ワンキャリ編集部が総力をあげてお届けする【最新版:業界研究】。
今回は、野村アセットマネジメント、アセットマネジメントOne、大和アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントの4社を比較しながら資産運用業界について解説します。
「金融業界に興味はあるけれど、資産運用業界はよく分からない……」という学生のみなさんは、ぜひ参考にしてください。
<目次>
●業界全体の傾向
●業績比較
●各社の特徴
・野村アセットマネジメント
・アセットマネジメントOne
・大和アセットマネジメント
・三井住友DSアセットマネジメント
●おわりに
業界全体の傾向
日本政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを長らく掲げており、将来にわたって個人の金融資産を増やそうとしています。その背景には、現預金から投資へと個人の資産がシフトし、それが促す持続的な企業価値向上の恩恵が個人にもおよぶという好循環を作り上げる必要があるといった考えがあります(※1)。
さらに、「老後30年間で約1,300万円~2,000万円が不足する」という試算を発端に物議を醸した、老後2,000万円問題も叫ばれています(※2)。
そんな中コロナ禍によって、家で過ごす時間が増え、これまでの生活を振り返り、将来必要な収入を、ゆっくり計算する機会を持った家庭が多い傾向にありました。金融投資について、落ち着いて学習できた人も多かったようです。その結果、2018年~2021年にかけて投資をしている人の割合が増加しました。特に20代の割合は5%から12%へと、大きく拡大しています。コロナ禍をきっかけに、投資と向き合う人が多かったと考えられます(※3)。
(※2)参考:ダイワファンドラップ ONLINE「老後2,000万円問題とは?若いうちから始めたい長期的な資産形成のすすめ」
(※3)参考:東洋経済オンライン「コロナ禍で20~50代の投資が飛躍的に伸びた理由 物価高・円安でも一向に後退しないのはなぜか」
資産運用の業務内容について
資産運用業を行う企業は、大きく以下の2つに分かれています。
・金融機関(信託銀行や生保や損保など)の資産運用部門
・資産運用専門会社
以下では、資産運用専門会社、そして後述する「投資信託ビジネス(投資信託業務)」について解説していきます。
▼信託銀行の業界研究はこちら
・【業界研究:信託銀行】三井住友信託銀行・三菱UFJ信託銀行・SMBC信託銀行:そもそも普通の銀行との違いは?SDGsやESG投資、AIにも注目する信託銀行の魅力とは?
まず、アセットマネジメントは、顧客(機関投資家)からお金を預かり運用して増やした「プール」に一定の利率をかけたものを報酬として受け取るというストック型ビジネス(※4)です。業務は、大きく分けて投資信託業務と投資顧問業務の2つです。
・投資信託業務とは
投資信託(ファンド)は、投資家から集めた資金をまとめ、その資金を運用の専門家が株式や債券、その他資産に投資・運用するという金融プロダクトです。
この投資信託を作り、運用した収益を投資家に還元する業務が投資信託業務にあたります。
商品は個人投資家向けの「公募投信」と機関投資家向けの「私募投信」に分かれます(※5)。
・投資顧問業務とは
国内外の年金基金、事業法人、学校法人などの顧客に対し、投資一任業務と投資助言業務を行います。
投資一任業務とは、有価証券投資に関する一連の業務のことを指しており、投資判断の全てを運用会社が行います。一方投資助言業務とは、お客様に対しアドバイスを行い、顧客がそのアドバイスに従って自ら投資判断を行います(※5)。
「投資信託業務」と「投資顧問業務」の両方に力を入れている企業がある一方、どちらかのみに注力している企業もあります。
「営業として機関投資家を相手にするビジネスがやりたい」などやりたい仕事が決まっている場合は、事前に企業ホームページをしっかりと読み込むだけでなく、OB・OG訪問や企業説明会に参加するなど、企業が強みとする領域と注力している業務をリサーチしておくことをおすすめします。
(※4)……ある一定期間、顧客との関係が継続するビジネス。インフラ、携帯電話、サーバー代などがその代表。安定感があるといわれる。単発の関係である「フロー型ビジネス」に対して使われる。
(※5)参考:アセットマネジメントOne「アセットマネジメントOneのビジネス」
証券との違い
資産運用業で特徴的なのが、手数料の捉え方です。投資銀行に代表される証券会社では商品単位で手数料を得ますが、資産運用業では顧客から預かった資産の残高に応じて手数料を得ます。つまり、資産運用業は顧客からいかに信頼され、どれだけ資産を預けてもらえるかが問われ、顧客との長期的な関係作りが重要になります。