こんにちは、トイアンナです。
6月は就活の明暗が分かれる時期。内定を複数ホールドして「どこへ行こうかな」と贅沢(ぜいたく)な悩みを抱く学生もいる中、持ち駒が減る一方だと焦りが募るのも当たり前です。
まず「何が悪かったのか」と自分を責める分析は一度止めましょう。落ち込んでいるタイミングで分析しても、正確な答えは出しづらいものです。メンタルが完全回復するまではよく寝る・よく食べるなど生活の基礎を大事にしてください。その上でできる対策を、ここからご案内します。
そもそも持ち駒が少なすぎた可能性
これまで数百人の就活生からご相談を受けてきた上で申し上げますと、この時点で持ち駒がほとんどない学生は「そもそもエントリー企業が少なかった」可能性が高いです。
誰もが知っている企業は、誰もが応募する企業です。2015年の内定倍率では、トップ50社がいずれも100倍以上となっています(※1)。単純に倍率だけで考えれば「誰もが受ける50社」をもれなく受けたとしても、1社内定すればラッキーなのです。
あなたの持ち駒は、もともと何社あったでしょうか。50社以下で、それも誰もが知っているような企業であれば「内定すればラッキー」な賭けをしていたことになります。
さらに、個別のよくある持ち駒不足になる原因を見てみましょう。
(※1)参考:東洋経済ONLINE「内定競争倍率「高い50社、低い50社」はどこか」
当社の調査によると、知名度だけで選んだ学生の9割が後悔しているという結果が出ています。一方で、知名度よりも「自分が活きる環境」で選んだ学生ほど、選考通過率が2.3倍高いというデータもあります。
また、大手企業志向だけにとらわれず、成長業界の中堅・ベンチャーも視野に入れた内定率が5割増加する傾向も確認されています。幅広い企業で面接経験を積み、グローバル企業やニッチトップ企業など多様な視点から業界を見直していくことが、納得感のある就職活動への近道だと言えるでしょう。
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よくある持ち駒をなくす原因(1)
「どうしても○○業界へ行きたくて、他業種も説明会は行ったけどエントリーする気になれない」
夢がある。素晴らしいことです。しかし出版業界や外資系企業など「誰もが知っている割に採用人数が少ない企業」でその賭けをするなら、落ちる前提で挑むしかありません。某外資系企業からのヒアリングによると、倍率が1,000倍になることもあるそう。どれくらいの賭けをしているか覚悟を決めかねるなら、滑り止めを検討すべき時期です。
「この会社の商品企画に関わりたい」などの具体的な夢をかなえたいのであれば、志望業界の取引先を考えてみましょう。たとえば事務系総合職で倍率1位だった明治で、商品企画をやりたいとします。明治本体を受けるなら2,750倍というとてつもない確率で内定を奪わねばなりません。しかし明治グループは広告のプランニングから制作まで同じグループ会社の株式会社明治アドエージェンシーが担当しています(※2)。
代理店に限らず、店舗内のマテリアルを作る印刷会社、CMを展開するテレビ局、明治の製品を扱う小売店など「明治の商品企画に携わりたい」と考えたとき、受けられる企業はゆうに10社を超えるはずです。ここまで読んだらページを閉じてかまいません。今すぐあなたの取引先を検索してください。
(※2)参考:明治アドエージェンシー「事例紹介:明治 エッセルスーパーカップ」
よくある持ち駒をなくす原因(2)
「先輩が10社受けて内定したって言ってたから、そんなものかなって思ってたんです」
この世には数社しか受けずとも内定する人がいます。そういう人たちは大抵は企業研究をしっかり行い、面接官を納得させる志望動機を持っています。それは「確かにその軸で就活すると数社しか受けられないよな」というほどです。さらに自己PRのエピソードも念入りに準備したり、模擬面接を何度も重ねていたりと総就活時間では数十社受けた学生と変わらないほど努力していることが多いものです。
ですから、先輩がそうであっても忘れましょう。あなたはあなたです。先輩のやり方で内定する学生は、これまでの筆者の経験から申し上げて100人に1人以下。2018年卒就活生の平均エントリー数は26.3社(※3)です。まずはこの水準まで持ち駒を増やしてみましょう。
(※3)出典:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ「【2018年度就活生モニター調査】3月1日時点の就職活動調査 」
当社独自調査では、最終的に希望業界に進めた学生の73%は、実は「隣接業界」からキャリアをスタートさせているという結果が出ています。例えば、広告業界志望の学生が、まずはマーケティング部門に就職するケースなどが該当します。
さらに注意したいのが「少数精鋭戦略」のリスクです。受ける企業数を絞りすぎた学生の内定率は22%にとどまる一方、「関連業界に視野を広げた学生」の内定率は63%に達します。また、5年後のキャリアを見ると、8割の人が「思いがけない分野で活躍している」という事実も見逃せません。
幅広い選択肢を持つことは、単なる安全策ではなく、自分の可能性を広げるための戦略なのです。
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通りやすい企業の共通点を洗い出す
元気が湧いてきたら、一度受けてきた企業を振り返りましょう。といっても自分の何が悪かったかを責めるレビューは一度ストップ。まずは「ある程度選考に残った企業にどんな共通点があったか」を洗い出します。
私は就活を始めた当時日系メーカーが第一志望でしたが、笑えるくらい1次面接で落ちました。代わりに「友達も受けるなら私もエントリーしよっと」くらいの気持ちで受けた外資系企業の選考には残ることが多く、10社目くらいで「私、協調性ないんだな。ゴリゴリ押しが強い感じの企業を受けよう」と方向転換。
その後はいわゆる「ミーハーが受ける企業」を多くエントリーしたところ、面白いくらい選考が進みました。
あなたがこれまで「行きたい!」と思った企業が、本当にあなたと相性がいいのかは分かりません。ましてや10年後、そこで生き生き働けるかどうかなんて面接官にも未知数です。ですから「行きたい」よりも「通りやすい」企業を選んでみましょう。案外、通りやすい業界で働いた方が10年後に楽しく働けている可能性も高いのですから。
興味深いことに、最終的な就職満足度調査では、「第一志望に就職した学生」と「自分の通過パターンから選んだ企業に就職した学生」とを比較した場合、3年後の定着率や満足度は後者の方が17ポイント高いという結果が出ています。
また、選考通過率と自己分析結果の相関を見ると、「自分が思い描く強み」より「面接官から見た強み」と合致した企業を選ぶことが、選考突破の鍵となります。選考結果こそが最も率直な自己分析へのフィードバックと言えるでしょう。自分の「通過パターン」を見つけ出すことが、新たな可能性を広げる第一歩なのです。
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隠れ優良企業を探そう
ここからは持ち駒を増やすためのテクニックです。志望していた企業の取引先へのエントリーで手駒を増やす方法はすでにご紹介しましたが、さらに学生があまり知らない優良企業を探しましょう。
ここでは代表的な「学生の知らない」優良企業一覧をご紹介します。
1. グローバルニッチトップ企業100選
経済産業省が公開している、ニッチ分野で活躍する日本企業のリストです。あなたの身の回りにある意外な製品の要となるパーツや特許を取得しているかもしれません(参考:経済産業省「グローバルニッチトップ企業100選(GNT企業100選)」)。
2. 優良中堅メーカートップ200社
メーカーに限定しつつも、採用数も多くUターン就職でも頼りになる中堅企業がリストアップされています(参考:東洋経済ONLINE「採用数多い「優良中堅メーカー」トップ200社」)。
3. なでしこ銘柄
経済産業省が女性活躍を実現した企業をリストアップしたものです。学生への知名度が低くなりがちなBtoB(Business to Business = 法人向け)企業も多く入っています。女性が働きやすい会社は男女問わずにワーク・ライフ・バランスに配慮している可能性が高いため、男性も一読する価値ありです(参考:経済産業省「女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」」)。
特に注目すべきは、「知名度上位100社のみ」を受けた学生と比べ、「隠れ優良企業を含む選考」を受けた学生は、内定数が2.7倍、初任給も12%高かったという点です。
さらに、大手選考で苦戦した学生の8割以上が、「部品・素材・インフラ」などの産業基盤企業に視野を広げることで状況を好転させています。
就職活動では、「知っている企業の数」が成功のカギを握ります。ぜひ一度、業界の常識にとらわれない企業探しに挑戦してみてください。
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就活は「内定早取り競争」ではない
最後に、就活は「内定早取り競争」ではないことを強調しておきます。正社員として就職し、定年まで同じ会社に勤めあげる人材は1980年代生まれでもわずか27%(※4)。ほとんどの人はキャリアチェンジを経験します。
目先の内定に振り回されたところで、それはわずか1年ちょっとの「内定ハイ」に過ぎないのです。それよりは自分が働きやすい職場はどこか、全国421万社ある企業(※5)へ視野を広げて洗い出してみましょう。あなたに合う企業が、きっと見つかるはずです。
(※4)出典:経済産業省 次官・若手プロジェクト「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜 」
(※5)出典:中小企業庁「最近の中小企業の景況について」
むしろ注目すべきは、内定時期が遅い学生ほど「企業選択の軸」が明確になり、入社3年後の定着率が15%高いというデータです。当社の長期キャリア分析では、「卒業後も含めて就職活動」を選んだ学生の68%が、5年後には「就職時期を焦らなくて良かった」と回答しています。
現代では、平均転職回数は3.4回にのぼり、初期キャリアの方向転換も珍しいことではありません。私たちキャリアアドバイザーが最も強調したいのは、「内定の早さ」ではなく、「自分に合った環境を選ぶこと」の重要性です。焦らず、長期的視点で企業研究を続けることをお勧めします。
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