こんにちは、ワンキャリ編集部のトイアンナです。
自動車に文房具、電機メーカーから、部品や化学まで世の中には多くのメーカーがあります。
新卒でメーカー・製造業を志望する学生は、おのずと「志望動機」の重要さに気付かされるのではないでしょうか。他の業界と比較してメーカーは、エントリーシート(ES)で志望動機に割かれる文字数が多く、また面接でも志望動機を突っ込まれる比重が大きいです。
今回はその理由を、
- 下から目線
- 事前リサーチ力
- リスクへの理解
でひも解きつつ、ライバルの学生と差をつける志望動機の考え方をご案内します。
<目次>
●理由1:メーカーへの内定に必須の「下から目線」があるか確かめるため
・選考対策
●理由2:事前リサーチ力から愛社度を見るため
・選考対策
●理由3:メーカーならではの配属リスクへの理解を確認するため
・選考対策
●おわりに
理由1:メーカーへの内定に必須の「下から目線」があるか確かめるため
メーカーのほとんどは法人向け商品を作っており、内定した学生もゼロから知識を積む必要があります。したがって、メーカーは学生に、頭を下げてベテランの先輩から学ぶ謙虚さを持ってほしいと願っています。
さて、謙虚さを調べるという視点で以下の例文Aと例文Bを読むと、あなたはどちらのESが通りやすいと思いますか?
A) 私は南アフリカ留学時、医薬品不足に苦しむ病院と、支援を送りたくても資金面から断念せざるをえないNPOの苦悩を学びました。御社には現在、喘息(ぜんそく)治療をテープ1枚で可能にする特許技術があります。私はこの技術を応用し、安価で軽量な医療テープで最貧国の病院設備を支援したいと考えています。
B) 私は幼少期に喘息(ぜんそく)に悩んでおり、学校に通うことすらままなりませんでした。しかし御社の医療テープが1999年に発売され、後遺症もなく完治しました。現在、私はフィルム・テープの医療応用技術を研究しています。一人でも多くの人が御社の恩恵を受けられるよう、私も貢献したいと思います。
答えは、例文Bです。
例文Aの学生は「自分がやりたいこと」のために会社を必要としています。それに対して例文Bの学生は、まず自分自身の過去の経験が有利に働いていることが挙げられますが、その上で例文Bの学生は企業の役に立つことが自分のやりたいことであると考えています。ここが重要で、謙虚さを重んずるメーカーでは、志望動機で「御社の良さを伝えたい」という「下から目線」が重要視されるのです。
選考対策
自分の就活の軸をベースに志望動機を作成してから、「商品の良さを広めたい」「御社の役に立ちたい」といった、下から目線のエッセンスを足し、謙虚さをアピールしましょう。
理由2:事前リサーチ力から愛社度を見るため
メーカーに行きたい就活生や、エンジニア志望の学生の志望動機ではよく「ものづくりに関わりたい」「自分の研究やスキルを生かしたい」という抽象的なものが見られます。しかし、メーカーは転職なしの終身雇用制の企業も多く残っていますから、本当に社内で長く働きたい人間、つまり愛社精神が強い人材を求めています。そのためにも、企業は「御社でなければダメなんです」と説得力を持って訴えられる学生を求めています。それには事前リサーチ力(企業分析)が必須ですが、具体的には下記3点を期待されることが多いようです。
・IR(※1)資料を調べ、企業の強みとなっているビジネスと自分のやりたいことを関連付ける
・OB・OG訪問から、社員の魅力と自分のなりたい人材像をひも付ける
・現在の政治経済から企業の展望を予測し、自分がその中でどう活躍できるか考える
(※1)……投資家向け情報
選考対策
メーカーのESの「志望動機」は文字数が多いため、1つの志望動機だけでは内容が浅いとみなされることも多くあります。メーカーを受ける際は3つの事前リサーチのポイントから2軸以上の志望動機を用意しましょう。2つ以上の理由を用意することで「これって、ウチじゃなくてもいいんじゃないの?」という追及を避けることもできます。
理由3:メーカーならではの配属リスクへの理解を確認するため
メーカー業界に属する企業が志望動機を重要視するのは、学生が志望する一般的な動機と、企業の実態にギャップがあることの裏返しでもあります。
ある化学メーカーの採用担当者は「学生の多くは、ただ安定したいという気持ちだけで弊社を受けている。しかしメーカーは地方や海外プラント勤務もあれば、発展途上国での営業なども大いにあり得る。これらの会社はジョブローテーションを組むため希望しない職種に就くリスクも高い。単なる安定志向だけでは生き残れない。長いキャリアの中では、柔軟さが必要とされる」と語っていました。
文系(事務職)・理系(技術職)問わず、製造業であるメーカー就職には工場勤務の可能性があります(※2)。工場は国内だけとは限りません。また、ジェネラリスト(※3)育成を是とする社風の企業が多いため、入社当初は経理でも後に人事へ異動になるなど、やりたい仕事と異なる業務を担当することもあります。40年雇用される安定と引き換えに、社内の変化へ柔軟に対応できることがメーカーの社員には求められるのです。
(※2)……工場では、事務系は「総務・人事・経理」など、技術系は「生産管理・生産技術」などの職に就くことが多い。
(※3)……ジェネラリストとは、広範囲の知識を持つ人。1つのことに多くの視点をもたらせる人。
選考対策
まずは志望する企業の工場の場所を調べ、そこに転勤になっても耐えられるかを考えましょう。また、志望する職種以外の職種に配属されたとしても論理が破綻しない志望動機になっているか、ES送付前に見直しをしてください。なお、論理が破綻しない志望動機にはこういった例がありますので、参考にしてみてください。
-
家族が御社の商品にお世話になっており、自分はこれから会社へ恩返ししたい
- 世界で認められる商品を貴社の開発力で届けたい
- 国際競争へ乗り出す際に、語学力を生かして役に立ちたい
おわりに
ここまで、メーカーを受ける際になぜ志望動機が重要視されるのかを、具体的な対策や書き方と一緒にお伝えしてまいりました。終身雇用だから、福利厚生が充実しているからと、安易に選びやすいメーカーですが、その魂胆は見抜かれていると覚悟してください。
その上で本記事のような考え方を取り入れ「この子は熱意があり、単に安定志向で受ける学生とはちょっと違うな」「ウチでずっと活躍してくれそうだ」と信じてもらい、「じゃあ採用しよう!」と思われるような志望動機を作れるよう、応援しています!
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