ワンキャリ編集部が総力を上げてお届けする【業界研究:第1弾】。今回は、インフラ業界についてです。
JR東海(東海旅客鉄道)(以下、JR東海)、東京電力ホールディングス(以下、東京電力)、東京ガス。自社の担当事業によって日本の経済成長を支えてきたインフラ企業で就活生にも人気の企業といえます。今回はあらためて、その3社の共通点と、各社の特色をお伝えします。
<目次>
●各企業の事業内容は?
●社風の違いは?
●いずれも高水準。3社の平均給与比較
●3社共通して求められる、業務内容の理解と社会を支えるという大志
●各社の選考フローと選考のポイント
各企業の事業内容は?
まずは、3社の事業内容と今後の経営方針を見ていきましょう。
JR東海「新幹線+リニア中央新幹線により、さらなる東海エリアへの注力を」
JR東海は、東海エリアを担当している鉄道会社です。東海エリアとは、日本の人口と国内総生産(GDP)、どちらも6割を占める日本の中心エリア(※1)。東海道新幹線開業以来50年以上にわたって、日本の大動脈である東京大阪間の輸送を担ってきた企業であり、まさにインフラ企業の代表格です。東海道新幹線という莫大(ばくだい)な収入源(※2)を軸に、現在では超伝導リニアによる中央新幹線計画を進めています(※3)。担当エリアである東海地域の輸送に注力をしていく方針は、しばらくは変わらないといえるでしょう。
また、鉄道事業をメインに展開しつつも、高い鉄道インフラ技術の海外提供にも挑戦をしています(選考対策ページより)。
(※1)参考:JR東海「社長からのメッセージ」
(※2)参考:JR東海「財務・輸送の状況」
(※3)参考:JR東海「超電導リニア」
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東京電力「アジアへの投資を足がけにさらなる成長を」
2016年4月からの電力自由化(※4)により独占状態が崩れると予想されましたが、東京電力の売上は2019年度で約6.3兆円と前年から約5000億円伸ばしています(※5)。ガスの王者である東京ガス(2019年度売上高約1.9兆円)と比べても大きく(※6)、インフラ業界において圧倒的な地位を確立しているといえます。
東京電力グループの中で小売り事業を担う東京電力エナジーパートナーは、中部や関西地方に参入するとともに、ゼンリンやニチガス、ソニーモバイルコミュニケーションズなどの異業種との連携も行うことで困難な状況を回避しようと試みています(※7)。結果として、電力供給量において未だ2位の中部電力の1.7倍程度の供給量を持っていることからも、業界内で圧倒的地位を保っているといえるでしょう(※8)。
今後の成長のため、中長期経営計画において「事業の『場』を広げる」という方針を掲げ、アジアを中心とした積極的な海外進出を宣言しています。具体的には、海外事業を成長事業の柱と位置づけ、最大で1兆円の投資を行う(※9)とのことです。インフラ企業として、国内に軸足を置きつつも、積極的に事業を拡大していく姿勢を持つ企業といえるでしょう。
(※4)参考:経済産業省「電力の小売全面自由化って何?」
(※5)参考:東京電力ホールディングス「2019年3月期 決算説明資料 P.5」
(※6)参考:東京ガス「財務ハイライト」
(※7)参考:毎日新聞「東電HD 異業種と提携 見守りサービスや都市ガス卸売り」
(※8)参考:新電力ネット「電力販売量のランキング」
(※9)参考:東京電力グループ「中長期成長宣言 2020ビジョン P.22」
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東京ガス「基盤は日本+海外へ。グローバル展開を目指す」
東京ガスは首都圏のガスを支えているインフラ企業です。2016年の家庭用ガス自由化(※10)から、事業者数の増加により激化する競争を勝ち抜くため、基盤となるガス事業を維持しつつも、他事業展開へも積極的に取り組む方針を打ち出しています。
重点戦略としては「1. カスタマーソリューションの進化」「2. LNG(液化天然ガス)ビジネスの拡大」「3. 海外事業の加速」「4. CO2ネット・ゼロの具体化」を掲げています(※11)。
「1. カスタマーソリューションの進化」は、デジタルとリアルを融合させたビジネスモデルを通じ、多様に変化する顧客ニーズに応えることで契約数の拡大を目指します。また、これまで「原料」としての位置付けだったLNGを「商材」ととらえ、ビジネスパートナーと連携しながら「2. LNGビジネスの拡大」をし、グループの柱となるビジネスに成長させる、とのこと。
あわせて、「3. 海外事業の加速」では、アジアのLNGインフラ事業開発に注力することに加え、再エネ電源規模の拡大と資源開発ビジネスのバリューアップにも取り組みます。また、「4. CO2ネット・ゼロの具体化」としては、国内外の新技術を有する企業への投資も活用して、脱炭素化に資する技術の発掘・イノベーションを推進していく考えです(※12)。
(※10)参考:東京ガス「ガス自由化ってなんだ?」
(※11)参考:東京ガス「東京ガスグループ2020-2022年度 中期経営計画 P.1」
(※12)参考:東京ガス「東京ガスグループ2020-2022年度 中期経営計画 P.5-P.11」
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社風の違いは?
続いて、「インフラは堅い」とひとくくりにされがちなインフラ3社の社風について見ていきましょう。3社とも根底にはインフラらしい堅実な社風がありますが、時代の流れとともに少しずつ変化も見られるようです。
JR東海「鉄道業界=オカタイ」はもう古い。親しみやすいエリート集団
JR東海の総合職社員を一言で表すと「親しみやすいエリート」です。
業務内容が主に現場社員などのマネジメントであるため(※13)、人を束ねるにふさわしい人格を持つ人が選ばれていると考えられるからです。
社風に関して、ある学生は「社員は穏やかでスマートな人が多い。飲み会などでも気さくに話してくださり、『鉄道業界=硬い』というイメージをいい意味で裏切られた」と話していました。
「一緒に働く人の良さ」を大事にしたい学生にとって、スマートで親しみの持てるJR東海の社員は魅力的に映るでしょう。(選考対策ページより)。
(※13)参考:JR東海「JR東海で働くということ」
東京電力「半官半民から全民への過渡期」
古くからのインフラ企業だったこともあり、もともとは半官半民ともいえるお役所のような社風でしたが、2011年3月11日の東日本大震災以降、その社風に変化があり、いわゆる「お役所仕事」に似た社風から、風通しの良い社風への転換をはかっているようです。
実際に、ある内定者によると「原発事故後に入社した社員は復興への思いや強い意志を持っている人が多かった」とのこと。さらに「『企業として恨みは消えないけれど、社員の方には感謝している』と現地の人にも言われた時は涙が出そうだった」と語る社員もいることから、原子力事故の責任をとるという使命感を持ち続け、会社としてだけでなく社員1人1人が復興への強い思いを持っていることがうかがえます(選考対策ページより)。
東京ガス「安定志向の堅実な社風」
会社の目的として、利益の追求よりも生活をさらに良くすることを主眼としています。2017年以降、家庭用ガスの自由化により、組織風土としても徐々にチャレンジングさを求める側面も強まっており、会社としても社員の成長を推奨すべく、サポート体制が整えられていることも同社の特徴です。
安定志向で穏やかなイメージのあるインフラ業界ですが、適度なチャレンジングさと個人の成長のためのサポートを徹底している風土に魅力を感じる学生にはおすすめといえるでしょう(選考対策ページより)。
各社が求める人物像とは?
下記は、JR東海、東京電力、東京ガスの新卒採用サイトから引用・抜粋した各社の求める人物像です。共通点が多々あることがうかがえます。
【JR東海】
・使命感を持ち、自らを磨き続け、「誠実に」、「前向きに」仕事をすることによって、世の中に貢献していける人材
・「自分たちが日本の将来を背負って立つのだ」という気概を持っている人材
※参考:JR東海新卒採用サイト「社長からのメッセージ」より
【東京電力】
・チームの中で自分らしい役割を持ち、それを全うできる「頼りがい」のある人財
・「3つのC」=「チェンジ」「チャレンジ」「コミュニケーション」のポテンシャルを持つ人
※参考:東京電力 recruiting site「求める人財像」より
【東京ガス】
・チャレンジ精神:現状に満足せずアクションを起こす人
・自走性:自らの考えで、自ら動く人
・粘り強さ:成果が出るまで取り組む人
・論理的思考力:問題に対する深い考察ができる人
※引用:東京ガス RECRUITIMENT「求める人物像」より
いずれも高水準。3社の平均給与比較
まず、3社の平均給与と平均年齢を見てみましょう。(※千の位は四捨五入)
企業名 | 平均給与 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
JR東海 | 736万円 |
36.7歳 |
15.5年 |
東京電力 | 812万円 |
45.4歳 |
23.0年 |
東京ガス | 660万円 |
43.0歳 |
16.2年 |
※出典:2019年度有価証券報告書「JR東海 P.10/東京電力 P.13/東京ガス P.9」
日本全体の40歳から44歳の平均年収が約476万円(※14)ですので、3社とも平均給与を上回っており、総合職の給与は、一般的な会社よりも非常に高い水準であるといえるでしょう。
(※14)出典:国税庁長官官房企画課「令和元年分民間給与実態統計調査結果 P.19」
3社共通して求められる、業務内容の理解と社会を支えるという大志
これまで比較をしてきたインフラの代表格の3社は、どれも日本社会になくてはならない企業です。これらの企業で働く社員は、日本を支えているという誇りをもって日々働いています。
そんな3社で働くため──つまり内定をもらうためには、各会社の業務内容を理解したうえで、日本社会を支えていくという強い思い(=志望動機)が不可欠です。これまで先輩たちが、その思いをどんな形で、志望動機に落とし込んでいたのか、ワンキャリアに投稿された先輩たちの体験談もぜひ参照してみてください。
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各社の選考フローと選考のポイント
内定獲得のためには、もちろん、各会社の選考フローを理解し、各フローに合わせた対策が必須です。例えばJR東海では、リクルーター面接が鬼門であり、カフェでフランクに話す場かと思いきや、しっかり選考されます。また、東京ガスはインフラであるものの、電力自由化などの法改正などがあり、変化に対応する力が必要とされているなど、知っていることで対策できることは多々あります。
ワンキャリアには各社の特徴だけでなく、細かい選考のアドバイスなども載せた選考対策ページと呼ばれる就活のバイブルがあります。これらを参考に、各社の対策を行うことで内定はぐっと近づくでしょう。
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(Photo: Svetlana Turchenick/Shutterstock.com)