こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を挙げてお届けする【最新版:業界研究】。
今回は航空業界に着目し、全日本空輸(以下、ANA)と日本航空(以下、JAL)の2社についてご紹介します。
<目次> ●航空業界の特徴|事業内容/提供サービスを解説 ・ビジネスモデル ・市場規模 ・航空会社の種類 ・空港業界との違い ●航空業界の動向 ・現状 ・今後の課題(10年後) ●航空業界の仕事内容・主な職種 ・グローバルスタッフ職(事務) ・グローバルスタッフ職(技術) ・運航乗務職(自社養成パイロット) ・客室乗務職(キャビンアテンダント) ・エキスパートスタッフ職(障がい者採用) ・グランドスタッフ ・営業職 ・案内スタッフ ・航空整備士 ・ディスパッチャー(運航管理) ・グランドハンドリング ・航空管制官 ・入国審査官 ・税関職員 ・ビジネスジェット運航支援 ・ケータリング・スタッフ ●航空業界大手2社の業績比較・ランキング(売上高/営業利益) ●航空業界大手2社の特徴・強み ・全日本空輸(ANA):旅客需要の落ち込みをカバーすべく、国際線貨物事業を強化 ・日本航空(JAL):おもてなしの精神を体現する日本屈指のエアライン ●航空業界大手2社の社風の違い・制度 ・全日本空輸(ANA):「個」を大切にする文化。他とは違う自分らしさを発揮できる人が多い ・日本航空(JAL):協調性を重視。周りの人を活躍させられるリーダーシップと気配り力が求められる ●航空業界大手2社の平均年収・平均年齢・平均勤続年数 ●航空業界で働く魅力・やりがい ・国内外の多くの人と出会える ・異文化に触れる機会が多い ・重要な交通インフラに携われる ・格安で航空機に乗れる ・高収入を目指せる ●航空業界大手2社の選び方 ・自己分析で自分の強みや価値観を洗い出す ・情報収集ではワンキャリアの【選考対策ページ】を有効活用する ・ワンキャリア公式YouTubeチャンネル『【公式】ワンキャリアライブ』を活用する ・手間がかかる「業界研究」はワンキャリアにおまかせ ・企業研究を効率よく進めたい方には「合格の秘訣」がおすすめ ・就活の軸を見つけ、自分の価値観を整理する ●航空業界大手2社が求める人物像・選考対策 ・航空業界が求める人物像 ・航空業界の選考対策 ●航空業界以外の業界研究記事
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航空業界の特徴|事業内容/提供サービスを解説
航空業界は、旅客や貨物を世界中に運ぶ重要なインフラを提供しており、ビジネスモデルは航空券の直接販売や代理店を介した販売など、多岐にわたります。
また航空会社は、国内外のフルサービスキャリア(FSC)、ミドルキャリア(MCC)、ローコストキャリア(LCC)などに分類され、それぞれが異なるサービスや料金体系で顧客にアプローチしています。
航空業界は、空港運営会社とも密接に関わりながら運営されており、航空会社と空港会社の役割の違いも重要です。ここでは、航空業界の特徴と提供するサービスについて詳しく解説します。
ビジネスモデル
航空業界のビジネスモデルは多岐にわたりますが、そのなかでも航空券の直接販売と代理店を通じた販売の2つが代表的です。ここでは、それぞれの特徴を深掘りします。

航空券のみを販売する
航空業界のビジネスモデルの1つとして、航空券のみを販売する形態があります。顧客は航空会社のウェブサイトや窓口を通じて、直接航空券を購入し、航空会社はその代金を主な収益源とします。
このビジネスモデルは、出張や帰省で飛行機を利用する人、旅行先で自由に過ごしたいと考える人など、さまざまな顧客層に利用されています。
シンプルで分かりやすいサービス提供なので、航空券を購入する顧客は、自分で宿泊や移動手段を手配することが多い傾向があります。
代理店を介して販売する
航空業界では、HISやJTBなどの旅行代理店を通じて航空券を販売するビジネスモデルも一般的です。
代理店は「往復航空券+宿泊費」をセットにしたパッケージプランを提供することが多く、旅先について詳しくない人や旅行の手配に不安がある旅行初心者、さらには費用を抑えたいと考える人に人気があります。
このモデルでは、旅行代理店が航空会社との間に立ち、顧客に対して包括的な旅行プランを提案するため、顧客は手軽に旅行の準備ができます。また、代理店が提供する特典やサポートも多く、顧客満足度を高める要因となっています。
市場規模
経済産業省が発表した「我が国の航空機産業の現状と航空産業を取り巻く国際的な環境変化」によると、2019年の日本の航空宇宙工業生産額は約2.20兆円に達しました(※1)。
この数字は航空業界全体の市場規模を直接示すものではないものの、日本の航空機産業が着実に成長していることを示しています。また、旅客需要は年率3~4%で増加すると見込まれており、今後も航空業界の市場は拡大する可能性があります。
一方で、欧米の主要国の航空宇宙工業生産額は日本を大きく上回っています。例えば、アメリカは約28.69兆円、フランスは9.07兆円、ドイツは5.00兆円です。これに比べると、日本の航空機産業はまだ規模が小さいものの、グローバル化が進むなかで国内市場の成長の可能性は大きいといえるでしょう。
(※1)参考:経済産業省「我が国の航空機産業の現状と航空産業を取り巻く国際的な環境変化 P.4」
航空会社の種類
提供するサービスや料金体系に応じて、航空会社はフルサービスキャリア(FSC)・ミドルキャリア(MCC)・ローコストキャリア(LCC)の主に3種類に分かれます。
また、航空業界には空港運営会社もあり、航空会社とは異なる視点で空港施設の運営やサービスを提供しています。

フルサービスキャリア(FSC)
フルサービスキャリア(Full Service Carrier)とは、従来型の旅客サービスを提供する航空会社を指し、日本ではANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)が該当します(※2)。
フルサービスキャリアは、機内食や飲料の提供、無料の手荷物許容量が大きく、広範な路線網によって高い利便性を提供している点が特徴です。
運航上の遅延や欠航が発生した場合、宿泊費や交通費などの費用を航空会社が負担する手厚いサポート体制が整っている点も、フルサービスキャリアの大きな魅力です。
さらに、ファーストクラスやビジネスクラス、エコノミークラスなど、さまざまな座席クラスを提供しており、幅広い顧客層に対応しています。
(※2)参考:ソラハピ旅コラム「フルサービスキャリアってどんな航空会社?その充実したサービスとは」
ミドルキャリア(MCC)
ミドルコストキャリア(Middle Cost Carrier)とは、フルサービスキャリア(FSC)とローコストキャリア(LCC)の中間に位置する中堅航空会社を指します。日本では、スカイマーク・AIRDO(エア・ドゥ)・ソラシドエア・スターフライヤーなどが該当します(※3)。
MCCは、機内での飲食提供や無料手荷物の許容量が比較的大きいなど、FSCに近いサービスを提供しつつ、運賃はFSCよりも格安であることが特徴です。そのため、コストを抑えつつ快適なサービスも重視したい顧客に人気があります。
また、AIRDOは北海道と羽田間、ソラシドエアは九州と羽田間といった特定の地域間を運航していることが多く、利用者は旅先に応じてMCCを選べます。これらのMCCは、すべて羽田空港を発着しているため、アクセスの良さも魅力の1つです。
(※3)参考:TRiP EDiTOR「LCCでもない『MCC』ってなに?実は『コスパ最高』と噂の中堅航空会社の魅力」
ローコストキャリア(LCC)
ローコストキャリア(Low Cost Carrier)とは、運営にかかる経費を可能な限り抑えることで、低価格な運賃を提供する航空会社です。日本では、ピーチ・アビエーションやジェットスター・ジャパン、バニラエアなどがこれに該当します(※4)。
LCCは、特定区間に限定した運航や着陸料が比較的安い空港を利用することでコストを削減している点が特徴です。また、機内サービスの簡素化や、機内食や預入荷物などフルサービスキャリアでは無料で提供されるサービスを有料化することで、低価格な運賃を実現しています。
LCCは、交通費を抑えたい顧客に人気で、特に20代を中心とした若年層に高い支持を得ています。航空会社によっては、目的地までの交通手段としてLCCを活用し、宿泊費や観光費用に充てるといった旅行スタイルも広がっています。
(※4)参考:エアトリ「料金?機内サービス?航空会社の選び方」
空港運営会社
国内の空港には、国が直接管理する空港や国が出資する空港会社が運営する空港、地方自治体が管理する空港など、さまざまな運営形態があります。例えば、滑走路など空港の主要施設は国が管理し、旅客ターミナルなどの運営は民間に委託されているケースもあります(※5)。
2016年に開始された空港民営化の一環で、関西国際空港や大阪伊丹空港、仙台空港、高松空港、福岡空港などが民間委託による運営に移行しました。このような空港では、民間企業が主体となり、運営の効率化やサービスの向上を目指しています。
空港運営会社の主な収入源としては、着陸料や空港内での物販、飲食提供などがあります。これらの収入を基盤に、「施設運営」「物販」「飲食」の3つの事業を柱に、空港利用者に快適で便利なサービスを提供しています。
(※5)参考:日本経済新聞「地方空港とは 国や自治体など管理者、国際線はアジア軸」
空港業界との違い
航空業界と空港業界は密接に関連していますが、実際には異なる役割を担っており、空港業界が地上のインフラやサービスを担当するのに対して、航空業界は空を飛ぶサービスを提供するという違いがあります。
空港業界に属する企業は、空港そのものを運営し、飛行機の離着陸に関連する業務や、空港内のサービス提供を行うのが主な業務です。空港内での物販や飲食の提供、着陸料などが空港業界の収益源となっています(※6)。
一方、航空業界に属する企業は飛行機の運航を行う航空会社であり、国内ではANAやJALが代表的です。航空会社は、国内外の路線を運航し、主にチケット販売や貨物輸送による収入で利益を得ています。また、航空券の価格は予約時期や時間帯、座席のクラスによって変動するため、効率的な収益モデルを構築しています。
(※6)参考:ANAビジネスソリューション 転職支援サービス「航空業界にある職種|空港業界との違いや仕事に就くために必要な資格について解説。」
