こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を挙げて紹介する【最新版:業界研究】。
今回は「ガス業界」をお届けします。業界の基礎知識とともに、最大手の「東京ガス」とそれを追随する「大阪ガス・東邦ガス・西部(さいぶ)ガス」とを比較しながら、4社それぞれの企業風土と選考対策を紹介します。
では、詳しく見ていきましょう。
<目次>
●「自由化」の時代到来。大手ガス会社は「総合エネルギー化」
●業績比較
●各社の特徴と社風
・東京ガス
・大阪ガス
・東邦ガス
・西部ガス
●各社の平均給与
●おわりに
「自由化」の時代到来。大手ガス会社は「総合エネルギー化」
ガス業界での大きな話題となったのは、2017年4月の「都市ガスの小売全面自由化」です(※1)。2016年4月の「電力の小売全面自由化」に続き(※2)、家庭や中小企業でもガスの販売事業者を自由に選べるようになりました。
これを受けて、今までも火力発電用に大量のLNG(液化天然ガス)を輸入していた「電力会社」が相次いで「ガス事業」に参入し、強力な競合となり、対するガス事業会社も、生き残りを賭けて「総合エネルギー事業会社」へシフトしていきました。
その動きは、各社のガスと電気をまとめて提供するプランにも現れています。2016年のサービス開始から4年で、契約件数は東京ガスが250万件(※3)、大阪ガスが140万件超え(※4)と、着実に成果を上げています。
このようにガス事業会社と電気事業会社の競争関係は明確となり、都市ガス事業会社は「総合エネルギー事業会社」へシフトすることで、この競争を乗り越えていかなければならない状況です。
(※1)参考:経済産業省 資源エネルギー庁「ガス小売全面自由化」
(※2)参考:経済産業省 資源エネルギー庁「電力小売全面自由化」
(※3)参考:東京ガス「2020年度プレスリリース」
(※4)参考:大阪ガス「大阪ガスの電気」
業績比較
続いて、ガス業界で働く将来像に迫ってみましょう。自由化のインパクトは大きいものの、業績・財務状況を見ると企業としての安定感は依然として高いといえます。
※出典:2019年度有価証券報告書「東京ガス P.66/大阪ガス P.53/東邦ガス P.44/西部ガス P.43」
※会計基準は4社とも日本方式で、各社のデータは連結決算の数値となっています。
売上高・営業利益ともに最も高いのは東京ガスです。次点は大阪ガスで、2社ともに売上高が1兆円を超えています。
※出典:各企業HP「東京ガス/大阪ガス/東邦ガス/西部ガス/東京電力/関西電力/出光興産/中部電力」
次に、エネルギー業界各社の自己資本比率の表を見てみましょう。
ガス業界は自己資本の割合が約45〜50%を占める企業が多いことが分かります。近年の推移はやや右肩下がりではありますが、それでもガス業界の基盤の強さを感じることができます。
次に、各社の特徴と社風を見ていきましょう。
各社で共通している事業展開は、「電力事業の推進・強化」です。上述の通り「電力の小売り全面自由化」をうけて、同サービスの推進や、ガスとのセット販売を開始することで売上げを維持しようと努めています。
東京ガス
特徴:周辺サービスや海外に事業展開。危機意識から生まれる今後の成長への道
2019年時点でシェア約40%(※5)と圧倒的な地位を築いている東京ガスですが、激化する競争を勝ち抜くため基盤のガス事業を現状維持しつつも、他事業展開への取り組みも以下のような積極的に進める方針を打ち出しています。
(1)暮らし周辺のサービスへの展開
エネルギー供給だけでなく、これまで築かれたてきた顧客基盤や事業を生かした新しいサービスにも力を入れていく方針で、クラシルとの連携(※6)、留守中や離れて暮らしている家族の見守りサービス(※7)もその一部です。
(2)海外事業の展開
国内外で培ったLNGバリューチェーンに関わる経験を生かして、エリアごとの特性に応じた事業を深化・拡大を進めています。「LNGといえば東京ガス」というポジションを高めるとともに、市場の成長と自社の強みの発揮が見込まれる次なるエリアへの展開を視野に入れています。
また、既にベトナムやマレーシアを始めとして調達や販売などを行う海外支社を設立しており、海外からの輸入販路を確立していることが強みであるといえるでしょう(※8)。
(※5)参考:業界動向サーチ「ガス業界」
(※6)参考:東京ガス「充実のサービス」
(※7)参考:東京ガス「東京ガスのくらし見守りサービス」
(※8)参考:東京ガス「海外展開をしたい」
社風:チャレンジングな気風が認められる東京ガス。変革へ向けた姿勢
業界全体として事業者数が増えて競争が著しくなっていることから、会社としての危機意識も芽生え、組織風土や体制も、革新的な気風をはらんだものに大きく変わろうとしています。
実際にある内定者によると、「比較的年齢が上の社員と、ここ数年で入社した新卒社員は雰囲気が全然違う。事業展開やキャリアについて、よりチャレンジングな思考を持っており、社内のシステムを変えたいなどと述べる若手社員もいた」とのことです。
安定志向で穏やかなイメージのあるインフラ業界ですが、チャレンジングさと個人の成長サポートを徹底している風土に魅力を感じる学生におすすめといえるでしょう(選考対策ページより)。
▼東京ガスに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
大阪ガス
特徴:関西密着の姿勢を100年以上貫くインフラ企業。本気の海外展開
大阪ガスは1905年にガス事業を開始して以降(※9)、電力事業や住宅関連の事業など、サービスの幅を広げるとともに、現在は海外展開に力を入れています。
事実、2017年には連結経常利益の比率が「海外:国内(1:20)」であったものを、2030年には「海外:国内(1:2)」とし、連結経常利益自体も2017年度の3倍程度にすることを掲げています(※10)。
また、重点活動地域の北米、アジア、オセアニアを中心に、国内で培ったノウハウやこれまでに構築した海外事業基盤を最大限活用し、上流から中下流まで事業拡大を進めるとしています(※11)。
(※9)参考:大阪ガス「創業110年の歩み」
(※10)出典:大阪ガス「大阪ガスグループ長期経営ビジョン・中期経営計画Going Forward Beyond Borders P.4」
(※11)出典:大阪ガス「大阪ガスグループ長期経営ビジョン・中期経営計画Going Forward Beyond Borders P.8」
社風:関西仕込みの親しみやすい大阪ガス
新規参入に対する規制が2017年まで存在していたため、大阪ガスは必然的に関西圏に密着して事業を行ってきました。
人情を重視する方の多い関西圏において、地元の人々の支持を獲得するためには、親しみやすさが必要かもしれません。事実、ある内定者は「インターンやリクルーター面談でいろいろな社員に会ったが、距離感を縮めるためによく話しかけてくれる方が多かった」と振り返ります。
大阪ガスは社内外の双方において、充実した人間関係を得られる可能性が高い企業だと考えられるでしょう(選考対策ページより)。
▼大阪ガスに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
東邦ガス
特徴:東海エリアの工業と生活を支える立役者! 経営と人材に求められるのは「堅実さ」
国内3位のシェアを誇る東邦ガスは(※12)、売上高の約62%を「ガス事業」で占めています(※13)。
また、ガス販売量の約37億9,000万㎥のうち約83%が「業務用その他」用として供給されています(※14)。これは主要供給エリアの東海地方3県(愛知・三重・岐阜)に中京工業地帯を含むことが要因と考えられます。
2017年に始まるガス自由化の中でも長期的な供給を行ってきた東邦ガスには信頼があり、地域への営業力を持つため、競争が激しくなるガス業界の中でも生き残っていく強さを持っているといえるでしょう(選考対策ページより)。
(※12)参考:業界動向サーチ「ガス業界」
(※13)出典:東邦ガス「2019年度有価証券報告書 P.75」
(※14)出典:東邦ガス「2019年度有価証券報告書 P.16」
社風:まったり、待遇もいい働きやすい環境
東邦ガスは大手インフラ企業の例に漏れず、まったりとした社風や高待遇が魅力です。
また、社風も穏やかで、内定者によると「東京ガスと似ており、事業成長に前向きながらも落ち着いて日々の業務を行う人が多い。インフラは人々の当たり前の生活を支えることが重要なので、何か抜本的なことがしたいというよりも常にかげながら支えるのが好きな人が多いため、このような社風になっているのだと思う」と語るように、穏やかな環境の中で仕事を行えるようです。
日々のプレッシャーも小さく、比較的精神面で負荷の小さい業界なので、たんたんと仕事がしたい人やプライベートを充実させたい人にうってつけといえるでしょう(選考対策ページより)。
▼東邦ガスに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
西部ガス
特徴:北九州密着で穏やかな労働環境。「地域への貢献」と「人の魅力」を支持する社員多し
西部ガスの供給地域は、福岡・熊本・長崎3県で16市15町にのぼり(※15)、2019年度はガス事業とLPガス事業を合わせて、全体の売上高の70.9%を占めています(※16)。
中期経営計画では、事業構造の多様化を目指し、2026年度にはガスエネルギー以外の事業比率をこれまでの約20%から50%程度に引き上げるとしています(※17)。そのため、今後は不動産事業の拡大や熊本地区でのホテル事業の開始など、地域の暮らしに寄り添ったサービスを拡大していくと考えられます(※18)。
(※15)参考:西部ガス「供給区域」
(※16)参考:西部ガス「財務データ」
(※17)出典:西部ガス「グループ中期経営計画『スクラム2022』P.2」
(※18)出典:西部ガス「グループ中期経営計画『スクラム2022』P.3」
社風:九州の人々の生活に寄り添う、地域密着の働き方
上述のとおり、西部ガスは2026年度にはガスエネルギー以外の事業を50程度%引き上げる事業構造の多様化を進めており、西部ガスグループとしてガスのみならず、水素や電気などエネルギーの最適化、飲食店や商業施設開発など地域密着事業の多角化を目指しています。
地元密着は西部ガスの大きな特色で、内定者も「地元福岡・九州に貢献できる会社で働きたい」「地元九州の人々に貢献できること」という気持ちを持つ人が多く(※19)、九州の暮らしを多方面から支えることを仕事にしたい学生には、大変魅力的だといえるでしょう(選考対策ページより)。
(※19)参考:西部ガス 新卒採用サイト「内定者ボイス1/内定者ボイス2」
▼西部ガスに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
各社の平均給与
ガス大手4社の平均年収と平均年齢は以下の通りです。
企業名 | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) |
東京ガス | 660 | 43.0 |
大阪ガス | 654 | 43.3 |
東邦ガス | 564 | 42.6 |
西部ガス | 586 |
43.9 |
※出典:2019年度有価証券報告書「東京ガス P.9/大阪ガス P.9/東邦ガス P.9/西部ガス P.9」
※平均年収は小数点以下を四捨五入して算出
日本全体の40代の平均年収が約489万円(※20)です。都市ガス企業の財務基盤が強固なことから、給与は「安定した高収入」と評価できるでしょう。また、この平均年収は専門職を含んでいるため、総合職の給与はさらに高水準だと考えられます。
(※20)出典:国税庁長官官房企画課「平成30年分民間給与実態統計調査-調査結果報告- P.142」より算出し、小数点以下四捨五入
おわりに
いかがでしたか。今回はガス業界の動向と、都市ガス大手4社の特色をご紹介しました。
ガス業界はエネルギー領域で随一の安定性がありながら、自由化を契機に挑戦心を持って仕事に取り組むことができる、まさに「いいとこ取り」の志望先といえます。入念な対策で選考突破を目指しましょう。
より詳しい情報は、以下の選考対策ページをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
東京ガス
大阪ガス
東邦ガス
西部ガス
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
各企業のクチコミはこちらをご覧ください。
東京ガス
大阪ガス
東邦ガス
西部ガス
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
▼業界研究のまとめ記事はこちら
・【最新版:業界研究】めんどくさい業界研究は全て任せろ!業界ごとの人気企業を徹底比較・総まとめ!
・【業界研究:第1弾】大好評!24業界、30本の記事を総まとめ!人気企業を徹底比較!