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就活サイトトップ就活記事建築の仕事とは?種類や仕事内容、向いている学生の特徴も解説

建築の仕事とは?種類や仕事内容、向いている学生の特徴も解説

建築
2025年3月24日(月) | 3,001 views

こちらの記事では、建築の仕事に興味を持つ就活生に向けて、建築の仕事の具体的な仕事内容やキャリアパス、有利な資格、選考対策を解説します。また、建築の仕事に向いている人や仕事の大変さについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

<目次>
●建築の仕事とは? 仕事内容と魅力
 ・建築の企画や設計、デザインに関係する仕事
 ・図面、模型の作成、積算に携わる仕事
 ・工事、内装に携わる仕事
●建築関係の仕事の主なキャリアパス
 ・主なキャリアパス
 ・他職種・未経験から建築関係の仕事へのキャリアパス・転職事例
 ・建築関係の仕事から他職種へのキャリアパス・転職事例
●建築関係の仕事のやりがい・年収・将来性
 ・働く上でのやりがい
 ・建築関係の仕事の年収・待遇
 ・建築関係の仕事の将来性
●建築関係の仕事は未経験でも可能? 向いている人の特徴
 ・技術的な興味や好奇心がある
 ・論理的思考と問題解決能力を持つ
 ・チームワークとコミュニケーション能力がある
 ・忍耐力やストレス耐性が高い
 ・細部に注意を払える
 ・安全意識を持って作業できる
●建築関係の仕事はきつい? 大変なところ
 ・長時間労働になりやすい
 ・体力的な負担が大きい
 ・資格取得が難しい
 ・キャリアプランを立てにくい
 ・3K(きつい・汚い・危険)のイメージ
●建築業界で求められるスキル
 ・技術的スキル
 ・安全管理能力
 ・コミュニケーション能力
 ・プロジェクト管理スキル
●建築関係の仕事に有利に働く資格
 ・建築士関連の資格
 ・施工・管理系の資格
 ・設備・電気関連の資格
 ・測量・土地・不動産関連の資格
 ・建築・土木技術系の資格
 ・デザイン・インテリア系の資格
 ・その他の資格
●建築関係の仕事の選考対策
 ・エントリーシート(ES)対策
 ・Webテスト対策
 ・面接対策
 ・OB・OG訪問
●おわりに

建築の仕事とは? 仕事内容と魅力

建築業界にはさまざまな職種があり、それぞれに専門的なスキルが求められます。

たとえば、建築士やインテリアコーディネーターなどの設計・デザインに関わる職業、図面や模型の作成を担う職種、施工や仕上げに関わる職人など、幅広い分野があります。

ここからは、建築業界の代表的な職業とその仕事内容を紹介します。


建築の企画や設計、デザインに関係する仕事

建築の設計やデザインに関わる仕事は、建築物の構造や空間を考え、快適な生活環境を提供することを目的としています。建築士や空間デザイナーなどの専門職が活躍する分野です。



建築士


建築士は、建物の設計や施工管理を行う専門家です。建築主の要望をもとに、安全性やデザイン性を考慮しながら設計を進めます。

建築基準法に基づいた設計を行い、耐震性や耐久性を確保することも重要な業務の1つです。

資格としては「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」があり、それぞれ設計できる建物の規模や種類が異なります。


インテリアコーディネーター


インテリアコーディネーターは、室内空間を美しく、機能的に整える仕事です。壁紙や照明、家具、キッチン設備などの選定を行い、依頼主の希望に沿った空間を作ります。

建築士が建物の骨格を設計するのに対し、インテリアコーディネーターはその内装部分をデザインする役割を担います。

資格は必須ではありませんが、取得することで専門性を証明できます。


空間デザイナー


空間デザイナーは、商業施設やオフィス、ホテル、美術館など、建築物の内外を問わずデザインする職業です。照明や色彩計画を工夫し、利用者にとって快適で魅力的な空間を創り出します。

インテリアコーディネーターよりも幅広い分野を担当し、デザインだけでなく、ブランディングや演出の観点も求められます。


図面、模型の作成、積算に携わる仕事

建築物の完成には、詳細な図面や模型の作成、コスト計算が欠かせません。これらの仕事は、設計や施工のスムーズな進行を支える重要な役割を果たします。



CADオペレーター


CADオペレーターは、建築設計の過程でコンピューターを使用して図面を作製する職業です。建築士が描いたラフスケッチや設計図を、CADソフトを用いて詳細に仕上げ、修正や調整を行います。

デジタル技術を活用することで、設計の精度を高め、施工時のミスを減らす役割を果たします。


建築模型制作士


建築模型制作士は、設計図をもとに縮尺模型を作成する専門職です。建築計画の段階で、図面だけでは分かりにくい部分を視覚的に表現し、問題点を事前に把握するために活用されます。

手先の器用さや緻密な作業が求められ、特に住宅メーカーや設計事務所で需要があります。


建築積算技術者


建築積算技術者は、建物を建設するために必要なコストを算出する専門職です。設計図や仕様書をもとに、必要な材料や工事費を計算し、見積書を作成します。

プロジェクトの予算管理に関わるため、計算力や建築知識が求められる仕事です。


工事、内装に携わる仕事

建築の現場では、多くの職人や技術者が働いています。施工や仕上げ作業を担う仕事は、建物の完成度を左右する重要な役割を果たします。



建築施工管理技士


建築施工管理技士は、工事現場の進行を管理し、スケジュール通りに建物を完成させる役割を担います。資材や作業員の手配、コスト管理、安全管理などを行い、施工がスムーズに進むように調整します。

資格として「1級建築施工管理技士」「2級建築施工管理技士」があり、担当できる工事の規模が異なります。


大工


大工は、木造建築の骨組みを作る職人です。設計図をもとに、木材の加工や組み立てを行い、建物の構造を築いていきます。

資格や学歴は必須ではなく、親方のもとで修行するケースや専門学校で学んでから就職するケースがあります。


左官


左官は、建物の壁や床を塗る職人です。しっくいや珪藻土(けいそうど)などの自然素材を使用することが多く、美観や機能性を高めるための重要な工程を担います。

技術が必要とされる仕事であり、国家資格である「左官技能士」を取得することで、スキルを証明できます。


塗装工


塗装工は、建築物の外壁や内装を塗装する職業です。塗装によって建物を美しく仕上げるだけでなく、防水性や耐久性を向上させる役割もあります。

建築塗装工と自動車塗装工の2つの分野があり、特に建築塗装工は住宅や商業施設の仕上げに関わります。


溶接工


溶接工は、金属部品を接合する技術を用いて建築や製造業で活躍する職人です。高温で金属を溶かし、接合することで強度の高い構造を作り出します。

鉄骨造の建築物や橋梁(きょうりょう)など、大型のプロジェクトにおいて重要な役割を果たします。


配管工


配管工は、建築物の給水・排水・ガス・空調設備を設置する職人です。ライフラインの構築に関わるため、高い技術と正確な作業が求められます。住宅やビル、工場など、幅広い建築物で活躍できる仕事です。

建築関係の仕事の主なキャリアパス

建築業界では、経験を積みながらステップアップし、さまざまなキャリアパスを描くことができます。

一般的には、事務所や企業で経験を積んで管理職を目指す道、資格を取得して専門性を高める道、独立して自ら事業を展開する道などがあります。それぞれのキャリアパスについて詳しく解説します。


主なキャリアパス

建築業界でのキャリアパスは大きく分けて、企業や事務所での昇進を目指すマネジメント職、資格を取得して専門性を追求するスペシャリスト職、そして独立して自身のスキルを生かす道の3つがあります。どの道を選ぶかは、自身の目指す働き方や適性によって異なります。



事務所などで経験を積み、管理職になる


建築業界では、企業や設計事務所、ゼネコンなどで経験を積みながら、管理職へとステップアップする道があります。

たとえば、施工管理の現場では、現場監督補助からスタートし、小規模な現場の責任者としての経験を積み、最終的には工事部長やマネジャー職へと昇進します。

設計事務所では、設計アシスタントとしてキャリアを開始し、設計主任や設計室長などの管理職に進むケースが一般的です。

管理職になることで、プロジェクト全体を統括し、より大きな責任を担うことになります。チームマネジメントや意思決定力が求められ、経営的な視点も必要になります。安定したキャリアパスですが、現場での経験を積み、専門知識を深めることが欠かせません。


資格を取得する


建築業界では、資格の取得がキャリアアップの大きな鍵です。代表的な資格には「一級建築士」「二級建築士」「建築施工管理技士」「建築積算士」などがあり、これらを取得することで担当できる業務の幅が広がり、昇進や転職時にも有利です。

たとえば、設計の分野では、二級建築士の資格を取得すれば小規模な建築物の設計が可能になり、一級建築士を取得すればより大規模なプロジェクトに携われます。

施工管理の分野では、建築施工管理技士の資格を取得することで、工事現場の監督として活躍できます。近年では、BIMやIoT技術に関する資格も注目されており、建築のデジタル化に対応できるスキルを持つことが重要視されています。


専門分野で独立する


一定の経験を積んだ後、独立して自身の事務所や会社を設立する道もあります。設計事務所の開業、施工管理のコンサルティング、建築積算の専門家としての独立など、さまざまな形でキャリアを築くことが可能です。

たとえば、一級建築士の資格を取得し、自分の設計事務所を立ち上げ、住宅や商業施設の設計を手掛ける建築家として活躍する人もいます。また、施工管理の経験を生かし、独立して工事監理会社を設立するケースもあります。

独立には、専門的なスキルだけでなく、営業力や経営の知識も必要です。実績を積み、人脈を広げながら独立の準備を進めることで、成功する可能性が高まるでしょう。


他職種・未経験から建築関係の仕事へのキャリアパス・転職事例

ここでは、具体的な転職事例とともに、他職種・未経験から建築関係の仕事へのキャリアパスをご紹介します。

転職背景としては、新たなスキル習得の機会や、成長できる環境を求める動機が見られました。

新規事業企画・事業開発から測量への転職事例

転職を考えた理由・きっかけ
コロナに伴う勤務先の人員整理に伴い会社都合の退職。実力のなさや人員整理の対象になったことが非常に辛く、新規事業というワードできちんと成果を出している会社・実力をつけられる環境・修行できるようなベンチャーに入りたいと感じた。

※出典:ワンキャリアプラス「EoDからの転職体験談」
一般事務から建築設計の転職事例

転職を考えた理由・きっかけ
知り合いより紹介を受けました。設立したばかりの会社で、これから作りあげていくということに携わりたい思い、面白さも感じました。
これまで大手の会社でスキルを磨いてきたので、それを生かして力になりたいと思いました。

※出典:ワンキャリアプラス「明治安田生命保険からの転職体験談」
不動産企画・不動産開発から建築設計への転職事例

転職を考えた理由・きっかけ
業務の大半が社内及びグループ内で完結し、自分自身の視野が狭まっていると感じたこと。また当初目指していたことが達成された際に、やりがいを全く感じていない自身に気付いたため。

※出典:ワンキャリアプラス「JR東日本(東日本旅客鉄道)からの転職体験談」


建築関係の仕事から他職種へのキャリアパス・転職事例

続いて、建築関係の仕事から他職種への転職事例を紹介します。

転職の背景としては、業界の将来性や自身の市場価値をより高めたいという意識の変化が見られます。

建築設計からパッケージ導入コンサルタントへの転職事例

転職を考えた理由・きっかけ
大和ハウスでの経験を通じて、建設業界やプロジェクト管理のスキルを身につけましたが、より幅広い業界や課題に取り組むことで自身の視野を広げたいという思いが強くなり、ベイカレントコンサルティングでは、戦略立案や業務改善、デジタル化推進など、多様なプロジェクトに関与することができるため、コンサルティングスキルを磨いていき、自身の市場価値をあげたいと思った。

※参考:ワンキャリアプラス「大和ハウス工業からの転職体験談」
プラント設計から戦略コンサルタントへの転職事例

転職を考えた理由・きっかけ
精油・肥料・薬品など様々な種類のプラント設計・技術営業業務に関わっていましたが、2000年代後半の世界情勢の変化に伴ってビジネス環境が大きく悪化したことをきっかけに、プラントビジネスの世界に一生を捧げることのリスクに気づいたためです。

※参考:ワンキャリアプラス「日揮(旧:日揮プラントイノベーション)からの転職体験談」
空調設備設計からインフラエンジニアへの転職事例

転職を考えた理由・きっかけ
「自身の可能性を現状の狭い世界に閉じ込めて置きたくないから」です。
現状の業界だけの専門家になったとしても、汎用性や将来性といった面でキャリアの未来が見えなくなりました。それに比べ、IT業界は今後の将来性と汎用性が非常に強く、広く社会に影響を与えられると考えたために転職活動をし始めました。

※参考:ワンキャリアプラス「東京ガスからの転職体験談」

建築関係の仕事のやりがい・年収・将来性

建築業界で働く魅力は多岐にわたります。ここからは、建築関係の仕事のやりがいについて詳しく紹介します。


働く上でのやりがい

建築業界には、仕事を通じて得られる多くのやりがいがあります。特に「ものづくりが好き」「チームで協力する仕事がしたい」「社会に貢献したい」と考える人にとっては、充実したキャリアを築ける職場です。ここでは、建築関係の仕事の代表的なやりがいを5つ紹介します。



ものづくりの楽しさを味わえる


建築業界では、ビルや住宅などの建物を一からつくり上げる仕事に携われます。更地の状態から設計を行い、施工を進め、最終的に形あるものとして完成させる過程には、大きな魅力があります。

自分の手がけた建物が多くの人に利用されることで、仕事の成果を実感しやすい点も特徴です。計画通りに作業を進めながら、試行錯誤を重ねて完成を目指すため、ものづくりが好きな人にとっては理想的な仕事といえるでしょう。


チームで仕事に取り組む喜びがある


建築の仕事は、設計士・施工管理者・職人など、多くの人が関わるチームワークが重要な仕事です。それぞれが専門知識を生かしながら協力し、1つの建築物を完成させていきます。

現場では密なコミュニケーションが求められますが、その分、プロジェクトを共に進めることで信頼関係が生まれます。完成時には、チーム全体で達成感を共有できるのも大きな魅力です。

人と協力しながら働くことが好きな人には、非常にやりがいのある仕事です。


建物・街が完成したときの達成感が大きい


建築業界では、1つのプロジェクトが数カ月から数年単位で進行することも珍しくありません。その分、完成したときの達成感は非常に大きなものです。

特に、街の中に自分が携わった建築物が形として残り、多くの人が利用する姿を見たときには、誇らしい気持ちになるでしょう。

施工中は、さまざまな課題や調整が発生することもありますが、それを乗り越えて完成にこぎつけることで、大きな成長を感じられる仕事です。


高い社会貢献性を感じられる


建築は、住宅・商業施設・公共インフラなど、人々の生活に欠かせないものをつくる仕事です。都市開発や災害復興、環境に配慮した建築設計など、社会全体の発展に貢献するプロジェクトにも携われます。

また、耐震性や省エネルギー技術を取り入れた建物づくりは、安全で快適な暮らしを支える役割を果たします。自分の仕事が社会の役に立っていると実感しやすく、やりがいを持って働ける点が魅力です。


手に職がつく


建築業界では、経験を積むことで専門技術や知識が身につきます。

特に、施工管理や設計、左官・大工といった職人技術は、一度習得すれば長く生かせるスキルです。資格を取得することで、より高いレベルの仕事に挑戦することも可能です。

将来的に独立して働く道も開かれており、「手に職をつけて安定したキャリアを築きたい」と考える人にとって、建築業界は魅力的な選択肢となるでしょう。


建築関係の仕事の年収・待遇

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると建設業の給与は、職種や経験年数によって大きく異なります。

20代の平均月収は約25万円ですが、経験を積むことで収入は上昇し、50代では月収40万円程度になることが一般的です(※1)。

なお、厚生労働省の職業情報提供サイトによると、具体的な職種ごとの年収は以下のようになります。

・インテリアコーディネーター:509.3万円
・CADオペレーター:452万円
・建築施工管理技術者:632.8万円
・大工:457.1万円
・左官:452.6万円
・建築塗装工:462万円
・溶接工:448.4万円
・配管工:512.5万円

※参考:jobtag「インテリアコーディネーター/CADオペレーター/建築施工管理技術者/大工/左官/建築塗装工/溶接工/配管工」

(※1)参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 速報」より算出


建築関係の仕事の将来性

建築業界は、今後も安定した需要が見込まれる分野ですが、人手不足が課題となっています。特に若い世代の入職者が減少しており、技術者の高齢化が進んでいる状況です。

しかし、国土交通省が進める待遇改善策により、給与の引き上げや週休2日制の導入など、働きやすい環境が整いつつあります(※2)(※3)。

また、IoTやBIMなどのデジタル技術の活用が進んでおり、建築業界は今後ますます効率化されると予測されます。技術革新に適応できる人材は、今後さらに重宝されるでしょう。

(※2)参考:国土交通省「建設業の賃上げ、働き方改革に向けた政府の取組 P.1」
(※3)参考:Beagle総合法律事務所「週休2日制の導入ガイド:建築業における働き方ガイド」

建築関係の仕事は未経験でも可能? 向いている人の特徴

建築業界は、未経験者でも挑戦できる分野が多くあります。特に、施工管理や職人系の仕事は、現場での実務を通じてスキルを身につけることが可能です。

しかし、建築の仕事に向いている人には、特定の適性が求められます。ここでは、建築業界で活躍できる人の特徴を紹介します。



技術的な興味や好奇心がある

建築の仕事は、設計・施工・管理など、さまざまな技術が関わる分野です。新しい建築技術や材料、工法の知識を学び、実践に生かすことが求められます。

そのため、ものづくりが好きな人や、新しい技術に興味を持ち、学び続けられる人は、この業界で成長しやすいでしょう。また、建物の構造や設計に興味がある人は、仕事にやりがいを感じながら働けます。


論理的思考と問題解決能力を持つ

建築プロジェクトでは、予期せぬ問題が発生することが多々あります。

たとえば、設計段階でのミスや施工中のトラブル、資材の調達遅延などが挙げられます。そのような状況で冷静に対応し、最適な解決策を考えられる論理的思考力が求められます。

複雑な計画を立てる設計職や、現場の進行を管理する施工管理職では、特にこのスキルが重要になるでしょう。


チームワークとコミュニケーション能力がある

建築の仕事は、1人で完結するものではありません。設計士、施工管理者、職人、施主など、多くの関係者と協力しながら進めるため、円滑なコミュニケーションが求められます。

現場では指示の伝達ミスが大きな問題につながるため、的確に意思疎通ができる力が必要です。また、チームで協力しながら1つの建物を完成させることに喜びを感じる人は、この仕事に向いているでしょう。


忍耐力やストレス耐性が高い

建築業界では、納期やコストのプレッシャー、現場での予期せぬトラブルなど、さまざまなストレス要因があります。また、施工管理や職人の仕事では、長時間の作業や体力的な負担が伴うこともあります。

そのため、困難な状況でも冷静に対応できる忍耐力が必要です。特に、大規模なプロジェクトでは長期間の作業が求められるため、継続して努力できる人が活躍しやすいでしょう。


細部に注意を払える

建築の仕事は、わずかなミスが大きな問題につながることがあります。設計では寸法のミスが施工のトラブルを引き起こす可能性があり、施工では仕上がりの品質を左右します。

そのため、細かい部分にまで気を配り、正確な作業を心がけられる人が向いています。特に、設計職や施工管理職では、細部へのこだわりがプロジェクトの成功を左右する重要な要素です。


安全意識を持って作業できる

建築現場では、高所作業や重機の使用など、安全管理が非常に重要です。少しの不注意が大きな事故につながる可能性があるため、常に安全意識を持って行動することが求められます。

ルールを守り、決められた手順で作業を進められる人は、建築業界で信頼される存在になります。また、施工管理職では、現場の安全管理を徹底する役割も担うため、リスク管理の意識が高い人が活躍しやすいでしょう。

建築関係の仕事はきつい? 大変なところ

建築業界にはやりがいが多い反面、厳しい面もありますが、近年は業界全体で改善の動きも進んでいます。ここでは、建築関係の仕事の大変な部分について解説します。



長時間労働になりやすい

建設現場では納期が厳しく設定されることが多く、スケジュール管理の難しさから長時間労働が発生しやすい傾向があります。特に施工管理の仕事では、朝早くから現場に入り、作業終了後も書類作成や調整業務に追われることがあります。

しかし、近年ではICTツールの導入や業務効率化により、残業削減の取り組みが進められています。ノー残業デーの導入・休日の確保・現場作業の自動化など、働き方改革が進行中です(※4)(※5)(※6)。

企業選びの際には、労働時間の管理がしっかりされている会社を選ぶことも重要なポイントです。

(※4)参考:公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会「企業ICT導入事例 -株式会社斉藤総業- 建設業界の常識を打破し、働き方改革を推進した中小企業の取り組み」
(※5)参考:十和田労働基準監督署「令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されます」
(※6)参考:国土交通省「i-Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~ P.7」


体力的な負担が大きい

建築業界では、重い資材を運ぶ、長時間立ち仕事をする、高所で作業をするなど、体力的な負担が大きい仕事が多くあります。そのため、体力に自信のある人でなければ続けるのが難しいと感じることもあります。

しかし、近年はパワーアシストスーツの導入や重機の活用、作業ロボットの導入などにより、負担を軽減する動きが進んでいます。

また、施工管理や設計職など、現場作業を行わない職種もあるため、体力的な負担が不安な人は、将来的にデスクワーク中心の仕事へキャリアチェンジする道も考えられます。


資格取得が難しい

建築業界には「一級建築士」「建築施工管理技士」「建築積算士」などの資格があり、これらを取得することでキャリアアップが可能です。しかし、多くの資格は難易度が高く、合格率が低いため、学習のための時間確保が課題です。

この問題を解決するために、多くの企業では資格取得支援制度を用意しています。学費補助や研修制度を活用することで、働きながら資格取得を目指せます。

また、オンライン講座や通信教育を活用することで、業務と学習の両立がしやすくなるでしょう。


キャリアプランを立てにくい

建築業界は職種や企業によってキャリアパスが大きく異なるため、明確なキャリアプランを立てにくい側面があります。

たとえば、施工管理から設計職への転職、現場作業からマネジメント職への昇進など、多様な選択肢がありますが、その道筋が明確でないことが課題です。

この問題に対処するためには、まず自身のキャリア目標を設定し、それに必要な資格やスキルを明確にすることが大切です。また、先輩社員や業界のロールモデルを参考にすることで、自分の目指す方向性を具体化しやすくなります。転職エージェントやキャリアコンサルタントを利用するのも1つの方法です。


3K(きつい・汚い・危険)のイメージ

建築業界は「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージを持たれがちですが、近年ではこれを改善する取り組みが進んでいます。

たとえば、最新の安全管理システムやIoT技術の導入により、危険な作業の自動化が進んでいます。ドローンやBIM(Building Information Modeling)を活用することで、現場作業の効率化やリスクの軽減が可能になりました(※7)。

また、女性技術者の増加や産休・育休制度の充実など、働きやすい環境整備が進められています。現在では「新3K(給与が高い・休暇が取れる・希望が持てる)」を目指す企業も増えており、若者や女性にとっても魅力的な業界へと変わりつつあります(※8)(※9)。

(※7)参考:SkyLink「BIM/CIM原則適用におけるドローン活用の可能性」
(※8)参考:一般財団法人 建設業振興基金「女性定着促進に向けたアクションプログラム P.2」
(※9)参考:国土交通省「新3Kを実現するための直轄工事における取組 P.1」

建築業界で求められるスキル

建築業界では、専門的な技術だけでなく、安全管理やプロジェクト運営、コミュニケーション能力など、多様なスキルが求められます。ここでは、建築業界で求められる主要なスキルについて解説します。



技術的スキル

建築業界で働く上でで、施工技術や測量の基礎知識は必須です。施工技術では、建築物を安全かつ効率的に建設するための工法や材料の特性を理解し、正確に作業を進める能力が求められます。

また、測量技術は土地の形状や面積を把握し、設計通りに施工するために重要です。特に施工管理や設計の仕事では、建築基準法や構造計算の知識も求められるため、学習を続けることがキャリアアップにつながります。

未経験者でも、基本的な技術を学んでおくことで、スムーズにスタートを切れるでしょう。


安全管理能力

建築現場では高所作業や重量物の取り扱いなど、危険を伴う作業が多いため、安全管理能力が求められます。事故を未然に防ぐためには、リスクを予測し、適切な対策を講じる危機察知能力が不可欠です。

また、現場では安全基準や作業手順の順守が求められ、施工管理者は作業員に対して適切な指導を行う必要があります。定期的な安全教育や訓練を受けることで、安全意識を高め、現場全体の事故リスクを減らすことができます。

安全管理の徹底は、建設業界全体の信頼性を向上させる重要なスキルです。


コミュニケーション能力

建築業界では、多くの関係者が関わるため、円滑なコミュニケーションが欠かせません。施工管理者は職人や設計者、発注者との調整役となることが多く、指示を正確に伝える能力が求められます。

また、現場ではスピード感のある意思決定が必要な場面も多いため、迅速に情報を共有し、チームワークを高めることが重要です。

さらに、クライアントとの打ち合わせでは、専門用語を分かりやすく説明するスキルも求められます。良好なコミュニケーションは、建築プロジェクトの成功に直結する大切な要素です。


プロジェクト管理スキル

建築プロジェクトは、計画から完成まで長期間にわたることが多いため、スケジュールやコストを適切に管理する能力が求められます。

特に施工管理者やプロジェクトマネジャーは、工期の遅れを防ぐために、作業の進捗(しんちょく)を細かくチェックし、必要に応じて調整を行います。

また、資材の調達や人員の配置など、複数のタスクを同時に管理する力も重要です。リーダーシップを発揮しながら、プロジェクト全体を円滑に進めるスキルは、建築業界では高く評価されるでしょう。

建築関係の仕事に有利に働く資格

建築業界では、専門性の高い仕事が多いため、資格を取得することでキャリアアップや就職に有利です。特に、設計や施工管理、設備関連の分野では、資格がないと業務を担当できないケースもあります。ここでは、建築業界で有利に働く資格を分野別に紹介します。


建築士関連の資格

建築業界では、資格がキャリアアップや業務の幅を広げる上で重要な役割を果たします。特に建築士関連の資格は、設計・施工監理に関わる職種で必要とされることが多く、資格の有無によって担当できる仕事の範囲が変わります。ここでは、建築関係の仕事に役立つ代表的な建築士資格について解説します。



一級建築士


一級建築士は、建築士資格の中でも最高ランクに位置する国家資格です。取得すると、一般住宅だけでなく、超高層ビルや商業施設、公共施設など、あらゆる規模の建築物の設計・監理が可能になります。

建築業界で幅広く活躍できるため、設計職や施工管理職を目指す人にとっては、最も価値のある資格の1つといえます。受験資格には建築学科の大学卒業などの要件があり、合格率も低いため、十分な勉強と実務経験が必要です(※10)。

(※10)参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター「受験資格」


構造設計一級建築士


構造設計一級建築士は、一級建築士の資格を持つ人のなかでも、特に構造設計に特化した専門資格です。この資格を取得すると、大規模な建築物や高層ビルの構造設計を担当できるようになります。

通常の一級建築士では対応できない特殊な構造計算が求められる建築物にも携われるため、専門性が高く、キャリアアップに直結する資格といえます。

受験には一級建築士の取得後、最低5年間の実務経験が必要となるため、難易度は高いですが、それに見合う高い評価と報酬が期待できます(※11)。

(※11)参考:一般社団法人 日本建築士事務所協会連合会「【平成20年施行改正建築士法についてのQ&A】 P.13」


二級建築士


二級建築士は、一級建築士と比べると扱える建築物に制限があるものの、戸建て住宅や小規模な建築物の設計・監理を行うことができる資格です。都道府県ごとに免許が交付されるため、地域に根ざした住宅設計などの仕事に携わることができます。

実務経験なしでも大学や専門学校の建築系学科を卒業すれば受験資格を得られるため、新卒の就活生にとっても取得しやすい資格の1つです。建築業界に入るなら、まずこの資格を取得することで、業務の幅が広がるでしょう(※12)。

(※12)参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター「受験資格」


木造建築士


木造建築士は、木造建築物の設計・監理に特化した資格です。伝統的な日本家屋や古民家のリノベーション、神社仏閣の修復など、木造建築に関する専門的な知識と技術が求められます。

RC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)の建物には対応できませんが、木造住宅市場が根強い日本では一定の需要があります。

二級建築士と同じく、実務経験なしでも受験資格を得ることができるため、建築学科を卒業した人は取得を目指しやすい資格です(※12)。


管理建築士


管理建築士は、建築士事務所を開設・運営するために必要な資格です。2005年の構造計算書偽造問題をきっかけに、2008年の建築士法改正で制度化されました。

建築士事務所には、専任の管理建築士を置くことが義務付けられており、設計業務の責任者として建築士事務所全体を統括する役割を担います。

将来的に独立して事務所を開きたい人にとっては必須の資格であり、一級建築士または二級建築士の資格取得後、一定期間の実務経験を経て取得することが可能です(※13)。

(※13)参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター「管理建築士」


施工・管理系の資格

建築業界では、施工や管理業務を担う資格が数多く存在します。施工管理者や職人としてのスキルを証明する資格を取得することで、業務の幅が広がり、キャリアアップにつながります。ここでは、施工・管理系の代表的な資格について紹介します。



施工管理技士


施工管理技士は、建築・土木・電気工事・管工事・造園・電気通信・建設機械の7つの分野に分かれた国家資格です。この資格を持つことで、工事現場の管理者としてスケジュール管理や品質管理、安全管理を担当できます。

特に1級施工管理技士を取得すると、大規模な建設の監督業務を任されることが多くなり、昇進や給与アップのチャンスが広がります。施工管理職を目指す人にとっては、ぜひ取得を検討したい資格です(※14)。

(※14)参考:日本建設情報センター「施工管理技士とは?資格7種類と難易度、受験資格まで解説!」


解体工事施工技士


解体工事施工技士は、解体工事現場の施工管理を行うために必要な資格です。建築物の老朽化や都市再開発に伴い、解体工事の需要は年々増加しています。

特に、解体工事の規模が大きくなるにつれて、安全性や環境への配慮が求められるため、専門的な知識を持つ技術者の役割は重要です。

この資格を取得すると、解体工事業の登録に必要な「技術管理者」や「主任技術者」として活躍できるため、業界での安定したキャリアを築くことができます(※15)。

(※15)参考:全解工連「解体工事施工技士について」


建設機械施工管理技士


建設機械施工管理技士は、ショベルカーやブルドーザーなどの建設機械を用いた工事の管理を行うための資格です。資格には1級と2級があり、2級では特定の機械の運転技術者や一般建設業の主任技術者として働くことができます。一方、1級を取得すると、より大規模な現場で指導・監督を行う立場になれます。建設機械を扱う業務に携わる場合、取得しておくことで専門性を証明でき、キャリアの選択肢が広がるでしょう(※16)。

(※16)参考:建設機械施工管理技術検定(1級・2級 第一次検定・第二次検定)「技術検定の受検」


基礎施工士


基礎施工士は、建築の土台となる基礎工事の専門資格です。特に、場所打ちコンクリートくい工事の技術を証明する資格であり、ビルやマンションなどの大規模建築の現場で求められます。

基礎工事は建築物の安全性を左右する重要な工程であり、施工の正確さが求められるため、この資格を持つことで業界内での評価が高まります。また、障害物撤去や資材運搬の指示、作業手順の確認など、施工管理の業務にも関わるため、現場監督を目指す人にも有利な資格といえるでしょう(※17)。

(※17)参考:一般社団法人 日本基礎建設協会「基礎施工士」


左官技能士


左官技能士は、建物の壁や床をモルタルやしっくいなどで仕上げる技術を認定する資格です。

職人の技術が求められる仕事であり、資格には1級・2級・3級があります。3級は合格率が90%と比較的高いですが、2級・1級になると合格率は約30%まで下がり、高度な技能が必要です(※18)。

特に、伝統的な日本建築やリノベーションの分野で左官職人の需要が高まっており、資格を取得することで高い専門性を証明できる職種です。

(※18)参考:日本工科大学校「左官技能士とは」


舗装施工管理技術者


舗装施工管理技術者は、道路の舗装工事に関する技術と管理能力を証明する資格です。舗装工事は都市整備や交通インフラの整備に欠かせない分野であり、安全性や耐久性を確保するための専門的な知識が求められます。

この資格を取得すると、道路工事の現場で指導・監督を行うことができ、将来的に管理職へとステップアップする際にも有利です。

特に、公共工事やインフラ整備に関わる仕事を希望する人にとっては、持っておくと有利な資格です(※19)。

(※19)参考:一般社団法人 日本道路建設業協会「舗装施工管理技術者資格試験」


設備・電気関連の資格

建築業界では、建築設備や電気設備の管理・設計・施工に関わる専門資格が多数あります。これらの資格を取得することで、設備の設計や施工、保守点検などの仕事に従事しやすくなります。ここでは、設備・電気関連の代表的な資格を紹介します。



建築設備士


建築設備士は、建物の空調、給排水、電気設備などの設計・管理に関する専門資格です。

近年の建築物は複雑な設備システムを持つため、設計段階から設備の専門家が関与することが求められています。建築士が設計した建物の設備面での改善点を指摘し、より快適で効率的な設備計画を提案するのが主な役割です。

建築士資格を取得した後に、一定の実務経験を積むことで受験資格を得られるため、建築設備に関心がある人は目指す価値のある資格です(※20)。

(※20)参考:日建学院「建築設備士の受験資格は?必要な実務経験や自己申告の注意点について解説!」


設備設計一級建築士


設備設計一級建築士は、大規模建築物(3階以上、延床面積5,000平方メートル以上)を設計する際に必須となる資格です。平成18年の建築士法改正により新設された資格で、設備設計・設備工事の監理、建築確認の審査などを行います(※21)。

建築設備士と異なり、一級建築士の資格を取得した後に受験資格が得られるため、専門性の高い資格です。大規模プロジェクトに携わることを目指す人には、有利な資格といえます。

(※21)参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター「設備設計一級建築士」


ボイラー技士


ボイラー技士は、ボイラーを安全に運転・管理するための国家資格です。ボイラーは空調設備や給湯設備の要となる機器であり、適切な運用が求められます。

ボイラー技士の資格には「2級」「1級」「特級」の3種類があり、取り扱えるボイラーの規模が異なります。

特に工場やビル管理、発電所などの設備管理において需要が高く、資格手当が支給されることが多いため、安定した収入が見込める資格です(※22)。

(※22)参考:一般社団法人 日本バイラ協会「ボイラー技士等関係免許」


消防設備士


消防設備士は、建物に設置される消火設備や警報設備の設置・点検・メンテナンスを行うための資格です。国家資格のなかでも比較的取得しやすく、消防設備の分野での就職・転職に有利です。

消防設備士には甲種と乙種があり、さらに扱える設備の種類ごとに細かく分類されています。

甲種は設計・施工・点検が可能であり、乙種は整備・点検業務のみが認められています。建築業界に限らず、ビル管理や防災関連の仕事を希望する人にとっても有用な資格です(※23)。

(※23)参考:SAT「消防設備士甲種とは?仕事内容や受験資格、試験内容を確認しよう!」


消防設備点検資格者


消防設備点検資格者は、消防設備の定期点検を実施し、報告書を作成するための資格です。

消防法により、建物に設置された消防設備は定期的に点検しなければならず、この資格を持つ人が点検を担当します。

資格には「第1種」「第2種」「特種」があり、それぞれ点検できる設備が異なります。比較的難易度は低いものの、甲種または乙種の消防設備士、電気工事士などの関連資格を持っていないと受験できないため、事前の計画が重要です(※24)。

(※24)参考:一般財団法人 日本消防設備安全センター「第1種・第2種消防設備点検資格者講習」


電気工事士


電気工事士とは、電気関連の工事を実施する際に必要な国家資格です。電気工事士の資格は第一種と第二種があり、第二種の方が未経験者向けです。電気工事士第二種を取得すると、小規模店舗や住宅など600V以下の工事に関われるようになります(※25)。

筆記試験・技能試験と分かれており、令和6年度の第二種電気工事士の合格率は「69.5%」でした(※26)。しっかり勉強すれば、十分に合格を狙える資格です。

(※25)参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」
(※26)参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度第二種電気工事士下期技能試験の結果について P.1」


電気主任技術者


電気主任技術者は、建物や工場などの電気設備の保守・管理を行うための国家資格です。建築物の電力供給や安全管理を担う重要な役割を持ち、電気工事士よりも高度な知識と技術が求められます。

資格は「第一種」「第二種」「第三種」に分かれ、管理できる電力規模が異なります。第三種はビルや工場の電気設備管理に必要とされ、難易度が高いものの取得すれば高収入が期待できます。

電気関連の仕事を目指す人にとっては、キャリアアップにつながる有利な資格です(※27)。

(※27)参考:一般財団法人 電気技術者試験センター「電気主任技術者の資格概要」


空調設備士


空調設備士は、空調システムの設計・施工・メンテナンスを行う専門資格です。公益社団法人空気調和・衛生工学会が認定しており、正式名称は「空気調和・衛生工学会設備士」です。

近年、建物の省エネルギー化や快適な室内環境の確保が求められるなか、空調設備の重要性は増しています。

空調設備士の資格を取得すると、空調機器の設置だけでなく、給排水設備や環境衛生設備の工事にも携わることが可能になります(※28)。

(※28)参考:公益社団法人 空気調和・衛生工学会整備士資格検定試験「工学会設備士の目的・評価」


浄化槽設備士


浄化槽設備士は、浄化槽の設置工事における施工管理を担当する国家資格です。

日本では下水道が整備されていない地域も多く、個別の浄化槽設置が必要なケースがあります。そのため、浄化槽設備士の資格を持っていると、環境保全や衛生管理の観点からも重要な役割を果たすことができます。

資格を取得するには、指定講習を受講した後、国家試験に合格する必要があります。資格を持っていることで転職の際に有利になり、設備管理の分野で長期的に活躍できる可能性が高まります(※29)。

(※29)参考:公益財団法人 日本環境教育センター「浄化槽設備士試験のご案内」


測量・土地・不動産関連の資格

建築や都市開発において、測量や土地の管理、不動産の適正な取引は非常に重要です。これらの分野で活躍するためには、専門的な資格が求められます。ここでは、測量・土地・不動産関連の主要な資格を紹介します。



測量士


測量士は、土地の正確な位置や面積、高低差を測定し、都市開発や建築工事の基礎となるデータを提供する専門職です。

公共工事や民間開発において、測量データが設計や施工の重要な指標となるため、建築・土木業界で高い需要があります。

測量士の主な業務は、専用の測量機器を使用して角度や距離を測定し、地形図や測量図を作成することです。また、測量計画の策定やデータ解析も行います。測量士試験は受験資格がなく、誰でも挑戦できるため、建築・土木分野に興味がある人におすすめの資格です(※30)。

(※30)参考:国土交通省 国土地理院「令和7年測量士・測量士補試験について(受験案内)」


土地家屋調査士


土地家屋調査士は、不動産の境界確定や登記手続きを専門とする国家資格です。

主な業務は、土地の分筆や合筆、新築建物の登記申請などの手続きの代行です。また、地図作成や測量業務も行い、不動産の権利関係を明確にする役割を担っています。

この資格は独占業務のため、資格を取得すれば独立開業も可能です。不動産登記に関する法的知識が求められ、書類作成や手続き業務が多いため、正確性や慎重さが求められます。不動産業界や測量業界でキャリアアップを目指す人には有利な資格です(※31)(※32)。

(※31)参考:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士について」
(※32)参考:東京法経学院「土地家屋調査士にしかできない『独占業務』とは?」


宅地建物取引士


宅地建物取引士(宅建)は、不動産取引における専門家を指す国家資格です。

不動産、建設、金融といった業種では不動産の取引が多く、宅建の資格を取得すれば不動産取引に関する説明や契約書作成ができるので有利に働きます。また行政と社会との規律を定めた法律も学ぶため、法律知識を習得できます。

宅地建物取引士(宅建)の合格率はおおよそ15%前後となっており、取得がやや難しい資格です(※33)。

(※33)参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「試験実施概況(過去10年間)」


不動産鑑定士


不動産鑑定士とは、建物や土地の価値を算定する際に必要となる国家資格です。取得すると、以下の業務に携われます。

  • 国や都道府県が行う地価調査
  • 相続する土地に関する評価
  • 不動産に関するコンサルティング

不動産や建設、不動産、金融、鉄道などの業界で生かせる資格です(※34)。

短答式・論文式試験の2種類があり、令和6年度短答式試験の合格率は「約36.2%」で、令和5年度論文式試験の合格率は「約16.5%」です(※35)(※36)。

(※34)参考:日本不動産鑑定士協会連合会「不動産鑑定とは?」
(※35)参考:日本不動産鑑定士協会連合会「
令和6年不動産鑑定士試験短答式試験の結果について」
(※36)参考:日本不動産鑑定士協会連合会「
令和5年不動産鑑定士試験(論文式試験)の結果について」


競売不動産取扱主任者


競売不動産取扱主任者は、不動産競売に関する専門知識を持つ資格で、一般社団法人 不動産競売流通協会(FKR)が認定しています。

不動産競売は、裁判所が主導する特殊な取引であるため、民事執行法や不動産関連法規の知識が必要です。

この資格を取得すると、競売物件の適正な評価や購入者へのアドバイス、競売物件の取引支援などを行うことができます。宅地建物取引士とあわせて取得すると、不動産業界での活躍の幅が広がるため、不動産取引に興味がある人におすすめの資格です(※37)。

(※37)参考:一般社団法人 不動産競売流通協会「競売不動産取扱主任者」


建築・土木技術系の資格

建築や土木の分野では、専門技術の向上や業務の正確性を高めるために、さまざまな技術系資格が用意されています。ここからは、建築・土木技術系の主要な資格を紹介します。



技術士(建設部門)


技術士(建設部門)は、建築・土木工学に関する高度な知識と問題解決能力を証明する国家資格です。技術士は技術分野の最高位資格とされており、取得すると、公共事業の設計や管理、技術コンサルタントとしての業務に携わることができます。

取得するには、技術士補の資格を取得し、その後4年以上の実務経験を積む必要があります。

試験の難易度は非常に高く、専門知識だけでなく、幅広い課題解決能力も求められますが、資格を取得することで、建設業界における信頼度やキャリアの選択肢が大きく広がります(※38)。

(※38)参考:ベスキャリ建設「技術士補はいずれなくなる?技術士補廃止が検討される理由と今後の動向」


建築積算士


建築積算士は、建築プロジェクトのコストを見積もる専門職です。

建築において「積算」は重要な業務の1つであり、設計図をもとに必要な材料や人件費を計算し、適切な予算を算出する役割を担います。施工管理や発注業務にも関わるため、コスト管理や資材調達に関する知識も必要です。

デスクワークが多く、細かい計算が求められる仕事ですが、建築コストの適正化に貢献できる重要なポジションです。施工管理や設計業務に携わる人にとって、業務の幅を広げるために役立つ資格といえます(※39)。

(※39)参考:公益社団法人 日本建築積算協会「資格について」


コンクリート診断士


コンクリート診断士は、コンクリートの劣化や強度を診断し、補修・補強の計画を立てる専門資格です。建築や土木の現場で、構造物の長寿命化や安全性向上のために重要な役割を果たします。

試験では、コンクリートの性質、調査方法、補修・補強技術、関連法規などが出題され、四肢択一式問題と記述式問題があります。受験には、講習の受講に加えて、指定された資格の保有や実務経験が求められます。

老朽化した建築物の維持管理が課題となる現代において、コンクリート診断士の需要は高まっています(※40)(※41)(※42)。

(※40)参考:日本コンクリート工学会「コンクリート診断士試験問題出題傾向 P.1」
(※41)参考:日本コンクリート工学会「受験資格と提出書類の早見表」
(※42)参考:日本コンクリート工学会「実務経験による受験資格」


コンクリート技士


コンクリート技士は、コンクリートの製造・施工・品質管理を行う専門資格です。建築現場やコンクリート工場において、コンクリートの強度や状態を確認し、安全で高品質な構造物を作るための業務を担当します。

上位資格としてコンクリート主任技士があり、より高度な知識と経験が求められます。コンクリートは建築や土木工事において欠かせない材料であるため、資格を取得することで業界内での専門性が高まり、安定したキャリアを築くことができるでしょう(※43)。

(※43)参考:日本コンクリート工学会「JCIの認定資格制度について」


デザイン・インテリア系の資格

建築業界では、デザインやインテリアに関する資格を取得することで、住空間の美しさや機能性を高める仕事に携わることができます。

特に、インテリアプランナーや福祉住環境コーディネーターは、建築設計やリフォームの分野で活躍の幅を広げられる資格です。ここでは、それぞれの資格の特徴について紹介します。



インテリアプランナー


インテリアプランナーは、建築物の内装デザインや設備計画、工事監理などを総合的に行う専門職です。インテリアコーディネーターが主に家具やカラースキームの選定を担当するのに対し、インテリアプランナーは空間設計や建築構造にも関わります。

以前は実務経験が必要でしたが、近年受験資格が緩和され、誰でも受験できるようになりました。しかし、試験の難易度は高く、建築知識や設計スキルが求められます。

資格を取得すると、商業施設や住宅のデザイン設計に関わる仕事で高い評価を得られます(※44)。

(※44)参考:公益財団法人 建築技術教育普及センター「インテリアプランナー試験のご案内」


インテリアコーディネーター


インテリアコーディネーターは、家具や照明、カーテンなどの組み合わせを考え、空間を美しく整える仕事です。住宅やオフィス、ホテルなどの室内空間を対象とし、機能性とデザイン性のバランスを考えながら、クライアントの要望に沿った空間を作ります。

空間デザイナーと似ていますが、より個人向けのインテリアデザインを手がけることが多い点が特徴です。

クライアントのライフスタイルや好みに合わせて最適な家具を提案し、理想の空間を実現するためのアドバイスを行います。センスだけでなく、コミュニケーション能力も重要なスキルです(※45)。

(※45)公益社団法人 インテリア産業協会「インテリアコーディネーター資格試験」


福祉住環境コーディネーター


福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がいのある方が快適に暮らせる住環境を整える専門家です。住宅のバリアフリー設計や介護施設の設計に関わることができるため、建築と福祉の両方の知識が必要とされます。

業務内容としては、バリアフリー住宅の改修や、介護者の負担を軽減するための住宅設備の提案などがあります。試験は3級から1級まであり、1級を取得すると行政や福祉施設でのアドバイザーとしての活躍も期待できます。

超高齢社会の進展に伴い、今後ますます需要が高まる資格です(※46)。

(※46)参考:久留米工業大学「福祉住環境コーディネーターとはどのような仕事をするの?資格の概要と将来性まで詳しく解説いたします」


その他の資格

建築業界では、技術系や経理・会計に関する資格も重要です。ここでは、これまでに紹介したもの以外の建築業界で役立つ資格を紹介します。



CAD利用技術者試験


CAD利用技術者試験は、CAD(コンピューター支援設計)ソフトをどれだけ使いこなせるかを証明する資格です。建築設計や土木設計においてCADのスキルは必須となっており、この試験を取得することで自身の技術レベルをアピールできます。

試験は「2次元CAD」と「3次元CAD」に分かれており、それぞれ基礎レベルの2級と、より高度なスキルが求められる1級があります。

建築業界以外にも、電機・アパレル業界でも活用されており、取得すると転職やキャリアアップに有利になるでしょう(※47)。

(※47)参考:CAD利用技術者試験「検定試験の予定」


建築業経理士


建築業経理士は、建築業界に特化した財務・経理の専門資格です。建設業では、プロジェクトごとにコスト管理や原価計算が必要となるため、一般的な経理職とは異なる専門知識が求められます。

試験は4級から1級まであり、特に1級では建設業簿記や財務諸表の作成、財務分析などの高度な知識が必要です。

経理業務を担当する人はもちろん、建設会社の経営管理に関わる人にとっても重要な資格です。資格を取得すると、財務管理の専門家として評価され、キャリアアップにつながるでしょう(※48)。

(※48)参考:一般財団法人 建設業振興基金「建設業経理検定」

建築関係の仕事の選考対策

ここでは、建築関係の仕事を志望する学生向けに選考対策をご紹介します。



エントリーシート(ES)対策

建築関係の仕事は、コミュニケーション能力や問題解決能力、技術的な興味や好奇心を必要とする職種です。志望動機では、自身がこれらの力を発揮できたエピソードを交えて会社で将来活躍できることをアピールしましょう。

【実際の志望動機回答例】
私が建設業(ゼネコン)を志望する理由は、部活動や◯◯の経験を通して、建築を、様々な人と関わり合いながら、一から形あるものを創り上げることに魅力を感じているからです。その中で貴社を志望する理由は、国内外で人々の生活に貢献できる事業に携われるからです。私は海外に行った時に、プラスチックごみの焼却施設がないためにゴミが背丈を超えて山積みになっている光景を見たことがあります。このことから、産業の発展や人々にとって快適な環境を目指すためには、社会基盤が重要だと実感しました。貴社はマリコンとして臨海部のインフラ建設・技術に強みがあり、海外事業を先駆的に行なっているため、より多くの人々の生活に貢献できると感じています。貴社で、高い技術力で国内外の人々に社会貢献をしたいと思い志望いたします。

※出典:五洋建設|建築職2024年卒本選考のES

内定者の志望動機をもっと見たい方はこちら

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Webテスト対策

Webテストは多くの企業で実施されており、企業ごとに異なるテストが使用されています。そのため、事前にテスト内容を把握し、対策をしておくことが重要です。

また、ワンキャリアでは就活生の体験談やそれをもとにした選考ステップを企業ごとに検索できます。自分の受けたい企業がどのWebテストを実施しているのか、選考を受ける前から対策したい方にはおすすめです。

▼Webテストについて詳しく知りたい方はこちら
・【Webテストとは】主要9種類を網羅!適性検査の特徴、対策本、出題企業一覧


面接対策

業界や会社によって面接で問われる内容は異なります。そのため、志望する業界に合わせた対策が必要です。以下では、業界や企業ごとに準備を進める際のポイントをご紹介します。

まず、面接選考を通過するためには「企業目線」で考えることが重要です。内定の判断を行うのは、その企業の人事担当者や役員ですので、企業が求める人材像を理解することが不可欠です。経営計画などの企業情報を調べることはもちろんですが、企業側の視点に立ち、「どのような人材が求められているのか」を意識しながら面接準備を進めましょう。

また、面接対策では自己分析を行い、自分をアピールするための材料をそろえることも重要です。しかし、選考対策の順番としては、まず企業や業界の分析を行い、その後に自己分析を進める方が効果的です。企業のニーズを理解した上で自分の強みを整理することで、より説得力のあるアピールが可能です。

ワンキャリアでは、企業ごとの選考ステップや合格の秘訣(ひけつ)をご紹介しています。これにより、各企業が重視する評価ポイントや求める人物像を効率的に把握することができ、情報収集の手間も省けます。企業研究を進める際には、ぜひご活用ください。

▼面接対策について詳しく知りたい方はこちら
・【面接で聞かれること】新卒就活で頻出の質問一覧と内定者の回答例


OB・OG訪問

OB・OG訪問は、大学の先輩や知り合いを通じて紹介してもらったり、就活イベントを利用して社員と接点を持つことで機会を得たりできます。これにより、説明会では得られないリアルな情報を知ることができ、業界や企業についての理解が深まることは間違いありません。

さらに、業界や企業によっては、OB・OG訪問の有無や訪問時の評価が選考に影響することもあります。訪問の回数が多いと「熱意がある」と評価されたり、質の高い質問をすることで「優秀だ」と思われたりすることがあります。

OB・OG訪問をすべきか迷っている場合は、まずは最初の1人、同じゼミやサークルの先輩など身近な人から始めてみるといいでしょう。

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おわりに

いかがでしたか。今回は建築関係の仕事についてご紹介しましたが、他にもさまざまな職種があります。自己紹介などを通じて自分に合った、自分がしたい仕事をぜひ探してみてください。

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(Photo:Thewsila/Shutterstock.com)

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