こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を挙げて紹介する【最新版:業界研究】。
今回は、キヤノン・富士フイルム・テルモ・オリンパス・オムロングループ(以下、オムロン)の5社について、各社の特徴を比較しながらお伝えします。
<目次> ●医療機器メーカーとは? 事業内容/提供サービスを解説 ・ビジネスモデル ・医療機器の種類 ●医療機器メーカーの業界動向 ・少子高齢化による市場規模の拡大 ・ITの発展 ・ジェネリック医薬品の普及 ●医療機器メーカーの仕事内容・主な職種 ・事務職 ・営業職 ・マーケティング ・研究開発職 ・サービスエンジニア ・医療機器開発(プロダクション) ・生産技術職 ・品質保証 ●医療機器メーカー大手5社の業績比較・ランキング(売上高/営業利益) ●医療機器メーカー大手5社の特徴・強み ・キヤノン:4つの新規事業に注力。メディカル事業の強化に向けて、グローバルに再編を進める ・富士フイルム:医療用画像だけでなく「トータルヘルスケアカンパニー」を目指す ・テルモ:ニッチな分野に注力。現場の声を反映した製品で社会に貢献 ・オリンパス:消化器内視鏡で世界をリード ・オムロン:血圧計で世界シェアNo.1を誇る ●医療機器メーカー業界大手5社の社風の違い・制度 ・キヤノン:穏やかで社員を大切にする文化 ・富士フイルム:グローバルに活躍できる働き方 ・テルモ:年次に関係なく挑戦し成長できる環境 ・オリンパス:ライフスタイルやライフステージに合わせた柔軟な働き方 ・オムロン:社員に強い愛社精神が根付く ●医療機器メーカー大手5社の平均年収・平均年齢・平均勤続年数 ●医療機器メーカーで働く魅力・やりがい ・人の役に立つことを実感できる ・多様な視野を持つことができる ・専門知識を継続して学べる ・安定感を感じられる ・高年収を目指せる ●医療機器メーカー大手5社の選び方 ・自己分析で自分の強みや価値観を洗い出す ・情報収集ではワンキャリアの【選考対策ページ】を有効活用する ・ワンキャリア公式YouTubeチャンネル『【公式】ワンキャリア 就活チャンネル』を活用する ・手間がかかる「業界研究」はワンキャリアにおまかせ ・企業研究を効率よく進めたい方には「合格の秘訣」がおすすめ ・就活の軸を見つけ、自分の価値観を整理する ●医療機器メーカー大手5社が求める人物像・選考対策 ・医療機器メーカーが求める人物像 ・医療機器メーカーの選考対策
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医療機器メーカーとは? 事業内容/提供サービスを解説
医療機器メーカーとは、医療現場で使用される機器を開発し、製造・販売を行う企業のことを指します。
これらの企業は、病院や診療所などの医療機関に製品を提供し、患者への医療サービスの質を向上させる役割を担っています。また、医療機器メーカーは、それぞれが特定の分野に強みを持ち、技術革新を通じて市場のニーズに応えています。
ここでは、医療機器メーカーの事業内容や提供するサービスについて詳しく解説します。
ビジネスモデル
医療機器メーカー業界のビジネスモデルには、主に医療機器メーカー・医療機関・医療機器商社などが関わっています。
医療機器メーカーは、独自の技術を生かして医療機器を製造・販売し、医療現場での使用をサポートしています。一方、医療機関は医療機器の主なユーザーであり、患者に対して適切な医療サービスを提供します。
さらに、医療機器商社はこれらの製品を医療機関に供給し、機器の導入やメンテナンスを支援しています。ここでは、医療機器メーカー業界のビジネスモデルについて、それぞれ詳しく解説します。

医療機器メーカー
医療機器メーカーは、医療現場で使用される機器を製造し、販売する企業です。国内には数多くの医療機器メーカーが存在しており、それぞれが異なる分野で独自の強みを持っています。
例えば「オリンパス」は消化器内視鏡の世界シェアを70%以上有しており、内視鏡事業に強みを持っています(※1)。一方、「テルモ」は心臓血管領域におけるカテーテルやステントの分野で高い評価を受けており(※2)、「ニプロ」は使い捨て医療機器(※3)、「シスメックス」は検体検査用機器において市場をリードしています(※4)。
このように、医療機器メーカーはそれぞれが得意とする領域で競争力を発揮し、医療の現場に不可欠な製品を提供するビジネスモデルを展開しています。それぞれの企業は、特定の医療分野で独自の技術や製品を開発し、市場のニーズに応え続けています。
(※1)参考:Olympus「Olympus Integrated Report 2024 P.8」
(※2)参考:テルモ「テルモレポート 2025 P.21」
(※3)参考:NIPRO「ファーマパッケージング事業の事業戦略 P.8」
(※4)参考:sysmex「よくわかるシスメックス」
医療機関
医療機関とは、医療法で定められた医療を提供する施設のことで、病院・薬局・訪問看護ステーションなどが含まれます(※5)。医療機器メーカーが開発した機器や製品は、これらの医療機関で使用され、患者への医療サービス提供に欠かせない役割を果たしています。
特に大学病院や大規模な総合病院は、資金力が豊富であり、最新の医療機器を導入する機会が多くあります。そのため、医療機器メーカーにとっては重要な顧客であり、常に新しい技術や製品の提案が行われています。
医療機関は、医療機器メーカーや医療機器商社から直接営業を受けることが一般的であり、医師や技師が実際に製品を確認したうえで導入が進められることがほとんどです。
また、医療機器メーカーは、製品の導入後も定期的に医療機関を訪問し、トラブルのチェックやメンテナンス、アフターフォローを行います。
(※5)参考:日経メディカル「医療機関や診療所にはどのような種類がある?」
医療機器商社
医療機器商社は、医療機関と医療機器メーカーを結ぶ重要な存在です。医療機器商社は、さまざまな医療機器を仕入れ、病院や診療所などの医療機関に対して販売を行います(※6)。
商社は単なる流通の役割だけでなく、医療機関に対して最適な機器の提案や導入支援も行うため、医療現場のニーズに応じたサポートを提供しています。
医療機器は高度な技術を持つ製品であり、他の業界と違って簡単に代理店や下請け企業に製造・販売を委託することが困難です。医療機器は、使用する機関によって異なる要求があるため、商社は多様な製品を取り扱い、顧客にとって最適な選択肢を提供することが求められます。
また、医療機器商社はメーカーとの密な連携を保ち、製品のメンテナンスやトラブル時の対応も迅速に行える体制を整えています。こうした対応を通じて、医療機関が安心して医療機器を導入・使用できる環境を整える役割を果たしています。
(※6)参考:山田コンサルティンググループ「医療機器卸業界」
医療機器の種類
医療機器の種類には、医薬品医療機器法に基づいて分類される「医療機器」と、医療現場で使用される消耗品である「医療用品」の2つがあります。
医療機器は診断装置や治療機器など多岐にわたり、リスクに応じてクラスに分類されています。一方、医療用品は注射器やガーゼなど、医療行為に欠かせない消耗品で、特に使い捨てが可能な製品の需要が増加しています。ここでは、医療機器と医療用品の種類について詳しく解説します。

医療機器
「医療機器」とは、医薬品医療機器法で定義されている通り、人や動物の病気の診断・治療・予防に使われる機械器具や製品を指します(※7)。これには、体の構造や機能に影響を及ぼす目的で使用されるものも含まれます。
具体的な例としては、レントゲンやCTスキャンのような画像診断装置から、コンタクトレンズや体温計、マッサージ器などの日常で目にするものまで幅広い製品が該当します。
また、医療機器は製品の不具合が発生した際の人体へのリスクに基づいて、以下の4つのクラスに分類されています。

※参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「医療機器」
※参考:長野県「医療機器のクラス分類例示」
(※7)参考:e-GOV 法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)」
医療用品
医療用品とは、医療現場で使用される消耗品を指し、具体的にはガーゼ・注射器・カテーテルなどがあります。
医療用品は、医療行為を安全かつ効果的に行うために必要不可欠であり、特に少子高齢化や生活習慣病の増加に伴い、ますます需要が高まっています。加えて、院内感染や医療事故を防ぐためにも、使い捨て可能な医療用品の需要は拡大しています。
ただし、日本国内で使用される医療用品の多くは輸入に依存しているため、外資系企業との競争が激化しています。国内企業もこれに対抗し、海外市場への進出を積極的に進めており、新興国を中心に営業拠点や製造工場の新設など、グローバルな事業基盤の強化が見られます(※8)。
(※8)参考:キヤノン「中長期経営計画 2021-2025」
