こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を上げてお届けする【業界研究:第1弾】。今回は、素材業界についてお届けします。
私たちの生活を根底から支えている素材業界は就職活動でも根強い人気を集める業界の1つです。しかし、消費者のもとには加工された状態で製品が届く場合が大半で「実際に何をしているのか?」「会社によって違いはあるのか?」を知らない学生は意外と多いのではないでしょうか。今回はそんな素材業界の中でもガラス、鉄鋼、繊維にスポットライトをあて、各業界のトップ企業、AGC(※)・新日鐵住金・東レの特徴と選考対策を見ていきます。
※旭硝子(AGC)は、平成30年7月1日にAGCに社名を変更しました。
事業内容
まずは、各社の事業内容について解説しましょう。
トップにいながら更なる高みを目指す。No.1ガラスメーカー:旭硝子
世界N0.1のガラスメーカーです。ガラス事業が売上の50%以上(6,929億円)を占め、板ガラス・自動車用ガラスというガラス業界における2つのメイン事業においてトップを独走しています。(自動車用ガラスに関していえば、トヨタ・日産・ホンダ・マツダの日本の4大自動車メーカー全てが旭硝子のクライアントです)。
また、収益源の多角化を図るために、売上の25%を占めるフッ素事業を主軸とする化学品事業(3,185億円)にも力を注いでいます。具体的には、2025年までにガラス事業の売り上げを落とすことなく、化学品事業とガラス事業の売り上げの割合を同じにするという目標を掲げています。
※出典:2015年有価証券報告書(2015年1月1日-2015年12月31日)より
日本にしか作れない高級鉄で差別化:新日鐵住金
国内No.1の鉄鋼メーカーです。製鉄業の売上高が4兆9,392億円ある新日鐵住金は国内2位のJFEホールディングス(売上高2兆8,738億円)を大きく引き離す不動の一位を誇る鉄鋼メーカーです。
世界的に見ると、鉄の生産量(5,010万トン)はアルセロール・ミタル(9,610万トン)に大きく水をあけられ2位に甘んじています。しかし、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を企業目標に掲げ、国内鉄鋼メーカーにしか生産できない「高級鉄」を武器にシェアの拡大を狙っています。
※出典:2014年有価証券報告書(2014年4月1日-2015年3月31日)より
※参考:鉄鋼の現状と課題 経済産業省
「夢の素材」で巻き返しを図る:東レ
主力事業は全体売上(1兆5,803億円)の約45%を占める繊維事業ですが、近年は「夢の素材」と呼ばれる炭素繊維の事業展開に力を入れています。鉄の10倍の強度を持ち、重さは4分の1しかない炭素繊維は、自動車や飛行機の軽量化のための利用が期待される事業です。炭素繊維事業の売上げは前年度に比べ20.3%増の1,400億円となっており、今後さらなる売り上げの拡大が見込まれる事業です。
※出典:2014年有価証券報告書(2014年4月1日-2015年3月31日)より
社風
次に各社の社風の違いをご紹介します。
産休後の復帰率100%。多様性を活かす職場づくり:AGC
AGCは挑戦する姿勢、「易きに馴染まず、難きにつく」を社訓として掲げています。この姿勢は事業にも現れており、ガラスで1位のポジションを堅持しているにもかかわらず、化学品事業に挑戦し新たな収益の柱づくりに尽力しています。
また、多様性を活かす職場づくりを実現するために、女性の活躍を推進することを重要なテーマの1つと位置づけており、女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。女性社員の中には、「ワークバランスを保ちながら仕事ができる」と語る方が多くいるようです。
伝統的な古き良き大企業:新日鐵住金
日本の高度成長を支えた製鉄業だからか、 「自分たちは国を背負って働いているんだ」という自負を持って働いている社員が多いです。 また、「伝統的な日本企業。出世の順番も任せられる仕事も年功序列」と述べる社員もおり、体育会系の雰囲気が残る古き良き日本企業であるといえます。人情に厚く後輩の面倒見がいい一方、上下関係や礼儀には厳しいようです。
根付く体育会系カルチャー、8割が営業職へ:東レ
東レは新日鐵と同じように年功序列で管理職に出世していく特徴があるようです。「安定した落ち着いた環境下で働きたい人には向いている」といった社員の声もみられます。また、事務系で入社した8割の社員が営業職につき、営業職には体育会系出身の社員が多くみられるようです。
給与・年収
3社の平均年収は以下の通りです。
・旭化成 902万円
・新日鐵 620万円
・東レ 661万円
※出典:各社有価証券報告書より
素材メーカーの平均収入が約500万円であることを考えると、3社とも高い水準であるといえるでしょう。
また、新日鐵や東レの値は、採用枠が異なる工場職と総合職の年収が合算されています。例えば、東レの新卒入社8年目の文系総合職は、年収900万円。新日鐵でも新卒入社3年目の総合職は年収700万円といずれの場合も平均年収より高い給与となっています。
選考対策
最後に各社の選考対策をご紹介します。
トップに甘んじない挑戦心が求められる:AGC
「易きに馴染まず、難きにつく」を社訓に掲げるほど挑戦心を重んじるAGCは、化学品事業に注力する昨今の事情も相まって、「挑戦心」を持つ学生を強く求めています。AGCは、「就活の軸」という切り口から学生の挑戦心を見極めようとするので、学生時代に頑張ったことだけでなく、「社会人としてどういう仕事をしたいか」という質問にも自らの挑戦意欲を絡めて回答するようにしましょう。
逆に、「安定している世界一のメーカーだから」「潰れるおそれがない」という発言をしたらすぐに落とされますので、注意しましょう。
鉄のDNAを持っているか:新日鐵住金
売上げの90%以上を鉄鋼業で稼ぎ出す新日鐵の選考では、「なぜ鉄なのか」「なぜ新日鐵なのか」が重視されます。社員の中には「鉄に思いがないと続かないから採用したくない」と述べる方もおり、鉄に対する熱意の必要性がうかがわれます。鉄に対する情熱ももちろん重要ですが、鉄鋼業に関する綿密なリサーチが熱意を示すために重要です。例えば、「カーボンなどの新素材に対して、鉄がどのように戦っていくべきか」「新興国で日本の高品質な鉄をどのように展開していくか」など今後の製鉄業が抱える問題に関する自分の意見を準備していくと高評価でしょう。
地味だからこそ明確な志望動機が求められる:東レ
地味な繊維業界にありながら、積極的な海外進出で多くの志望者を集める東レは、第一志望でない学生を振るい落とすために志望度を重視します。内定者は口をそろえて、「東レが第一志望であるということを何度も確認された」と告白しており、志望度の重要性をうかがわせます。
志望度の高さをアピールするためには、志望動機が重要です。「なぜ繊維業界?」という質問に答えられる学生が少ないからこそ、うまく答えられた学生は高評価を得られます。具体的には、東レの強みである炭素繊維事業と関連させた志望動機を述べると説得力が増すでしょう。
おわりに
今回は、素材業界の中でもガラス・鉄鋼・繊維業界の大手3企業にスポットライトを当ててご紹介しました。身の回りの製品の素材に目を向けることは少ないかもしれませんが、より良い素材を提供するために各社がいかにして改善を続けているかをお伝えできれば幸いです。この記事を読んで興味を持った方はぜひ素材メーカーにエントリーしてみてください。
選考の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
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