こんにちは、ワンキャリ編集部です。外資系戦略コンサルティングファームなどの筆記試験にて出題されることが多い「GMAT」。
前回の判断推理に続いて、今回はGMATの学習法について徹底解説します。
GMATを課すコンサルティングファーム一覧
では、インターンの筆記選考においてGMATの問題を出題する企業はどこなのでしょうか?以下に一覧をまとめました。
・マッキンゼー・アンド・カンパニー(独自問題ですが、GMATに近い問題形式を取ります)
・ベイン・アンド・カンパニー (独自問題ですが、GMATに近い問題形式を取ります)
・Strategy&
どの企業も内定者数が2~3名から多くて10名程度の少数精鋭採用を行なっている企業でもあり、戦略コンサル内定者によるとGMATなどの戦略コンサルティングファームの筆記試験は倍率が10倍にも上ることもよくあるようです。続いてGMATとは何かについてお伝えします。
GMAT:MBA留学の「センター試験」
GMAT(Graduate Management Admission Test)とはアメリカでMBA留学をする際に必要ないわば「センター試験」です。
複数のセクションから構成されますが、就職活動の筆記選考で出題されるのは「Critical Reasoning」「Problem Solving」「Data Sufficiency」の3つが主です。
以下ではそれぞれのセクションについて解き方をお伝えします。
セクション別解法のコツ
続いて3つのセクションごとの解法のコツをご紹介します。
「議論の領域」を見極める:Critical Reasoning
誤った選択肢を除外するために有効なのが、「議論の領域」を見極めることです。以下の例を見てみましょう。
公立学校でより有能な教師を確保しようと、多くの学区が教師に対する奨学ローン・プログラムを始めている。そのプログラムにより、教師は修士の資格を取得するための金額的負担を軽減できる。学区が教師のために授業料を払い、教師は修士プログラムを終えた後、5年にわたり授業料の半額分を学区に返済していく。ただし、その5年が経過する前に教師がその学区を離れた場合、教師は金額を返済しなければならない。上の奨学ローン・プログラムは次のどの家庭に基づいているか。
(A)法的に結ばれた合意は、ほとんどの教師を自分の側の義務を果たすよう倫理的に束縛する。
(B)このプログラムは教師がより高い学位を目指す意欲をくじく。
(C)修士以上の教育費を自分で払っている教師のほとんどが追っている財政的負担の方が、5年間の勤務義務という負担よりは軽い。
(D)このプログラムに参加する教師のほとんどは、財政的な、あるいはその他の手段を尽くして学区に残るよう説得されなければならないだろう。
(E)学区に全額返済しなければならないという抑止条件が、教師に少なくとも5年は学区に勤務し続けることを促すだろう。
解説
(A):教師が契約義務を果たすことが倫理的な問題であるとはいわれていません。したがって、「議論の領域」からの逸脱であり不適当です。
(B):プログラムの目的は教師に学位取得を奨励することであり、その気をくじくことではないため不適当です。
(C):学費自己負担の方が公立学校で5年勤務するより良い悪いという議論は述べられていません。したがって、「議論の領域」からの逸脱であり不適当です。
(D):その他の手段について言及されていないため、「議論の領域」から逸脱しており不適当です。
(E):唯一議論から逸脱していない選択肢で、これが正解となります。
以上のように、設問の言及範囲、すなわち「議論の領域」の中か外かを見極めることで素早く答えにたどり着くことができます。
Plugging Inで問題を分かりやすくする:Problem Solving
設問に未知数が存在する場合、任意の数値を選んで代入した方が早く解けます。以下の例をご覧ください。
ある数列Sは連続する奇数の集合である。もしrが初項から第n項までの和だとすると、rの値をnを使って表すとどうなるか。
(A)n/2
(B)n
(C)n^2
(D)2n
(E)n+2
解説
n=5だとすると、数列Sは、{1, 3, 5, 7, 9}となり、和rは25となります。(A)~(E)のうち25となるのは、(C)でありこれが正解となります。このように任意の数値を代入するとより早く正確に解くことができます。時間が関わる問題は24や60を代入すると複雑な計算をせずに済みます。
十分/不十分が分かったら次へ行く:Data Sufficiency
Data Sufficiencyの問題では未知の値を求める必要がないため、十分か不十分かが分かったらすぐに次の選択肢や設問に移りましょう。
以下の例をご覧ください。
What is the value of x?
(1)x+2y=29
(2)x+2=17
A:条件1のみで十分、しかし条件2のみでは不十分
B:条件2のみで十分、しかし条件1のみでは不十分
C:条件1、2の両方がそろえば十分、しかしひとつずつでは不十分
D:条件1のみでも、条件2のみでも十分
E:条件1、2の両方を合わせても不十分
解説
(2)の条件だけでxの値が15とわかるため答えはBです。
(1)の条件のyのように、絶対に値が出ないケースもあるので「答えるのに十分な情報があるかないか」が分かったら深く考えずにすぐに別の問題を解き進めるのがコツです。
各セクション問題例とその答え
大方それぞれのセクションの解き方は掴めたでしょうか。それでは以下の各問題例に挑戦してみてください。
1. Critical Reasoning
ある都市で、近年交通事故死者数が増加しています。これを減少させるために、市の交通安全課長は街に監視カメラを設置すべきであると主張しています。
この主張を最も弱める根拠となる事実を次のうちから選びなさい。
1: 交通事故死者数が増加しているのは、世界共通である。
2: 事故にあった人をすぐに治療できない医療システムに問題がある。
3: 監視カメラには、事故の発生を物理的に防ぐ効力は無い。
4: 交通事故死者数が増加していることにより、自動車修理メーカーなどの収入は上がっている。
答え 2
解説
1:マクロ要因により交通事故死者数が増加していることを根拠にするため、都市単位の予防策の根拠にはなりません。
3:監視カメラを設置すべき理由にその設置物であるカメラの効力がないことを主張しているので根拠になりません。
4:交通事故死者数が増加していることのメリットを伝えているだけなので、主張とは全く関わりがありません。
よって答えは2です。
2. Problem Solving
先週、デービッドは毎日自転車に乗った。日曜日には、月曜日から土曜日まで自転車に乗った平均距離の4倍の距離を自転車に乗った。デービッドが日曜日に自転車に乗った距離は、その週に彼が自転車に乗った総距離のどれだけであったか。
1: 1/4
2: 2/5
3: 4/7
4: 2/3
5: 4/5
答え:2
解説
月曜から土曜までに自転車に乗った平均距離をxとすると、日曜に乗った距離は4x、全体の距離が6x+4x=10xとわかります。
従って、答えは4x/10x=2/5です。
3. Data Sufficiency
あるパーティーである人がスピーチをするのに立ち上がったとき、それが男性の会計士である確率はいくらになるか。
1. パーティーに出席している人の20%は男性である。
2. パーティーに出席している男性の80%は会計士である。
A:条件1のみで十分、しかし条件2のみでは不十分
B:条件2のみで十分、しかし条件1のみでは不十分
C:条件1、2の両方がそろえば十分、しかしひとつずつでは不十分
D:条件1のみでも、条件2のみでも十分
E:条件1、2の両方を合わせても不十分
答え:C
解説
スピーチをする人物は「男性」と「会計士」の二つの要素を持っており、それぞれの全体における割合を求める必要があるため、答えはCとなります。
難問を見極め、簡単な問題から解く
GMATは難問を先に見極め、簡単な問題から解いていくのがコツです。
例えばベイン・アンド・カンパニーでは12分で10問が課されます(選考対策ページより)。時間との勝負かつ、難問も存在する場合があるGMAT形式の筆記試験では、簡単な問題を素早く解き、難問に時間をかけるというのが基本的な戦略です。従ってGMATの筆記選考を突破するために「自分の強いセクションを知ること」は重要な準備だといえます。
就活の筆記選考に出題されるセクションはCritical Reasoning、Problem Solving、Data Sufficiencyの3つですが、セクションによって得意不得意があると思うので勉強する中で自分の得意なセクションかどうかを把握し本番は得意なセクションから解き始めるようにしましょう。
消去法による難問の解法を身につける
時には消去法も有効な解き方です。解き方の分からない問題に遭遇した場合、正解を探すよりも誤答を探す方が早く正解にたどり着きます。
以下の例をご覧ください。
What is the capital of Milawe?
(A)Tokyo
(B)Paris
(C)Lilongwe
(D)Rome
(E)London
解説
Milaweの首都を知っている方はほとんどいないと思います。しかし、(A)Tokyo、(B)Paris、(D)Rome、(E)LondonはそれぞれJapan、France、Italy、U.K.の首都であることは誰もが知っているため、消去法で答えが(C)Lilongweと分かります。
このように消去法でしか実質的に回答が不可能な問題もあるため、「消去法で解けないか?」という意識は常に持っておきましょう。
1日1時間半、1週間で対策を終えるスケジュール例
最後に、1週間でGMATの勉強を終えることを想定したスケジュール例をご紹介します。
※以下の教材に沿って学習することを想定しています。
本書は、各セクションについて解法解説、練習問題、実践問題の順で構成されています。
―スケジュール例―
Day1:Critical Reasoningの解法解説を読み、練習問題を解く
Day2:Problem Solvingの解法解説を読み、練習問題を解く
Day3:Data Sufficiencyの解法解説を読み、練習問題を解く
Day4:Critical Reasoning、Problem Solvingの実践問題を解く
Day5:Data Sufficiencyの実践問題を解く、間違えた問題の復習
Day6:模擬テストを解く
Day7:解法の復習
どの問題も時間を掛ければ解けてしまいますが、解法解説に掲載されている「短時間で解法にたどり着く方法」を使って解く、という意識を持って問題に取り組んでください。実践問題は本番の8割の時間で解いてみるのがいいでしょう。例えば、上述のようにベイン・アンド・カンパニーの筆記選考では12分で10問課されますが、練習では10分で10問解く経験を重ねると時間のゆとりを持って本番に臨めます。
おわりに
いかがでしたか。今回は夏インターンでよく出題されるGMATについてご紹介しました。筆記試験は足切りのイメージが強いというイメージ通り、内定者によると外コンの夏インターンでは9割の志望者が筆記試験で落ちます。過度な心配はかえって毒ですが、出鼻をくじかれないよう入念な準備をして筆記試験に臨みましょう。
筆記試験についてより詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
・マッキンゼーは9割が試験で落ちる?コンサル筆記試験の形式・内容を総まとめ:外資戦略コンサル徹底解説Vol.1
・外資系コンサルのサマーインターンに行きたいならこう動け!夏に内定するための戦略と選考対策