こんにちは、トイアンナです。そろそろ2019年卒の就活も本格化するシーズンですね。
特に外資系企業の就活は、学部3年・修士1年の夏が本番です。今回は、そんな外資系企業やコンサルの面接で頻出する「フェルミ推定」の解き方をおさらいしましょう。
初めは誰もが戸惑うフェルミ推定ではありますが、一番の対策は設問形式と解き方のパターンに慣れること。
今回は誰にでもわかりやすい「恋愛」を例にして、身を切るようなフェルミ推定の練習をしていきましょう。
フェルミ推定とは:抽象的な数字を概算すること。答えは正確でなくてOK
フェルミ推定とは、一見抽象的で答えを出しにくい数量を論理的思考をもとに短時間で概算することです。
百聞は一見に如かずということで、まずは例題を見てみましょう。
・日本にサッカーボールは何個あるか?
・東京で消費されるペットボトルは1日何本?
・全国にワイパーは何本ある?
いきなり面接でこんな設問を投げかけられても「知るわけないじゃん」と思うはずです。
しかしフェルミ推定は正確な答えを求めるテストではありません。問われているのは短時間で論理的に数字を推測する能力なので、実際の数字と異なっていても問題ありません。というよりランダムに質問されるので、おそらく面接官すら答えを知らないはずです。
フェルミ推定で「少ない手がかりで見通しを立てる」実務能力を測っている
企業がフェルミ推定を出題する意図は、「限られたデータから見通しを立てて提案を出す」能力を測っているだと思われます。
コンサルの実務では、はっきりしないデータをもとに「ある市場が今後どれほど伸びるのか」「A社はその中で何割のシェアを獲得できるのか」という予測を立てることが日常的にあります。
その点、フェルミ推定は実務能力を査定しやすい面接の質問といえるでしょう。
では、早速「恋愛」を題材にしたフェルミ推定を出題します。今回の例題はこちらです。
例題:日本にいるカップルの数は何組か?
解説:日本にいるカップルの数は何組か?
回答は思い浮かびましたか? 以下、解き方の一例を紹介します。
1. そもそも「カップル」とは何か定義する
質問者の定義が不十分な場合、人口を概算しやすいように自分で明確な定義を作る必要があります。今回はカップルを「結婚していないけれど付き合っているペア」と定義します。
2. 概算する手順を考える
自分で作った定義をもとに、概算の手順を考えましょう。今回は以下のように要素を分解してみます。
「結婚していないけれど付き合っているペア」の数を求めるには(1)恋愛できる未婚者の数を求める [恋愛できる年代の人口]に [未婚率]を掛け合わせる(2)恋人のいる未婚者の数を求める(1)で求めた未婚者の人口に、[恋人がいる独身者の割合]を掛け合わせる(3)ペア数を求める(2)を2で割る
では、実際に概算していきましょう。
3. 手順をもとに概算する
(1)恋愛できる未婚者の人口を求める
日本の人口は約1.2億人とします。
ここから恋愛する可能性の低い年代の人口を以下のように概算し、除きます。
この計算は、人口統計や男女比などの基礎知識をもとに行います。
14歳以下の人口:約1,600万人
51歳以上の人口:約5,300万人
すると、恋愛ができる人口の数は以下のように求められます。
1.2億人 - 0.16億人 - 0.53億人 = 0.51億人(5,100万人)
ここから未婚者の数を求めます。
日本の既婚者が人口の57%と知っていれば、未婚者の割合は100% - 57% = 43%と求められます。
既婚者・未婚者の比率が全世代で同じと仮定すると、恋愛ができる未婚者の数は以下のように推定できます。
5,100万人 × 43% = 2,193万人
もちろん、実際は世代ごとに既婚率は異なりますが、今回の目的はあくまで概算すること。
面接官には「今回はあくまで概算なので、世代ごとの未婚者の割合は同じと仮定します」と説明を加えておけば意図が伝わります。
(2)恋人のいる未婚者の数を求める
続いて、未婚者のうち恋人のいる人数を求めてみましょう。
今回は、独身女性へのアンケート(※1)で37%に恋人がいると分かったとして、(1)を踏まえて以下のように計算できます。
(※1)出典:「未妊レポート」 ベネッセ教育総合研究所、2013年、有効回答者数:4159人
2,193万人 × 37% = 811万人
(3)ペア数を求める
最後に質問されているのは「カップルの組数」なので、(2)で求めた人数を2で割ります。
811万人 ÷ 2 = 405.5組
ここでは最後の凡ミスに注意しましょう。求める数が「組数」だと忘れると推定が台無しです。
不安な人は最初に「組なので最後は2で割る!」とメモしておくのがオススメです。
以上の手順で、「日本にいるカップル」は405.5組=約406万組と概算できます。
この概算は、ビジネスの現場では「新しいレストランを作るとき、カップル専用シートを作るべきか」といった実務的な問いに答える資料となるはずです。たかがカップル、されどカップル……ではなく、されどフェルミ推定ですね。
もうこれで怖くない! フェルミ推定の対策法
ここからは具体的な対策を記していきます。
1. 計算機は不可! 面接には紙とペンを忘れず持っていこう
フェルミ推定は、基本的に計算機は使えず、筆算の場合がほとんどです。面接には紙とペンを忘れずに持っていきましょう。
なお、暗算を求められるケースはほぼないため、安心してください。
2. 基礎的な統計情報は頭へ叩き込んでおこう
フェルミ推定では出題される課題が「日本で◯◯は何個あるか」といったものに偏るため、頭に入れておくべき数字は限られています。できれば下記の概算数はすべて押さえておきたいところです。
人口:12,000万人
世帯:5,000万戸
国土面積:38万平方km
平均寿命:80歳
生涯未婚率:15.4%
既婚率:43%
現在付き合っている相手がいる未婚20〜40代:37%
労働力人口:6,200万人
雇用されている人数:5,300万人
非正規雇用者数:2,000万人
平均年収:400万円
小学校の数:23,000校
中学校の数:11,000校
高校の数:5,300校
専門学校の数:3,300校
短期大学の数:400校
大学の数:780校
大企業の数:1.2万社
中企業の数:420万社
市の数:800箇所
町の数:750箇所
村の数:200箇所
※以上はすべて、フェルミ推定用に数字を概算にしたものです。正確な数値はページ下部の参考資料をご覧ください。
3. 面接中の会話で出題内容を操作しよう
フェルミ推定はいきなり何もないところから降ってくるというよりも、自然な会話の中で面接官から提案されることが多いようです。
たとえば「趣味は何してるの?」といった問いに何気なく答えていると「へえ、クラシック音楽のサークルでチェロ担当してるんだ。それなら、日本にチェロっていくつあると思う?」とフェルミ推定へ突入するのです。
これは面接官からの「身近なお題を出すことで概算しやすくしてあげよう」という温情です。
面接の回答を事前に考えておくことで、フェルミ推定の出題傾向を自分に得意な分野に寄せることができます。具体的には、マイブームや趣味、気になるニュースの回答内容と、関連するの定量データを頭に入れておくと安心です。
4. 分からないときは「周りの人で何パーセント?」と考える
どうしても定量データが分からないことも、フェルミ推定では時として起こります。どうしても手堅い数字が思い出せないときは「私の周りで彼氏・彼女がいる割合は20%だから……」と周囲の人間から予測を立てましょう。
ただし、これは最後の手段です。フェルミ推定のプロセスを説明する際に「できれば定量的なデータが欲しかったのですが、思いつかず」と一言添えるようにしてください。
おわりに:参考図書と押さえておきたい統計データ
ここまで、フェルミ推定を始めての方にも分かりやすいように恋愛をテーマに解説しました。
最後に対策に役立つ情報を紹介します。
参考図書
もっと練習したい方のために、対策テキストを紹介します。
・現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート―「6パターン、5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!
フェルミ推定に役立つ統計データ集
フェルミ推定の手がかりとして、基礎的な統計データは頭に入れておきましょう。
以下を参考にして下さい。
世帯数:総務省 人口・世帯
国土:総務省 国土・気象
寿命:厚生労働省 簡易生命表
労働力人口:厚生労働白書
生涯未婚率:公益財団法人 生命保険文化センター
平均給与:国税庁「民間給与実態統計調査」
学校数:「お受験インデックス」
企業数:総務省 「事業所・企業統計調査」(2006年)
市区町村の数:【みんなの知識 ちょっと便利帳】全国都道府県別市区町村数一覧
フェルミ推定は、解き方のパターンに慣れることが対策の第一歩です。
「この街に電信柱って何本あるんだろう?」「この大学の全科目数はいくつだろう?」など、身近なテーマから取り組んでみてください。
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