自主マスコミ講座で授業を受け持つ(現在も継続中)。

・2014年(34歳)
子育て中のお母さんが学ぶコミュニケーション講座「マザーズコーチングスクール」をスタート。

・2015年(35歳)
コーチングを受けながらコーチングを学べる「トラストコーチングスクール」をスタート。

・2017年(37歳)
子どもの「自分を大切にする心」を育む絵本『鏡の中のぼく』(NPO法人トラストコーチング、2017年)を上梓。

・2018年(38歳)
保育園・幼稚園・こども園を対象とした、研修プログラム「ナーサリーコーチング」をスタート。 『目標達成の神業〜No.1プロコーチのセッションブック〜』(かざひの文庫、2018年)を上梓。

・2020年(40歳)
『『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力』(集英社インターナショナル、2020年)を上梓。

・2021年(41歳)
コーチングを生かした教育系エンターテインメントYouTube「3年C組 ババター先生」をスタート。

・現在
新刊『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい~No.1キャリアコーチが贈る 心の重りを軽くするヒント』(あさ出版、2022年)を上梓。

会社は「人との縁」で選べばいい

──本日はよろしくお願いいたします。就活をテーマにお話を伺って、新たな視点を得たいと思っています。


馬場:本やYouTubeを通して、私が一貫して言ってきたのは、結局、「会社は人との縁で選ぶ」ということです。

そして、「人との縁で選ぶ」とは、「今の自分」で気が合う人を選ぶのではありません。どういう視点で人を見るのか? そして、その視点をバージョンアップさせていくには、自分をどう成長させたらよいか? 私が伝えられるのは、そういう視点ですね。


──楽しみにしています。まずは、馬場さんのキャリアを伺うところから、始めます。

「雇われる感覚」がなかった

──馬場さんは2009年に「ラストスクール」をリリース(2021年にはリニューアル版をリリース)し、同じ年に「トラストコーチング」も起業され、法政大学の自主マスコミ講座での授業も始められました。2009年は、2022年現在も続いている活動がめじろ押しでしたね。


馬場:私のキャリアの特徴は「ずっと一緒」なんです。一緒に仕事をスタートしたメンバー(サービス)も、大学での講義を始めとしたさまざまな仕事も、ずっと継続されています。そして時折、新しい仕事や人間関係が加わっている。特別な分岐点はなく、ずっと続いているんです。キャリアにおいて、一度も大きな変更がないんです。

はたから見たらすごく変化しているように見えるかもしれませんが、周囲でいつもしゃべっている人たちはずっと変わっていない。少しずつ、どんどん増えているだけです。


──そういう馬場さんには、今回の転生就活の質問は答えづらそうですね。起業して以降は、おそらく転職を考えることもなかったでしょうし。


馬場:面白い質問ではあったんですが、転職視点だと企業に全く興味がないんですよ。「3社つくるんだったら、どういう会社をつくりますか?」という視点だったら、考えても面白いんですが。そもそも、既存の会社に雇われるという発想がないんです。


──馬場さんは新卒タイミングでは外資系人材サービスの会社に入っていますが、そのときも、雇われる感覚はなかったですか?


馬場:なかったです。自分の中である程度の「目的」を決めていたので。

ご迷惑がかからないように社名を伏せてしゃべりますが、給与が高いことで有名なA社(※筆者注1:ワンキャリアユーザーなら誰でも知っている社名です)と、外資系人材派遣会社のB社の2社から私は内定をいただいていました。B社は、世界的な企業ですけれど、当時はまだ日本では知る人ぞ知る会社でした。私はアメリカ留学をしていたときに、B社に勤めている方と知り合って、とても仲良くなったんです。

2社から内定をもらったあと、B社に勤めている先輩に相談したら「馬場、絶対にA社に行け。だまされたと思ってA社に行け」と言われました。「A社の給料は日本でトップクラスに高いし、しっかりしている企業だ。うちに来たところで……」となんとか私にA社を選ばせようとするんです。後で分かることですが、B社の仕事は毎日が飛び込み営業の連続で、ペコペコし続ける仕事だったんですね。先輩にもプライドがあるから、そういう事情を言いませんでしたが。とにかく、「馬場、だまされたと思って、A社に行け!」と言われました。

「自分の本質」を突いた友人の言葉

──先輩から親心のような優しさを感じますね。反対されたのに、なぜB社を選んだんですか?


馬場:その先輩のことを、人として好きだったんです。この人がいるなら、行ってみたいと思った。あと、先輩は入社3〜4年目なのに、会社のお金でアメリカへ留学に来ていたんです。そうした会社の仕組みにも好感を持ちました。いずれにせよ、結局は、人で選んだんですよね。一方、A社のほうは、説明会に来た社員の方々を見て、ちょっとプライドの高そうな人たちばっかりだな、と感じました。

また、A社かB社かで迷っていた頃、一番記憶に残っているのは、地元の友だちの言葉です。友だちの一人が「俺たちは、お金より、人間くさい世界で生きたいよね」と言ったんです。「俺たちはやっぱり人間くさく生きてなきゃダメなんだよ」って。その言葉は、私の胸の中でフィットしました。「あ、そうだな」って思いました。泥くさい、エリート感のない、人間くさいところを笑っていける……。そういう生き方をしていきたいよなって思ったんです。


──自分のことをよく知る友だちならではの表現ですね。



馬場:会社の看板だけで信頼されるA社より、毎日飛び込み営業をし、いろんな派遣社員の希望や愚痴や悩みを聞き続ける仕事のB社のほうが人間くさい。もちろん仕事はキツいはずですが、お金とかエリートの道よりも、泥臭い仕事をしたいな、って思いました。漫画『キングダム』の主人公「信」じゃないですが、子どもの頃から、一番下からスタートしたい願望があるんです。そんな私に、友人の言葉は本質を突いていたんですね。

飛び込み営業は本当にキツい仕事です。でも、本能的に、わざわざその道を選びましたね。一番泥臭いところからの挑戦を、華麗にのし上がっていくところに喜びを感じるからです。当時はそこまで言葉にできませんでしたが、いま振り返ると思いますね。

あと、キャリアについて自分が無知であることは明らかだったので、いろんな企業や職種を知れる場所にいたほうが、ステップアップにつながるだろうとも考えました。派遣会社のB社には、企業のデータがたくさんある。多種多様な業種を見られるだろうから、そういう意味でもいいかな、と最終的には考えました。


──雇われる感覚がなく「目的」があった、とおっしゃったのはその部分ですね。いずれ自分で起業する前提でしたか?


馬場:そうまとめるとキレイなところですが、当時、起業にこだわっていたわけでもないんです。雇われることが当たり前と思っていなかっただけでした。

新卒は有利だから、雇われる経験ができる。まず雇われる経験をしないと、誰かを雇えないな……社会の仕組みを知る上でも、一度、雇われておきたいな……いきなり起業するよりは、ある程度社会を知って、ある程度お金もためよう……くらいのことを考えていました。そういう感覚で、まずはどこかの企業に勤めよう、と決めたんです。ですから、別に、目的が「100%起業」というわけではなかったんです。

余談ですが、大学に入学したときに、すぐに法律系のダブルスクールに通っていたんですよ。


──1年生のときからダブルスクールをするのは、珍しいですね。入学したてって、特に遊びたい時期でしょうし。


馬場:私は、人が遊んでいるときに、努力していたかったんですよね。とにかく人が遊んでいるときに、ちゃんと努力している自分のことが好きでした。

昔から、小さな事務所を持って、小さな秘密基地で生きていきたいな、っていう気持ちはありました。自分だけのスタイルで小さく仕事ができればいいな、という願望があったんでしょうね。そうした特徴も、「雇われる感覚」がないことにつながっているかもしれません。

講演中の馬場さん。聴く人の「視点の数」が増えるコミュニケーションを教える

縁を生かすには「素の自分」を見せる

──本題に入っていきます。キャリアコーチとしての顔もある馬場さんに、企業を選ぶポイントを伺います。冒頭でおっしゃった「会社は人との縁で選ぶ」という言葉の真意を聴いていきます。


馬場:企業を選ぶときのポイントは、いろんな会社を受けてみて、企業側から「あなたとぜひ一緒に働いてみたいです」と言われたところに行くべきだと思います。多くの応募者がいる中で「この人、雰囲気がウチと合うな」「この人と働きたいな」と思ってもらえるのは、実はすごいことです。そこに賭けてみるというか、そこに乗っかるだけのシンプルな行動でもいいと思うんですよね。

なんでかというと、縁って「類友」じゃないですか?


──新刊『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』の中でも「類友」について触れていましたね(※筆者注2:類友は「◯◯の出し方」が同じ人……と馬場さんは言語化しているので、ぜひ、本を手に入れてチェックしてみてください。自分の◯◯に気づきやすくなるはずです)。


馬場:たった何回かの面接という短い時間で、「この人と働いてみたいな」と思われた事実は、とても大事です。それは、なにかしら、波長が合う感覚が採用側にあったわけじゃないですか。実は、それこそが、キャリアを重ねていく上で大切にし続けなきゃいけないポイントだと私は思います。

だからこそ、面接は「本当の素」を出すべきなんですよ。会社選びで失敗しちゃう人は、面接でうそをついたり、背伸びをしたりします。実際に長く関わってみて、「あれちょっと違う」「波長が合わない」となってしまうのが、会社選びにおいて一番残念ですよね。


──キャリアは「いかに自分を活用(い)かしきれたか」で決まる、という言葉も本にありましたね。


馬場:就活生に言えるのは、「ありのままの自分」「素の自分」をキチンと出したほうがいい、ということです。素を出した上で、相手が「この人と一緒に働きたいな」と思ったら、私はシンプルにいいと思います。仕事の内容よりも、「素の自分を知った上で、一緒に働きたいと思ってもらえた事実」に感謝して、シンプルにやっていくだけで、会社選びはOKだと思います。

キャリアの9割は「縁」を活かせているか

──私が就活をしたときは、「その場に合わせた自分」をどう出すかに苦心していました。就活とは「いかに、その場に合わせた、空気が読める自分になっていくか?」という戦いだった気がします。

素を出している感覚はなかったので、きっと私は自分に小さなうそをいくつもついていたはず。馬場さんがおっしゃったことは理解できるし、そうできたら気持ちのいい縁が生まれるなぁ……と思うものの、自分の経験を思うと、かなりハードルが高いように感じます。


馬場:それもそうですね。だから、ぼくが3社を選ぶんだったら、業種・業界を問わず、やたらめったら受けると思います。その代わり条件があって「素で挑む」。その私の素を見て、「わ、この人と一緒に働きたい」と思ってくれたところから選ぶ。「人で選ぶ」から、そこに間違いはありません。自分の感覚も当然大切ですが、向こうが私と会って何かを感じてくれたという事実が大事です。それが縁です。

キャリアの9割は「運」だと言われていて、運というのは「縁を生かせているか」です。縁を生かせる人と生かせない人は何か? うそをついた自分で縁をつくっても、生かせないんですよね。途中で苦しくなっちゃいますから。

縁を生かすには、ありのままの自分を見せること。そして、そんな自分を選んでくれた人とは、縁を大切にしていける土台が必ずあります。そこがキャリアの鍵だと思いますね。

「素の自分」を出すために必要な「敬意の視点」

──新刊でも「縁」を生かすことについて詳しく触れていましたね。そちらは本にお任せするとして、もう少し突っ込ませてください。「素で挑む」といったときに、私は「自分の本当の素って、どこなんだっけ……?」と悩みやすいです。


馬場:素の自分で挑むポイントは、誰かの意見や考えで決めないで、最終的には自分の気持ちで決めることです。会社選びって、いろんな意見が出てくるじゃないですか? いろんなアドバイスをされるはずです。その際に、世間の目や、周りの評価で結論を出さないことが大事です。最終的には、自分自身が、一番違和感がない選択をするんです。

私の例で言えば、世間的にはA社に行くべきなんですよ。名が知れ渡っている上に、高い給料でポジションも良かった。でも、世間の評価で物事を決めちゃうと、あとで必ずブレます。縁が縁じゃなくなっちゃうんです。「本当の自分」じゃなくなっちゃうからです。

たまに勘違いしやすいのは、「ありのままの自分」とは「自分が好きなようにいられる自分」ではありません。「自分が心の底から相手を思いやれるスタンスであること」です。


──自分だけで完結せずに、相手がいるんですね。


馬場:大前提、ありのままの自分って、まだまだ成長できるじゃないですか。今の自分にとって、相手に対する最善の敬意が払えていることが一番大事です。

「こういう風に接すれば、相手に対して敬意を持てている」という視点がキチンと自分の中にあって出た言葉だったら、それが「ありのままの自分」なんですよ。そこで背伸びしちゃったり、誰かに「こうしたほうがいいよ」と言われてやったりすると、「心」がそこにはないですよね。すると、「素の自分」で挑んだことになっていないし、たとえ縁があったとしても「あれ? なんか違うな……」と相手に思われてしまうんですよね。


──「素の自分」と聞くと、自分のことばかりに目がいきますが、お話を伺ってみて全くイメージが異なりました。


馬場:「素の自分」を出すためには、世間や周りの声に惑わされることなく、「自分の感性」「自分と関わっている人」「関わりたい人」に対して「敬意の視点」を大切にすることです。そして、その「素の自分」をバージョンアップしていくためには、「視点の数」を増やしていく必要があります。

だから、私は「視点の数」を増やしていくコミュニケーションを教える仕事をしています。それが、コーチという仕事です。

もっと自分を応援できるコミュニケーションについて、子どもたちに伝える馬場コーチ

見極める方法は「期限を決めているか」

──それでは、馬場さんが就活生なら、どんな思考をするのかを伺いたいです。


馬場:14年前、私が起業を決めたとき、ダニエル・ピンクが書いた『ハイ・コンセプト』(訳:大前研一)という本がありました。その本を読んだときに、「10年後こうなる!」という未来にワクワクできたんですよ。なんでワクワクできたかというと、私も想像できたからです。

2022年の今、「10年後こうなる」という予測がさまざまにありますが、正直に言うと、あまりワクワクできない自分がいます。理解できないのと同時に、自分が望んでいない未来があるからなんですよ。

でも、企業って営利を目的にするから、基本は、時代に合わせた方向で進んでいきます。だから、ワクワクしない世界に向かって、競争をして利益をあげていく企業に、魅力を感じにくい自分がいますね。


──すると、転生就活生の馬場さんとしては、企業を選びにくい。


馬場:ただ、10数年前は社会起業家という名前でしたが、今はSDGsのような言葉も出てきて、「社会問題を解決していく」という根本的なところにも目が向けられていますね。

もし、私が就職をするなら、社会問題を解決することをミッションにした企業で、具体的に「何年以内」と決めて活動をしている場所を選んで就職をします。たとえば、5年以内に東京都内の路上生活者をゼロにするとか、○○県のご飯が食べられない一人親の子どもをゼロにするとか。期間をちゃんと設定している企業に勤めます。ずっとそこにいて甘んじるわけじゃなくて、その期間、そこに自分も全てを賭ける。そして、社会問題を解決します。

社会問題は、自分が共感できる問題かが重要だと思います。私自身、孤独をなくす活動をしているので、同じような問題意識に賛同しやすいです。だから、きっと、そういうミッションを掲げている会社に惹(ひ)かれる。読者が誤解しないように伝えると、私の特性がそうだということであって、「社会起業が良いよ」と言っているわけではありません。

ポイントは期間をちゃんと決めて活動をしているか、の見極めが必要だということ。特に、社会起業という名やSDGsというフレーズを使っている会社へ就職活動をする鍵は、「期限を決めているかどうか」だと思うんです。


──なぜ期限を決めていることに注目するのでしょうか?


馬場:組織で働く人たちを見るときの、一番シンプルな基準が「キチンと期限を決めてやっているか」なんですよ。私の経験上、期限を決めていない人は、ダラダラとしていて、「それをやれている自分が好き」という人たちが多いんです。「子どもを救っている自分が好き」みたいなね。もちろん偽善者じゃないし、社会貢献としてやっていることは素晴らしいけれども、それをダラダラとやっている場には、私が関わるまでの必要がないと判断します。

私は「誰もがコミュニケーションを学ぶ文化を創る」というミッションを掲げて活動をしています。その際、コーチという職業が、いつかいなくなることがゴールだと真剣に思っています。それと一緒で、たとえば、子ども食堂がなくても、飢餓で苦しむ子どもたちがいなくなるような仕組みづくりのために、「こういう活動を、いつまでに、私たちは全力でやるんだ」という覚悟を決めてやっているところだったら、私は応援したい。

なぜ漫画『キングダム』が面白いかというと、15年で中華を統一するという「期限」の中で、戦略を練って戦うじゃないですか? 社会を変えるって、そういうことだと思うんです。本当に社会問題を解決するなら「いつまでに」が抜けている人って、そこに酔っているだけだったり、耳なじみの良い言葉を掲げて人を集めるだけのものにしていたりすることが多いと感じます。

ビジネスで社会問題を解決するなら、根本から解決していく覚悟が必要です。その覚悟がある人かどうかは、「期日をちゃんと決めているかどうか」がすごく重要だと思いますね。


──でも、期日をしっかりと決めて動いているかどうかって、一緒に働かないとなかなか分かりにくいですよね。


馬場:社会問題を解決する会社は、大きくない会社が多いですから、絶対に社長とお話できる機会はもらえるはずです。会社側も自分を見たいと思うでしょうし。社長と話す機会が来たときに、私なら「いつまでにこの目標を達成したいと思っているんですか?」と質問をします。そして、キチッとした考えをパッと答えられる社長かどうかを見極めます。

私が魅力を感じない企業は、目的が会社の継続や繁栄にすり替わっているところです。会社が長く続けば、ほとんどが交代していきますから、雇われ社長が多くなる。そして、多くの雇われ社長は具体的なミッションを掲げていないので、私は賛同しにくいんです。ハッキリしているところじゃないと、誰かに雇われるというイメージは持てませんね。

採用もシフトしていく

──馬場さんはコーチングスクールの代表として、5,000名以上のコーチを輩出し、幾人ものトップコーチと事業を展開してきました。人を集めたり採用したりするポイントについても伺いたいです。


馬場:これも期限を決めることです。私がスクールでいい人を集めてこられた理由は「あと5年で達成する」などと期限を決めて、コーチたちに伝え続けてきたんですよね。「誰もがコミュニケーションを学ぶ文化を創る」というミッションのゴールは基本あいまいですが、たとえば、いついつまでに小学校の中でコミュニケーションの授業が普通になっているなどと、ひとつひとつ具体的に決めてきました。「すてきな大人を増やしたい」みたいにあいまいで飾っているだけの言葉だったり、期日を決めていなかったりすれば、賛同されないと思います。私は絶対に賛同しません。

私は、自分自身をコーチングのクライアントにしたいと思うような、自分づくりを心掛けてきました。そういうことが、結局、人を引き寄せていく鍵だと思います。だから、期日と具体性は大事だと思います。


──人と人だけなく、会社の採用としても重要ですね。


馬場:「うちの会社に来ませんか、いい会社ですよ、未来がありますよ」では、いい人はもう来ないと思います。「いついつまでにこういうことを実現したいから、それまで一緒になって戦ってくれる人を募集します」というのがこれからの時代の募集だと思います。まだそういう募集をする企業は少ないかもしれないけれど、時代はそちらへシフトしても不思議じゃないな、と私は思いますけれどね。

私が就活生に転生したら、強いていえば、私の会社に入りたいと思うはずです。いつも期日を決めて動いて、「こういうことを一緒に達成して、あなたは社会的にこういう信頼を得るように信頼残高をためて、次のステージに行きなさい」というスタンスを取る会社だからです。いい会社だから、ではなく、考え方に共感するはずですから。

これからの時代にチャンスを逃さない方法

──最後に、就活生にメッセージをお願いします。


馬場:キャリアの話でいうと、とにかく、早くトライアンドエラーを重ねて、自分なりの正解を見つける思考が必要です。最初から「正解」を考えていく思考は、今の時代には向いていません。昔は80%GOや70%GOみたいなイメージがありましたけれど、今はとにかく「50%GO」で良いです。自分の中でとりあえずやってみて、違ったら修正する、というのを早く繰り返す。始めるのも早く、辞めるのも早く。そのサイクルを早めていかなければいけない時代になっています。

その大前提で一番大事なのは、ありのままの自分で決めること。そして、自分の敬意の視点を持って挑んだことと、全力をちゃんと出し切って判断したのかどうか、です。周りの話に全部惑わされて、早い段階のPDCAを回し続けちゃうのはダメ。あくまで、素の自分で決めることが大事です。

よくいわれる「3年やらなきゃ何も分からない」というのも事実だと思います。でも、「3年やれば大丈夫だろう」という考えは間違っているんです。今の時代は、「3年でやれることを、1年でやる努力する」意識を持つというのが大事です。「10年修行しなきゃだめ」という考え方ではなく、今の時代は「10年の修行でやるべきことを、3年でやる!」という気持ちでやらないと、修正を繰り返すサイクルを早められないので、チャンスを逃しやすくなるはずです。

今の時代にキャリアを歩む上で、この感覚を持っておくといいと思いますよ。


▼馬場さんの新刊紹介

・迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい〜No.1キャリアコーチが贈る 心の重りを軽くするヒント

仕事や仲間が「ずっと一緒」で「大きな変更がない」とおっしゃった馬場さんと違って、私の場合は、キャリアを重ねていくなかで、離れた人が幾人もいて、離れた仕事がいくつもある。仕事や人間関係の変化を「自分が成長したからだ」と思っていたが、今回の取材をきっかけに立ち止まって考えた。

果たして、就活・転職をしていたときの私は「素の自分」で挑んでいただろうか? 自分の感性を大事にしつつ、相手に敬意を持って臨んでいただろうか?

馬場さんの問いを、自分に投げかけると、その後、仕事を経て、付き合わなくなった人たちの顔が思い浮かぶ。さらにさかのぼると、私は「素の自分」とはほど遠い自分を思い出す。特に、新卒のときは、社会で働くイメージが湧かなくて、就活本や就活体験談の見よう見まねで話していた。たしかに「心」が付いていかなかった。

10年ほど会社員として働いたあと、フリーランスになった。独立してからも縁が続いたのは、私の場合はほんの一握りだ。その数少ない仲間たちを思い浮かべると、私は自分も大事にしつつ、相手も大事にできる人たちとずっと続いている。これが「素の自分」の糸口だと思った。私は、もっともっと「素の自分」でいる努力ができたし、今ももっとできるはずだ。キャリアの道しるべを受け取った気がした。

馬場さんの新刊『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』には、自分自身のコミュニケーションや人間関係について改めて考えさせられる視点が詰まっている。今回の取材記事でハッとした人は、ぜひ手に取ってみてほしい。


馬場 啓介(ばば けいすけ):トラストコーチング代表
1980年、鹿児島県生まれ。法政大学 法学部卒。米国留学後、外資系人材サービス会社を経てコーチ・エィに入社。トップトレーナーとして国際コーチ連盟の試験官も務める。2009年トラストコーチングを設立。経済産業省や大手企業の人材育成担当を務める傍ら、「誰もがコミュニケーションを学ぶ文化を創る」をミッションに、国内外に累計約5,000名の認定コーチを育成している。また、コーチングを取り入れたコミュニケーションプログラムを導入しての幼児教育も手がけ、各地の教育委員会の後援を受け、「いじめ」や「孤独」などをテーマにした講演などで、コミュニケーションの重要性を伝える活動に力を入れている。著書に『「キングダム」で学ぶ最強のコミュニケーション力』(集英社インターナショナル)、『鏡の中のぼく』(キングベアー出版)、『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』(あさ出版)など。

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佐藤譲
編集者、コーチ
佐藤譲

1986年、福岡県生まれ。2010年、株式会社スタジオジブリ入社。鈴木敏夫プロデューサーと同じ家に住みながら、編集者として働く。2015年、日本テレビ放送網株式会社に入社。実写映画・アニメーション映画のプロデューサーを務めたのち、2018年に独立して京都へ移住。ゲームベンチャーの立ち上げに関わったのち、現在は、作家・クリエイター向けの編集者・コーチとして働くほか、藤原和博氏が立ち上げた『朝礼だけの学校』プロデューサーも務め、ワンキャリアには2020年から関わっている。日本で唯一の「人形劇」に関する専門図書館の研究員でもある。

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